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純真を歌え、トラヴィアータ
『――私は、夢に届かない』 トラウマにより歌声を失い、プロのソリストの道から脱落した少女・椿。幼い頃から全てを捧げてきた夢を失い、残ったのは空虚感だけ。そんな中、椿はオペラの自主公演を行う“東都大オペラサークル”の指揮者・黒田と出会い……。 才能を持たざる人間の、夢と現実。歌声を失った歌姫と、孤高の指揮者――希望を見失った二人が紡ぐ、《挫折》と《再生》の物語。 -
自由小説集
大きくはない。小さい。それでもきっとこの〝小〟さい〝説〟には、可能性がつねに巡り続けているはずだ ―― のちに治療家に転身した小説家が向き合った三体の人体。そして三篇の中篇・長篇。さらには三流の自画像に直面した「梅波三郎」四篇をも収めた自由小説集。収益からも自由になろうとするチャリティー小説集。ここに収められ、ここからまたはみ出していく……(※本書は「踊りませんか、榊高ノブといっしょに」「イールズ播地郡」「台風全号」のほか四篇のエッセイを収録した合冊版です。) -
成巌寺せんねん食堂
長年勤めた小さな会社を退職した千束。部屋の掃除をすませ、鼻歌を歌いながら料理でも作ろうと考えていたとき、スマホが鳴った。 実家の父から、祖父が倒れたと聞き、慌てて北陸の実家に戻る。そこは名刹・成巌寺の仲見世で、三百年以上続く精進料理屋「せんねん食堂」。 寺と食堂を巡る騒動に巻き込まれた千束は、イケメン僧侶となった幼馴染み、清道&隆道兄弟と再会する――。 人気シリーズ『ちどり亭にようこそ』の十三湊による愉快痛快な新作、登場! -
上機嫌な言葉 366日
人生で一番すてきなものは、上機嫌! 生きること、恋、人間の面白さ――田辺聖子が生んだ数々の作品から、珠玉の言葉たちをぎゅっと凝縮。 人生を面白く愉しむ達人・お聖さんのチャーミングな366の〝上機嫌な言葉〟。 「コセつかず、咎めだてせず、目を三角にしないこと」 「相手の知らぬことを言うときは、羞じらいをもっていうべき」 「男は犬に似ている」 「人間を洞察すると、ゆるすほか、なくなる」 「一月 人生をおいしくする」など、月ごとのテーマと、1日ひとことの言葉は、日々の暮らしを豊かなものに見せてくれます。 白黒つけない曖昧な部分にこそ宿るオトナの智恵が、硬い頭と心を解きほぐしてくれる、常に傍らに置きたい一冊。 ※この電子書籍は2009年4月に海竜社より刊行された単行本を、文春文庫より2019年10月に文庫化したものを底本としています。 -
【上下合本版】風よ あらしよ
【第55回吉川英治文学賞受賞作】明治28年、福岡県今宿に生まれた伊藤野枝は、貧しく不自由な生活から抜け出そうともがいていた。「絶対、このままで終わらん。絶対に!」野心を胸に、叔父を頼って上京した野枝は、上野高等女学校に編入。教師の辻潤との出会いをきっかけに、運命が大きく動き出す。その短くも熱情にあふれた人生が、野枝自身、そして二番目の夫でダダイストの辻潤、三番目の夫でかけがえのない同志・大杉栄、野枝を『青鞜』に招き入れた平塚らいてう、四角関係の果てに大杉を刺した神近市子らの眼差しを通して、鮮やかによみがえる。著者渾身の評伝小説!! -
常識的文学論
歴史小説、推理小説は「文学」に値するのか? ――大衆文化の隆盛とともに、文学の世界においても、大衆小説や中間小説が文壇の主流へと登場しつつあった1960年代初頭。こうした流れを、純文学にとってかわるものとして擁護する批評家の言も含め、歴史小説や推理小説の実体を根底的に批判した、ポレミックな文学論。<『蒼き狼』論争>となった井上靖への批判、深沢七郎の『風流夢譚』批判、松本清張批判など、スリリングな文芸時評16篇。 「昨年中から大衆文学、中間小説の文壇主流進出を認容する論調があった。現象自体は現代の大衆文化進展の一環であり、別に不思議もないが、われわれの伝統や世界文学史に基いた文学の理念をこわしてまでこれを擁護しようとする批評家が一部にあった。(略)私はそれらに対して、文学の原理を争うのではなく、諸君の礼拝している淫祠邪教の実体はこれなのだ、と摘発する方法によった。」(「序」より) -
