火定

火定

1,699円 (税込)

8pt

パンデミックによって浮かび上がる、人間の光と闇。これほどの絶望に、人は立ち向かえるのか。時は天平、若き官人である蜂田名代は、光明皇后の兄・藤原四子(武智麻呂、房前、宇合、麻呂)によって設立された施薬院の仕事に嫌気が差していた。ある日、同輩に連れられて出かけた新羅到来物の市で、房前の家令・猪名部諸男に出会う。施薬院への悪態をつき、医師への憎しみをあらわにする諸男に対して反感を持つ名代だったが、高熱に倒れた遣新羅使の男の面倒をみると連れ帰った行為に興味も抱く。そんな中、施薬院では、ひどい高熱が数日続いたあと、突如熱が下がるという不思議な病が次々と発生。医師である綱手は首をかしげるが、施薬院から早く逃げ出したい名代は気にも留めない。だが、それこそが都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせた、“疫神”豌豆瘡(天然痘)の前兆だったのだ。病の蔓延を食い止めようとする医師たちと、偽りの神を祀り上げて混乱に乗じる者たち――。疫病の流行、政治・医療不信、偽神による詐欺……絶望的な状況で露わになる人間の「業」を圧倒的筆力で描き切った歴史長編。

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火定 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2021年12月13日

    今のコロナ禍を予知していたかのような小説。人は自分が理解できないものを恐れ、見えない敵を作り暴走する。作中の人名や役職など、最初は読み方が難しく戸惑うが、慣れてくると先が気になり、あっという間に読み進められた。病状や死骸の描写はかなりエグい表現だが、解説を読んで少し理解できたように思う。別の作品も読...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年10月14日

    奈良の平城京で起こったパンデミックの物語。
    新羅から帰ってきた使節の一人が発熱した。その後、亰では次々と病に倒れる者が続出する。発熱し、数日経つと一時的に熱が下がる。治ったかと思いきや、全身に豆粒のような発疹に覆われるのだった。
    本作は蜂田名代(はちだのなしろ)と猪名部諸男(いなべのもろお)という二...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年02月12日

    天然痘が猛威をふるい、多くの人々が病に伏し、亡くなっていく。なのに、治療法が見つからない。そのような状況下、寧楽の都はパニックに陥っていく。

    そして、偽りの神を信じた人々が、そそのかされ、略奪し、外国人の命を奪っていく。

    でも、そのような中にあっても、理性を失わず、医者として人のために尽くす綱手...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年05月13日

    友人に「絶対に好きだと思う」とオススメされた本。

    めちゃくちゃおもしろかった!
     
    天平の時代
    栄華を極めた藤原四兄弟をもおののかせ、
    都の京都をはじめ、日本国中を揺るがせた天然痘
    その病と闘った医師、
    疫病の恐ろしさから混乱する人々
    さらにその恐怖に乗じて国内を騒がそうとする人々

    死に至る病に...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年04月03日

    奈良時代に猛威をふるった疫病とたたかう医師ら。
    重すぎて読みにくいかと思ったけれど、力強い筆致に引き込まれ、感動しました。

    聖武天皇の御世。
    都の施薬院に勤める名代(なしろ)は、病人の世話に飽き、出世の可能性がないことを嘆いていました。
    上司の綱手は治療に打ち込む良心的な医師ですが、思わぬ疫病がは...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年12月06日

    描写がグロテスクで、読み進めるのがきついと感じるほど。ただ、コロナ後の今なら、これは少しも大袈裟ではないのだと、残念ながら思えてしまう。
    病気も悲惨だが、人の世界そのものが醜悪で、それでもそこで生きていく、生きていかなければならない、その姿が、きれいごとではなく描かれていた。この作品の舞台は奈良時代...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年11月02日

    面白くあっという間に読み終わりました。登場人物は人間味に溢れ、時に道に迷いながら感染症と戦う。最後まで飽きずに読めました。

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    Posted by ブクログ 2023年05月18日

    現代の医療は昔と比べて素晴らしく進歩しているが、感染症にたいする恐怖は今も昔も同じ。目に見えない敵に為す術もない

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    Posted by ブクログ 2022年08月08日

    頼れない国
    感染病、パンデミックに対する藤原時代の官民の動き。現代と変わらず、国を司る医事薬事等は病人から退避、健闘するのは庶民の医者と看護する下働き者だけ。現代で風で言うならば国から補助金をもらっている医療機関はほんの一部が治療するだけで、国民が頼れるのは民間の医者と看護婦だけだ。さらに最終的な感...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年05月08日

    奈良時代におこった天然痘のパンデミックを背景に、人の哀しい性や医療従事者の葛藤などを描いた作品。自分だけは助かろうと自己中心的になる人、混乱に乗じて一儲けしようとする人、デマや噂に翻弄されて理性を失う人など、色々な人が登場する。世界的なコロナ禍のいま読むと、似たような出来事が思い当ってリアルに思える...続きを読む

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