歴史・時代小説の検索結果
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祇園の女狐
幕末動乱期、綺羅星のごとき英傑たちが世にあふれ、激しく時代を生きた。しかしそれは男だけの話ではなく、女もまた激しさは同じだ。まさに「女の性(さが)」のままに、愛する人のために自らを犠牲にする女性さえいたのだ。大老・井伊直弼の密偵として、「安政の大獄」で暗躍した村山たかは、その象徴的な存在かもしれない。物語は、京都金福寺の尼僧・妙寿尼(村山たか)が、明治の世を迎え、侍女のお松に昔語りをする形で進む。若き日、まだ部屋住みだった井伊直弼と情交し、のち祇園の芸妓(芸子)となったたかは、妖艶な魅力を身につけて「女狐」と渾名された。時は流れ、大老になった直弼から突如呼び出されたたかは、間諜(スパイ)となって京の尊攘派浪士の動向を探れと依頼される。いまは雲の上の人となったかつての想い人のために、たかは浪士の捕縛に貢献していくが……。哀しいまでに「女の性」に生きた妙寿尼の波瀾の生涯を描いた力作小説。 -
祇園「よし屋」の女医者
文化5年京都祇園、お茶屋の娘が病を治す! 「うち、先生のお手伝いをしとおす。人助けのために生きとおす」 現役の精神科医である著者による、さわやかな医療時代小説! 文化5年(1808)、京都は祇園末吉町で50年以上続くお茶屋「よし屋」の一人娘・月江は、舞妓として日々芸事の修業に勤しんでいた。 この年16歳を迎える月江は、母親の跡を継いで「よし屋」の女将になることを望まれていたが、新年早々、常連である御幸町の医師・小島源斎がよし屋を訪れ、月江を預かって女医者にしたいと申し出る。 源斎の言いように最初は腹を立てた母親だったが、月江の思いを汲んで、源斎の手伝いを許してくれる。 月江は当初、能筆であること、書物に通じていることから医学書の筆写を任された。だが、やがて癲狂を患う生糸問屋の娘・小雪の治療を手伝うことになって‥‥。 医師らしい江戸時代の医療の知識のほか、当時の祇園花街の風俗が丹念に描き込まれた、読後さわやかなエンターテインメント時代小説。 『釣りバカ日誌』原作・やまさき十三氏、推薦! 「今世紀精神医学界の巨星アンリ・エーの翻訳家でもある異才が、古都を舞台に小説(フィクション)を書いた。」 -
逆襲の必殺剣 悪徳豪商を叩きつぶせ!
越貫藩の武士・高瀬周次郎は、江戸留守居役という役職を利用して小遣い稼ぎに励む、いわば典型的なこずるい小役人。夢や野望、ましてや正義などとは無縁の生活を送っているが、これでも若いころは真面目に剣を修行し、才能の片鱗を見せていた。そんな周次郎が、ある日、偽の骨董品にまつわる詐欺に騙されてしまう。自業自得ではあるものの、使ったのは、藩の御用金。困り果てた周次郎に、救いの手をさしのべたのは、なんと北町奉行の佐々井充孝。佐々井は、金の補填の代わりに、ある密命探索を周次郎に命じるのであったが……。落ちぶれた中年侍が再起をかけて巨悪と戦い、奇跡の逆転を魅せる、痛快・読み切り長編! -
暁天の星
本書は故・葉室麟が最期に書きたかった「近代」に挑んだ作品。「これだけは書いておきたい」と願い、病と闘いながら書き続けた物語である。明治新政府で外務大臣として欧米列強と対峙し、不平等条約の改正に尽力した陸奥宗光――。日本の尊厳を賭けて強国に挑んだ陸奥の気概は、どこで育まれたものなのだろう。陸奥が生まれたのは幕末の紀州。坂本龍馬に愛され、海援隊で頭角を現し、明治新政府では県知事などを務めたが、政府転覆を企てたとして投獄されてしまう。そんな不遇の時代を経て、伊藤博文内閣のもとで外交官として、その才能を花開かせる。外務大臣となった陸奥は、日本を欧米に伍する国家にすべく奔走するのだが……。本書は残念ながら未完。しかしながら葉室麟の溢れる想いが感じ取れる貴重な作品でもある。陸奥宗光のその後は、解説の細谷正充氏が、連載中の想いは長女の涼子氏が紹介。坂本龍馬の姉を描いた短篇「乙女がゆく」を特別収録。 -