情事の配当
結婚7年め、子宝に恵まれぬのは、夫の体質が原因だと診断されたとき、絹子はむなしい虚脱感を味わった。頼りきっていた12歳年長の夫の姿が、ひどく老化してみえる。豊かな肉体をもてあましつつ、「ゴルフウィドウ」に甘んじなければならぬ絹子……情事への誘惑が心をゆさぶる。相手は、証券セールスの時岡という青年だ。夫の出張の夜、ついに彼女は甘美な悦楽にはしった――。「この情事の配当がほしいわ」絹子の胸に悪魔がささやく。彼女は夫に迫った「ね、私、人工授精をうけようかしら」。が、事態は一変した。時岡が事故死したのだ――という表題作ほか全10篇。 -
情熱
情熱と分別のあわいに揺れるあなたへ。 40年ぶりに再会を果たした同級生のカメラマンとスタイリスト――「兎に角」 「ボケたら関係解消」が条件で、生活をともにする70代ホストと美容師――「ひも」 遅咲き小説家と、過去をあかさぬ女性大学教授――「情熱」 ほか、全6編。 直木賞受賞作『ホテルローヤル』、中央公論文芸賞受賞作『家族じまい』に連なる、静かな大人たちの物語。 【著者略歴】 桜木紫乃 さくらぎ・しの 1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞受賞。07年同作を収めた『氷平線』で単行本デビュー。13年『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、同年『ホテルローヤル』で第149回直木賞、20年『家族じまい』で第15回中央公論文芸賞を受賞。ほかに『ブルース』『裸の華』『緋の河』『ヒロイン』『谷から来た女』『青い絵本』『人生劇場』など著書多数。 -
情熱の市
清純で穢れを知らぬ娘・マリ子は、母の友人の一人息子で、現在は家を飛び出して麻薬密売業者の手先になっている青年・多賀一郎に会って、深い愛着を覚え、彼に自首をすすめて、更生の道へ導こうとするが、ふとした行き違いから、麻薬をもっていたマリ子だけが疑われて、留置されてしまい、一郎は逆に、密売業者の手で大阪へつれさられる。警察を出たマリ子は、家に戻らず、ストリッパーになってまで一郎を救おうとするが、麻薬業者たちの泥沼は、いよいよ深く一郎を引きこんでいく....…。清純な愛で愛する男を救わんとする乙女を襲う、激しい運命の起伏を描く、炎のロマン。 -
情報銘柄
正確な株式銘柄情報に、自分の誇りを感じている佐川にとって、最近は、憂鬱の連続であった。勤め先である<週刊東京情報>に書いている彼の推奨銘柄が、外れ続けているのだ。失意の佐川は、しかしある日、耳寄りな情報を得た。河松製作所に中共から、大量のブルドーザーの発注があったという。佐川はこの情報に、情報屋としての誇りの全てを賭けた。推奨原稿を書く一方、借金して河松を20万株買い込んだのである。……兜町に生きる男の栄光と悲哀を描く標題作のほか、苛烈なビジネス戦争の実態を生々しく描く異色企業小説3篇を収録。 -
上流階級 富久丸百貨店外商部
ドラマ化ヒット小説、文庫2ヶ月連続刊行! 天下の富久丸百貨店芦屋川店で、外商員として働く鮫島静緒(37)。日本一の高級住宅街・芦屋に住む本物のセレブたちに、ロレックスの時計やダイヤの指輪を持参してお買い物をしていただくのが仕事だ。新人外商員の静緒に課されたノルマはなんと、月1500万円! 職場の正社員としては珍しく高卒からのたたきあげで働く静緒は、顧客の要望に応えるため、そしてマンネリ感満載の百貨店業界を立て直すため、前のバイト先・パティスリー「ローベルジュ」での人脈をフル活用して全力で奔走する。 静緒をパティスリーから引き抜いたカリスマ外商員・葉鳥士朗の勧めで、静緒は実家から芦屋の高級マンションに引っ越した。ところがそこには思わぬ同居人が。大嫌いな同僚の桝家修平(29)も、葉鳥の勧めでその部屋に住んでいたのだ。バツイチ独身の静緒だが、桝家は実は、セクシャリティの問題を抱えていて……。 竹内結子、斎藤工、草刈正雄ら豪華キャストでドラマ化もされた話題作。神戸在住、『トッカン―特別国税徴収官』『政略結婚』などヒット作を次々生み出す著者による究極のハイクラス・エンタメが待望の文庫化! -
