火定

火定

小説・文芸
1,899円 (税込)

9pt

開催中のキャンペーン

パンデミックによって浮かび上がる、人間の光と闇。これほどの絶望に、人は立ち向かえるのか。時は天平、若き官人である蜂田名代は、光明皇后の兄・藤原四子(武智麻呂、房前、宇合、麻呂)によって設立された施薬院の仕事に嫌気が差していた。ある日、同輩に連れられて出かけた新羅到来物の市で、房前の家令・猪名部諸男に出会う。施薬院への悪態をつき、医師への憎しみをあらわにする諸男に対して反感を持つ名代だったが、高熱に倒れた遣新羅使の男の面倒をみると連れ帰った行為に興味も抱く。そんな中、施薬院では、ひどい高熱が数日続いたあと、突如熱が下がるという不思議な病が次々と発生。医師である綱手は首をかしげるが、施薬院から早く逃げ出したい名代は気にも留めない。だが、それこそが都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせた、“疫神”豌豆瘡(天然痘)の前兆だったのだ。病の蔓延を食い止めようとする医師たちと、偽りの神を祀り上げて混乱に乗じる者たち――。疫病の流行、政治・医療不信、偽神による詐欺……絶望的な状況で露わになる人間の「業」を圧倒的筆力で描き切った歴史長編。

詳しい情報を見る

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

火定 のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    厚い…重そう….読めるかな…
    が第一印象。
    でも、読み始めたら止まらなくなりました。
    コロナを経験した時代に読むと、すごく、すごく、重く、深く感じることがありますね。

    「人間、死ねばそれまでだ、と思っていた。だからこそ、せめて生きているうちに、自分たちは何か為すべきことを見つけねばならぬのだと考えていた。しかしながら病に侵され、無惨な死に遂げた人々の記憶は、後の世に語り継がれ、やがてまた別の人々の命を救う。ならば死とは、ただの終わりではない。むしろ死があればこそなお、この世の人々は次なる生を得るのではないか。」

    「ようやく分かった。医者とは、病を癒し、ただ死の淵から引き戻すだけの仕事ではない。病人の死に意味を与え、彼らの苦しみを、無念を、後の世まで語り継ぐために、彼らは存在するのだ。」

    すごくないですか…?

    0
    2025年12月24日

    Posted by ブクログ

    面白かった。
    コロナ終息後に読んだので、余計に今の現代と重なるところを感じた。
    疫病が蔓延して救いを求めるのに、札にすがり、いわれなき原因をつくり責め立てる。

    人はみないずれ死に、土に還る。
    どれだけ悶えてもあと百年もすれば、それを知る人もいなくなる。
    今、この時を必死に生きる。

    やりきれなさから、人を恨んだり間違ったことをしてしまうこともあるが、人の為に尽くせることってすごいなと思った。

    0
    2025年06月28日

    Posted by ブクログ

    時は天平9年、藤原光明子によって設立された施薬院で働く名代(なしろ)は、有能だがきつい上司の広道に辟易し、頑張っても庶民の相手ばかりで出世の道のない職場に嫌気がさしていた。そんな中、新羅から戻った帰国団員に発熱が見られ、次第に京の町は裳瘡(天然痘)による地獄絵図の様相を呈すようになる。病魔が蔓延る都ではあやしいお札や宗教、異国のものの排斥など様々な思惑が織り交ざり、出世という観念からしか考えられていなかった名代の気持ちも人々(施薬院で孤軍奮闘する綱手(民間の医者で出世しない)、まじめな役人の真公、出所不明だが仕事のできる謎の女性絹代、医師の家系ではないが実力で従医になったが謀られて罪人となり囚人生活で底辺を味わった諸男(恩赦で牢を出て、獄中での知的行動により藤原房前家に使える)と獄中で知り合った宇須、虫麻呂。施薬院の隣にある悲田院の子どもたちとそれを見守る隆英。)と関わりながら変化していく。
    名代と諸男の二人が天然痘の悲惨な状況下で心境を変化させていくところ、天然痘が収まっていくまでの人々の頑張りや思い、治療法の判明していく様など、様々な角度から読みごたえがあって面白かった。個人的に難しい言葉の使い方や話の構成などが好みなので★5ですが、合わない人は多いかも。
    難しいので高校生くらいから。死骸の表現がかなりグロテスクなので、知的に大丈夫でも中学生以上がいいと思います。

    0
    2024年10月21日

    Posted by ブクログ

    今のコロナ禍を予知していたかのような小説。人は自分が理解できないものを恐れ、見えない敵を作り暴走する。作中の人名や役職など、最初は読み方が難しく戸惑うが、慣れてくると先が気になり、あっという間に読み進められた。病状や死骸の描写はかなりエグい表現だが、解説を読んで少し理解できたように思う。別の作品も読んでみたい。

    0
    2021年12月13日

    Posted by ブクログ

    奈良の平城京で起こったパンデミックの物語。
    新羅から帰ってきた使節の一人が発熱した。その後、亰では次々と病に倒れる者が続出する。発熱し、数日経つと一時的に熱が下がる。治ったかと思いきや、全身に豆粒のような発疹に覆われるのだった。
    本作は蜂田名代(はちだのなしろ)と猪名部諸男(いなべのもろお)という二人の人物の視点で物語が進んでゆく。

