伊東ひとみのレビュー一覧
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ネタバレタイトルが秀逸。
タイトルだけだと、「キラキラネームにはこんなんありますよ。ひどいでしょう。世も末ですね。」みたいなことが書いてあるように思えるが、実際は非常に真面目で、キラキラネームへの偏見が消失してしまったほど。
これが、内容に即して「読めない名前の近代史」みたいな真面目タイトルだったら、自分含めて誰も買わなかっただろうな。どこでこれを買ったか全く覚えてないが、自分も絶対タイトルに惹かれて買ったんだろうし。
自分もキラキラネーム、DQNネームはクソだなと思ってたし今もそう思ってるけど、単に流行りとかそういう話じゃないんだなと気づいた。
今だけ起きてる問題というわけではなく、理由はもっと -
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ネタバレ幼名、諱(いみな)があった戦国時代から姓名を持つようになった明治時代まで名前の歴史を丁寧に記されています。読み書きも満足にできる人がいないくらいに漢字が普及していないのでカタカナ名前も多かった。漢字の名前をつけることができた人は中国古書を読んでいる人だった。人名漢字も現代に至るまでに数回整備されており、教育も進んだことから名前の幅が広がったのではと推測しています。
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人名漢字の追加要望で「胱」「腥(生臭いの意)」が挙がったこともあるとか。月の光、月と星だけど意味は汚い。現代人は名前の音に字面や画数を合わせる「感字」名付けの傾向にあるんじゃないか?と危惧する形で〆られておりました。「見続ければ -
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子供への名付けほど迷うものはない。
字画、音、漢字、意味、言いやすさ.....。
迷いに迷い、最近の名付け本などを開くと、眩しすぎるお名前ばかり。
いや、やっぱりここは中学時代から考えに考え抜いたあの名前でいこう!
そして保育園に通うことになって、同じクラスの子供達の名前を聞いてみると、かわいいしかっこいい、けれど漢字を目の前にしてみると、読め.......ない。
しかし半年も経てば慣れてきて、読めなかった名前が「普通」に感じるようになる。
何が「普通」かは慣れによるものが大きいのかもしれない。
批判されているキラキラネーム。
だが、はてさて、本当に「光宙」(ピカチュウ)なんているのか?
そ -
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p.218
彼らは、漢字の素養に支えられてきた伝統的な漢字の常識に囚われていない。いや、「囚われていない」というより、旧来の常識を「知らない」と言ったほうが正しい。ましてや、その常識が、「漢和辞典」的な規範にのっとりながらもマニュアル化されたものではなく、高い教養によって制御していく曖昧なものだとは知る由もない。
第三世代が知っているのは、音訓や字体がきっちりと整備された、カジュアルで平易な漢字の世界だ。要するに、彼らは漢字世界の歴史的な奥行きを知らず、そこでの柔軟な用法を支えている“塩梅”や“加減”などわからない世代なのである。
p.221
伝統的な漢字の常識からかけ離れたキラキラネ -
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名前の付け方、読み方について詳細に記されており、読む価値のある本です。タイトルは軽いですが中身はまっとうで社会人の知識として損はないものです。
本書第六~第七章の考察で多くは理解できます。
字の持つ意味を無視した漢字を用いことへの解釈は丁寧に解き明かされていますが、私には文化的側面が抜け落ちているように感じます。
微笑ましいキラキラネームではなく、愛夜姫と書いてアゲハと読ませる子供を水商売にするつもりかのような親の精神構造、DQNネームの問題には突っ込みが足りません。(伊藤氏は文中でDQNネームの呼称を何度も使用している)
序盤で多少触れられていますが、結局は程度の低い親の問題かもしれません -
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我が子への無理読みな命名。最近流行りのこの現象について,真面目に考えた一冊。揶揄と嘲笑に満ちたいわゆるDQNネームサイトとは一線を画する内容で,殊更に取り上げられる奇嬌な名前は都市伝説だったり極一部の特殊例であることを確認した上で,日本語や名前の歴史を踏まえつつ中立的な立場で論じている。さすが書籍の貫禄というところ。
一見キラキラに見える鴎外の名付けと現代の名付けの比較などを通じて見えてきた結論は,漢字のカジュアル化。無理読みは昔からあったし,そもそも訓読みの本質は無理読みである。それが教養と伝統の文脈を無視して大衆化し花開いたのが,キラキラネームの現状,ということになる。そしてこの動きはIT -
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どうやって読んだらいいのかわからない名前が増えてきている。例に上がっているのが以下の名前だ。
1.「苺苺苺」
2. 「紗冬」
3.「愛夜姫」
4.「手真似」
モクモク羊は、「いちごたくさん」、「さゆ」、「あやひめ」、「てまね」と思ったが、甘ちゃんだった。正解は、「まりなる」、「しゅがあ」、「あげは」、「さいん」。
著者によると、このような名前を付ける親は一部の特定の人たちに限らない。むしろ、日本語の歴史をたどると「無理読みは伝統だった」と述べている。
今でもキラキラネームに対して批判している人はいるが、今に限ったことではなかった。古くは「徒然物語」の著者の吉田兼好や、江戸自体の国学者