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登山大名
江戸時代初期の実相に迫る、歴史ミステリーの傑作! 時は四代将軍・家綱の世。天下をゆるがした島原の乱の余燼がくすぶり、幕藩体制が盤石ではなかった時代。公儀の執拗な締め付けに苦しむ豊後・岡藩の第三代藩主となった中川久清が、山中で不思議な娘と出逢う。行方をくらませた娘を探し求めるうちに「中川の誇りを貫いてくれ」と言い残して逝った先代が秘してきた切支丹庇護の痕跡が次々と露わになり、祈りの場に娘の姿を見つけた時、久清の運命は大きく変わり始める。やがて自らの出生にまつわる壮大な秘密も明らかになっていき――なぜ大名はくじゅうの山に登ったのか? 見えない敵と戦ってきた大名が目指した理想郷とは? 【目次】 第一章 娘狩り 第二章 津久丸 第三章 一雲 第四章 遺言 第五章 空井戸 第六章 女傑 -
奇のくに風土記
若き本草学者の不思議に満ちた生きものとの出会い――心震わせる時代幻想譚。 美(う)っつい奇のくには、どこからか草木の「声」が聴こえてくる。 みずみずしい読後感につつまれた。 ―――――中江有里さん(俳優・小説家・歌手) 心震わせる生きもの賛歌。 美(う)っついのう。 紀州藩士の息子・十兵衛(後の本草学者・畔田翠山(くろだすいざん))は、 幼いころから草花とは自在に語らうことができるのに、人と接するとうまく言葉を交わすことができずに育った。 ある日、草花の採取に出かけた山中で天狗(てんぎゃん)と出会ってから、面妖な出来事が身の回りで次々と起こり……。 若き本草学者の、生き物や家族、恩師との温かな交感と成長を描く、感動の時代幻想譚。 〈目次〉 天狗 てんぎゃん 卯木 うつぎ 蜜柑 みかん 雪の舌 ゆきのした 伊佐木 いさき 不知火 しらぬい 藤袴 ふじばかま 仙蓼 せんりょう 譲葉 ゆずりは 山桃 やまもも 白山人参 はくさんにんじん 黒百合 くろゆり 瑞菜 ずいな 稲穂 いなほ 蓮華 れんげ 装画 MAYA MAXX 本文画 畔田翠山 -
ソコレの最終便
【戦争×鉄道エンターテイメントの傑作】 大戦末期、ソ連軍の奇襲侵攻を受け崩壊の危機に瀕する満洲国。 特命を帯びた装甲列車(ソコレ)が、混乱の大地を駆け抜ける! 昭和二十年八月九日、日ソ中立条約を破棄したソ連軍が突如として満州国へ侵攻を開始。国内全体が未曾有の大混乱に陥るなか、陸軍大尉・朝倉九十九率いる一〇一装甲列車隊「マルヒト・ソコレ」に特命が下った。それは、輸送中に空襲を受けて国境地帯で立ち往生してしまった日本軍唯一の巨大列車砲を回収し、はるかかなたの大連港まで送り届けよ、という関東軍総司令官直々の緊急命令であった。 疾走距離2000km、タイムリミットは7日間!! 【佐藤賢一氏推薦】 昭和二十年八月、終戦間際の満洲を装甲列車(ソコレ)が走る。 迫真の戦争小説と転変のロードノベルが合体 ――おののかされ、引き回されて、もう一気に読まされた。 【著者略歴】 野上大樹(のがみたいき) 1975(昭和50)年生まれ。佐賀県在住。防衛大学校卒。『霧島兵庫』名義で第20回歴史群像大賞優秀賞を受賞し、2015年『甲州赤鬼伝』(Gakken→新潮社)にてデビュー。その他の著作に『信長を生んだ男』(新潮社)、『二人のクラウゼヴィッツ』(「フラウの戦争論」より改題)(新潮社)、『静かなる太陽』(中央公論新社)がある。2023年『野上大樹』へ名義変更。『ソコレの最終便』が名義変更後初の刊行作となる。 -
愚道一休
「立派なお坊さんになるのですよ」 母の願いを受けて、安国寺で修行する幼い千菊丸だが、禅寺は腐敗しきっていた。怠惰、折檻、嫉妬、暴力。ひたすら四書五経を学び、よい漢詩を作らんとすることをよすがとする彼の前に将軍寵臣の赤松越後守が現れ、その威光により、一気に周囲の扱いが変わっていく。しかし、赤松は帝の血をひく千菊丸を利用せんとしていることは明らかだった。 建仁寺で周建と名を改め、詩僧として五山の頂点が見えたのにも拘わらず、檄文を残して五山から飛び出して民衆の中に身を投げる。本当の救いとは、人間とは、無とは何なのか。腐敗しきった禅を憎み、己と同じく禅を究めんとする養叟と出会い、その姿に憧れと反発を同時に抱えながら、修行の道なき道をゆくのだった。己の中に流れる南朝と北朝の血、母の野望、数多の死、飢餓……風狂一休の生そのものが、愚かでひたすら美しい歴史小説の傑作。 -
闇の水脈 風雲龍虎篇
世間の知らない幕末の裏側に、ダークヒーロー「音羽一家」の活躍あり!! 「闇の水脈」シリーズついに完結。 弘化三年(一八四六)・初夏の夜。京都洛中では、密かに、倒幕と新政権樹立を図る謀略が推し進められていた。謀略の提唱者は怪人物の革命家・黒岩一徹。 その黒岩は、翌日の夜、隠れ家の洛外・岩倉において、謎の陰陽師を相手に、己れのテロリストとしての本音を存分に語るのだった。 それは、二百年以上も続いた徳川の泰平の世を覆し、この国を動乱の渦中へと導き、その果てに「万国の長」たらしめるような〈火〉の強国へと生まれ変わらせんとする野望であった。 同じ頃、大坂で起こる連続殺人事件。その背後には、抜け荷一味の元締・河内屋利兵衛の操る闇の組織の暗躍があった。河内屋一味によって無実の罪を着せられて処刑された廻船問屋・和泉屋藤兵衛の無念を晴らすため、闇の世間師・音羽一家の活躍が始まる。抜け荷のカラクリをあばこうと努めるうちに、音羽たちは、大坂の陰謀が京都の政治的謀略と一本の糸でつながっていることに気づく…… 風雲急を告げる幕末を舞台にした痛快時代小説。 -