    名代は役人になれたものの施薬院勤務を命じられて不満を抱えている。諸男は宮廷で薬の調合の仕事をしていたが無実の罪を被せられ、この世の全てを恨んでいる。
    屈託を抱えた二人の前に、裳瘡(天然痘)という恐ろしい病が現れた。
    施薬院にいる名代は、裳瘡で苦しむ民を少しでも救おうと奮闘する人たちと、内心反発を抱きながらも共に戦う。諸男は、獄中で知り合った者達と怪しげなまじない札を売り始める。

    1980年にやっと根絶宣言がされた天然痘。その猛威は身体だけでなく心までも蝕む。熱や発疹に苦しみながら死んでゆく人、まれに助かったとしても、発疹の痕が残り絶望する人。病の恐ろしさに詐欺まがいのものを信じる人、デマに踊らされ暴徒化する人。そんな人間の醜さを、名代と諸男二人の視点から残酷なほどに描かれている。

    本作ではとにかく人が死に、遺体が腐る。その描写も容赦なくされている。グロと言ってしまえばそれまでだが、少し前まで元気に過ごしていた人たちが、病であっという間に命を奪われ、腐った骸となって蝿がたかる様は人の命はなんと儚いものなのかと泣けた。

    これは千年以上前の天平時代の物語である。現代は医療技術やその他いろいろな技術発展により、当時より生活はかなり良くなったけど、人間の根源は基本的にあまり変わっていないと思う。
    感染症に脅かされている今だからこそ読んでおきたい一冊。

    0
    2021年10月14日

    Posted by ブクログ

    天然痘が猛威をふるい、多くの人々が病に伏し、亡くなっていく。なのに、治療法が見つからない。そのような状況下、寧楽の都はパニックに陥っていく。

    そして、偽りの神を信じた人々が、そそのかされ、略奪し、外国人の命を奪っていく。

    でも、そのような中にあっても、理性を失わず、医者として人のために尽くす綱手の生き方、考え方に深い感動を覚える。

    本の最後に書かれていた「彼岸よりの慈雨」という言葉が心に残っています。

    この本で描写されていたことは、「神も仏もいるものか」って思っても仕方のないような状況。
    でも、「彼岸よりの慈雨ではあるまいか」と主人公が呟いたように、慈しむ神は確かにいるのだと、この本を読み終わって、思います。

    0
    2021年02月12日

    Posted by ブクログ

    友人に「絶対に好きだと思う」とオススメされた本。

    めちゃくちゃおもしろかった!
     
    天平の時代
    栄華を極めた藤原四兄弟をもおののかせ、
    都の京都をはじめ、日本国中を揺るがせた天然痘
    その病と闘った医師、
    疫病の恐ろしさから混乱する人々
    さらにその恐怖に乗じて国内を騒がそうとする人々

    死に至る病に対面した時、不条理な死に取りつかれた時、愛する人を成すすべもなく奪われた時、人はその死に何を思うのか?そして病気から救えなかった人々への医師たちの葛藤と思い…

    コロナ禍で混乱する現代にも通じる作品
    今だからこそ読みたい作品!!

    天然痘を恐れ隠遁生活を送る比羅夫の
    「お気を付けくだされよ。疫病の流行は時に、人の身体ばかりか心まで蝕みまする。」
    という言葉が胸に刺さる!
    今も昔も人は変わらんの~。

    と、ここまで書いておいてなんだけど
    内容はかなりヘビーかと思うかもしれませんが
    著者の澤田さんの文章がものすごく上手くて、かなり悲惨な状況でも、まるで絵巻物を見ているような、残酷な美しさのような、それでいてきらめきのような光を感じる作品でした。

    すごい作家さんだ~!

    0
    2020年05月13日

    Posted by ブクログ

    読書会の本
    病の蔓延を食い止めようとする医師の奮闘、ありもしない神を祀り上げて大儲けする者。混乱の中の人間模様。
    復讐するか、助けるか、どうする諸男。京アニの犯人の治療に関わった医師も悩んだそうだ。
    漢字も難しく、ルビが欲しい。汚くて、気持ち悪いところも多く読むのが大変だった。

    0
    2026年09月27日

    Posted by ブクログ

    奈良時代の疫病大流行。単なる知識だけだったが、この物語のお陰でそこに生きる人々を想像することができた。
    現代よりもずっと未知のことが多い時代。疫病は計り知れないほどの恐怖だっただろう。何かにすがりたいのも当然。でも、そんな人間の姿は疫病と同じくらい怖い。

    0
    2024年05月03日

    Posted by ブクログ

    描写がグロテスクで、読み進めるのがきついと感じるほど。ただ、コロナ後の今なら、これは少しも大袈裟ではないのだと、残念ながら思えてしまう。
    病気も悲惨だが、人の世界そのものが醜悪で、それでもそこで生きていく、生きていかなければならない、その姿が、きれいごとではなく描かれていた。この作品の舞台は奈良時代だが、いつの時代も人類はこうやって生きてきて、そして今もこれからも、どうにかこうにか生きのびていくのか、いけるのか、時代を超えた重い内容で、読み終わってもきつさが残った。最後に描かれた登場人物の強さは、救いにつながるのだろうか。

    0
    2023年12月06日

火定 の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

無料で読める 歴史・時代

歴史・時代 ランキング

澤田瞳子 のこれもおすすめ

火定 に関連する特集・キャンペーン

同じジャンルの本を探す