巨鯨の海

巨鯨の海

小説・文芸
770円 (税込)

3pt

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江戸時代、紀伊半島の漁村・太地に、世界でもまれな漁法「組織捕鯨」を確立した人々がいた。磨かれた技を繰り出し、集団で鯨に立ち向かう「鯨組」は、仲間との強い絆と厳しい掟により繁栄を極めた。命を削る凄絶な戦いゆえに、鯨にも畏怖の念をもって立ち向かう彼ら。江戸末期から明治へ、共同体の熱狂の季節と終焉を躍動感溢れる筆致で描く、全6編の一大クロニクル! 「山田風太郎賞」「高校生直木賞」受賞作!

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巨鯨の海 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    幕末から明治へと移り変わる過酷な時代。封建制度の息屈した縛りの中で、生々しく躍動する友情や愛情、そして命の尊さに激しく揺さぶられる作品です。
    序盤は聞き慣れない方言や道具の描写に身構えましたが、気づけば伊東潤さんの描く、捕鯨に生きる男たちの熱量に、あっという間に魅了されていました。
    人間と自然の命のやり取り。あの河﨑秋子さんの『ともぐい』を読んだ時のような、強烈なヒリつきを覚える一冊です。

    0
    2026年05月31日

    Posted by ブクログ

    過去の山田風太郎賞受賞作を読んでおり、その中で出会った本。すごい!!!江戸~明治時代の捕鯨を題材にした短編集。巨大な鯨とのかけひき。鯨をえびす様と呼び、鯨の命をいただき人々を養ってくれているという敬いの気持ち。血なまぐさい描写は命をいただいていることを真っ正面から描いている。そして明治時代へ。最後の話は鳥肌がたった。

    0
    2024年07月10日

    Posted by ブクログ

    あの巨大な生き物に生身の人間が戦いを挑んでいたという歴史があること自体がすごい。
    その事実だけで魅せられる。

    そして当然物語としてもめちゃくちゃ面白い。
    再読でも初見と同様の興奮。

    私が著者の作品を読み漁るきっかけとなった一冊です。

    0
    2023年11月16日

    Posted by ブクログ

     『〝クジラ〟強調月間始めました!』7

     第7回は、伊東潤さんの『巨鯨の海』です。
     伊東潤さんは、時代小説を中心に書かれている方です。本書が初読でしたが、和歌山の太地で、江戸時代から独自の組織的捕鯨を行っていた人々と鯨の圧倒的な物語でした。
     臨場感あふれる捕鯨場面の描写が素晴らしく、迫力と緊張感に溢れ、時・潮・風や鯨の動きを読みながらの漁は、鯨の情の豊かさや悲しい運命まで表現される秀逸さです。
     専門用語や方言も多く登場しますが、丁寧な説明があり気になりません。また、太地の人々は、鯨を「夷(えびす)様」と呼び、古くから鯨に対して畏敬と感謝の念をもっています。更に、鯨と命懸けのやりとりをするため、太地の掟は厳しく、熱くヒリヒリした同胞意識も伝わってきます。
     太地の古式捕鯨の栄華から終焉までを、壮大なドキュメンタリータッチの物語に仕立てた本書は、「凄い」の一言に尽きます。強烈な余韻が後を引く読後感でした。

    0
    2022年11月03日

    Posted by ブクログ

    伊東潤氏の作品は戦国物を何作か読んだかハズレなし、何れも素晴らしかった。
    伊東氏の目線を通すと戦国武将の誰を描いても生き生きしていて読み応えがある。

    今回は太地という鯨漁を生業とする土地の歴史を江戸初期から明治初期に渡って描かれた物語。
    今まで読んだ物とは趣向が違ったが又素晴らしかった。
    日本人が生まれ育った土地に縛られながらも生を全うする過酷さと尊さをこんな風に描けるなんて!

    司馬遼太郎さんを信奉する私だが伊東潤氏の作品からも同様の感動を得ることが出来る。
    これからも読み続けたい作家だ。

    0
    2016年07月16日

    Posted by ブクログ

    日本人の心
    生きるためにすること
    風土と文化 を久しぶりに感じた。
    行ったことのある地域ですので非常にリアルな感じ非常に読みやすく良かった

    なんか最後涙が出た

    0
    2015年10月13日

    Posted by ブクログ

     紀伊半島の漁村・太地。そこで組織捕鯨を確立し、日々鯨に挑む漁師たちの姿を描いた連作。

     「なんという迫力……」

     この小説を読み終えた時の感想を最も簡潔に表すとこうなります。

     太地の人々の鯨漁はもはや漁ではありません。それは戦いなのです。時に十数メートル以上の鯨に対し銛を打ち込み、何度も網をかけ少しずつ弱らせ最後にとどめを刺す…。言葉にすればただそれだけの話なのですが、その描写力たるや…

