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鎌倉の海岸で、学生だった私は一人の男性と出会った。不思議な魅力を持つその人は、“先生”と呼んで慕う私になかなか心を開いてくれず、謎のような言葉で惑わせる。やがてある日、私のもとに分厚い手紙が届いたとき、先生はもはやこの世の人ではなかった。遺された手紙から明らかになる先生の人生の悲劇――それは親友とともに一人の女性に恋をしたときから始まったのだった。
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Posted by ブクログ
今読んでも居たたまれない気持ちになる小説である。中盤のお嬢さんがKとの間で、いわくありげに笑うのに戸惑い嫉妬する先生の下りなどは、自分でも読んでいてお腹の裏がヒリヒリと熱く痛んだ。本格的に文学に触れる前、夏目漱石といえば「吾輩は猫である」や「坊っちゃん」、「三四郎」のイメージだったから、初めてコレを...続きを読む読んだ時はその現代性に驚いたのを覚えている。“一途”という言葉には、純粋さやひたむきさを示すと同時に反面、頑なさや融通の利かなさを表す両側面の意味があるが、自分は先生やKという人物にソレを強く感じた。
100年以上前の作品にもかかわらず、非常に読みやすかった。 今も昔も、愛や恋、人に対する考え方は変わらないように感じた一方、その度合いは昔の人と今の人とで大きく違うように観じた。 判りやすく言えば、昔の人は一途であり、今の人は軽快。どちらが善い悪いではない。どちらも一長一短だあり、行き過ぎてはど...続きを読むちらも悪になる。 「エゴ」と「幸せ」について、考えさせられる本でした。
良すぎました。これは何度か読み直したい作品です。高校だったか、国語の教科書に一部が載っていたような、載っていなかったような、当時文学にまるで興味のなかった私にはうる覚えなのですが、四十手前にして、最初から最後まで読み、感銘を受けました。お札になるのも納得です。 タイトルのとおり、人の心情の動きを上...続きを読む手にとらえ、描写しているように思いました。後半の先生からの手紙からが特によく、童貞非モテ男が恋をした時、嫉妬の炎に身を焦がした時に感じることを巧みな表現で描いていて、あたかも自分の青春時代が蘇ってくるような感覚を覚えました。 また、漱石が今の日本語の礎をつくったのだと思うのですが、とにかく一文一文が美しかったと思います。一文は短くシンプルなのですが、無駄なく、洗練された文の連続体であったように思います。 「然し君、恋は罪悪ですよ」 美しい。
教科書でしか知らなかったので読みました。迫真の心理描写と圧倒的に緻密な心の機敏が書かれており夏目漱石の文章能力にひたすら驚嘆されます。100年前のものとは思えない、現代にも通じるすごい本だと思ったし、夏目漱石がお札に描かれるのも納得だなと思わされました。映像化ができないと言われているのもそりゃそうだ...続きを読むと思います。 たぶん日本で一番有名な三角関係を主題とした小説なので、例え話で引用される頻度も高く、教養としても読む価値が大いにあると思います。浅い感想ですみません。
改めて、すごいものを読んだ… こころをしっかりと読んだのは初めて! 自分の語彙力で語れるような作品ではないので、書かないけれども、これは人生の必読書。特に若いうちに読んだら響くよ…
ひたすらに構成がわかりやすく感じた。 先生の手紙で明かされる過去、その手紙まで持っていくストーリー展開も良い。 余韻に浸れる作品でした。
まず他人を信じなくなる訳を書き、そして自分を信用しなくなる経緯を書き、先生が自殺しなければならない理由を読者によく説明した。一人の内心の葛藤を最果てまで曝露し、しかも拵えを全く感じさせない文学作品はどれぐらいあるだろう。明治が終われようとする時代背景もこの作品の重さを増している。 中盤、父の重体に陥...続きを読むっている間、「私」が先生の遺書を受け取り、父か先生かという二者択一の問題に臨む部分が特に絶妙であるだけに、汽車で先生の遺書を読んだ後の「私」の感想、それからの行動や現在の思考など、一切書かれていないことが遺憾だ。(あるいはそもそも書けないかもしれないが)
高校の時に全部読みはしたが、教科書に載っていた部分、Kが登場する場面しかまともに覚えていなかった。当時は、先生の人間らしさが印象的だった。再読した今も、考えすぎる性格によって苦しんだり、人間不信のまま人と関わったりする様子が特に共感できた。 ただ、上と中の「私」が語り手である部分では、私自身も先生...続きを読むが(人間らしさとは別の点で)魅力的な人物に見え、「私」のように惹かれていった。先生の人生に影を落とした過去や、そうした過去から厭世的であったり人間を信じられずにいたりする点、懊悩に苦しみつつも「私」や妻に過去や内面を見せない点が、彼のわからなさや矛盾がそう感じた理由だと思う。 Kが自殺した理由について、のちに先生は、恋愛と修行との葛藤や失恋だけではなく、「私のようにたった一人で淋しくって仕方がなくなった結果」ではないかと考える。人の内面はそもそも伝えようとしない限り伝わらず、それが他人に正確に理解されるかどうかも怪しいし、正しいかどうかは本人にしかわからないため証明しようがない。つまるところ人は他人と関わりつつも一人で生きていくしかないのではないか。自分自身の内面、心とはどのように向き合うべきなのか。 逆に言えば、一人じゃないと感じられるのは、自分の内面を晒してもいいと思える人がいて、相手にそれを受け入れてもらえる時なのかなと考えた。そう思える人や思ってくれる人がいたらいいなと思うし、そんな関係を大切にしたい。
一般的には語り手、先生、Kの関係性が注目されるのかと思うが、個人的にはそれ以上に、近代日本の社会構造とその問題点をこの時点で描ききっていることに驚かされた。地方の若者が進学で地元を離れ、郷里の人々とは意識の差が広がっていく。この延長線上に、現在の東京一極集中と地方の空洞化の問題はある。もう「こころ」...続きを読むの後に、小説が書くべき重要な問題は何も残されていないのではないか、「こころ」がすべて書き尽くしたのではないかと茫然とした。夏目漱石が近代日本文学を代表する存在である理由が、この一冊で納得できる。直球ど真ん中の名作。
学生時代、教科書や読解問題などで触れたことはあったが、読める自信がなくずっと手にしていなかった 夏目漱石。 さすがこれが日本の文豪の作品なのか。 人間のこころの動き、感情の表現がすごい。 読めて良かった。
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