【感想・ネタバレ】こころのレビュー

あらすじ

鎌倉の海岸で、学生だった私は一人の男性と出会った。不思議な魅力を持つその人は、“先生”と呼んで慕う私になかなか心を開いてくれず、謎のような言葉で惑わせる。やがてある日、私のもとに分厚い手紙が届いたとき、先生はもはやこの世の人ではなかった。遺された手紙から明らかになる先生の人生の悲劇――それは親友とともに一人の女性に恋をしたときから始まったのだった。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

【Audibleにて】
 本当に面白かった!!!今から100年以上前に書かれたとは思えない読みやすい作品で、初めはのんびりと作業しながらAudibleで聞いていたのですが、Kが出てきたあたりから作業中以外でも続きが気になって聞いていました。
 教科書に載っている作品だとなかなかフランクに手を出しづらい作品かもしれませんが、ぜひ若い人でも、たくさんの人に手を取ってもらいたいなと思う不朽の名作です。

0
2025年12月21日

Posted by ブクログ

前半はゆるりとした感じで、何が面白いのかなかなか分からなかったが、後半で一気に動き出す。
描写が非常に丁寧。先生の過去についても、普遍的な恋愛ベタのあるあるで、共感できるところも多々あった。
本屋に今でも置かれて読まれ続けている意味がよく分かった。
自分が20代のときにこれを読んだらどう思ったかな。

0
2025年12月08日

Posted by ブクログ

高校生の頃、教科書に載っていたので読んだことがあったが、全編を通して読んだのは今回が初めて。
大人になった今読んだからなのか、全編通して読んだからなのか、当時とはまた違った印象を抱いた。
当時は行動の背景や意味がイマイチ理解できず入り込めなかったが、今回は自らを重ねて読むことができた。
さらに人生経験を重ねてから読むとまた違った感じ方をするかも。
是非とも20年後くらいに再読したい。

0
2025年12月05日

Posted by ブクログ

何度読んでも名作。
Kの「ただ苦しい」という心境も、先生の嫉妬や、進むべきか止まるべきか揺れ続ける姿も、若さゆえの「私」の未熟な考え方も、登場人物すべてに共感が持てる素晴らしい作品だと思う。
繊細で、物事を深く考えすぎてしまう先生。
初めて読んだ頃はあまり印象に残らなかったけれど、時代背景もあるし、先生自身の性質もあって、天皇の死に大きく影響を受けたのも本当に彼らしいと感じた。

先生の遺書には胸を抉られるほどの共感があり、ストイックなKと揺れ動く先生との空気が、とても鮮明に立ち上がってくる。
そして、Kの自殺の場面は何度読んでも圧巻。

0
2025年11月29日

Posted by ブクログ

夢中になって読んだ高校生のころ。授業中にこっそり読んで、どっかシーンでは保健室に行って大泣きした思い出。読書好きになるきっかけをくれた本。
また読み返したい!

0
2025年10月31日

Posted by ブクログ

教科書に載っていて、面白かったので本を買って読んでみました。
文章がとても読みやすくてネガティブな思考が自分と重なる部分がありました。
他の夏目漱石作品も読みたいです。

0
2025年10月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読んだのは高校の授業以来で、全文通して読んだのは初めてだった。Kが最終的にどうなるかを知りながら読んでいたので、前半のKの死と先生の罪を匂わせるような文章は「あーKのことねなるほどね」と理解しながら読めて新しいおもしろさがあった。漱石の思想が言葉として深く反映されていて、ずっしりとこころに残る文章が多かった。個人的には「馴れれば馴れる程、親しみが増すだけで、恋の神経はだんだん麻痺してくるだけです。」という言葉が1番響いた。

0
2025年10月20日

Posted by ブクログ

今更ながら、読んでみた。小学生の頃に国語の授業で読んだきりです。全てを読んだのは初めてでしたが、とてもよかった。語彙力が乏しくてもどかしいながらも、夏目の文体をマネしたくなるくらいには影響を受けました。自分の好きな文章鳥羽なんだろうと考えていたが、少し答えが出た気がします。形容詞の使い方や修飾の仕方が上手い文章が好きです。人間の暗い部分を覗いたような感覚であった。