行列のできる時代小説 男の料理
成り行きで新選組に入隊した菅沼鉢四郎が、料理に詳しいというだけで過激派拠点のぜんざい屋に潜入捜査する「ぜんざい屋事件」。 北政所と秀吉の側室の淀君が醍醐の花見の席で料理勝負をすることになり、料理人に選ばれた男が命がけで懐石料理をつくる「包丁奥義」。 大坂の篆刻師が版元から請われ豆腐料理の本を書く、実在の料理本の誕生秘話「夏の日の結び豆腐」。 文禄の役で朝鮮に渡り、キムチを作ることにのめり込んでしまった男の悲喜劇「辛うござる」。 行くあてもなく死のうとしていた娘に味見として葉桜茶漬けを食べさせる小料理屋の心温まる話「わかれ雪」。 時代小説の名手(男性作家)による、男性主人公の食の短編傑作集。五味五色の”男の料理”に舌鼓をうってください。 -
銀一匁の武士
日当わずか銀一匁。 農村から農村へ、 “八州廻り”の矜持を描いた、 抒情あふれる物語。 関東八州、一年でめぐる御用旅 「大人はみんな、嘘つきで意地悪だ」 幼い杉作の言葉に、竹本長吉はふと残してきた妻子を想った。上役の罪に連座し禄を失った長吉は、一年をかけて関東の農村を巡廻する関東取締出役の雇足軽の職を得て、無宿改めや博奕の取り締まりなど、治安を守る旅に出た。 めぐる土地で人々の心に触れ郷愁を募らせる長吉だったが、非道な押し込み強盗の捕縛を命じられ……。 「風の市兵衛」の著者による傑作長編! 【『雇足軽 八州御用』 改題作品】 -
銀しゃり 新装版
鮨職人の心意気と江戸の人情、ここにあり! 天明から元号が寛政へと改元された一月下旬、鮨職人の新吉は、深川・亀久橋のたもとに「三ツ木鮨」の看板を掲げた。「吉野家」の親方から受け継いだのは、酢に砂糖を用いたほどよい甘さが人気の鮨だ。伝統の味を守るため、日々精進を重ねる新吉だったが、土地に馴染みのないこともあり開業早々から苦戦してしまう。さらに、公儀が武家の借金を棒引きにする「棄損令」を発布したことにより、江戸にはたちまち不景気風が吹き荒れだす。大きな痛手を負う新吉だが、ふとしたきっかけで旗本勘定方祐筆・小西秋之助と出会い、かきの皮を使った合わせ酢を教わる。それを活かそうと試行錯誤を重ねた新吉のかき鮨は、徐々に町方からの評判を生んでいく。「棄損令」に思い悩んでいた秋之助も、新吉の商いが軌道にのることで世のために役に立つことができたと喜びを噛みしめていった。生きる世界が違えども、互いの生き様を通して信頼し合っていく新吉と秋之助。そこには男たちの仕事にかける熱い心意気があった。職人の誇りをかけ日々奮闘する新吉と、長屋に暮らす仲間たちとが織りなす感涙の人情時代小説。解説は末國善巳氏。 ※この作品は文庫版『銀しゃり』として配信されていた作品の新装版です。 -
銀嶺のかなた
信長の命で前田利家・利長父子が能登入国! 歴史時代小説の第一人者・安倍龍太郎の集大成! 戦国末期、前田利家・利長父子の決断こそが日本の流れを決めた――。 織田信長と柴田勝家のもとで手柄を打ち立て、〈槍の又左〉と戦国に名を轟かせた豪傑・前田利家と、その息子で温厚かつ秀才肌で〈上様の近習〉となった利長。世代間ギャップと性格の違いを背景に、父子は時に激しく対立しつつ、乱世の荒波を乗り越えていく。 本書の冒頭は、柴田勝家率いる織田勢と上杉勢が激しく争う「手取川の戦い」。そこで手痛い敗北を喫するも、謙信の急死で形勢を挽回した織田勢は加賀ばかりか能登、越中の大半を支配下に組み込んでゆく。信長の馬揃えのため上洛した利家にもたらされたのは、「能登一国を任せるゆえ励め」との言葉だった。さらに利長は信長の近習、さらに娘婿にまで取り立てられる。 しかし、国持大名として能登一国をどう収めるのか? 越中への侵攻の行方は? 数々の難題に立ち向かう前田利家のもとに、まさかの本能寺における信長の訃報が届けられ……。 -