秘密の花園
日本小説の祖・曲亭馬琴、「八犬伝」を生んだ劇的人生! 200年の時を超え、作家の本分に迫る傑作長編!! 大名の家臣の家に生まれるも何一つままならず、彷徨い続けた青年時代。放浪の末、当代一の戯作者・山東京伝の門をたたき、蔦屋重三郎の店に奉公して戯作の道に踏み出す。葛飾北斎らとの交誼を経て、馬琴はやがて江戸随一の戯作者となりおおせるのだが…… 妻は不安定、愛する息子は柔弱、『南総里見八犬伝』に着手するも板元とはトラブル続き。それでも馬琴は、武家である滝沢家再興の夢を捨てず、締切に追われながら家計簿をつけ、息子とともに庭の花園で草花を丹精する。 狷介で知られた馬琴の素顔、けなげな哀歓が鮮やかに蘇る。苦難の末、大戯作者が辿り着いた花園とは? -
月ぞ流るる
紫式部が生きた時代の豪華絢爛宮中絵巻 日本初の女性による女性のための歴史物語『栄花物語』の作者である朝児(赤染衛門)からみた宮廷はどんな姿をしていたのか? 宮中きっての和歌の名手と言われる朝児(あさこ)は夫を亡くしたばかり。五十も半ばを過ぎて夫の菩提を弔いながら余生を過ごそうとしていたが、ひょんなことから三条天皇の中宮妍子の女房として再び宮仕えをすることになる。 宮中では政権を掌握した藤原道長と、あくまで親政を目指す三条天皇との間には緊張が入っていた。道長の娘の妍子が、将来天皇となるべき男児を出産することが、二人の関係に調和をもたらす道だった。しかし、女児が生まれたことで、道長は三条天皇の排除を推し進めていくことになる。 朝児は、目の前で繰り広げられるきらびやかながらも残酷な政争に心を痛める。なぜ人は栄華を目指すのか。いま自身が目にしていることを歴史として書き記すことが自らの役目ではないのか。そこで描かれるのは歴史の勝者ばかりではない。悲しみと苦しみのなかで敗れ去った者の姿を描かねばならない。その思いの中で朝児は筆を取る。 -
道連れ彦輔 居直り道中
思ったよりもめんどうな旅になりそうだ。 素性も分からぬ美少女の道連れ(付き添い)で中山道を行く彦輔たち。 珍道中を襲う数々の難関! 敵の真の狙いとは!? 江戸の旅情あふれる傑作時代小説。 主人公・鹿角彦輔(かづのひこすけ)は遠出をする人の依頼を受けて同行する「道連れ」稼業。 江戸の役人・神宮より、目的正体不明の美少年に扮した口のきけない菊野を長崎まで連れて行く依頼を受け、相棒の藤八、扇師のかなめといった個性的な仲間を伴い、中山道を旅する。 なぜかかなめに敵意を向ける菊野の付き添い・りくや、道中からんできた怪しい渡世人(やくざ)・鬼吉と蛇の目もついてくることに・・・。次第に明らかになる驚くべき旅の目的とは。 ※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください -
高杉晋作 全3巻合本版
黒船をひきいて、一八五三年、ペルリが浦賀に来航した。開国佐幕派と勤皇攘夷派に二分された国内は混乱をきわめた。そのさなか、革新を叫ぶ吉田松陰の刑死は、松下村塾の塾生たちを動揺させた。師の志をどうしたら活かせるのか? 欧米列強の脅威におののく日本を遊歴するうち、高杉晋作は勤皇の志士として開眼していく。やがて上海へ渡って海外事情にも目覚めた長州の“鼻輪のない暴れ牛”は、松陰の志を継いで倒幕への道を歩み始めた。動乱の世を生き、奇兵隊を結成し、内外からの攻撃に遭いながらも、維新回天の偉業に尽力した若き志士高杉晋作の生涯。 -
万波を翔る
この国の岐路を、異国にゆだねてはならぬ 開国から4年、攘夷の嵐が吹き荒れるなか、幕府に外交を司る新たな部局が設けられた。実力本位で任ぜられた奉行は破格の穎才ぞろい。そこに、鼻っ柱の強い江戸っ子の若者が出仕した。 先が見えねぇものほど、面白ぇことはねぇのだ―― 安政5年(1858年)幕府は外国局を新設した。しかし、朝廷が反対する日米修好通商条約を勅許を待たず締結したため、おさまりを知らぬ攘夷熱と老獪な欧米列強の開港圧力という、かつてない内憂外患を前に、国を開く交渉では幕閣の腰が定まらない。切れ者が登庸された外国奉行も持てる力を発揮できず、薩長の不穏な動きにも翻弄されて…… お城に上がるや、前例のないお役目に東奔西走する田辺太一の成長を通して、日本の外交の曙を躍動感あふれる文章で、爽やかに描ききった傑作長編! 維新前夜、近代外交の礎を築いた幕臣たちの物語。勝海舟、水野忠徳、岩瀬忠震、小栗忠順から、渋沢栄一まで異能の幕臣たちが、海の向こうと対峙する。 2017年~18年の日経夕刊連載が、遂に単行本化! -
龍が哭く
「新潟日報」他、10紙で連載の話題作、ついに刊行! 英雄か、大戯けか――。一介の武士から長岡藩家老に抜擢され、戊辰戦争に際し武装中立をめざした男、河井継之助の生涯を描き切った感動巨編。時は幕末、未曽有の財政難に苦しむ長岡藩を救いたい一心で、河井継之助は備中松山藩の山田方谷に弟子入りを申し込む。方谷のもとで経世済民の教えを学ぶかたわら、継之助は会津藩の頭脳・秋月悌次郎や仙台藩の隠密・細谷十太夫、のちに武器商人となるエドワード・スネルらと親交を深め、やがて長岡藩において軽視できない存在になっていく。しかし大政奉還、戊辰戦争といった時代の渦に、長岡藩はいやおうなしに巻き込まれていくことになり――。司馬遼太郎が『峠』で書いたのとは違ったかたちで、一人の人間としての河井継之助を鮮やかに描き出した、著者渾身の歴史小説。 -