0
2025年09月13日

Posted by ブクログ

高校生の頃の先生が、この先恋愛が出来なくなるからまだ君たちは読んでは駄目だと言っていた理由が、歳を重ねるにつれて徐々に分かってきたような気がする

0
2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「恋は罪悪ですよ、よござんすか。そうして神聖なものですよ」

「自由と独立と己れとに充ちた現代に生れた我々は、その犠牲としてみんなにこの淋しみを味わわなくてはならないでしょう」



自由と独立の明治の時代、その裏で人々は孤独でもあった。私も先生もKも奥さんもお嬢さんも家族を失い孤独な身であった。
Kの自殺は、単なる失恋でもなく、といって現実と理想の衝突というだけでもなく、人間の孤独を感じたからではないだろうか。先生が叔父に謀られていたと気づいた時と同じように。
傷ついた本人が最もその寂しさを理解しているはずなのに、それでも先生はKを裏切ってしまった。そこで先生は「自分もあの叔父と同じ人間である」ということを悟った。利己心に任せると、人間は人間を簡単に裏切る。その人間の"こころ"こそが、個人を超えて、人間という生き物が持つ「罪」であると気づいた。そのことに先生は絶望したのだと思う。

0
2025年09月28日

Posted by ブクログ

高校生の時に授業で習って以来、
たまにふと読みたくなり何度か読み返している。
初めて読んだ時も心にズシンときた。
先生、K、御嬢さん誰の気持ちになってみても辛い。

Kが死んでしまうのが分かってるから、なんで早くKに言わないんだよ…!この段階でKとちゃんと話していればなにか違ったかも!とか思ってしまうよ。
焦ってお嬢さんを手に入れようとする様子やお嬢さんとの結婚が決まったことをKになかなか言わない気持ち、Kが自分宛に遺した手紙に奥さんや御嬢さんが軽蔑するような内容が書かれていないことに安心する様子などは、うわーずるい人…と思いつつもとても人間らしい。
時間が経つにつれてどんどん苦しくなっていく先生を感じるのがしんどい。死んだ積もりで生きるなんて人生なんて…。
手紙ではなく、『私』と直接会ってこの話をしたら私はどんな反応をしたのだろう。時間が経ったらまた読みたいと思う。

0
2025年10月12日

Posted by ブクログ

どす黒くてどうしようもないこの心は、
自分だけが持っているものじゃないんだってことを教えてくれた。
明るい内容じゃないのに、心が救われる。

人間みんな、そんなもの
そう割り切って生きていこうって
諦めとはまた違う勇気を貰える物語。

この小説に出逢えて本当に良かった。


0
2025年09月08日

Posted by ブクログ

12,3歳の頃 年上のきょうだいの教科書で初めて読み、
その後初めて手にした純文学小説。

ライトノベルも純文学も、
いろんな本を
買って読んで売って
としている中
この本だけはいつもどうしてだか手元に残る。

他の本も読み返すこともあるけれど
それ以上に この本は何度となく読み返してしまってる。

10代 10代半ば
20代前後…

その時々の読み返す時点で
みえるものも 読める部分も 感じることも
ぐるっと変わって 毎度微妙に違う物語を読んでいるような心地になる。

友情 恋愛 .. 大きく見えやすいテーマはその2点のはずなのに
それらよりもずっと底深い何かが息を潜めて居る気がする。

きっとこの先も この本を手離せずに
何度となく 折りに触れて
読み返してしまうのだと思う。

0
2025年12月05日

日本近代文学の傑作

誰しもが読んだことのある傑作。
三章仕立てのこの小説は、前半で先生との出会い、中盤で父との関係、終盤で先生の過去を描いている。読者にとって最も謎なのは、先生の自殺の原因だろう。彼は何に悩み、なぜ「僕」にだけ過去を明かして自殺したのか。
どうやらこの謎に、多くの批評家や小説家が挑んだらしい(この記事を参考にした:https://naruhoudou.com/kokoroisun/)。名だたる批評家が挑んだこの謎を一般読者が解くのは難しいと言わざるを得ないが、だからこそ挑む価値があるとも言える。何故なら、結局誰にもわからないのだから。