女王様の電話番
好きだけど、触れあうことはできない。 そんな私は異端者なのだろうか。 主人公の志川は、新卒で就職した不動産会社を辞め、現在、SMの女王様をデリバリーするお店の電話番をしている。友達には「そんな職業は辞めたら?」と眉をひそめられたが、女王様の中でも美織さんという最高に素敵な人に出会い、そこそこ幸せに暮らしていた。 ある日、あこがれの美織さんと初めてごはんを食べに行く約束をして舞い上がるものの、当日にドタキャン。そのまま音信不通になってしまう。彼女の常連のお客さんなどにこっそり連絡を取り行方を探るうちに、どうも自分の知っている美織さんとは違う面ばかりが見えてきて・・・・・・。 過去、志川が不動産会社を辞めた理由は、あこがれの男性社員・星先輩と付き合う寸前に、先輩が自分に求めている性的なことが一切無理だと気づいたからだった。好きだったのに。付き合えないと正直に言っただけで、志川は同僚に悪女扱いをされ、そのまま会社にもいづらくなり、退社することになってしまったのだ。 私はアセクシャルなのだろうか? 「ない」ことを証明するのは、悪魔の証明だ。もしかしたら、まだ見ぬピンクのひつじに会えるかもしれないのに・・・・・・。なんでも性的なことや恋愛に結びつける世の中に馴染めない主人公の戸惑いを通じて、現代社会を描く問題作。 アセクシャルの自身に戸惑い、彷徨い、清爽と一歩を踏み出す――。 小説すばる新人賞受賞から10年。物語はしたたかに進化する。 【著者プロフィール】 渡辺優(わたなべ・ゆう) 1987年宮城県生まれ。2015年に「ラメルノエリキサ」で第28回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著作に『自由なサメと人間たちの夢』『アイドル 地下にうごめく星』『クラゲ・アイランドの夜明け』『アヤとあや』『カラスは言った』『私雨邸の殺人に関する各人の視点』『月蝕島の信者たち』などがある。 -
女王の結婚 ガーランド王国秘話
新章、開幕。 アレクシアとディアナ、二人の出生の秘密が明らかに。 そして物語は「ガーランド女王」の婚姻を巡る新たな局面を迎えることに――。 アレクシアが帰還し王冠を戴いてひと月。早くも王侯貴族は女王との婚姻をもくろみ動き始めていた。なかでも婚約を撤回されたローレンシアの王太子レアンドロスと隣国ラングランドの王太子ヴァシリスは、祝賀を名目にガーランド宮廷へ乗り込んできてしまう。しかしアレクシアと心通わすのは近衛隊長となったガイウスただ一人。求婚者たちの思惑に翻弄される中、情報収集の旅に出たディアナは不穏な噂を耳にする…。 ねぎしきょうこ・装画 -
女王メアリ 血の死刑台
美貌の女王メアリを待ち受けていたのは、イングランド女王エリザベス一世の悪意ある干渉と罠だった 生後六日目でスコットランド女王、十六歳でフランス王妃となったメアリ・ステュアート。国内を二分する政治権力の争いの中にあって、スコットランド女王という地位にありながら、確かな政治的感覚を持たなかったために運命に翻弄され、また他人をも巻き込んでいってしまう。「稀代の美貌」と称賛されたメアリ・ステュアートの非情な一生。電子化にともない内容を大幅に加筆修正。 ●桐生操(きりゅう・みさお) パリ大学(ソルボンヌ大学)、リヨン大学に留学。主にフランス文学、歴史を専攻。帰国後、西洋史人物の評伝を初め、歴史の裏面に隠された興味深いエピソードを次々と発表して、好評を博す。ミリオンセラーになった『本当は恐ろしいグリム童話』をはじめ、『世界ボーイズラブ大全』『世界エロス大全』『美しくもしたたかな女たちの源氏物語』『やんごとなき姫君たちの秘め事』『魔性のダンサー ローラ・モンテス』など、著書多数。 -