独眼竜政宗
伊達政宗が、青葉城(仙台城)を築いて400年を記念して発刊。秀吉、家康がもっとも恐れた東北の雄、伊達政宗の生涯を壮大なスケールで描ききった力作。瀬戸際からの逆転を可能にした速断力、お家騒動終結までの見事な統率力、そして時代の流れを読み抜く先見力……。新たな視点から、知将伊達独眼竜を紹介する。梵天丸誕生・元服独眼竜政宗・婚儀・伊達十七世・撫斬り・弔合戦・激戦人取橋・三春内訌・政宗包囲網・奥州第一・小次郎無残・死装束・奥州仕置・氏郷疑心・秀吉朱印状・愛姫手柄・須江山惨劇・移封岩出山・伊達なる政宗・秀頼、家康・朝鮮文禄の役・愛姫出産・秀次自刃・長政との義絶・百万石のお墨付き・仙台城・慶長遣欧使節・大坂の陣奮戦・余波・五郎八姫西館・雪月花・切支丹の行方・その後の政宗・心の月。 独眼竜の誕生から父母、弟との確執、秀吉とのかけひき、そして晩年まで、英雄のすべてを描く。時代小説の世界に息吹を与える名著。 -
秀吉の対外戦争 変容する語りとイメージ 前近代日朝の言説空間
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 秀吉の朝鮮攻略である"文禄・慶長の役(日本)/壬辰倭乱(韓国)"は、江戸時代から日清戦争にいたるまで、どのように日本と韓国で語り継がれてきたのか。この戦争の言説の中心となった、軍記・軍書の実態を整理・俯瞰し、史学・思想・絵画・演劇・近代小説といった多様な分野との関連・影響・展開を視野に入れ検討する。現在もなお、日韓関係に影を落とす、秀吉の戦争についての記憶の根拠を発掘していく。 -
甘蔓情話 蒼天有眼 雲ぞ見ゆ
時代小説の名手・山本一力が、 自身初となる中国の歴史を題材とした小説に挑み 話題となっている、月刊「潮」連載中の 小説『蒼天有眼──雲ぞ見ゆ』シリーズの単行本第二弾! 中国の歴史をモチーフとしたシリーズの今作は、 日本に饅頭(まんじゅう)を伝えた林浄因(りんじょういん)をめぐる物語──。 元代末期の至正五年(一三四五年)。 杭州・西湖に近い禅寺で寺男として働く林浄因は、 幼馴染の丹錘とともに日々を誠実に過ごしていた。 そんなある日、凍結した厳寒の西湖で修行のため 日本から渡来した禅師・龍山徳見と出会う。 氷の張った湖で転んだ幼い姉弟を救うその姿に 浄因は深く心を動かされる。 異国から来た僧との出会いは、 やがて林浄因の運命を大きく動かすことに。 浄因は禅師の故国帰国に従い、日本に渡ることを決意する。 元代の杭州・西湖湖畔から、室町時代・南北朝初期の奈良へ。 そこで林浄因を待っているものとは!? 海を越え、国境を越えて紡がれる、愛と哀しみの物語──。 -
ふたりの祖国
言論で日本の軍部を牽引する徳富蘇峰と、 アメリカの地から日本に警鐘を鳴らし続ける朝河貫一。 直木賞作家が透徹した「史眼」で描くアジア・太平洋戦争――。 佐藤優氏、激賞!! 国家の悪に切り込んだ感動の書 1931年、満洲事変勃発――後に戦前、戦中最大の言論人と呼ばれた徳富蘇峰は、 東條英機ら軍部と結びつき皇国主義、軍国主義の世論形成に大きな影響力を与えていた。 イェール大学教授で歴史学者の朝河貫一は、アメリカで激化する反日世論に晒されながら、 日米融和を唱え、祖国の未来に警鐘を鳴らし続けていた。 日本は満州事変から、中国との戦争が泥沼化していきアメリカとの対立も深刻化していく。 蘇峰は日本で、朝河はアメリカから言論の力で祖国のために戦い続けるが、 日米開戦は避けられない状況へと陥っていく。 1941年12月、朝河はルーズベルト大統領から昭和天皇への親書を起草し、 開戦の回避、そして和平を目指すが……そこには予想だにもしない国家の罠が仕組まれていた。 はたして天皇を、祖国を守ることはできるのか。 国家存亡の危機から祖国を守るために戦った朝河貫一と徳富蘇峰――。 真の愛国者は誰だったのか。祖国の未来を開いたのは誰だったのか。 真逆の思想をもった「ふたり」から見える真の正義とは。 戦後80年を迎え今、透徹した「史眼」で 満州事変から日米開戦を描く渾身の歴史小説。 -
走れ、若き五右衛門
遠江に生まれた虎太は母親・右(ゆう)に女手一つで育てられていた。『論語』や『孟子』、算術や刀槍の使い方まで教え込む厳しい母だった。ところが15歳のときに転機が訪れる。家の近所で戦ごっこをしていたところを人攫いに遭ってしまうのだ。同じ境涯の少年たちと西へ向かって連行されていく虎太。人攫いの男たちは京阪から来た盗賊のようだ。天竜川や木曽川の難所を越えて盗賊の本拠にたどり着くと、人買いに売られるのではなく命を懸けた訓練が始まった。どうやら盗賊に育て上げられるらしい。虎太は母・右に鍛えられた勉学や身体能力によってめきめきと頭角を現していった……。 -
赤谷戦記
残酷無比な盗賊たちの根城といわれる土地・赤谷。そこに、左胸に赤い花を咲かせる少女がいた──豪族の支配に苦しむ貧村を舞台に贈る、傑作時代小説! 2026年6月26日より、舞台「らん」として公演! 秦建日子が贈る怒涛の時代小説、開幕。 「ずっと考えておるのです。誰が正しくて、誰が悪人で、誰が勝って、だれが負けたのか」 残酷無比な盗賊たちの根城と言われる土地・赤谷。 そこに、左胸に赤い花を咲かせる少女がいた。 2026年6月26日より舞台「らん」(脚本・演出=秦建日子 http://askcoltd.com/ran-stage/)がスタート! 豪族の支配に苦しむ貧村を舞台に贈る、怒涛の時代小説、開幕。 -
