ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
明治四十三年、朝日新聞に入社した漱石が職業作家として書いた第一作。我意と虚栄をつらぬくためには全てを犠牲にして悔ゆることを知らぬ女藤尾に超俗の哲学者甲野、道義の人宗近らを配してこのヒロインの自滅の悲劇を絢爛たる文体で描く。漱石は俳句を一句々々連らねていくように文章に苦心したという。 (解説・注 桶谷秀昭)
ブラウザ試し読み
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
エンターテイメント小説として非常に面白く、なんといっても会話文の巧さがこの若者たちの群像劇を瑞々しく魅力的なものへと引き立てている。 冒頭の甲野さんと宗近君の登山における和気藹々なやり取り、続く第2幕の小野さんと藤尾の只ならぬ男女の仲を匂わせる会話の応酬を立て続けに読んだら最後、ぐっと物語に引き寄...続きを読むせられてしまった。 活き活きとした会話文とは対照的な漢語下し調の地の文は、その装飾的に過ぎる難しい表現に読み進めることを戸惑いもしたが、あまり拘泥せずに読み進めてゆくと、地の文を支配するリズムに虜となってしまうから不思議だ。
9/7 ああ、これが「文章」なんだな。 一文一文練りに練って書いた、というだけある。 朝日新聞入社後一本目の作品ということで、相当肩に力が入ってたんだろうなあ…まあ肩に力入れるだけでかける代物でもないけど。
兄弟ものが好きな私にとってなんかもう…バイブル?バイブルです!最初の山登りのシーンからベタ惚れです。
夏目漱石の、職業小説家としてのデビュー作。 朝日新聞に連載された作品です。 複雑な人間関係が描かれており、その人間関係の背後にはさまざまな思惑があります。 物語が進むにつれて、その糸が絡み合ってどんどんこじれていきます。 果たして最後はどうなるのか、単純にストーリーを追うだけでも面白い作品です。
中盤こえるくらいまでやたらと難しい言い回しがくどくどと続く印象。漢籍や西洋の書籍からの引用が多いとかそういう話ではない。解説で、正宗白鳥は今作を批判したと読んだが、わからんでもない。 しかし終盤になると俄かに展開が速まり、筋に重きを置いたからなのか、格段と読みやすくなった。小野さんが突如として「真面...続きを読む目」になったのには少し狐に摘まれた感じがしたが、宗近一の言葉はなるほど人を動かす熱さがある。思わずじんと来た。 これまでに漱石の作品は『吾輩は猫である』『坊っちゃん草枕』『彼岸過迄』『こゝろ』『明暗』を読んだが、どれもそれぞれに特徴があっておもしろい。向田邦子の文章も好きだが、あの人のは反対にどれを読んでも変わり映えしないので、その対比からなおさら作品によって表情の違うのが面白く感じた。 解説によると、正宗白鳥は今作を説教くさいというような趣旨で批判したらしい。正宗白鳥の作品は『入江のほとり』を岩波文庫で読んだくらいだが、割と好き。しかし正宗白鳥が批判する今作も別の味があってよい。どの作家も同じ文章書き始めたら世も末。あまんきみこじゃないが、みんな違ってみんないい。 莫邪路と干将路というのが蘇州市内にあり、どっかの将軍(干将)と悪玉の親分(莫邪)の故事でも引いているのかと当時思っていたが、なるほど干将は剣匠でその妻が莫邪というのかと今作の註釈を読んではじめて知った。
すごく面白い。地の文は漢文調で読みにくいけど、それでもぐいぐい読ませる。 虚栄と道義の対立、旧時代と新しい時代の相克、とかなんとかいろいろ読みはあるだろうけど、シンプルに「婚活小説」として読むのがいいと思う。見栄と打算と離層のせめぎ合いの中で、お互い探り合い位置どりする感じが、なんとも東京カレンダー...続きを読むのアレ的な下世話さでよい。 漱石ってほんとすごいよなあ。