0
2023年03月30日

Posted by ブクログ

この年になり、ようやくはじめて読みました。夏目漱石さんの「こころ」
年内に読み終えれてまずはよかったです。

3部から構成され、
明治という時代に、「先生」を慕う「私」と先生が出会うところから始まり、交流を深めていく中で〝なぜ先生は毎月雑司が谷のお墓にお墓参りしているのだろう〟と、〝それは誰のお墓なのだろう〟と、私が疑問に思うところから物語が始まっていきます。

親と子、喪失、裏切られ、故郷、孤独、立身、男とは、女とは、といった要素もありつつ、最大のヤマ場はやはり3部目の先生の語りであり、若かりし頃何があったのか、先生と友人Kとの間に何があったのか、という感じの本です。
明治という時代性
こうでなくてはならない、こう生きねばならない、そういうものが色濃く残っていて、Kに対しては特にそういうものを感じたけれど、先生に対しては、途中からうじうじウジウジ何考えとんねん

と、私は思ってしまった。

でも、読んで読者がイライラさせられるくらい、夏目漱石さんの文章や表現がうまかったのかもしれない。だから、名作なのか…

しかし当時の時代とはこんな感じなのかな
心の裡を語り合いましょうとはならなかったのだろうとも思う。 
夏目漱石さんが重い神経症であったことからか、先生もKもなかなか神経症器質な感じで、なんだかなあと。いやいや、自分で言うたんやんと、思いながらの読み終えでした。

先生は、お金に困っていないから、こううだうだウダウダ考えていられるんではないかとか…

お金に困ったら困ったでまた、良くない結果しか呼び寄せないのか…

まあ、エゴイズムを書いたという意味で名作なのか、これがずっと何十年も読みつがれていると思うとやはり何か引っかかるものを読者それぞれに呼び起こさせるのか、なんとも考えがまとまらないですが、どうも読み終えてこの世界をしばらく考えてしまうあたりがやはり名作なのかもしれない。

感想も長くなっちゃうし、まとまらないし。
1回は読めてみてよかったです。

令和においても男性と女性で感想は変わってくるのか、変わってこないのか、そういうことではないのか…


ここからは、本当にネタバレありです。



自分の見たくないところも、おぞましい欲望をもってしまったことも、相手にぶつけてしまったことも、なんもかんもが自分で、なんもかんもひっくるめて自分なんだと「覚悟」を決めて
「生きる」を選んでほしかったなあと思う

それが、「殉死」という言葉で美化されてしまう、オッケーにされてしまうのがこの「明治という時代」で、「明治という時代が終わる、終わった」ということなのか。

まあ、百年経っても読み継がれ、令和において高3の息子とも感想を話し合えるというのが、やっぱりすごい本だなと。
考察含め面白かったです。

0
2025年12月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 通読するのは2回目になるのかな?前回は確か高校生の時で、ご多分に漏れず教科書で読んで衝撃を受けて通読しようと思ったんだった。たしか。

「私」と「先生」、「若い頃の先生」と「K」の他に、本文に潜む「今の私」が過去の自分の目を通して「先生」をどう見ていたか、またその時の感情を今はどう思っているのかをうまく読み解けると解像度がもっと上がりそうだと思う。つまりこれは2回めが本番、の構図を持つ話だったんだな、と今更気づいた。さすがに高校生の時が初読だと「今回が2度めで本番」とは読めないので、近いうちに読み直したい。

 多分、若い頃の「私」は「先生」をとても大きな、あるいは完璧なもの、偶像化するような意識で捉えていて、それに「先生」は息詰まりをかんじていたんだろうな。だかこそ、自分の過去の卑怯さであったり、それに端を発した罪悪感であったり、弱さであったりを「私」に投げつけてこの世を去ったのは、一種の意趣返しでもあったのかもしれない。一番生々しくてどろどろした部分は、偶像とは対局にあるものだから。
 お前が尊敬していた男はこんなにみっともなく、小さい男なんだぞということをすべて開陳しつつ、その上で反論も説得も何もできないところに行ってしまうのだから、本当にこれは卑怯が過ぎる。

