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注文の多い料理店
森に迷い込んだ青年たちがようやく見つけた「西洋料理店 山猫軒」。 そこでは客に対して次々と不可解な注文がつきつけられる。 従順に従う青年たちだったが、ついに――。 宮沢 賢治の有名な短編小説を美しいイラストで電子書籍化。 ●表紙イラストについて● 2015年 夏の代々木アニメーション学院 学内イラストコンクール 携帯小説表紙イラスト部門で 最優秀賞を受賞した応募作品を、ゴマブックスがタイアップし表紙に採用しました。 【著者プロフィール】 宮沢 賢治(みやざわ けんじ) 1896年 岩手県生まれ。盛岡高等農林学校(現・岩手大学農学部)に首席で進学し、稗貫農学校(のちに花巻農学校、現・花巻農業高等学校)教師や砕石工場技師などを経験。自然と郷土を愛する精神をうかがわせる詩的かつ叙情性の高い作品を多数、執筆。 1933年 肺炎により死去。 -
川柳句集 かつぶし
歌うように、弾むように、会話するように心に滑りこんでくるキング・オブ・ポップ川柳! 20代で川柳をはじめ現在、静岡たかね川柳会代表、(一社)全日本川柳協会常任幹事、葵川柳倶楽部代表等で活躍する川柳界の若きプリンス、待望の句集。序文・高瀬霜石、熊谷岳朗。 《ディスイズアペンさあ夢を綴ろうよ》 《十八の僕がハチ公前にいる》 《君はもう寝たかな窓の外は雪》 《笑うがいい最後に笑うのは俺だ》 《地下駐車場でB子と待ち合わせ》 《匿名の手紙チワワのように吠え》 《タイムイズマネー寂しい響きだな》 《妻よ子よ俺は負け組だよゴメン》 《沢ガニも君もそーっと掴まえる》 《めぐり遇おう今度生まれて来る時も》 -
泉鏡花 現代語訳集5 義血侠血
【あらすじ】 ある夏の日、馬丁とは見えない男の御す、高岡から石動へと向かう乗合馬車に、一人の怪しい美人が客となる。 そこへ普段から反目しあっている人力車が通りかかって、両者は自然相争う形となり、これがもとで御者は職を失ってしまう。 後日、夜更けに涼みに出たその女、実は滝の白糸という評判の水芸の太夫は、浅野川にかかる天神橋の上で先日の御者に出会い、男の身の上を聞いて彼の望みの実現を援助しようと申し出た。 こうして男は東京へ遊学したが、その学業の成就も近くなったとき、白糸は仕送りの金を強奪されてしまう。 悲嘆と絶望とに沈んで街をふらついているうち、見えざる手に導かれるように、今度は自らが強盗の加害者となり、殺人まで犯してしまった彼女は、数奇な巡り合わせにより参考人として裁判に出廷し、そこに思いもかけず先の御者の姿を見るのである。 -
泉鏡花 現代語訳集6 夜叉ヶ池
【あらすじ】 文学士山沢学円は、見物学問の帰り道、三国ヶ岳の麓で、行方不明となっていた親友の萩原と思わぬ再会をする。 萩原も一昨年、この山中にある夜叉ヶ池を見に来て、鐘撞き堂を守ってきた老人の死に遭遇し、さらに人間離れした美しさの娘、百合と出会ったことで、そこに隠れ住むことを決意したのであった。 その鐘は、昔夜叉ヶ池に封じ込められた竜神に、池から出ないという約束を守らせるため、一日に三度撞き鳴らすべきもので、一度でもこれを怠ると、たちまち大嵐が起こり、一帯は水の底に沈むと言い伝えられている。 この約束に縛られ、恋しい千蛇ヶ池の親王に会いに行くことのできない、現在の夜叉ヶ池の主、白雪姫は、自らの手で鐘を打ち壊そうとするが、従者たちの懸命な説得と、ふと聞こえてきた百合の子守唄により思いとどまる。 しかしその直後、旱魃に耐え切れなくなった村の者たちは、雨乞いの生贄とするため百合を捕らえにかかるとともに、萩原には鐘を撞く事を止めるよう迫ったのである。 -
泉鏡花 現代語訳集1 歌行燈
【あらすじ】 霜月十一月の月の冴えた夜、二人の老人が桑名の駅に降り立ち、宿屋へ向かう人力車の上から、博多節を唄って流す門付けらしい男の姿を目にする。 その男はうどん屋の暖簾をくぐり、そこで酒をあおりながら何故か頻りに按摩の笛を気にするのだった。 一方、宿に付いた二人は、土地の唄でも聞こうと芸者を呼ぶが、残っていたのは三味線も踊りもできない芸音痴。しかし、唯一つ何とか真似ができると始めた舞を見て、老人たちは驚愕する。 この芸者と、うどん屋で門付けの語る身の上話とが、縦糸・横糸となって美しく見事な物語の錦が織り成されていく。 -
泉鏡花 現代語訳集3 天守物語
