小説・文芸 - 光文社作品一覧
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-高校2年生の美島陸(みしまりく)は、何故かいつもの帰り道で迷子になった。いざなうような三毛猫についていくと、どこまでも続く階段に、不思議な姿をした神様が二人。その場所にたどり着けたことがすでに、奇跡の始まりだったのだ――。人を探したくて言葉を喋る猫、幸せを求めて後ろ足で立つ犬、家族のために、早熟な才能を得た小学生。そして陸が願った未来とは……!
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-1920年創刊の「新青年」は、江戸川乱歩をはじめ数多くの作家を輩出した名雑誌であり、初代編集長の森下雨村は日本の探偵小説の生みの親と称される。その雨村が作家として見出した小酒井不木も専門の医学研究に材をとった、すぐれた評論や小説を著し、現代ミステリーの源流となった。この両者の“遺産”ともいえる傑作長短編を収録した読み応え充分の一冊!
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-主人公は、自分の時間を明確に線引きしているが、夫婦でお気に入りのバーに行くのも楽しめるのです。 自分の時間とは、どの時間を指すのでしょう。「今日も海老フライの人」の主人公は、自分の時間がどこからどこまでかを明確に線引きしています。彼によると家と会社には自分の時間はありません。でも、休日に夫婦で過ごす時間も大事にしています。それぞれに家を持つのが理想と言いつつ、夫婦でお気に入りのバーに行くのも、また楽しめるのです。そんな彼のスタイルを否定することなく受け流す奥さんの絶妙な態度は、自分の時間だという会社帰りの夕食で、いつも海老フライを食べているという彼の真実を知っているからこそなのでしょう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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-3人の女性と出会った編集者。その中でアイディアを得たり、ある予感に包まれながら、夜の線路際へとたどり着く。 南長崎の線路脇、駅で言えば西武池袋線椎名町駅と東長崎駅の間で起こる出会いと再会の物語。若い女性マンガ家の仕事場に、本を作るための顔合わせに向かった男性編集者が、その母親がやっているコーヒー店へ向かい、そこに長居することで、思わぬ再会も果たします。3人の女性と次々に出会った編集者は、その中でアイディアを得たり、ある予感に包まれながら、夜の線路際へとたどり着きます。一冊の本を作るという仕事の発端が、転がるように物語を生み出し、編集者はそうなるのが当然だったかのように、すれ違う電車の音を聴くのです。 初出:「文學界」2014年9月号 底本:『ジャックはここで飲んでいる』2016年、文藝春秋 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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-京都で再開した兄妹。会話をしながら不思議な物語を書くことを思いつく。 一年以上も小説を書かないでいた男と、多忙で有能な妹。二人は京都で再会し、食事をしながら語り合います。御所南での買い物、四条で食べる葛切りなど、兄妹の会話ははずんでいきます。そのなかで男は、現実と虚構の混じった不思議な物語を書くことを思いつきます。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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-東京に住む二人の男。京都のスマート珈琲店で落合う。京都に用があるわけではなく、相談事のために。二人はそぞろに京都の町を徘徊しながら、のんびりと様々な話をする。会話はほんの少し、二人の生活を映し出す。 五十三歳の作家と四十一歳のライター、東京に住む二人の男が京都のスマート珈琲店で落ち合うところから物語は始まります。特に京都に用があるわけでもなく、ほんの少しの相談事のために会い、しかし、二人はそぞろに京都の町を徘徊しながら、のんびりと様々な話をします。作家は歩いている京の町の近くに実家のある校閲の女性の話をして、新婚のライターは偶々入った古書店の店主が、かつて取材した相手だったという話をします。二人の会話はほんの少し、二人の生活を映し出し、すっかり京都を堪能した二人は一緒に東京に帰るのです。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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3.8人が人を殺す理由は何なのか――。著者は世界中の危険地帯の取材を続ける中で、日本人の常識とは相容れない考え方に出会ってきた。仕事だから作業のように人を殺す、金持ちからは奪ってもよい、縄張りに入った奴はすべて排除する。そんな、教科書には決して載らない「危険思想」を体を張って体系化。悪いやつらの頭の中に迫る! 『クレイジージャーニー』(TBS系)で注目の危険地帯ジャーナリストによる決死の取材レポート。
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4.3新聞社の科学記者として科学を伝える仕事をしてきた著者は、2015年、科学の新たな地平を切り開いてきたアメリカで、特派員として心躍る科学取材を始めた。だが、そこで実感したのは、意外なほどに広がる「科学への不信」だった。全米各地での取材で、地球温暖化への根強い疑問や、信仰に基づく進化論への反発の声があちこちで聞かれた。その背景に何があるのか。先進各国に共通する「科学と社会を巡る不協和音」という課題を描く。
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3.5食の世界が今、激変してきている。分子調理、人工培養肉、完全食のソイレント、食のビッグデータ、インスタ映えする食事……。こうした技術や社会の影響を受けて、私たちの身体や心はどう変わっていくのだろうか。気鋭の分子調理学者が、アウストラロピテクスの誕生からSFが現実化する未来までを見据え、人間と食の密接なかかわりあいを描きだす。私たちがふだん何気なく食べているごはんには、壮大な物語が眠っている。
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3.0パワハラ上司から理不尽に責められ、現実逃避をするかのようにMMORPGにログインした主人公。ゲームの世界を楽しむはずが、気がつけば1,000人の見知らぬ人々と共に異世界に拉致されちゃった!? 与えられた特典でグローセ・ヘンドラーという新たな自分を手に入れ、チートスキル【通信販売】を使い商人を目指すことに。異世界ナビゲーターの美女インスや、オーガ族の美少女リーシア等ともに異世界生活をマイペースに楽しむけど……!?