 しかし、そんな自分の中の闇の部分を「持っていけ、抱えていけ、自分が世界で一番気を遣っている妻には教えるな、お前だけだ」というのはなんという甘い毒か……!「私」はこれをもう一生抱えて生きていくしかない。
「私」の実父の話が並行して進む以上、これは「父性からの脱却あるいは独立」という青年期からの巣立ちの物語でもあるのだと思う。「今の私」がどういう状態にあるのか、過去の「私(=自分自身)」や「先生」をどう思っているのかが詳らかにされていないのでそこが見えにくいのだけれども、実父との別れ、心の「父」との別れを同時期に味わった「私」には大きな欠落が刻まれているんだろうなぁ……。

0
2025年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

美しい小説。圧巻である。
昔、教科書で読んだ時、その面白さに衝撃を覚えた。しかしなぜか全文は未だ読んだことがなかった。
兄が、最初の方はつまらないと言っていた。
たしかに、最初の方は長い。
しかし、最初の方の先生に対する俯瞰が、後半の内省と合わせて、先生という人物像を、あらわにしている。
エンタメ的にも面白い。
文章も美しい。
自意識も、繊細に書き上げられており、自分と重ね合わせながら読んだ。

264 つまり私は極めて高尚な愛の理論家だったのです。同時に尤も迂遠な愛の実際家だったのです。

281 精神的に向上心のないものは馬鹿だ

302 もう取り返しが付かないという黒い光が、私の未来を貫ぬいて、一瞬間に私の前に横わる全生涯を物凄く照らしました。

303 それでも私は私を忘れる事が出来ませんでした。

317然し腹の底では、世の中で自分が最も信愛しているたった一人の人間すら、自分を理解していないのかと思うと、悲しかったのです。理解させる手段があるのに、理解させる勇気が出せないのだと思うと益悲しかったのです。

0
2025年10月18日

Posted by ブクログ

久しぶりの夏目漱石、やっぱりとても良かったです。
美しいなぁと感じました。

特に読んでいて、襖を一枚隔ててそこにいる先生とKを思うと、心がヒリヒリして胸が痛い…

0
2025年10月05日

Posted by ブクログ

心の中を打ち明けてしまいたいけれど、打ち明けられない葛藤。大切な人が側にいるにも関わらず、自分は周囲の人が思うような人間ではないという、自己否定に先生は苦しむ。
先生やKのように、高潔であること、ありたいと望むことは人生をどこまでもハードにしてしまう。人間誰しも常に正しくいることは不可能に近い。思い上がるし、愚行もする。しかし、高潔な人にとっては、周囲には「そんなこと」と思われることでも、本人にとっては存在を揺るがす大問題になることがある。私も自己否定に押しつぶされんばかりの夜があるが、この作品のように、突っ走ってしまうと、周りを不幸にするぞと思い出したい。

Kにしても、先生にしても、上から人を見るような様子があるが、それに気付いているか気付いていないか、表に出すか出さないかの違いだけで、実際は人間皆そうなのではないだろうか。男が女を侮り、女が男を侮る。親が子を、子が親を、日本人が外国人を、外国人が日本人を、、、、。そうやって自分だってあらゆる人を侮るし、侮られるということが分かっていたら、変に他人の目線を恐れたり、目くじらを立てる必要がないことが分かる。
また、あたかも表向きは仏のように装う人でも、胸の内は葛藤や嫉妬、自惚れや不信に苦しむことがあるのだと思うと、救われたような心持ちになる。また、そのことを責め立てることは、自分を省みる冷静さがなく、愚かなことであるように思う。が、それもまた人間、、、
自分を含め人間ってそんなもんだよね、と、どこか完璧でない部分を面白がるくらいが丁度いいのかもしれない。だだ、みんなそうだからという言い逃れの道や開き直りを与えるのではなく、ものの道理や美徳を知りつつも、時にやらかしてしまう自分や他者をしょうがないなぁの目線で見つめていきたい。