グロリアソサエテ
大正十三年、宗教哲学者の柳宗悦が住む京都の家で女中奉公をはじめた少女サチ。ある日、河井寛次郎という陶芸家が柳家に来訪する。英国帰りの陶芸家・濱田庄司も同席し、男たちはすぐに意気投合した。彼らは共に小道具市を巡り、「下手物」すなわち日用の品に自由な美を見出し、それらを「民藝」と名付けた。薄汚れた古布や、埃にまみれた陶磁器に感嘆し、その美を世に提唱する三人の姿に驚かされるサチ。佳き品々に満ちた柳家での暮らしと、美を愛する人々との出会いを経て、彼女自身もやがて「民藝」に魅せられていく。百年前の京都で、新たな美「民藝」の世界を切り開いた人々の情熱と輝きの日々を描く歴史長編。 -
雷電
勝率9割6分2厘、江戸相撲最強の力士・雷電為右衛門。その雷電が唯一、二度敗れた相手がいた。相手の名は花頂山。後世に伝わる花頂山との戦績は、3勝2敗、そして二人の最後の取組となった1預り(その場で勝敗を付けず、保留とすること)。その1預りには、藩の思惑と力士の誇りがぶつかり合う、隠された物語があった――。 江戸時代の相撲は藩の威信を懸けた代理の戦。松江藩の江戸留守居役・石積多平太は、藩主・松平不昧が力を入れる相撲力士の育成に関わることに。過去のある出来事から相撲を憎む多平太だったが、松江のお抱え力士・雷電爲右衞門の圧倒的な強さを前に、徐々に相撲に魅入られていく。あるとき、雷電は、庄内藩の幕下力士、花頂山に敗北を喫し、更に次の場所でも花頂山に敗れてしまう。それは、相撲藩・松江藩にとっては、起きてはならぬ一大事であった。各藩の思惑渦巻く土俵の上で、雷電と花頂山は何を思うのか。藩の威信、そして一人の力士としての意地を懸けた、両者の最後の一番の行方は――。 -
残光そこにありて
2027年大河ドラマ『逆賊の幕臣』の主人公に決定! 幕末を生きた天才的能吏の壮絶な生涯を描く傑作。 黒船の来航により、あらゆる価値観が変化していく幕末動乱期。 日本に「関税」という概念すら存在しないこの時期に、ひとりその重要性に気付き、諸外国を驚嘆せしめた男がいた。 旗本・小栗忠順。 武士でありながら、政治・経済の才覚を持つこの男は、外国奉行や勘定奉行を歴任。 幕臣たちに忌み嫌われる「上野介」を名乗り、勝海舟や十五代慶喜と対立しながらも、 幕府財政を再建のために、国内外を奔走する。 やがて訪れる戦乱。誰もが保身に奔る中、それでも忠順は、後の世のことを諦めない。 彼を突き動かすのは旗本としての矜恃、そして何より、大切な妻との約束であった。 -
覇王の船
毛利・村上水軍600隻 VS 織田・九鬼水軍7隻!? だがそれは、信長が生み出した史上初の鉄甲船だった―― 暗躍する戦国大名の忍び、手に汗握る海賊の激闘。 両軍の最先端の武器が天下を決めた! 石山本願寺を制圧したい織田信長は兵糧攻めを成功させるため、支援する毛利軍の補給船を全滅させるよう九鬼水軍に命令を出す。 ところが、毛利軍の擁する村上水軍は最新の爆薬玉を使って、逆に九鬼水軍を蹴散らしてしまう。 信長は船が木製だから燃えると判断、鉄鋼船の建造を命ずるーー ヨーロッパの大航海時代より300年も早く、鉄鋼船を海に浮かべた織田信長と九鬼水軍の世界最先端の知恵と活躍を描く、前代未聞の歴史時代小説。 -
隠元
世の理不尽と悟り。弟子から見た高僧の実像 寺の門前に捨てられ、自らの名前以外、何も持たなかった孤児。 すべてを諦めてきた彼の目の前にあらわれたのは、 日本中の注目を集める高僧だった――。 鎖国時代に明から来日し、隠元豆、木魚、煎茶、椅子などさまざまな文物を伝えた隠元禅師。 仏教界のみならず、庶民たちの間にまで一大ムーブメントを巻き起こし、禁裏と幕府の双方から厚い帰依を受けるが、それゆえに時代の渦のなかにも巻き込まれていく。 江戸からの圧力に不満をためる公家たち。帝と、時の権力者の諍い。それの影響としてあらわれる理不尽…… 我欲にまみれた人の世で、異国の僧が日本に示した献身の理由とは。 誰もが知る高僧のとらえがたき実像を、 彼を慕う寺男・快鳳の目から描く傑作歴史長編! -
潮音
宮本文学初の大河歴史小説、堂々の開幕篇! 幕末・維新の激動に立ちむかった「富山の薬売り」たちの知恵と勇気。 人を導く、「大いなる力」とは何か? 人間を描き続けてきた宮本文学の集大成にして初の歴史小説、堂々の開幕篇。 幕末の越中富山に生まれた川上弥一は、藩を挙げての産業・売薬業に身を投じる。 やがて薩摩藩を担当する行商人となった弥一は、じょじょに薩摩藩の内情に通じてゆき、薬売りと薩摩藩をつなぐ「秘密」に気づき始める―― 黒船来航、幕府の危機を背景とした壮大な物語が、今はじまる。 第二の開国(グローバリゼーションや通貨変動)にさらされる現代日本人にとって「羅針盤」となる大長編! ※初回配本限定特典「讀む藥」は、電子書籍版には収録されておりません。ご了承のほど、お願いいたします。 -
一場の夢と消え