女館
生まれながらに霊感を与えられた美少女・妙子と、女ざかりの独身女、妙子に仕えて上品な物腰の、女の魅力を持ち続ける老女――「女館」に棲む3人の女と、影の如くつきまとう奇怪な風体の髭の男をめぐって、さまざまな事件が展開する。妙子の霊感で、動かなかった機械が動くようになり、新しい流行色のファッションが作られるようになり、政治家や実業家が、「女館」に日参するようになる頃、妙子は初めての恋に、女として目覚めてゆく。現代の愛と欲望のゆくえを、流麗な筆で捉えた異色長篇小説。 -
女子虫
自惚れと自虐の間を漂いながら、“身の丈の幸せ”求めて今日も荒野を突き進む! でも、ポジティブな言葉で無闇に励まさないでほしい――。 40歳を過ぎたら、子供も家も持っているはずだった。なのに、東サユリの現実は、韓流グループ「美男宮殿」に情熱を注ぐだけの毎日。自称・中二病で小学校教師の夫は、児童に振り回され、妻にはもはや無関心だ。好きな男のためのときめき代くらい自分で稼ごうと、サユリはパートに出たものの、なぜか職場の若い男になつかれて――。 ハイテンションな会話の応酬! 前にも後にも進めない女たちの痛々しさをおかしくも鋭く描く、笑えて苦い女子小説。“女子”と“労働”を描き続けてきた、宮崎誉子の進化形! -
敍情組曲
あの過去は現在のために 男と女の、極めて印象的な再会のシーンから始まる長篇小説。 二人は高校の同級生であり、17歳だったあの頃から 15年の時を経て今は32歳だ。 偶然の再会は、今まで意識していなかった、あるいは無意識下に押し込んでいた 気持ちを浮上させる。そのあり方は男と女で違うが、 見ている未来の方向は違っていないようだ。 そしてここには二人だけでなく、他の同級生、故郷の町、 男が離婚したかつての妻までが動員され、過去が検証されながら、 そのことが二人にとってどのように「現在」であるかが描かれる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
女性失格
寂しさを消すことができるなら、私は死んでもいい―― 女が女になり、女でしかなくなる瞬間を描く問題作! わたしの心が「寂しいの、なんとかして」と色目ならぬ物欲しげな瞳を駆使して、受動的に、男を付け狙っているわけです。(中略) 男に付け込まれるように、狙われるように、心がそういう風に巧みに振る舞っているわけです。 これがわたしの本性であるところの「受け身のストーカー」です。(本文より) これは、性にまつわるあらゆる体験を味わい尽くす「女」の物語。 女という性をやめられず、女という性から逃れられない「生」の先には何が見えるのか? 太宰治の『人間失格』を下敷きに、「女性が女性であることで覗きこむ深淵」を照らし出す意欲作! -
女拓物語
堂堀不動産の独身社長・堂堀進六は、男盛りの36歳。生まれは群馬県の貧農の六男坊だが、中学卒後、すぐ上京。兜町の証券会社の小僧をふりだしに、たちまち株で2億円のボロ儲けをして独立した。金には強いが滅法女にヨワイ進六は、自ら「風俗研究科」と称して、女の拓本蒐集を男子一生の悲願とする。東名高速をぶっとばす車の中でのホステスとのカーセックス、全共斗女子大生との同志的「結合」、さては、ガラスの床に座って用をたす女を見上げる猟奇的女研究など……。一盗二卑に徹することを色道修行の信条として、進六は今日も変った女めざして夜の街に出陣する……。
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