夏目漱石のこころは、先生の告白までの道程が焦ったく、すらすらと読める作品ではないのかもしれない。しかし、何度も読むたびに、人生の訓戒や人間に対する深い洞察が得られる作品のように思う。

0
2025年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

はじめて夏目漱石の作品を読みました(教科書で読んだことはある気がするが記憶がない…)
自分自身、卑怯者だなと思うことも多く生きてきたので、先生と遺書編はグサグサ刺さりました。
どうすればこの罪を償うことができたんだろうと考えたり、償えると思うこと自体がまた卑怯であるという地獄の無限ループに陥り、めちゃくちゃ暗い気持ちになった。
遺書を書いて私に打ち明けることで、少しでも楽になりたかったのかな。
罪を告白しても、誰かに謝っても、心の陰は消えないんだろうなー、と共感したり、辛くなったり、どうにもできない気持ちでしんどかった!

あと遺書ながっ!

0
2025年09月24日

Posted by ブクログ

この小説は繊細な心を持った人間の心の葛藤を描いた小説。

上と下の2つの章に分かれていて上では私が先生と出会ってからの日々が私目線で描かれる。
下では先生が自身が抱えていた暗い過去について曝け出す手紙の構成になっている。

この小説を読む前は三角関係が描かれる作品であるというざっくりとした内容しか知らなかった。
お金と恋愛を通して自分を含めた人間についての哀しい結論を出した暗い内容の話だったように感じる。

厭世的な価値観を持った先生が形成された過去が明るみになる展開は読み応えがあった。
この小説を読んで特に印象に残った場面は、最初に家族から慕われており絶大な信頼を抱いていた叔父が金目当てで親切にされたことを知り人を信頼することができなくなった。
その後、自分自身も損得勘定なしで親切にしていた親友Kを裏切ってしまったことで自分を含めて人間を信用することができなくなってしまった場面です。
犯罪者が子供の頃から犯罪者になると思っていないように、自分が嫌悪していた対象に何かの拍子で自分自身が当事者になってしまう危険を孕んでいるという怖さを感じた作品でした。

また、「人間として負けたのだ」というセリフがすごく印象的だった。
僕自身も余裕のないときは自分のことしか考えられずに相手のことを慮ることが難しく感じる瞬間がある。
相手を打ちまかそうとしているときは、相手のことを考えているようで自分がよく見られたいや打ち負かすことで自分が優位になった気持ちになりたい悦に浸りたいという傲慢さがあると思う。
相手のことを気にして相手に勝つことをずっと考えていたけれど相手は全く気にしていなかった時などに感じる自分と相手の心の広さの差を痛感する感じ。

0
2025年09月17日

Posted by ブクログ

高校時代に現代国語の授業で読んで以来、そして、全編を初めて読んだ。

結局、Kが自殺した理由は誰にも分からなかった。
きっとどれだけ考えても、正解は分からない。

私と先生との出会い、そして関係性が変化していく様子もそれなりに面白かったけど、先生とK、先生と娘、先生と娘の関係性を読んでいた方が面白い

ただ、手紙であの莫大な内容を書いていたのは現実的にありえねぇだろ、とツッコミだけはしたい。

そして、切ない。とにかく、恋が切ない。
まさに三角関係。
今も昔も、人間関係において恋愛が障壁となることは多いんだなぁ、と感じた。
三角関係を経験したことがあるからこそ共感できる先生の心情や言動がたくさんあった。

恋って切ない!先生と娘は幸せになれるんだろうか。

0
2025年09月13日

Posted by ブクログ

なんかもうやるせない。やるせないわ〜!というのが最後の最後まで読んでまず出た感想。
全部先生が書いた、先生から見えた記憶の話だけど(前半は「私」が書いた、「私」から見た世界)、先生はなんか、自分のせいだと思う方がずっと楽ではあったんだろうな。もう関係ないと思えるほど、図太くも潔くもなく。
いやーやるせないわ…じわじわ泣けるわ…