【あらすじ】 晩秋のある夕暮れ、姫路城の天守閣に住む富姫のもとへ、猪苗代の亀姫が手毬をつきに遊びに来る。 亀姫が土産として持参したのは、姫路城主・武田播磨守の兄弟にあたる衛門之介の生首だった。 富姫は返礼として播磨守秘蔵の白鷹を誘い捕らえて贈るが、鷹匠・姫川図書之介は鷹を逃がした咎を受け、切腹の代わりに天守の探索を命じられる。 彼が優れた心をもっていることを知った富姫は、理不尽な主君に仕えることをやめて天守閣でともに暮らすよう勧めるが、図書之介は決心がつかず辞退。 しかし、地上へ戻った図書之介は、播磨守家中の者に追われる形で富姫の前へ再度立ち現れるのである。 -
泉鏡花 現代語訳集8 草迷宮
【あらすじ】 物心つく前の最後の記憶に残る、亡き母の唄っていた懐かしい手毬唄。 それについて思い出したのは、母とよく一緒に毬をついていた三人の娘のことである。 一人は既に亡くなり、一人は嫁いで会うことができず、もう一人は神隠しにあって行方が知れない。 唄への憧れが募り、その文句を求め、その娘を探して、諸国を旅して回っていた葉越は、ある夏、三浦半島秋谷を流れる小さな川で、五色の糸でかがられた美しい毬を拾う。 ちょうどそこに来合わせた爺に、その地で起こった不思議な話を聞いて、彼は黒門の別邸と呼ばれる曰くつきの屋敷の一間を借りることにした。 しばらく滞在して旅の疲れを休めたく、また、そこで自分の望みが叶うような気がしたからである。 街道の茶店で、爺に連れ添う婆から、やはり黒門での無残な出来事を聞き、浮かばれぬ人々の供養を頼まれた旅の僧が、その夜、明と二人、蚊帳の中に枕を並べていると、ぽたりーと何かがその枕元へ落ちてきた。 -
「清張」を乗る
日本における社会派推理小説の先駆けとなったベストセラー『点と線』が発表されたのが昭和32年から33年にかけて。その昭和33年は、現在の天皇・皇后両陛下のご婚約が発表されるなど、昭和史にとってエポックメーキングな年であった。また、高度経済成長のさまざまな明暗が現れはじめた年でもあった。本書は、当時の世相を反映した松本清張作品から、鉄道シーンを一挙に再読する試み。 岡村 直樹(おかむらなおき) 昭和23年東京生まれ。慶応義塾大学卒。ローカル紙記者などを経て旅行作家に。日本旅行作家協会会員。川の旅人。文学、歌謡、映画、民俗、歴史、絵画などの方面から川にアプローチして21年。全国109の一級水系すべてを踏破。現在は二級水系を歩いている。平成21年1月、弘文堂から講演集『自然と神道文化―海・山・川』(共著)を上梓。時代小説に描かれている旅のスタイルに注目した『旅する時代小説』も執筆中。おもな著書は『切り絵利根川の旅』『川の歳時記』『寅さん人生の伝言』『とっておきの里祭り』ほか。 ※電子書籍の仕様による紙版と異なる図版・表・写真の移動、本文中の参照指示の変更、ほか一部修正・訂正を行っている箇所があります。予めご了承ください。 -
P+D BOOKS 大洪水
中上健次、もう一つの遺作も初の電子化! 「路地」の解体時期に父親(浜村瀧造の朋輩・ヨシ兄)殺しに手を染め、「路地」から逃れた鉄男は、やはり夫・セキグチジュンを殺した女・セキグチマリと出会う。女は鉄男にそれまでと異なった衣装を着せ、ジュンと名付け、ジュンという<物語>を背負わせる。 マリが精神病院の患者同士として知り合った友人で、富豪の“太った女”水島エリは、鉄男を教祖とあがめる新興宗教に加わろうとし、道すがら出会った暴走族の首領の若者も、これまた鉄男の教祖としての雰囲気に惹かれていく。 そして、鉄男、マリ、エリ、暴走族の若者とその妹は、南の地・シンガポールへと向かうのだった……。 中上作品の中でも最もエンターテイメント色の濃い作品で、雑誌「SPA!」に連載中に未完のまま絶筆した。 -
別れぬ理由
現代の夫婦とは? 結婚して17年目を迎えた、速見修平と妻・房子。 お互いに愛人がいることがわかり、相手に対し、疑心暗鬼になり、揺れ動きつつも、紆余曲折を経て奇妙な安定期に入る。 夫婦の抱える問題を2人の心模様から見事に描き、テレビドラマ化、映画化もされた話題作。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
遠き落日
第14回吉川英治文学賞受賞作品! 人間・野口英世を余すことなく描き切った傑作長編伝記。 1876年、貧農の家に生まれた野口英世は、やけどによって左手の自由を失う。 しかし、驚異的な忍耐力で自らに降りかかるハンディ、偏見、蔑視などをはねのけ、やがて世界の注目を浴びるようになる。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
