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紫式部が生きた時代の豪華絢爛宮中絵巻
日本初の女性による女性のための歴史物語『栄花物語』の作者である朝児(赤染衛門)からみた宮廷はどんな姿をしていたのか?
宮中きっての和歌の名手と言われる朝児(あさこ)は夫を亡くしたばかり。五十も半ばを過ぎて夫の菩提を弔いながら余生を過ごそうとしていたが、ひょんなことから三条天皇の中宮妍子の女房として再び宮仕えをすることになる。
宮中では政権を掌握した藤原道長と、あくまで親政を目指す三条天皇との間には緊張が入っていた。道長の娘の妍子が、将来天皇となるべき男児を出産することが、二人の関係に調和をもたらす道だった。しかし、女児が生まれたことで、道長は三条天皇の排除を推し進めていくことになる。
朝児は、目の前で繰り広げられるきらびやかながらも残酷な政争に心を痛める。なぜ人は栄華を目指すのか。いま自身が目にしていることを歴史として書き記すことが自らの役目ではないのか。そこで描かれるのは歴史の勝者ばかりではない。悲しみと苦しみのなかで敗れ去った者の姿を描かねばならない。その思いの中で朝児は筆を取る。
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Posted by ブクログ
澤田氏らしい美しい物語だった。12月にして今年のベスト本。これは、朝児と頼賢、三条天皇と姸子の4人物語。
序盤は朝児と頼賢師弟の信頼関係の醸成を楽しみつつも、頼賢の養母の原子の死の謎に迫っていく、静かな嵐の気配を感じさせられる展開。ただ後半早めに死の真相は判明し、そこからは一転三条天皇と姸子の物語に移行していく。月が満ちるように栄華を極める道長に対し、国のトップでありながら道長に両手両足を縛られ、実際に耳目も機能しなくなる天皇。そしてその対立のもとで天皇を慕いながらも政敵の子として愛情を向けてもらえない姸子。
ここに頼賢と原子を絡め、三条天皇が何故ここまで苦しみながらも譲位しないかに解を与えていく。かつて自身が犯した罪を自らが苦しむことで償う、譲位して解放されることこそが罪だと。
そしてラストシーン。百人一首で有名な「心にも〜」とそれに対する姸子の変化。前者は天皇のままならぬ苦しみへの叫びと解釈するのが通説だが、本作では姸子への愛情と受け取れる。「いつかはこの月も恋しくなるだろう」ではなく、「生きながらえたおかげであなたと月が見れた」と。歌が苦手な姸子がすぐに返歌を送るのも良い。そのへ返歌も朝児がかつて頼賢とその父を重ねて思い返した歌で、別の解釈であることも素晴らしく、澤田氏の和歌への造詣の深さに感嘆するばかり。
さらに、上記出来事が朝児の栄花物語への思い、史書でも物語でもないかな文字の歴史書の意義、読んだ人が怒ったり悲しんだりすることで少しでも現実のモヤモヤから解放されることを願う気持ちの決心に帰着する展開は、賞賛の他に言葉が見つからない。
Posted by ブクログ
人はとかく、目を惹くものばかりを信じがちである…人目にはつかねど内心で案じている者は幾人もいる…p.336
順調でなかったり不幸だったりどん底では辛く悲しく孤独に陥ったりしたこともあり、そんなこともあったときには静か〜
に寄り添ってくれる優しさもあったなと…この本を読み終え改めて思い心温もる。
頼賢の生い立ちには辛いこと悲しいことが多々あったけど、受けた優しさは心に染み込んでいいて、朝児との出会いが転機となり難ありながらも良い方へ成長していくののが微笑ましく嬉しく読み進めました。
この物語の三条天皇の妃達の心内は平安時代の姫で卑しくないのがよかった。
Posted by ブクログ
許される限り、この世のありとあらゆる物をこの目で見ておきたい。
そしてそれを書き記して世の人々に知らせたい、という「物書きの業」
人々はどのような読み方をしてくれるのか、密かに込めた真意を汲み取ってくれるだろうか?
紫式部が、清少納言が、そして赤染衛門が抱いたそんな思いを、作者も胸に抱いているに違いない。
『栄花物語』を著した、赤染衛門の物語。
憎しみに身を焦がし、復讐だけを生きる糧とする乱暴な若き僧だった頼賢(らいけん)の成長と、
夫・大江匡衡(おおえのまさひら)亡き後、叡山の高僧・慶円に請われるまま、訳ありの頼賢を学問の弟子とした朝児(あさこ)こと赤染衛門が、権謀術数渦巻く宮城の歴史を見たままに書き留めようと決意するまで。
世は、藤原道長vs三条天皇。どちらに着けば己の身が安泰か、朝堂は二つに割れている。
平安絵巻はきらびやかな地獄絵図である。
有明/上弦/十日夜(とおかんや)/小望月(こもちづき)/十六夜(いざよい)/暁月(あかつき)
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