0
2025年08月12日

Posted by ブクログ

高校生の時に読んで、何十年ぶりかで再読。人間に必ずある心の闇、その裏にあるストーリーと心情の描写が凄い

0
2025年08月10日

Posted by ブクログ

人間は本来悪人ではないという理念を前提においた先生が金で人間が変わってしまう事を経験しておきながら自ら忌み嫌っていた人間の信頼を先生自身が金と、今度は人間の愛において全く同じ事象で先生自身の利己のために人を欺いてしまうことが印象的だった。
自身の善のでkを同居させておきながらお嬢様への愛がために欺いて善と利己が葛藤する様を見るのが辛かった。
そもそもkを同居させるなよ!って思った。純愛関係が複雑になるって絶対思った。

0
2025年08月07日

Posted by ブクログ

呑気と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする。『吾輩は猫である』1906

智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ。『草枕』1906

愛嬌は自分より強いものを斃(たお)す柔らかい武器であり、不愛想は自分より弱いものを扱き使う鋭利な武器である。『虞美人草ぐびじんそう』1907

僕の存在には貴方が必要だ。どうしても必要だ。『それから』1909

冷酷に見えた父も、心の底には自分以上に熱い涙を貯えていたと考えると、父のかたみとして、彼の悪い上皮だけを覚えているのが、子として如何にも情けない心持がする。『彼岸過迄』1912

君は山を呼び寄せる男だ。呼び寄せて来ないと怒る男だ。地団駄を踏んでくやしがる男だ。そうして山を悪く批判する事だけを考える男だ。なぜ山の方へ歩いて行かない。『行人こうじん』1913

鋳型に入れたような悪人は世の中にいない。平生は善人で普通の人間が、急に悪人に変わる▼私は淋しい人間です。私は淋しい人間ですが、ことによると貴方も淋しい人間じゃないですか。自由と独立と己れとに充ちた現代に生まれた我々は、その犠牲としてみんなこの淋しみを味はわなくてはならない。『こころ』 1914

わざわざ人の嫌がるようなことを云ったり、したりする。そうでもしなければ僕の存在を人に認めさせる事が出来ない。仕方がないからせめて人に嫌われてでもみようと思う。『明暗』1916

夏目漱石

********

政夫。15歳。年上の民子(17歳)に恋。民子さんは野菊のように可憐で気品のある人。しかし、民子は別の男のもとに嫁ぎ、流産して亡くなる。亡くなったとき、手には政夫からの手紙と写真が握られていた。政夫は民子の墓の周りに野菊を植える。伊藤左千夫1906

「学んだことがない」と「学んだことがあるけど忘れた」は違う。むしろ忘れた後に本当の学問の効果が残る。内田百聞ひゃっけん

もし我々に死がなかったら生の倦怠をどうしようか。死こそは実に我々に恵まれた甘露である。とはいえ、私もまた生の執着をもっている。ただ執着である。愛ではない。中勘助『しづかな流』

悲観しているから厭世というのは浅薄(せんぱく)である。倉田百三『愛と認識との出発』

0
2025年12月01日

購入済み

夏目漱石「こころ」に触れ

朝日新聞で100年ぶりに連載されたことをかなりたってから知った。
明治時代の大学生、勿論家庭もそれなりに裕福であろう。しかし、どうしてもその時代の大学生は、自分の生きざま、思想に陶酔しているように感じてしまう。
文学者であれ、芸術家であれ自分は特別な存在として身を置いているようだ。
それが、現代の若者と似ても似つくさない、ある意味とても魅力的に写る時代背景、ロマンを感じることができる。
明治、大正の堅物であるが故の純粋な恋心が伝わる。