雲の階段
三郎は、島でただ一人の医者がいる診療所で助手を勤め、その手先の器用さを買われ、医師資格を持たない身ながら診療を行っていた。 所長が、島外へ出かけたあるとき、急患が運び込まれてくる。東京から友達と遊びに来ていた女子大生・亜希子だった。彼女の生命を助けるべく、意を決して、手術を敢行するが、一時、生命の危機にさらしてしまう……。 意図せず、偽医者を演じることになってしまった男を描き、テレビドラマ化もされた長編傑作。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
花埋み
日本最初の女医である、荻野吟子。テレビドラマ化、舞台化もされた渡辺作品の感動長編の一つ。 18歳で結婚した吟子は、夫からうつされた病気が原因で、子どもができない身体となってしまい、離縁されてしまいます。そして、その病気の治療に際し、異性に診察される恥ずかしさを感じた彼女は、同様な屈辱を感じる女性のためにも、医師になろうと志します。 まだ、女性が学問を究めることに対し、偏見や障害があった時代にそれらを乗り越え、道を切り拓いてきた一人の女性の波瀾にとんだ生涯を描いた感動の名作。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
あじさい日記
開業医の川嶋省吾は、美人の妻と2人の子どもに恵まれ、愛人とも順調にいっている。 しかし、ある日、偶然にも妻の日記を読んでしまったことから、少しずつ歯車が狂い始める。 妻はどこまで知っているのか? どうするのか? 妻の本当の目的は何なのか? やめたくてもやめられない日記の盗み読みに振り回される夫を通して夫婦のあり方を描く。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
孤舟
主人公の大谷威一郎は、大手広告代理店常務を務め、関連会社子会社の社長ポストの内示を蹴って、定年退職をする。定年退職後は、楽しい第二の人生が待ち構えているかと思いきや、家族に対しては相変わらず威張りちらし、「粗大ごみ」化してしまう。 当然、夫婦関係、親子関係がぎくしゃくしてしまい、飼い犬のコタロウが相手だけの時間を持て余す生活が続く。やがて、ひょんなことから若い女性と付き合いだし、人生が華やいでくるが……。 いずれ誰もが迎える定年退職後の生活を、どう過ごすか、問題を提起した考えさせられる傑作。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
冬の花火
昭和短歌界に颯爽と出現した中城ふみ子。 彼女の歌集『乳房喪失』は、歌集として異例のベストセラーとなる。 その美貌と才能に恵まれながらも、乳がんを患い、激しく生き抜き、31歳で夭折した女流歌人・中城ふみ子の評伝。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
麻酔
1時間ほどで終わる予定の、子宮筋腫の摘出手術を受けた妻・邦子だったが、麻酔のミスが原因で意識が戻らず、植物状態に陥ってしまう……。 医療過誤が原因となり、変わっていく夫婦の在り方、子どもたちとの絆・関係を描き、テレビドラマにもなった渡辺作品の名作。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
化身
巷で人気のある文芸評論家・秋葉大三郎。 ある日、銀座のクラブ「魔呑(マノン)」で働いている、若い霧子と出逢う。 純粋で初心な霧子に、女としての蕾を見出し、自らの理想の女性にしようと惜しみない愛を贈り、霧子もそれに応えるかのように変身をとげていく……。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
化粧
京都・祇園の料亭に生まれた、美しき三姉妹それぞれの生き様。 一番上の頼子は舞妓から転じて銀座のクラブのママになる。頼子には、舞妓時代、双子の鈴子が犯され、客の熊倉の子を身籠り自殺といった凄惨な過去があった。 二番目の里子は結婚し、老舗の若女将を務めている。 末の槇子は東京に出て自由奔放な大学生活を送っている――。 奥行のある渡辺文学の傑作。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
