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私は森川崇徳。59歳。十数年前に妻を亡くし、現在は東京・木場に母、次女、三女夫婦と孫、姪っ子、そして二匹の牝猫と暮らしている。近所に住む姉の不倫疑惑、競艇選手である長女の事故、母の徘徊などなど女たちが起こす事件に振り回され孤軍奮闘。そんなある日、私の前に運命の女性が現れた……。
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Posted by ブクログ
ひとつ屋根の下で沢山の家族が生活する、近所に親戚(一族郎党)が暮らしている・・・、昭和ではめずらしくなかったし、地方では今でもそうかもしれません。藤田宜永さんの家族小説「女系の総督」、2014.5刊行、2017.3文庫化、683頁の大作です。森川崇徳59歳、母、姉と妹、姪、(病死した妻)3人の娘、孫...続きを読む娘、更には猫の姉妹といった女系家族の中で孤軍奮闘しています。ハイテク機器に優るとも劣らない女性たちのネットワークに翻弄されながらも、家族ひとりひとりが抱える諸問題を根気よく解決していきます!いい物語でした!
▼藤田宜永さん、という小説家さんの本を初めて読みます。「ふじたよしなが」さんなんだそうです。ちょっと人に薦められて気軽に読みました。この「女系の総督」は、執筆当時(2000年くらいか)の現代劇。大家族と東京で暮らす超エリート&資産家の50台後半と思しき男性(数年前に妻を病で亡くした)が、家族(姉・母...続きを読む・娘など)や知人(恋人っぽくなる女性)などとにかく女性たちを相手に翻弄されたり恋したりする四季折々の日々を軽いタッチでつづった、<都会風俗恋愛&ホームドラマ、軽いコメディ>というところ。 もうちょっと踏み込んで備忘録的に書くと、 ・超一流大手じゃないけど多分それなりの知名度のある出版社の文芸部門担当の重役、が主人公。 (これだけで、なんだかんだとエリートレースを超勝ち抜いてきた人ということになるんですけれどね) ・親というか祖父が?下町で材木屋をやっていた(店員じゃなくて”旦那”)だから、都内に不動産がある。つまりはマンションを経営している。つまり、金持ちである。金持ちでエリートで大会社の重役(笑)。 ・と言う訳で舞台は都内で、江東区とか。 ・で、美人作家さんとか、イケてる医療コーディネーターとか、バツイチだったり、の、40台くらいの女性と恋愛する。 ・同時に、自分に心開かない長女(競艇の選手をやっている)と、なんとか打ち解けたいという悩みを抱えている。(大まかこれがメイン題材で、これがちょっとイイ感じになるあたりで終わる) ・ほか、母や姉や妹や、次女三女にもそれぞれ悩みがある。 ▼意外とありそうでこの手のものは少ないです。難しいからでしょう。獅子文六さんがすぐに思い浮かびます。丸谷才一さんもちょっと似てますけれど、丸谷さんはもうちょっと<思想的理屈から逆算された物語>であることが多い。小津安二郎さんの晩年のカラー映画たちや、ウディ・アレンさんの一連の都会恋愛モノ、一部トリュフォーやロメールの映画にもそういうタッチがあります。なかなか難しいのは、「軽いコメディな味わい」ってあたりかと思います。その代わりこの手のものは、ある切り口で見れば、 ・金に不自由しない、勝ち組の連中が ・結局惚れたりはれたり人間関係をぐにぐにやるだけで ・俺の私のタマシイにはなんにもこんなの、刺さって来ない。 ・・・・という感想もあり得ます。だってまあ、それはその通りですから(笑)。 ▼フジタヨシナガさんという作家さんは、1950-2020(享年69)なんだそうで、日本からフランスに渡り、ミステリの翻訳をやったりあちこちで働いたりされたそう。そして1980年代~1990年代とミステリ・冒険小説などで作家になられ、2000年代くらいはどっちかっていうと恋愛小説のほうが多いかなみたいな活動をされた方だそうです。ナルホド、ふらんす映画、トリュフォーやロメールや、あるいはシムノン的な気の利いた都会の人間関係の機微、みたいなところが親和性ありそうですね。 ▼本全体に僕としては実は楽しかったんです。するすると読み終えてしまいました。なんだけど、まあこれは自分自身が50台の男性で都会生活しているからかしらん、とちょっと思ったり。全般に、作者さんは僕よりも上の世代、言ってみれば団塊というジェネレーションなので、実は細かいところに見え隠れする価値観がナチュラルに昭和(笑)。どこかで男性中心主義的。そこのところは、ちょっとざらついた感じはします。するけれど、読むこっちがオジサン年代なので、「まあ、許せる(男性には都合の良い方向だから)」 という読後感。 ▼職人技の都会小説なのだけど、人間関係や家族関係の、「ツボ」の押し方と、価値論的底意地の悪さみたいなものが、やや甘口。・・・だから、向田邦子さんの創作したいくつかの物語や文章が残るほどには、こっちは残らないんだろうなあ・・・とちょっとしみじみ。愉しく読んだ小説でした。
家族小説をなぜか続けて読んでしまう。 女系家族の家長。 女性に囲まれて育っただけあり、娘たちの対抗心なども上手に対処しながら問題事を解決していく。 男の人から見た女の人ってこんな感じかぁと、時々モヤモヤしながら読み進めた。
女が強い家族、という点で似ているためか、妙に感情移入して読む。設定が悉く類似し、かつ舞台も門仲あたりと土地勘あるところで、驚く。 このおっさんは、なんか妙に細かいなぁというのが第1の感想・・。後、大事件でなく、よくある光景を淡々と記述していくのが良い。
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