作品一覧 2018/01/12更新 キラキラネームの大研究 値引きあり 試し読み フォロー 地名の謎を解く―隠された「日本の古層」―(新潮選書) 値引きあり 試し読み フォロー 1~2件目 / 2件<<<1・・・・・・・・・>>> 伊東ひとみの作品をすべて見る
ユーザーレビュー キラキラネームの大研究 伊東ひとみ タイトルが秀逸。 タイトルだけだと、「キラキラネームにはこんなんありますよ。ひどいでしょう。世も末ですね。」みたいなことが書いてあるように思えるが、実際は非常に真面目で、キラキラネームへの偏見が消失してしまったほど。 これが、内容に即して「読めない名前の近代史」みたいな真面目タイトルだったら、自分...続きを読む含めて誰も買わなかっただろうな。どこでこれを買ったか全く覚えてないが、自分も絶対タイトルに惹かれて買ったんだろうし。 自分もキラキラネーム、DQNネームはクソだなと思ってたし今もそう思ってるけど、単に流行りとかそういう話じゃないんだなと気づいた。 今だけ起きてる問題というわけではなく、理由はもっと根が深く、しかも長い歴史がある。 そもそも大昔の神代の時代から、神様の名前が完全に読ませる気のないものばかりだった。確かに。 木花開耶姫命とか当て字にも程がある感じがするし。 また、いわゆる難読名字である小鳥遊、月見里(やまなし)、八月一日(ほづみ)、子子子(ねこし)など、落語かな?と思うようなエピソードで名付けられたものも多く、キラキラネームと大して変わらないと言えばそう。 明治時代にも英語名を漢字で表したようなキラキラネームが多かったらしい。 亜幌(アポロ)、亜歴山(アレキサンドル)、丸楠(マルクス)など。 森鴎外も子どもたちが於菟(おと・オットー)、茉莉(まり・マリー)、杏奴(アンヌ)、不律(ふりつ・フリッツ)、類(るい・ルイス)という完全に外国かぶれと言えそうな名前をつけている。ただ、今見てもそこまでキラキラしているわけではないのがさすが森鴎外というところか。 於菟は漢文が元ネタらしく、この頃の知識人たちは漢字の見た目や音ではなく、きちんとした知識に基づいて名付けをしているのがほとんどとのこと。 まあ、自分としては考えがあろうがなかろうが、読みにくければどれも大差なくダメだと思うけど… また、和子という普通の、しかも今では古い感じの名前も「和」を「かず」とは普通読まない名乗りの一種だったとか、そういう話は幾らでもあるため、光宙と書いてピカチュウはネタが極端なだけで似たような名前は昔から存在していた、つまりキラキラネームは今だけの問題ではない、と。 そこそこ最近の話で言えば、発端は第二次世界大戦の敗戦。 GHQの方針で漢字がまずなくなりかけた。なんやかんやでなくならなかったが、教育をしていくためにも教育しやすくするためにも常用漢字というものが作られ、その過程で漢字の本来の意味がかなり失われたまま人々に覚えられてしまった。 そして教育のおかげで人々の漢字知識水準が上がり、同時に漢字への敬いも減ってしまい、漢字を気軽に扱うようになってきてしまった。 更に最終的なきっかけであるインターネット。これで漢和辞典なんて見なくても簡単に漢字を検索できるようになってしまい、意味はそっちのけで見た目や音だけで漢字を選ぶことができるようになってしまった。 また、世代的にちょっと前から親になりはじめた人たちが緩くなってきた漢字教育で育った直撃世代であり、子供の名付けのために使う漢字の自由度が半端なくなっていて、それが変だとも思っていない。 つまり、今後これは加速していき、キラキラネームが常識になっていくだろう、とのこと。 だが、やはりこれは日本語の大切な要素である漢字、そしてその意味を失っていくことではあるので、キラキラネームが悪いとかではなく、それと別の話として漢字という伝統を守るためになんとかしなければいけない。 途中で漢字が中国から入ってきた時代まで遡り、戦前戦後の話になってしまい、内容は大変面白かったもののどうやってキラキラネームという話題に戻ってくるのだろうかと心配していたら、とてもきれいに結ばれていた。 あとがきで作者自身も非常に苦労したと書いていたが、確かにそんな感じの内容だった。それをこんな上手くまとめた良い本にしたのはすごいし、非常に面白い内容だった。意識が変わるのでオススメ。 Posted by ブクログ キラキラネームの大研究 伊東ひとみ 身近にある現象から深い漢字のことばの森奥までたどり着いたのは感心しました。言葉の言霊は現実から離れましたが。ネーミングの原理、人名の歴史、漢字政策については丁寧に資料を集めてくれました。論述も誠実さが溢れています。特にキラキラネームそのものに対して取りすべき態度の思考、興味深いテーマを残してくれまし...続きを読むた。過去や現在がなければ、未来はなし。キラキラネームに対する態度は我々の現状を問い、未来への選択を問うといえるだろう。 Posted by ブクログ キラキラネームの大研究 伊東ひとみ ものすごく軽~い書名ですが、 中味はなかなかの読み応え 単なる 「イマドキの命名は…」になっていない 読み応えのある一冊になっています 筆者が古典文学に精通しているのも その論考の厚みになっていますね 巻末の参考文献のランンアップが とても興味深い 名付けの意味 名付けもまた その時代を反映...続きを読むする 名付けもまた その教養が背後にあった(!) 名付けもまた その教養のあるなしが大きく左右する 「漢字」そして「感字」の造語 いやはや 楽しい時間が持てました Posted by ブクログ キラキラネームの大研究 伊東ひとみ 名付けをきっかけとした、日本人と漢字との関係の歴史を考察した1冊。 タイトルは軽いですが、中身はしっかりしていると思います。 正しいか正しくないかは置いておいて、とても納得できる内容です。 と同時に、我々がいかに薄っぺらな漢字の世界に生きているか、反省させられました。 知識の浅さが若干気...続きを読むになる点もありましたが、個人的には、十分に満足できました。 Posted by ブクログ キラキラネームの大研究 伊東ひとみ 面白かった。 所謂キラキラネームと呼ばれる名前が多いのは、今日的な現象だと思っていたが、歴史を紐解いていくと、特段現代の風潮ではないことがわかった。 それにしても、言語って奥深い。日本語に関していうなら、漢語と大和言葉のせめぎ合い(?)の歴史だ。 当たり前のように学校で国語を学んできたが、そこには政...続きを読む府の国語政策が存在していることを改めて認識した。 Posted by ブクログ 伊東ひとみのレビューをもっと見る