0
2014年07月14日

Posted by ブクログ

3章かけて先生の過去である、先生と遺書、まで至るが、その割に物語が収束せず結論も出ない。主人公が新たな人生を歩むでもなく、先生のその後が描かれるでもなく、突然に物語が終わる。
恋愛と金銭に悩まされながら、鬱陶しさを感じるくらい自分の心情を語るこの本から、何を読み取れば良いのか、読書感想文の題材によく取り上げられる割にかなり難しい文章です。

0
2025年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1ヶ月ほど読むのにかかった。昔の小説は読むのに時間がかかる。表現の仕方、古語を理解するのに時間がかかるし、一つ表現するのに十かかるくらい丁寧に書かれているからだろうか。こころは特に先生の手紙に重点を置いていた。夏目漱石自身、その先生に心を通わせたのだろうと思う。愛情と友情、金銭欲、人間の心の部分に深く迫る作品だった。金の為に自分を利用しようとした経験を持つ先生が愛情の為に友を自殺にまで追い込んでしまう。心優しい先生は、自分のせいだと自分を戒めた。その罪悪感を誰にも伝えられず、私という新たな人物との繋がりから先生を見せる事により、読者に想像を膨らませる書き方は素晴らしい。芥川もそうだが、昔の偉大な小説家は感受性が豊かで優しい。そして自分を限りなく客観的に見ることができる人たちだと感じた。その為、自分のフィクションの世界のキャラにも自分を重ね、深く入り込んでしまう。優しい人ほど辛い。そんな彼らが書いてきたものこそが人生そのものだと消化して今に繋げ自分を支える一部になっているのだから美しい。私は先生の弱い部分も強い部分の気持ちもよく分かるし、人間の善と悪の頭と体の矛盾は誰しもが経験しているから想像に容易い。しかし、重すぎた。友人の死により、手に入れた妻だからこそ打ち明けられずに1人抱え込んで生きながらえる辛さは計り知れない。死は償いでもあり逃げでもあるし、妻にとっての苦しみでもある。逃げ場のない先生の葛藤を手紙で知った私はどうするのだろう。そこまでで書くのを辞めた夏目漱石の意図はなんだったのだろう。私には生きていて欲しいと願う。妻には伝わらないで欲しいとも。

0
2025年10月05日

Posted by ブクログ

男性は女性よりも傷つきやすく、繊細なのかもしれません。

下宿先の奥さんの強さには、頭が下がります。あの事件直後でも冷静に対処した姿は素晴らしいのですが、全てを察していたのではないか(男性2人の心境)と思います。

お金で、恋愛で翻弄される先生の人生が切ない‥。
お嬢さんとKが一緒にいる嫉妬心など、細やかな文章形成で先生の心境が手にとるようです。

「男の嫉妬心は女の比ではない」の一文を思い出しました。

0
2025年08月11日

Posted by ブクログ

親友を欺いて自分の都合を最優先したことを悔やみいつまでもその呪縛の念に絡め取られていた。誰かに自分のした事を打ち明けたかったのだろう。相当な苦しみを味わっできたことがよくわかった。どんな落とし所になるのかとページを進めたが、なんと言うのか、文学というのは内面を追及して読者にそれを訴えるものなのかなあ。親友の自死の理由はこれだけではなく他にもあると思う。この事が実行の背中を押してしまったのでは無いか?それはもう一回読めばわかるのか?あるいは文章中には無いのか?あれば著者の凄さが際立つかも。必竟、死ぬほど愛してしまった事が大きな要因なのか?これはミステリーとは違うので後味もかなり違う。別のタイトルももっと読んで行きたい。

0
2025年08月07日

Posted by ブクログ

「私」は寂しげな影のある「先生」と親しくなり家に足繁く通うようになった。「私」は父が余命幾許もないと知り帰省したが、そこには自殺を仄めかす「先生」の手紙が届く。 文豪夏目漱石の最後の作品です。時は明治末期、明治天皇崩御による乃木希典切腹事件の世相に触れつつ、明治という時代の終わりにある「先生」の罪が淡々と書かれています。少しづつ読んでいきましたが、日本一読まれている小説なだけあって、大正の時に書かれたとは思えないくらい読みやすいです。

0
2025年12月21日

「小説」ランキング