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3.6「ヒキタさんの子どもの顔が見てみたい」35歳の妻が、何気なく言ったひと言で、45歳の作家は子どもを作る決心をした。排卵日を割り出すタイミング法を取り入れたが、一年あまり結果が出なかった。検査を受けると、精子の運動率が悪いと診断され……。そこから長い長い「懐妊トレーニング」の日々が始まった! 男性から見た不妊治療を綴ったドキュメント。
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4.0父が倒れたのをきっかけに富山県にある実家の「はなまる造園」を継いだ咲和(さわ)。東京育ちの咲和は雪国の勝手がわからず、年下の涼太(りょうた)に怒られる日々を過ごしていた。そんな中、小学校の花壇づくりの仕事を通して教員・朝倉(あさくら)と親しくなる。朝倉は近所の寺を一人で切り盛りする住職でもあり、その優しい人柄が、咲和の固くなった心を解かしていって――。
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-保守にあって改憲に反対した宮澤喜一や後藤田正晴、野中広務。「九条の会」呼びかけ人、澤地久枝・井上ひさし。『官僚たちの夏』の主人公・風越信吾のモデル、異色官僚・佐橋滋。少年兵として戦争を体験した城山三郎や「憲法を変えるなどもってのほか」と主張した宮崎駿監督、三國連太郎、美輪明宏、吉永小百合といった文化人、そしてアフガニスタンで井戸を掘りつづける医師・中村哲。 彼らがどう人生を生き、そして憲法を護りたいのか。著者だからこそ知り得たエピソードとともに紹介(本書は、光文社刊の単行本『この人たちの日本国憲法』に、新たに澤地久枝氏と井上ひさし氏の2章を増補した角川新書版です)。 [もくじ] 第1章 「九条の会」の孤塁を守る澤地久枝 第2章 井上ひさしは憲法をやさしくおもしろく語った 第3章 宮澤喜一の『新・護憲宣言』 第4章 「戦争で得たものは憲法だけだ」と呟いた城山三郎 第5章 “異色官僚”佐橋滋の非武装論 第6章 派兵反対に職を賭した後藤田正晴 第7章 野中広務の日本への遺言 第8章 徴兵を忌避しようとした三國連太郎 第9章 美輪明宏の「戦争は野暮の骨頂」 第10章 「憲法を変えるなどもってのほか」の宮崎駿 第11章 吉永小百合の平和への祈りと行動 第12章 アフガンを歩く日本国憲法、中村哲
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3.0大手不動産デベロッパーに勤務する新山里香(にいやまりか)は、「マンションの王子様」こと、佐野航(さのわたる)が全社No.1営業マンとして君臨するマンション販売営業部へ、想定外の異動を命じられる。彼の下で営業を始めるが、不倫の怪文書が出回ったり、ストーカーされたりと前途多難だ。新しい業務に悪戦苦闘しながらも成長していく里香の、真面目で天然なお仕事小説登場!