『曾根崎心中』『国性爺合戦』など、 数多の名作を生んだ日本史上最高のストーリーテラー・近松門左衛門。 創作に生涯を賭した感動の物語。 越前の武家に生まれた杉森信盛は浪人をして、京に上っていた。 後の大劇作家は京の都で魅力的な役者や女たちと出会い、 いつしか芸の道を歩み出すことに。 竹本義太夫や坂田藤十郎との出会いのなかで 浄瑠璃・歌舞伎に作品を提供するようになり大当たりを出すと、 「近松門左衛門」の名が次第に轟きはじめる。 その頃、大坂で世間を賑わせた心中事件が。事件に触発されて筆を走らせ、 『曽根崎心中』という題で幕の開いた舞台は、異例の大入りを見せるのだが……。 書くことの愉悦と苦悩、男女の業、家族の絆、芸能の栄枯盛衰と自らの老いと死―― 芸に生きる者たちの境地を克明に描き切った、近松小説の決定版。 絶賛、続々! 〈実〉を緻密に積み上げ、〈虚〉の世界から情を迸らせる。 読みながら、何度もぞくりとした。 本作は、虚実皮膜のギリギリを攻める近松の浄瑠璃と地続きにある。 ――平松洋子 生真面目で切なくて、色っぽい。虚と実の間に立ち昇る、 近松の真実(リアル)。圧巻の芸道小説だ。 ――朝井まかて -
太平天国戦記
19世紀中葉、清朝打倒を掲げて中国南部に蜂起、長江下流域に強勢を誇った太平天国。拝上帝教をもとに、漢民族の復興を掲げた指導者・洪秀全は、強力な軍団を組織して清朝勢力を駆逐していった。ところが南京に至り、天京と名づけて都とすると、洪秀全ら上層部は貴族的生活に染まり始める。「なぜ、一気に進撃しなかったのか?」――大陸情勢の視察を命じられた紀州藩士・蜂田十兵衛は、そんな疑問を投げかける。金ピカの宮殿や装束、不毛な権力抗争と粛清の嵐、清朝軍やゴードン将軍率いる常勝軍からの猛攻、無気力なまでに何もしない天王こと洪秀全……戦乱の只中に身を投じながら、蜂田十兵衛は絶頂から転落していく太平天国を目のあたりにする。構想・取材に7年を費やした著者渾身の長編小説。戦記として描かれているが、そこで語られるのは戦う姿勢を失った組織が自壊していく過程であり、太平天国を反面教師とする「勝つ組織」への教訓の書といえる。 -
独眼竜、翔ける
「負けませぬ。殿は、伊達は、負けませぬ」 戦国のラストヒーロー、伊達政宗見参! 敵は秀吉、破竹の勢いから突き落とされた地獄、若き竜の隻眼が見据えるものとは。 伊達史上最大の謎、政宗毒殺未遂、実弟誅殺事件の真相が、いま明らかになる。^ 奥羽の独眼竜と呼ばれた伊達政宗の原点、ここにあり―― 東北最大の合戦「摺上原の戦い」に勝利して、奥羽に覇を唱えた伊達。 いよいよ関東へ乗り出さんと意気込む若き闘将の前に、天下人豊臣秀吉が立ちふさがる。 一転、存亡の危機に瀕した政宗は、いかにこれを乗り越えるのか。 家臣との熱き絆、母との確執、弟の献身。 すべての宿命を背負い、若者よ、竜となれ。 -
光秀と秀吉の十五年軍記――秀吉が最後に対峙したのは、明智光秀の「原像」だった
★★★推薦 麗澤大学国際学部准教授 ジェイソン・モーガン 明智光秀は叛逆者どころか、ヴィジョナリーでした! 山崎の合戦で明智光秀を滅ぼした豊臣秀吉。 しかし、その後の天下統一の過程で秀吉が真に対峙したのは、 「明智光秀の原像」だった──。 光秀亡き後の歴史をたどりながら、勝者によって塗り替えられた歴史の裏側と、 従来の歴史観では見落とされてきた光秀像を浮かび上がらせる。 大胆な歴史考察により、本能寺の変を新たな視点から読み解く一冊。 ■目次 ●第一章 天正十年の巻 ・第一幕 丹後宮津城の場 幕間 宮津城の館の前 ・第二幕 三戸野の明智陣屋の場 幕間 宮津城の書院の場 ほか ●第二章 天正十一年の巻 ・第一幕 尾張・内海大御堂寺の場 ・第二幕 北の庄城天守閣の場 ほか ●第三章 天正十二年の巻 ・第一幕 三河岡崎城の場 幕間 大和群山城の場 ・第二幕 小牧長久手、秀吉本陣の場 幕間 秀吉、信雄と講和するの場 ほか ●第四章 天正十三年の巻 ・第一幕 大坂城天守閣の場 幕間 丹羽長秀の拠城の奥の間 ・第二幕 たま、宮津城に帰るの場 幕間 天正大地震の場 ほか ●第五章 天正十四年の巻 ・第一幕 大坂城、秀吉と京極高次語らいの場 幕間 丹後城宮津城、幽斎の寝所 ・第二幕 大坂細川屋敷の場 幕間 誠仁親王の死 ほか ●第六章 天正十五年の巻 ・第一幕 九州征伐の場 幕間 コエリョ、大坂城の場 ・第二幕 大坂城細川屋敷、たまの部屋 ●第七章 秀吉の為して来た事 ・第一幕 刀狩の令、海賊禁止令の巻 ・第二幕 大坂細川屋敷、座敷牢の場 幕間 聚楽第行幸の場 ほか ●あとがき ■著者 窪寺伸浩 クボデラ株式会社 代表取締役社長、東京都神棚神具事業協同組合理事長 昭和36年、東京都生まれ。東洋大学文学部哲学科卒業。 クボデラは、昭和21年、創業の老舗木材問屋。 台湾、中国等からの社寺用材の特殊材の輸入卸を行う。 東京証券取引所TOKYO PRO Market上場。東京都神社庁御用達。 一方で、神棚マイスターとして神棚の存在意義を普及する活動を行い、 社寺用材の納入、神棚セットの販売などを行うほか、 企業の朝礼で神棚の祀り方などをアドバイスしている。 子ども向けの神棚ワークショップなどを有名神社で行っている。 著書に『光秀に成り損ねた男たち』『明智光秀の原像』 『なぜ、成功する人は神棚とご先祖様を拝むのか?』(以上あさ出版)、 『すごい神棚 見えない力を味方にして成功する方法』(宝島社)、 『大天狗が教えてくれた本当のスピのこと』(かざひの文庫)などがある。 -