公家さま隠密 冷泉為長
ひょんなことから、北町奉行所隠密廻り春田猪之助の同心長屋に転がりこむことになった男。なりは烏帽子に狩衣、面妖な京言葉を使い、学もあるが、なによりも剣は凄腕。 じつはこの男、かの冷泉家の血筋を引く、やんごとなきお公家さま・冷泉為長だった。 名家とはいえその傍流。生来のあぶれ者の為長は、風の吹くまま江戸に流れてきたという。隠密同心の店子となった為長はみずから公家隠密と名乗り、猪之助の手下をつとめることになった。 そんな折、巷では男児が攫われる事件が頻発。その中の一人が骸となって発見される。咎人を捕縛すべく動きだす猪之助と為長だが、彼らが目をつけたのは誰もが知る超有名人だった…。新シリーズ第一弾。 -
公家さま同心 飛鳥業平 決定版
雪降り積もる天保九年正月、定町廻り同心の和籐田三次郎は殺しの現場で、奇妙な男と出会う。 真っ白な狩衣に真紅の袴、立て烏帽子をかぶり、あたかも平安絵巻から抜けだしたような装いである。 言葉をかわした瞬間、鋭い洞察と観察力で、三次郎の妻の出産を見抜いたその男は、従三位権中納言、飛鳥業平──水戸家に逗留するやんごとなき京のお公家さまであった。 三次郎のとまどいと困惑をよそに、探索仕事に興味をおぼえた業平は、八丁堀同心よろしく難事件の探索に乗りだすのだが……。 武家や世間の常識にとらわれぬ江戸時代の名探偵が、隠された謎を解き明かしていく。 大人気となった時代シリーズの新装決定版! -
久坂玄瑞
吉田松陰の遺志を継ぎ、新しい日本のために命を懸けた男がいた――。その男の名は、久坂玄瑞。高杉晋作とともに、“松下村塾の双璧”と謳われた俊英である。長州藩の医者の家系に生まれながらも、「おれは、天下を医するのだ」と日本全体を見据えた、大きな志を抱く玄瑞。やがて生涯の師・吉田松陰と出会うと、その才能は開花し、妹・文の婿に迎えられることに……。しかし、松陰が安政の大獄で死を遂げると、その運命は大きく変転。師の遺志を継いだ玄瑞は、高杉晋作らとともに王攘夷活動に奔走していく――。幕末の動乱をひたむきに、そしてまっすぐに生き、維新の先駆けとなった若き傑物を活写した長編。 -
久坂玄瑞 九州遊学記
★久坂玄瑞は高杉晋作と並ぶ松下村塾の双璧であった- ・藩主の許可を得て、九州へと久坂は向かうのだが、未完の志を、いかに実現させていくのか・久坂玄瑞という、心の葛藤に悩む人の青年を、九州遊学を通して描写する. ・久坂玄瑞の心を精緻に描写していく ・久坂玄瑞に見る青年心理の動向. ・旅は志士を詩人にした. ■久坂玄瑞の脱走劇 ・久坂玄瑞は、神社に訪れ、旅を占う竹ひごを引いたが、それには予期せぬ暗示が記されていた. ・乗り込んだ漁師船が遭難して、たどり着いたところは、長州と対峙する薩摩の海岸であった. ・かがり火を焚く薩摩の関所が見えてきた. ・関所破りを実行する玄瑞. ・一目散に逃げたが、今、自分がどこにいるのかわからなくなったので、星を見て、自分の位置を確かめる玄瑞 ・ようやく農家らしき家を見つけるが、そこから現れたのは・・ ・肥後に向かって脱出、ようやく薩摩を抜ける. ■登場人物 ・久坂玄瑞、高杉晋作、桂小五郎、吉田松陰、神主、毛利公、皺がれた道を横切る老婆、巻き上がる龍、薩摩藩の奉行、薩摩藩の兵士たち、蛸漁の人たち、薩摩の大富豪、馬車を曳く人、長崎を行きかう西洋人たち、その他大勢. -
草雲雀