     太地の漁師たちの息遣いやピリピリした感じももちろん伝わってくるのですが、さらにすごいのは狩られる側である鯨の生きたい、死んでたまるか、という気持ちすらも伊東さんが書き込んでいること。

     作中で鯨のエピソードで、過去に鯨漁から逃げ切った経験を活かし太地の人々の漁から逃げ切ろうとする鯨や、子を思う鯨の姿が描かれるのですが、そうしたエピソードだけでなく、死に際の鯨を描く場面がまた秀逸です! 作品全体を通してみると鯨もまた主人公なのです。

     最終話の「弥惣平の鐘」の漁の描写と自然の厳しさの描写は圧巻の一言! いかに人間が自然の厳しさの前に無力かということを感じさせられます。

     もちろんそれぞれの短編の人物描写、心理描写も伊東さんらしい情念が込められた作品ばかりです。

     厳しい掟が支配する閉鎖的な共同体の太地。そこで暮らす少年たちは何を目指すのか、男たちはどう行動するのか。掟に縛られながら生きた人、掟を全うした人、時に太地に疑いをもち外の世界を夢見るもの。それぞれのドラマが伊東さんの圧倒的な筆勢で描かれます。そこにあるのはただ生きるだけでは満足しない、本物の「生」を渇望する男たちのドラマだと思います。

     伊東潤さんがどんな人か全く知らないのですが、もし会うことがあればいきなり「兄貴ィ!」と読んでみたいです(笑)。こんな例えで伝わるかどうか不安ですが、本当にそれだけ伊東さんの作品には迫力があります。男が漢に惚れるってこんな感じなのかなあ。

    第4回山田風太郎賞
    第1回高校生直木賞

    0
    2015年10月01日

    Posted by ブクログ

    「山田風太郎賞」受賞作ってことで、文庫化を待望していた作品。過去の受賞作品から、まず期待外れってことはないだろうと思っていたけど、これもまた高品質でした。捕鯨に生きる村を舞台にした、時代をまたいでの短編集。迫力満点の捕鯨シーンもさることながら、それに対峙する人々の描写も活き活きしていて、どの作品も素晴らしかった。この作者の他の話題作も読んでみたいと思いました。

    0
    2015年09月24日

    Posted by ブクログ

    太地・鯨シリーズの第一弾。江戸時代末期から明治時代までの紀伊半島の漁村・太地で組織捕鯨に携わる男たちを描いた連作短編集。いずれも読み応えのある6編を収録。

    鯨と人間が対等に近い立場で、命をやり取りをした時代…太地鯨組の厳しい掟と捕鯨に携わる男たちの勇気と苦悩。若者は捕鯨を通じて成長し、若者を導く年長者はいつか身を引いていく。

    『旅刃刺の仁吉』。流れ者の刃刺の仁吉が太地鯨組の中での地位を確立していくと共に妾腹の音松に刃刺への道を示す。

    『恨み鯨』。鯨組の厳しい掟の中で生きていく親子と物哀しい家族愛を描いた佳作。

    『物言わぬ海』。耳が聞こえない喜平次と刃刺となった与一の友情とその間に立ちはだかる太地の厳しい掟。

    『比丘尼殺し』。本作の中ではミステリーの色合いが強い異色の短編。一番、面白かった。比丘尼や遊女を連続して殺害した犯人は太地鯨組の刃刺と目されたが…

    他に『訣別の時』と『弥惣平の鐘』を収録。

    0
    2015年09月16日

    Posted by ブクログ

    捕鯨を題材にした作品なので、鯨と人との勇壮な闘いが物語の中心なのだろうと勝手に思い込んで読み始めたのだが、視点が違っていた。
    飢えて死ぬことが珍しくなかった時代に、鯨を捕ることで、地域全体が栄え、支え合って生きていける。集団で闘えば、集団みんなが生きていける。生きていくために強固に結びつき、生きていくためには強固に結びつかなければならない。その閉じた社会を維持するための絶対的な掟の下で、闘って生活の糧を得るために、特殊技能を磨き上げていく。それが生きることの全て。
    集団として生きる個。生きる手段が生きる目的だった。そこに訪れた時代の大きな転換。題材は捕鯨ではなかったのかもしれない。

    0
    2023年06月20日

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