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苺苺苺と書いて「まりなる」、愛夜姫で「あげは」、心で「ぴゅあ」。珍奇な難読名、いわゆる「キラキラネーム」の暴走が日本を席巻しつつある。バカ親の所業と一言で片づけてはいけない。ルーツを辿っていくと、見えてきたのは日本語の本質だった。それは漢字を取り入れた瞬間に背負った宿命の落とし穴、本居宣長も頭を悩ませていた問題だったのだ。豊富な実例で思い込みの“常識”を覆す、驚きと発見に満ちた日本語論。
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Posted by ブクログ
身近にある現象から深い漢字のことばの森奥までたどり着いたのは感心しました。言葉の言霊は現実から離れましたが。ネーミングの原理、人名の歴史、漢字政策については丁寧に資料を集めてくれました。論述も誠実さが溢れています。特にキラキラネームそのものに対して取りすべき態度の思考、興味深いテーマを残してくれまし...続きを読むた。過去や現在がなければ、未来はなし。キラキラネームに対する態度は我々の現状を問い、未来への選択を問うといえるだろう。
ものすごく軽~い書名ですが、 中味はなかなかの読み応え 単なる 「イマドキの命名は…」になっていない 読み応えのある一冊になっています 筆者が古典文学に精通しているのも その論考の厚みになっていますね 巻末の参考文献のランンアップが とても興味深い 名付けの意味 名付けもまた その時代を反映...続きを読むする 名付けもまた その教養が背後にあった(!) 名付けもまた その教養のあるなしが大きく左右する 「漢字」そして「感字」の造語 いやはや 楽しい時間が持てました
名付けをきっかけとした、日本人と漢字との関係の歴史を考察した1冊。 タイトルは軽いですが、中身はしっかりしていると思います。 正しいか正しくないかは置いておいて、とても納得できる内容です。 と同時に、我々がいかに薄っぺらな漢字の世界に生きているか、反省させられました。 知識の浅さが若干気...続きを読むになる点もありましたが、個人的には、十分に満足できました。
面白かった。 所謂キラキラネームと呼ばれる名前が多いのは、今日的な現象だと思っていたが、歴史を紐解いていくと、特段現代の風潮ではないことがわかった。 それにしても、言語って奥深い。日本語に関していうなら、漢語と大和言葉のせめぎ合い(?)の歴史だ。 当たり前のように学校で国語を学んできたが、そこには政...続きを読む府の国語政策が存在していることを改めて認識した。
キラキラネームの起源、遡ること1000年以上前の話になっていて非常に面白かった。 歴史上の有名な人物も子供には独特な名前をつけていて意外だった。 昔は教養のある人だけが漢字を使っていたという事実を知れてよかった。
色々と事例に踊らされてる感じはすごい 最後の章にあった 当用漢字が設定されたことによって 漢字の敷居が下がって「漢字感覚」みたいなものが変化していったから、キラキラネームにつながったのだ という考えには一理あるし、 キラキラネーム自体への否定以外の捉え方なのかなって思った
子供への名付けほど迷うものはない。 字画、音、漢字、意味、言いやすさ.....。 迷いに迷い、最近の名付け本などを開くと、眩しすぎるお名前ばかり。 いや、やっぱりここは中学時代から考えに考え抜いたあの名前でいこう! そして保育園に通うことになって、同じクラスの子供達の名前を聞いてみると、かわいいしか...続きを読むっこいい、けれど漢字を目の前にしてみると、読め.......ない。 しかし半年も経てば慣れてきて、読めなかった名前が「普通」に感じるようになる。 何が「普通」かは慣れによるものが大きいのかもしれない。 批判されているキラキラネーム。 だが、はてさて、本当に「光宙」(ピカチュウ)なんているのか? それに、「光」をピカなんて読まないでしょ、と鼻で笑って馬鹿にしているそこのあなた! 読むんですよこれが。 ピカイチ、漢字では「光一」(パソコンの変換でちゃんと出てきますよ、大辞泉に掲載も!)の読みとして。 「光宙」は「みつおき」さんがいたそうで、変な漢字の並びでもない。 こりゃあ、キラキラは馬鹿親がつけるもの、と笑っている方が浅学を晒している方かもしれぬ。 