ひとはひとりでは生きていけませぬ――。 愛する者のため剣を抜いた男の運命は!? りり、りり、りり…… 草雲雀は一晩中、恋の歌を唄う。 媛野藩の若き藩士、栗屋清吾は風采の上がらぬ三男坊だが、剣はめっぽう腕が立つ。 女中のみつと深い仲になり妻とするが、家長の長兄には認められていない。 そんなとき、道場仲間の山倉伊八郎から自分の用心棒になるよう頼まれる。 伊八郎は実父の後を継ぎ、藩の筆頭家老になるには清吾の剣の技が必要だという。 「子どもを持ちたい」というみつの願いに応えるために申し出を引き受けたものの、 伊八郎の出世を阻もうとする敵からの刺客が次々と襲い掛かり……。 解説・島内景二 単行本 2015年10月 実業之日本社刊 文庫 2018年12月 実業之日本社文庫刊 文庫 2024年12月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
公事宿まんぞく庵
行き場を失くした十七歳の少女・香乃は、ひょんなことから史郎と出会い、彼が手代をつとめる「公事宿まんぞく庵」で働くことに。公事宿とは訴訟を行う人々が逗留する宿で、史郎は訴訟の技術を伝授したり代筆したりしている。女たらしで昼行燈な史郎だが、ひとたび人の涙を見れば、切れ者へと豹変する。しかし、まんぞく庵に泊まる客は厄介な公事に加え、ワケアリなようで……!? -
くせものの譜
武田、北条、佐々……仕えた家が軒並み絶家! 厄神と呼ばれた男・御宿勘兵衛の生涯。 武田の遺臣として、数多の主家を渡り歩いた御宿勘兵衛(みしゅくかんべえ)は、何を求めて大坂城へ入ったのか? 武田家滅亡から、大坂の陣まで――仕えた家が次々と滅びることから、その武勇に反して「厄神」と忌み嫌われた御宿勘兵衛。 そして、時代に迎合することなく己の夢と覚悟を貫いた依田信蕃や久世但馬など、勘兵衛と関わった度し難い男たち。 「天正壬午の乱」「さらさら越え」「小田原征伐」「越前騒動」「大坂の陣」など勝者の側ではなく滅び行く者たちからみた戦を描く。 気鋭の著者が腕をふるった、時代に選ばれなかった曲者たちの物語。 解説・縄田一男 -
朽木の花 新編・東山殿御庭
怪異や妖かしに立ち向かう一休宗純の壮絶な生涯を描いた傑作室町伝奇小説 鉛丹侯は口をいっぱいに開いた。唇を失った彼がそうすると、髑髏が笑ったようだった。その、恐ろしい笑い顔の、呉藍色をした口の奥から、暗い色をした粘液が溢れ出した。粘液は黒よりも暗い色をしていた。涅色――海底で何億年もかけて溜まった泥の色だ。一休が感じた、夜行城を包む気配の色だった。(「尊氏膏」より) 第58回日本推理作家協会賞短篇部門候補の「東山殿御庭」ほか、一休宗純の活躍を描いた短編集。 *尊氏膏 *邪笑う闇 *甤(ずい) *應仁黄泉圖 *朽木の花 *東山殿御庭 ●朝松健(あさまつ・けん) 1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、かつて誰も書かなかった〈異形の戦場〉と化した京都を描いた『血と炎の京』で高い評価を得ている。 -
口出し屋お貫
「口入れ屋は商売だけど、口出しするのは性分なんで」 若き女主人と元花魁が、人にからまる糸を解く! 著者好評の江戸人情話、最新作! 二十七にして三度目の奉公先から暇を取ったおれんは、昔馴染みの口入れ屋を訪ねた。帳場には見慣れぬ小娘。 口入れ屋の主人と言えば、酸いも甘いも噛み分けた食えない年寄りが相場である。ただの留守番に違いない――が。 「あたしは先代時三の孫で、貫と申します。二年前にこの店を継ぎまして、今年二十二になります」 それぞれの奉公先を辞めた経緯を語らせるお貫に反発して、おれんは店を飛び出す。別の口入れ屋に断わられ、通りで再会した元の主人には不義理をなじられ、疲れ果てて戻った部屋には、お貫が待ちかまえていた……。 -
くちばみ