P+D BOOKS 熱風
中上健次、未完の遺作が初単行本化&電子化! 1個3億円のエメラルド3個を携え、ブラジルから来日したオリエントの康の遺児タケオは、新宿で「中本」の一統である“毒味男”や、オリュウノオバの甥っ子である“九階の怪人”と出会う。 “毒味男”の一味は、最初に地上げ屋の斎藤順一郎を焼き殺したが、彼らの周囲をGメンが嗅ぎ回り始めので、一味は共に紀州・新宮へ舞い戻る。そして、次の標的に土地の実力者・佐倉(この時、130歳近い年齢だが)を選ぶのだが……。 新たな抗争の予感を湛える長編。「千年の愉楽」の続編ともいえる未完作。「週刊ポスト」にて連載中に絶筆した。 -
泉鏡花 現代語訳集10 海神別荘
【あらすじ】 海底世界の公子は、さまざまな海の宝と引き換えに、貧しい漁師の美しい一人娘を妻として迎えることとなった。 案内の女官に海底へと導かれたその美女は、故郷を離れて嘆き悲しむのではないかという公子の懸念をよそに、彼の力と宮殿の壮麗さ、そこに満ち溢れる金銀宝玉を喜び、人間の世界へなど帰りたくはないと言う。 が、いまや自らの身を包むこの栄華、それは措くとしても、自分が海の底で生きていることだけは、どうしても故郷の人々に知らせたく、そのために一度陸へ戻らせて欲しい―と強く請うた。 それに対し、公子は「人は自分自身だけで生を生きなければならない。それに、ここに来た貴女は、もう人間ではない。」と宣告したのだった。 人々の目に、自分が蛇体に見えることを知った美女は悲泣し、どうか殺して欲しいと公子に願うのである。 -
化粧
さびれた芝居小屋の淋しい楽屋に、一人の女が座っている……。女の名前は五月洋子。大衆演劇「五月座」の女座長である。やがて客入れの始まる音が聞こえ、いよいよ初日幕開きの時刻が近づいてくる。洋子が舞台化粧を始めたその楽屋に、かつて彼女が捨てた息子だという人物が現れた――。捨てたのではない、ああするより他に仕方なかったのだ。わかっておくれ……。洋子の語る物語に、観客は幻惑されていく。井上ひさし初の一人芝居にして、一人芝居というジャンルの中でも最高峰と讃えられる傑作中の傑作戯曲。併せて松尾芭蕉の生涯を描く、歌仙仕立ての名作『芭蕉通夜舟』も収録。モノローグの至芸を味わえる戯曲集。 -
紫式部日記解読 天才作家の心を覗く
道長の要請によって書かれたとされる紫式部日記。中宮彰子の出産や、華やかな行事にあふれた宮廷を描写しているようにも思える日記だが、著者はそこにたぐいまれな人間観察の筆致を見る。たとえば皇子誕生の祝いの場で、一見くったくなくたわむれているようであっても心中穏やかでない人たちを描く紫式部の洞察力が見逃すことはなく、馬鹿な男、立派な男をどのようなことで判断しているかも教えてくれる。また、有名な清少納言への批評は、彰子の周囲はこうあってはならぬという道長への密かな具申と解釈すべきと考え、単なる個人的な評価だという考えを退ける。 読み進めるうちに、紫式部は女性たちにどう生きることを望んだのかが私たちにわかってくる。日記文学の解読を通して、現代にも通じる女性の生き方を指南する画期的な書。 -
小説家という生き方
人はいかにして小説家になるか、をさぐる画期的な作家論。村上龍、村上春樹らの現代作家から、団鬼六、三島由紀夫、川上宗薫、川端康成、江戸川乱歩をへて、泉鏡花、夏目漱石、森鴎外まで。平成から明治へ時間をさかのぼりながら、新しい角度から日本の大作家たちの生き様を検討していきます。あわせて、これを読まずに死んだらせっかく生まれてきた甲斐が半減するという珠玉の小説作品を厳選し、実体験に基づき愛をもって解説。既成の文学評価を根底からくつがえし、あなたの読書体験を次の次元へと誘う禁断の文芸評論。 -
徒然草
後悔せずに生きるには、毎日をどう過ごせばよいか。「思索する読書人」兼好が自由な心で書き綴った珠玉の随筆。独創的な断章スタイルは精神の運動を活発にさせ、生きられる時間の短さに警鐘を打ち鳴らす記述と、柔軟でユーモアに富む記述とを自在に往還する。明晰な言語感覚と、全方位に開かれた視界。この世の全てを相対化し、虚無の陥穽から身を翻す兼好。そこから新しい『徒然草』の顔が見えてくる。振舞いと心遺いが文化の本質であり、いまを生きる喜びこそが虚無をも越える最良の手段なのだ。混迷する現代にあって、大人ゆえにいま味わえる人生の達人の文学を、流麗な訳文と新校訂原文で構成。