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-私は中学時代の林間学校のことを思い出していた。大人になった今でも、あの日の出来事を思い出すと、背中に冷たい水を落とされたような気分になってくる。二年生の夏休み、希望者だけを集めた二泊三日のサマーキャンプ。そこでクラス担任の薬師川先生が突然、「肝試しの代わりに、百物語をしましょう」と言い出したのだ……。 少女時代に体験した恐怖を思い起こす青春ホラー中編「林間学校の百物語」の他、短編3本を収録。“家族”をテーマにした電子オリジナルのホラー短編集。 *林間学校の百物語 *ながもち *濁るとき *居場所 ●松村比呂美(まつむら・ひろみ) 1956年福岡県生まれ。オール讀物推理小説新人賞最終候補作2作を含む『女たちの殺意』(新風舎)でデビュー。著書に『キリコはお金持ちになりたいの』(幻冬舎文庫)、『黒いシャッフル』『鈍色の家』(光文社文庫)、『終わらせ人』『恨み忘れじ』(角川ホラー文庫)などがある。また、電子オリジナル短編集に『ママさん探偵律子の事件簿』シリーズ、『拾われ地蔵』『果実の誤解』(アドレナライズ)などがある。
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-「教えてあげましょうか」と言ったあの時から、四半世紀後の言葉を読む 女と男の再会がある。25年ぶりだという。しかしそこにあるのは二人だけのストーリーではない。二人を仲介した共通の友人がいて、そして過去の二人の仲にかかわる、姿は見えないがもう一人の女性の存在がある。25年分の過去の蓄積はそのままその人自身だから、25年と25年がコツン、とぶつかる。カウンターで。コーヒーを飲みながら。 この短編の中で大きな割合を占める二人の会話は、復讐と和解とがまだら模様になったような、サスペンスとリラックスのストライプのような、それはやはり25年の歳月を経た大人たちの言葉なのだ。そしてピタリとキマるラストの1行に唸る。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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-27歳の雑誌ライターの青年の、天気予報では言わなかった不意の雨が結んだ二つの出会いを、季節の移り変わりとともに描いた短編小説。 27歳の雑誌ライターの青年の、天気予報では言わなかった不意の雨が結んだ二つの出会いを、季節の移り変わりとともに描いた短編小説。雨のベンチの前に立つ男に誘われて、漫画の原作を書くことになるライターの青年は、その出会いをきっかけに二人の女性と出会い、一年前の夏の出来事を思い出す。いつも二人前の餃子を食べる馴染の店。そこには、もう一つの雨の中の出会いがあり、心に掛かる小さな謎があった。 雨が降る街の中で、人は繋がったり、離れたり、意外な行動を取ったり、仕事になったり、この短い物語の中だけでも、様々に交錯する。雨が記憶を呼び覚まし、雨が出会いを演出するけれど、それもまた人生の断片の一つでしかない。読み終わると、一口餃子が食べたくなる、雨が降っていれば、尚更。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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-二人の男女を通して小説がどのようにして生まれるのか、その瞬間を描いた作品。 商店街の喫茶店に勤めるムンバイから来た青年トニーは、ライターの三浦に「イツモクルオンナノヒト」がさっき来たと伝えるところから始まる物語は、三浦の「イツモクルオンナノヒト」という言葉についての考察を経て、その当の「オンナノヒト」である仁美が小説を書くきっかけを作る。そして彼女が再び、その喫茶店を訪れた時、彼女の中に一つの物語が生まれる。この短編小説は、二人の男女を通して小説がどのようにして生まれるのか、その瞬間を描いた作品なのだ。しかも、その内容は、片岡義男流小説講座にもなっているという構造が見事。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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-少しづつ重なる人間関係と、その中で変化していく日々の暮らしのグラデーションを通じて描かれる、何かが始まる予感のようなもの。 喫茶店を残した母と、主人公である、その息子と従弟。息子と従弟と従弟の妻、閉店するバーのママとその友人と、喫茶店を継ぐ予定の主人公。3人で社会は構成され、その中の2人が物語を動かす。「浴衣とコロッケそして佃煮」は、3人の社会の中の2人が繋いでいく、カレーとコーヒーとコロッケと弁当と佃煮が食べたくなる物語だ。少しづつ重なる人間関係と、その中で変化していく日々の暮らしのグラデーションを通じて描かれる、何かが始まる予感のようなもの。短編小説だからこその、その微妙な空気の変化を感じてください。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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-逃げながら、しかし迂回していても、いつか問題には直面します。その逃げる過程がまた物語を生むのです。 「町で見つけた小さな謎」や「日本国内でのほんのちょっとした旅」といった連載を雑誌に書いている主人公。その「書く」という行為が日常になっている男の行動をそのまま物語にしたような作品です。何をするにも「考える→動く」というスタイルが習い性となっている「物書き」という職業についての物語と言ってもいいかも知れません。その生き方をまっとうするための、最も大切なことが「嫌なことからは逃げる」ことなのでしょう。逃げながら、しかし迂回していても、いつか問題には直面します。その逃げる過程がまた物語を生むのです。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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-居酒屋のメニューは、どこも同じようで、でも、そのメニューの中で差が生まれます。うまい居酒屋とそうでもない居酒屋は、そんな風にできあがります。 居酒屋のメニューは、どこも同じようで、でも、そのメニューの中で差が生まれます。うまい居酒屋とそうでもない居酒屋は、そんな風にできあがります。そして、うまい居酒屋には、自ずと人が集まります。お互いに失業し離婚した親友といっても良い二人の男性が飲んでいる時に、その片割れの旧知の女性たちがやってくるのも、うまい居酒屋としての必然でしょう。そのようにして、風景が変わっていく居酒屋の中で、このお話の主役ともなるフライドポテトが登場します。その鮮烈なイメージは、それまでの様々な話題を全て吹き飛ばして、最後に物語が残ります。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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