家康と七人の忍び
織田信長の死後5日間に、何があったのか? 徳川家康を守るべく暗躍する異能の伊賀者たちを描く歴史エンタメ巨編 司馬遼太郎賞受賞作『ナポレオン』などでヨーロッパにおける数多の戦いを描いてきた著者が、「戦国時代最大の謎」に迫る。 織田信長、死す。突如として明智光秀らに追われる身となった、信長の盟友を襲う数々の危難――。襲撃者は甲賀者か。彼らを雇うのは光秀なのか、それとも……。家康らの決死の逃避行を描く、血湧き肉躍る歴史アクション! 直木三十五賞など受賞の実力派作家が、諸説紛々の「本能寺の変」と家康「伊賀越え」ルートの謎に迫った、読売新聞オンライン好評連載待望の書籍化。 【目次】 一、変の巻 二、転の巻 三、越の巻 -
「最後の幕臣」小栗忠順 挫けども、折れず
2027年 NHK大河ドラマ化決定で再注目!! 小栗忠順の生涯を圧倒的なボリュームで迫った渾身の小説が待望の登場! 小栗といえば、幕末の動乱期に江戸幕府の勘定奉行や外国奉行などを歴任した、極めて有能な幕臣です。文政10年(1827)に旗本の家に生まれ、万延元年(1860)の遣米使節として渡米。海軍工廠を見学し、ネジを一つ持ち帰ったエピソードに象徴される通り、欧米の産業技術にいち早く触れたことで、幕臣でありながら産業の近代化に着手するなど、いち早く日本の西洋文明の導入に積極的な人物として知られている。 その小栗の軸にあったのは、「刀(武士道)と螺子(西洋文明)」の邂逅により、新たな日本を築こうというビジョンであった。 その行動力たるや、ロシア軍艦対馬占拠事件に対処する一方、幕府の財政再建や株式会社組織の基礎となる「兵庫商社」の設立など、その先見性は非常に高かった。 だが、幕府崩壊が近づく中、徹底抗戦を主張し、徳川慶喜に軍事的な反撃を具申しましたが容れられず、辞職して現在の高崎市倉渕に隠棲した矢先、悲劇が襲います。 この文武両道を貫いた「最後の幕臣」の生涯を、活劇を描かせたら一級品の作家が、350ページにわたって描き切る最高傑作が遂に誕生!! -
救国の君主 真・昭和天皇論
戦後80年の終わりを締めくくる1冊! 昭和天皇はどのようにして日本を救ったのか 本書は、「昭和天皇は立憲君主である」という大前提のもと、憲政史家・皇室史研究者・倉山満氏が全19巻・一万二千ページに及ぶ『昭和天皇実録』を読み解き、書き上げた一冊。 昭和天皇がどのように戦前・戦中を通して日本国のために熟慮し行動したかを、当時の政治家、軍人、官僚の人物像、思想、行動に加え、内閣や軍部の構造を、著者独自の視点と膨大な歴史史料の解析から時系列に沿って紐解いたものです。 昭和3年「張作霖爆殺事件」から昭和20年「大東亜戦争」終結、最後の御聖断まで、日本の動乱期における「昭和天皇」の偉業・功績そして苦悩を改めて明らかにしました。偏った認識の元に繰り広げられてきた東京裁判史観にトドメを刺す、いまこそ知ってほしい真の昭和天皇論です。戦後80年の最後を締めくくるにふさわしい必読の書です。 -
秀吉の血筋
天下人・秀吉の子が辿った 栄光と悲劇の生涯! 御次秀勝 小吉秀勝 豊臣秀次 宇喜多秀家 豊臣秀頼 備前の戦国大名の嫡子として生まれ、わずか九歳で家督を継ぎ、豊臣秀吉に庇護され大名として成長した宇喜多秀家。 幼少期から武勇に優れた秀家は、加賀前田家の娘・豪姫を娶り、豊臣政権の中枢に組み込まれていく。 秀吉の死後、「五大老」の一角にまで上りつめるが、関ヶ原の戦いで石田三成らと西軍に参陣、運命は反転して――(「第四話 宇喜多秀家」)そのほか、 於次秀勝、小吉秀勝、関白秀次、そして豊臣秀頼ら、秀吉の子どもたちの葛藤と失意、栄光と没落の生涯を描く渾身の歴史巨編! -
南洋のエレアル
太平洋戦争さなかの昭和17年。日本統治下のパラオ・コロール島。小学校教員である宮口恒昭の長男・智也はある事件をきっかけに、パラオ人少年のシゲルと親友となった。だが、父の転勤で智也も隣島へ転校することに。二年が過ぎ偶然再会したふたりは喜び合うが、戦争の冷たく暗い影は、この長閑な南の島々にも迫っていた――。時は流れ、昭和63年末。パラオ共和国独立準備で訪日したシゲルは、天皇の容体悪化が報じられる中、戦後すぐ消息が途絶えた宮口家の人々を捜しはじめるのだが……。日本人とパラオ人の歴史と心の交流、戦争の悲惨さ、そして日本人の未来(エレアル)を問う、感動長篇。 -
小説伊勢物語 業平
千年読み継がれてきた歌物語の沃野に分け入り、美麗な要望と色好みで知られる在原業平の生涯を日本で初めて小説化。現代語訳ではなく小説に紡ぐことで、日本の美の源流が立ち現れた。これは文学史的な事件である! 歌物語の不朽の名作にして、「恋の教科書」ともいわれることもある「伊勢物語」。その主人公とされる在原業平の一代記を「伊勢」の百二十五章段の和歌を物語の中に据えて大胆に周到に小説化。やまとことばに注目の集まった令和改元をはさみ日経新聞夕刊に連載された本作は、平安時代の古典に、千年かけて培われてきた日本人の情感、美意識を現代小説として吹き込み、活き活きとよみがえらせた傑作長編。連載時に小説に平安の都の風を吹き込んだ大野俊明氏の挿絵もカラーで16点収録。この作品を読んでから「伊勢物語」を読めば平安の「みやび」を五感で味わうことができるだろう 【著者「あとがき」より抜粋】 古典との関わり方として、私は現代語訳ではなく小説化で人物を蘇らせたいと思ってきました。千年昔には身体感覚において、どこかが違う人間が生きていて、私たちは、現代にも通じる部分においてのみ、かの時代の人間を理解しているのではないか。この疑問は、書くことに矛盾をもたらし、文体を模索させました。平安の雅を可能なかぎり取り込み、歌を小説の中に据えていくために編み出したのが、この文体です。味わい読んでいただければ、在原業平という男の色香や、日本の美が確立した時代の風が、御身に染みこんでいくものと信じます。 -