そもそも、名前につける漢字の読み、である名乗り自体が無理読みなのだそうで、「和子」という名前ですら本居宣長は批判していたそうだ。 名前の読みにくさというのは昔からあるものだとは知っていたが、「普通」に見える名ですら、出た当初は批判の的。 もちろん現代と、神話や平安、江戸期、それぞれの時代背景を考えれば一緒に論じるのは無理があるが、漢字を輸入し、音を当てはめた日本ならではの面白くも見える混乱だとも言えるだろう。 明治の文豪、森鷗外の子供達の名前は単なるキラキラネームではない。 読めない名前はみんなキラキラだ!と乱暴にくくれば確かにそうかもしれない。 しかし、そこには文豪と呼ばれるにふさわしい知識と経験があってこそ、名付けられた意味がある。 言葉は「今」だけに生きているわけではない。(244ページ) 私たちが心を込めて贈りたい名前は「意味のない単なるデザイン(同頁)」ではない。 私たちは初めての、そして一生ものの贈り物について、もっと深い考察が必要なのかもしれない。
p.218 彼らは、漢字の素養に支えられてきた伝統的な漢字の常識に囚われていない。いや、「囚われていない」というより、旧来の常識を「知らない」と言ったほうが正しい。ましてや、その常識が、「漢和辞典」的な規範にのっとりながらもマニュアル化されたものではなく、高い教養によって制御していく曖昧なものだと...続きを読むは知る由もない。 第三世代が知っているのは、音訓や字体がきっちりと整備された、カジュアルで平易な漢字の世界だ。要するに、彼らは漢字世界の歴史的な奥行きを知らず、そこでの柔軟な用法を支えている“塩梅”や“加減”などわからない世代なのである。 p.221 伝統的な漢字の常識からかけ離れたキラキラネームがつけられるようになったのは、カジュアルで平易な漢字感が三世代かけて造成され、それが若い世代の漢字の捉え方の土台になったから。そういう大前提の土台ができあがっていたからこそ、少子化に伴う名づけの個性化願望の強まりや、新しいセンスの名づけ本の創刊といった社会変化の圧力がかかったとき、断層がズルリト動いた―こういう話なら納得できる。 そもそも、漢字の素養に支えられてきた常識は、とうの昔に当てにできなくなっていた。カジュアルな漢字感を持って育った「第三世代」ならなおのこと、伝統的な常識の範疇に収まるようなラインの引き方などわかるわけがない。ならば、名付けた本人が思っている以上に奇抜な難読名と化すのは、無理もないことではないか。 p.231 そう、「漢字」を「感字」として捉える、日本の「当用漢字第三世代」以降の人たちの漢字感覚は、カッコイイ印として漢字タトゥーを入れる外国の若者とほとんど変わらない次元に達しているのだ。他人事のように外国人を笑っている場合ではない。
名前の付け方、読み方について詳細に記されており、読む価値のある本です。タイトルは軽いですが中身はまっとうで社会人の知識として損はないものです。 本書第六~第七章の考察で多くは理解できます。 字の持つ意味を無視した漢字を用いことへの解釈は丁寧に解き明かされていますが、私には文化的側面が抜け落ちている...続きを読むように感じます。 微笑ましいキラキラネームではなく、愛夜姫と書いてアゲハと読ませる子供を水商売にするつもりかのような親の精神構造、DQNネームの問題には突っ込みが足りません。(伊藤氏は文中でDQNネームの呼称を何度も使用している) 序盤で多少触れられていますが、結局は程度の低い親の問題かもしれませんが、伊藤氏はその特定を避けています。 それは、本書のレビューに一つ星を付けた、上から目線で名前を語るなと書いた人が居るように、中年以降の年齢からすれば珍妙極まりない名前であっても一生背負わなくてはならない方への配慮でしょうか。 提言しておけば哀れな名付へのブレーキになったかもしれないのに。
いわゆるキラキラネームが今なぜマジョリティになりえたのか。 読みづらい名前、おいおいな名前は昔からあった。 そもそも、日本語とは、漢字とは、日本人の名前とは、といろんな観点から切り取って見せてくれる。 これは面白かった。 何より、ぼく自身の名前自体が、それなりに「キラキラネーム」の一派だったことを...続きを読む思い知った。
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