血で骨を洗う斎藤道三「父子の相克」一代記。 古く蝮を「くちばみ」と呼んだ。鋭い毒牙を持つその長虫は、親の腹を食い破って生まれてくるという――。 時は戦国、下剋上の世。「美濃の蝮」と畏れられた乱世の巨魁・斎藤道三は、京の荒ら屋で生を受けるも、母に見捨てられ、油を舐めて命を繋いでいた。油売りを生業にどん底から這い上がった父子は、いつしか国盗りという途轍もない野望を抱くようになる。狙うは天下の要・美濃国。父に続き美濃入りした道三は、守護・土岐頼芸を籠絡し、側室・深芳野と密かに心を通わせる。一方で、父の歪んだ支配欲に苛立ち、血の呪縛から逃れようと毒殺を夢想するようになる。政敵を次々に抹殺し、遂に主君頼芸を追放し、名実ともに国主となった道三。ところがその頃、長男義龍の胸中には、父への嫉妬と憎悪が渦巻いていた・・・。 本作品は、下剋上を成し遂げながらも実子に殺される道三の生涯を、三代にわたる「父子の相克」をテーマに活写する新感覚時代小説。「暴力と情愛」の筆運びはますます磨かれ、「悪の爽快感」に溢れる物語世界は圧巻! まさに花村時代小説の到達点と言える作品です。 -
首打人左源太事件帖
生業は首打ち、密通した藩主の側室を斬れとの依頼だったが… 水戸藩士・潮地左源太は、密通した妻のせいを斬って藩を去り、江戸へ出た。下谷の茅屋に居を構える左源太の生業は、その剣技を生かした罪人の首打ちだ。一度の仕事料は十両。上総大多喜藩前藩主の側室・鶴を、不義の簾で斬首する。遺漏なく仕事を終えた左源太だったが、処刑直前、鶴と交わした二言三言を藩の立会人に咎められ、なぜか会話の中身を執拗に追及された…。 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
首ざむらい 江戸妖かし綺譚
オール讀物新人賞受賞の怪作が文庫化! 第99回オール讀物新人賞受賞作「首侍」を含む デビュー作品集が待望の文庫化! (単行本『首ざむらい 世にも怪奇な江戸物語』を改題) 叔父を訪ねて江戸から大坂へ向かった池山小平太の前に、 突如空飛ぶ生首が現れる! この生首、名を斎之介(ときのすけ)といい、 武士として功名を立てたがったかと思えば、 縋る目で酒をねだる。 いつしか二人は戦のただ中に――。 風変りすぎる友情と若者の成長を描いた オール讀物新人賞受賞作ほか、 「よもぎの心」孤蝶の夢」「ねこまた」の 全四篇を収録。 怪異あり人情あり、笑いと涙が止まらない傑作集。 カバー画・三木謙次 文庫解説・大矢博子 単行本 2022年11月 文藝春秋刊 文庫版 2026年5月 文春文庫刊(文庫化にあたり改題) この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
雲と風と ――伝教大師最澄の生涯
第22回吉川英治文学賞受賞作品。 比叡山延暦寺を創建、天台宗の開祖となった最澄。激動の時代の中、最澄は、長岡京の遷都に失敗した桓武天皇を支えながら、桓武の魂を救済することが、国家を救うと尽力する。仏教の本質を求め続けた最澄の生涯を、直木賞作家の永井路子が描く。 大正14年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業後小学館に入社し、『女学生の友』『マドモアゼル』の編集者を務める。 小学館時代から歴史小説を執筆し始め、昭和39年『炎環』で直木賞を受賞。その他にも吉川英治文学賞を受賞した『雲と風と』等多くの素晴らしい作品を世に送り出している。 男性的目線になりがちな歴史人物や歴史事件を解きほぐし、その陰になりがちな女性にも焦点をあて、歴史上の人物、出来事を鮮やかに浮かび上がらせる作風は、歴史小説に新風を巻き込んだものと評価されている。 また、直木賞受賞作品である『炎環』、『北条政子』などは、NHK大河ドラマ『草燃ゆる』(1979年)の原作として、また『山霧 毛利元就の妻』『元就、そして女たち』などは、同じくNHK大河ドラマ『毛利元就』(1997年)の原作としても知られている。