天領の鷹
俺は蝦夷へ行く。 飛騨にも負けん、この檜のような木が、 まさに山とある大陸じゃ――。 故郷の山を失った若き杣は、北の大地に光を見出す。 『まいまいつぶろ』の著者が清新な筆致で紡ぐ、 実在の材木商「飛騨屋」四代、百年の物語。 木を伐れば、同じだけ苗を植える。 杣の稼ぎはすべて、山からの授かりもの――。 武川久兵衛は、若くも腕利きの杣(木こり)。飛騨国下呂で豊かな木々に囲まれ生きていた。だが突如として、飛騨の山は幕府に召し上げられ、天領とされてしまう。自由に木を伐ることができなくなった久兵衛は江戸へ向かった。深川の材木商で働き才覚を認められると、蝦夷へ渡り「飛騨屋」を興す。故郷から仲間を呼び寄せ、厳しい自然に立ち向かう久兵衛。夷仁たちの信も得て、広大な森を伐り拓いていく――。 妻と支え合い、夢を追った「飛騨屋」の主たちの生涯を描く感動作! -
どら蔵
騙し騙され、 知恵と欲の 丁々発止の果て 手にする物は? 天保の世。大坂の道具商の放蕩息子・「どら蔵」こと寅蔵(とらぞう)は、なまじ目利き自慢であるのが運の尽き、奉公先に大損害を与えてしまい、大坂にいられなくなりました。旅に出て辿り着きたるは、知恵と欲が渦巻く江戸の骨董商の世界。手練れたちに揉まれながらも大奮闘! できればよいのですが。そううまくは運ばないのが世の常、人の常。お宝を巡って時に騙され、時に勝負をかけ、時々情に流され――。丁々発止の果て、どらちゃんは「真物(ほんもの)」の目利きになれるのか? 魅力的なお宝そして登場人物(キャラクター)がてんこ盛り! 読み終えるのがもったいなくなるエンターテインメント時代小説! -
川は流れる
人の生きる意味を問う。著者畢生の歴史大作。 日本革命前夜- 時は幕末。北関東の清流、那珂川が流れる黒羽藩で、青年下士・板倉誠之介は育まれた。彼の養父、主水丞は百姓一揆に同調したことで、一家は厳しい生活を余儀なくされているが、誠之介の心には、民を思い、信念をもって立ち向かう侍への憧れが宿っていく。 藩は他藩から新たな藩主を迎えることを決め、不正を働く家老の権力に対する憤りが、家臣たちの間で藩政改革の波を呼び起こす。城代の息子、浄法寺高俊との激しい対立、さらには幼なじみの加代との淡い出会い、そして養父の不審な死が重なりながら、誠之介は幕府が終わる時代の流れに対峙する。 彼の目指す道は、ただの武士としてではなく、民のために生きること。その熱い志を胸に、安穏なる日々を超えて、ただ鮮烈に生きていく。 北関東の豊かな四季を芳醇な日本語で綴りながら、人の生きる意味を問う、著者畢生の書。 -
万葉集 全訳注原文付 全4冊合本版
【新元号『令和』の典拠となった、梅花の歌三十二首の序文を収録】『万葉集』は日本人の心の古典であり、貴族から庶民に至る各階層が、見事に謳いあげた、世界に比類なき民族詩の金字塔である。いま、その万葉を、原典との照応が一目理解できるよう、原文、読み下し文、全訳、語注をそろえ、万葉学の第一人者である中西進博士がその蘊蓄を傾けて贈る。全4巻をまとめた合本版。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 -
夏鶯
鳳になって大空を羽ばたかんと岡山城へ出仕した若き吉備藩士・滝田蓮三郎。しかし故あって17歳で永蟄居の身となり故郷の金谷に戻される。それでも蓮三郎は心のどこかでじきに恩赦が出て、再び羽ばたく時が来ると信じていたが、無情にも歳月は流れ、次第に世から忘れ去られていく。屋敷の離れで暮らし、大兀僧と揶揄されながらも菜園作りに精を出し、文武両道の塾を開き、身分を問わず金谷の人々に学問、医学、剣術を教えていた。そんな蓮三郎に15年ぶりに再出仕が許される。しかし、その使命はあまりに惨い朝命であった。 史実「神戸事件」をもとに、知られざるラストサムライを描いた幕末時代小説。 【著者略歴】 赤神諒(あかがみ・りょう) 1972年、京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。私立大学教授、博士(法学)、弁護士。2017年「義と愛と」(のち「大友二階崩れ」に改題)で第9回日経小説大賞を受賞しデビュー。他の著書に『大友の聖将』『大友落月記』『計策師 甲駿相三国同盟異聞』『太陽の門』『仁王の本願』『はぐれ鴉』(第25回大藪春彦賞受賞)『佐渡絢爛』(第13回日本歴史時代作家協会作品賞受賞)『碧血の碑』『我、演ず』ほか。 -
安倍宗任伝 前九年・後三年合戦