「こういう危うい時に、生まれつきを叩き直しておかないと、生涯不安でしまうよ。いくら勉強しても、いくら学者になっても取り返しは付かない。此処だよ、小野さん、真面目になるのは。世の中に真面目は、どんなものか一生知らずに済んでしまう人間がいくらもある。皮だけで生きている人間は、土だけでできている人形とそ...続きを読むう違わない。真面目がなければだが、あるのに人形になるのは勿体ない。(中略)僕が平気なのは、学問のためでも、勉強のためでも、何でもない。時々真面目になるからさ。真面目になるほど、精神の存在を自覚する事はない。天地の前に自分が現存しているという観念は、真面目になって始めて得られる自覚だ。真面目とはね、君、真剣勝負の意味だよ。遣っ付ける意味だよ。遣っ付けなくっちゃいられない意味だよ。人間全体が活動する意味だよ。口が巧者に働いたり、手が小器用に働いたりするのは、いくら働いたって真面目じゃない。頭の中を遺憾なく世の中へ敲きつけて始めて真面目になった気持ちになる。安心する。実を言うとぼくの妹も昨日真面目になった。甲野も昨日真面目になった。僕は昨日も、今日も真面目だ。君もこの際一度真面目になれ。人一人真面目になると当人が助かるばかりじゃない。世の中が助かる。―――どうだね、小野さん、僕のいう事は分からないかね」(p367) おそらく、漱石はこの一文に辿り着くために虞美人草を書いた。勧善懲悪小説は旧世界の古くさいイデオロギーに過ぎない。したがってつまらない小説である。つまり説教臭くて嫌だという批判もあっただろう。しかし、それでもあえて、伝えなければ世の中がヤバいことになるという切迫感が、焦燥があったことは明白である。
小野は一旦は打算で藤雄さんと結婚しようとするが、それを翻し恩師の娘である小夜子と結婚する はめに至る。死を選ばざるえなかった、「藤尾の死」は如何に理解するべきか。 こころにも通じる主題であるが、主人公の何気ない日常生活に含む言動の中に、 人を殺すエネルギーが内包されていることを、現代人はもう一...続きを読む度改まって 考えるべきではないだろうか
まず際立っているのが文章の難解さ。地の文が凄まじいまでの美文であり、知らない単語が怒涛のように押し寄せる(私が無知なだけですね)。漢文や故事の素養を下地にした表現も多用されており、ページを捲るたびに自分の無学をひしひしと感じる・・・。 でも、そこがよいのです。読み進むうちに絢爛豪華な文体を味わうのが...続きを読む癖になる。彫琢された文章ってこういうことを言うのね、と思う。 それになんといっても漱石作品は会話が面白い。藤尾と小野の恋の駆け引き、甲野と宗近の気心の知れた友人同士のおしゃべりなど、気の利いたやりとりが素敵。 さて、肝心の物語だが・・・ 筋書きだけ見ると、まあ、メロドラマである。あらすじを言ってしまえば一言だ。それをここまで読ませるのはさすが漱石といった所か。終盤の展開が急すぎてびっくりしたけど。 登場人物の性格もはっきりしており(悪く言えば類型的?)、娯楽小説として心置きなく楽しめる。 お気に入りは超俗の哲学者甲野さん。宗近君もラストで道義を語るところでちょっと見なおした。真面目になります。
前置きが長くて、メインの話が何か分かるのにかなり時間がかかりました。夏目先生の作品は男同士のやり取りが多いイメージがあったので、女同士の駆け引きを見られたのは少し新鮮でした。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
虞美人草
新刊情報をお知らせします。
夏目漱石
フォロー機能について
「岩波文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
漫画 こころ
こころ
試し読み
吾輩は猫である
三四郎
坊っちゃん
行人
「夏目漱石」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲虞美人草 ページトップヘ