北に生きる者たちの 誇りを賭けた戦い! 朝廷・源氏軍に抗う安倍一族の命運は!? 陸奥の英雄、激動の生涯を描く大河巨編!! 作家デビュー25周年記念作品 我らは滅ぶとも、守るべきものがある! 平安中期、陸奥国奥六郡(現在の岩手県)を治める豪族・安倍氏は、幾度も戦を仕掛ける朝廷軍を、 一族の長・安倍頼良(よりよし)、若き勇将の貞任(さだとう)・宗任(むねとう)兄弟らの奮闘により幾度も退けてきた。 しかし、親王の密偵・木幡橿几の策略と鎮守府将軍・源頼義・義家親子が率いる朝廷軍に圧倒され、滅亡の危機に追い込まれる。 そこで宗任が繰り出した驚くべき秘策とは…… 朝廷軍と安倍軍が死闘を繰り広げる前九年合戦、その後陸奥の治政を任された清原氏の内紛に義家の軍が介入、 奥州藤原氏誕生のきっかけとなる後三年合戦を、宗任の流転の生涯とともに描く大河巨編。 〈目次〉 第一部 前九年合戦 第一章 鬼切部(おにきりべ)の戦い 第二章 阿久利川(あくとがわ)事件 第三章 黄海(きのみ)の戦い 第四章 小松柵の戦い 第五章 鳥海柵 第六章 厨川 第二部 後三年合戦 第七章 虜囚 第八章 陸奥へ 第九章 最後の戦 終章 大宮人は如何がいふらむ -
恋する女帝
奈良の都、最大の醜聞 女帝×「日本三悪人」道鏡――許されぬ恋の真相は? 天平文化華やかなりし世に即位する孝謙天皇(のちに称徳天皇として重祚)は、「奈良の大仏」造立で知られる父・聖武天皇の後継者として、21歳で史上唯一の女性皇太子となった。皇位継承後、近臣・藤原仲麻呂に支えられ治世は安定しているかと思われたが……。 平城京が騒然とした皇室スキャンダルと、天智天皇以降の皇統の謎を解き明かす、中山義秀文学賞受賞第一作。 「女帝はみな、わが腹を痛めた子への橋渡しとして、帝の役目を果たしてきた。しかし、朕は違う。朕は朕のために玉座につく。この国で初めておのれのための女帝となる」(本文より) 【目次】 序章 神託 一章 うるわしの姫天皇 二章 弓削から来た禅師 三章 奴を王と呼ぶとも 四章 大枝の里の刺客ども 五章 東の国の空の下 -
夏の奥津城
……会津地方の或る旧家の壊滅…… たまたま地方の一旧家に生れて、年ふるままに人となり、しまいには天の定め、その命を召しあげ、遺された者ら、只ひたぶるに祈る。さて、祈る者びとも、かわるがわる、とき到りて同じ定めに就き、今度は逆に祈られる。一人また一人と、生れては死ぬ。死ぬとわかっていながら、生れてみれば嬉しいことも、辛いこともあろう。それもこれもが、いずれ等しく、ひとときの光芒放つ間もはかなく、果ては闇に消えゆくものの。かつてさんざめいた日々の生活、古い家屋敷、周囲をとり巻く山に川に、野に畑に、昔の俤すでに無く、ただ言葉だけがむなしく宙へ舞う。祈るべし、命あるかぎり祈るべし。神々の、この世に在りし証を温めながら祈る。 【目次】 【第1部・夏の奥津城】 (序)兄弟/籠る日々/雷( いかづち) /病を得て/大寒の朝/奥津城/渦/天壌無窮/ 招魂/神々の集い/(跋)祈り 【第2部・譚草拾遺】 愚神祭/蘇生/独身/ジェイムズ・ジョイスへの旅路/イタリア叙事喜劇 -
「大河の剣」シリーズ【全7冊合本版】
川越の寺尾村の名主の長男・山本大河は、村の者が呆れるほどのやんちゃ坊主ぶりを発揮していた。あまりの無法行為に手をやく父・甚三郎は、大河を勝光寺の和尚に預け、性根を叩き直すことを決めた。だが、大河の性根は直るどころか、やがて強い意志となって表れてきた。「剣で強くなりたい」との想いは、武者修行途中の剣士・高柳との出会いによって、大河の運命を大きく変えていく──。時代の激流のなか、名だたる剣士たちと刃を交え、強さを求めていく大河の運命は? 気鋭の著者による、剣豪小説シリーズ! ※本電子書籍は「大河の剣」シリーズ全7冊を収録しています。【収録作品】『大河の剣(一)』『大河の剣(二)』『大河の剣(三)』『大河の剣(四)』『大河の剣(五)』『大河の剣(六)』『大河の剣(七)』 -
黒い肌のサムライ 信長との短き日々
ヤスフェが見る空はいつも暗かった。 イエズス会の巡察師・ヴァリニャーノ付きの奴隷として来日したヤスフェは己を殺し、身を小さくして生きていた。織田信長に弥助という名とともに召し抱えられ、奴隷から小姓となっても。周囲の嫉妬や好奇の視線にさらされ、孤独は癒されることはない。それどころか、弥助は、狂気ともいえる行動を続ける主君へ、恐怖と疑念しか抱くことができなかった。 だが、森乱丸が止めるのも聞かずに、まっすぐに疑問をぶつけるうちに、信長の本質、胸中にある苦悩を知る。生まれて初めて芽生えたのは、「仕える気持ち」――それは奴隷時代に感じていた服従ではない。少しずつ人間としての心を取り戻し、信長に共感すら覚えるようになったのだ。信長もまた、彼の純真さに打たれ、本心を明かすようになる。 弥助は、日本の空がどこまでも青く美しく感じた。 「ウエサマ、いっしょに世界を見ましょう」 【著者プロフィール】 吉川永青(よしかわ・ながはる) 一九六八年、東京都生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。二〇一〇年「我が糸は誰を操る」で第五回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞。改題した『戯史三國志 我が糸は誰を操る』で翌年デビュー。一六年『闘鬼 斎藤一』で第四回野村胡堂文学賞、二二年『高く翔べ 快商・紀伊國屋文左衛門』で第一一回日本歴史時代作家協会賞(作品賞)を受賞。著書に『誉れの赤』『治部の礎』『裏関ヶ原』『ぜにざむらい』『乱世を看取った男 山名豊国』『家康が最も恐れた男たち』『戦国・江戸ポンコツ列伝』『華の蔦重』など多数。