【感想・ネタバレ】こころのレビュー

あらすじ

鎌倉の海岸で、学生だった私は一人の男性と出会った。不思議な魅力を持つその人は、“先生”と呼んで慕う私になかなか心を開いてくれず、謎のような言葉で惑わせる。やがてある日、私のもとに分厚い手紙が届いたとき、先生はもはやこの世の人ではなかった。遺された手紙から明らかになる先生の人生の悲劇――それは親友とともに一人の女性に恋をしたときから始まったのだった。

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Posted by ブクログ

さすがとしか言いようがない。
読みやすく、心理描写が深く、惹きつけられる。
特に「先生と遺書」のK登場からの後半は、ぐいぐい引っ張られ、先が気になってしかたなかった。

何十年も前に一度読んだことがあったから、読み進めていくうちに結末を思い出しはしたけど、その時よりもさらに素晴らしさが理解できた。

これは再読の価値ありです。

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2026年07月16日

Posted by ブクログ

タイトル通り人間のこころと向き合うような内容です。

展開としては単純なのに、なぜこうも名作と言われるのか。
恋愛沙汰で自殺するなんて。
と初めて読んだ学生のころはよく分かりませんでした。

歳を重ねて改めて読み返してみると心理描写がとても丁寧で、どんどん自分の中にも黒い影が渦巻いてくるようでした。
自分に正直であること、人に正直であることの難しさを感じました。

大正の頃の小説なので、今とは男女の価値観が違い、女性の立場からだと理不尽に思うところもありました。
現代では使われない漢字や表現も多いので、全てが理解出来たかと言われれば難しいのですが、再読を重ねるとまた新たな感想が出てきそうです。

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2026年06月26日

Posted by ブクログ

久々に読んで読後にため息。
つらつらと読んでいるだけで、淡々と進む細かい描写で解像度上がりすぎ。追体験してるようで心が忙しい。
大まかなストーリーはそこまで意外ではないと思うのですが、そのせいか登場人物の心情により入っていきやすかったのかな。
「サラッとあらすじを教えて」と言われたら、私の説明ではきっと「どこが名作なの?」となると思います。

ここまで緻密にやってくれるからこそ、それぞれの言動の背景までキッチリ理解したうえで迎えるこの展開。特に先生の遺書の章は胃がキリキリしそうでした。
あーもーこれ以上は!と、ズッシリ重くなりきって「ハァー」と終わりました。

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2026年06月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ウン十年振りの再読。当時は先生と遺書が好みだったが、何十年とたった今は圧倒的に先生と私が好みだった。私が考察する先生のこころに潜むものの描き方がとてもよかった。

先生と遺書のラストが、先生が死んだ後でも妻が生きている以上は、すべてをあなた(=私)腹の中にしまっておいてくださいの一文で終わる。これを読んだ瞬間に「私よ、直ちにその約束を破れ、律儀に先生との約束など果たさず、直ぐに誰かに告げてしまえ。そうでなくては次はきみが死ぬぞ」と思った。私には生きてほしい。

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2026年06月05日

Posted by ブクログ

高校の教科書に抜粋で載っていました。当時、退屈な古典の授業中に、違うページに載っていた『こころ』の抜粋を、先生の話しを聴かずに読みました。その時に、これはとんでもないことが書かれている、人の内面に深く入り込んだ小説だと思いました。教科書には抜粋だけでしたので、その日のうちに書店で単行本を購入して一気に読みました。
当時の衝撃は忘れられません。傑作です。

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2026年04月24日

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知ってはいたけど内容までは詳しく知らなかった為、読んでみた。
人間模様、先生の罪悪感、Kの考え、複雑でとりあえず活字が難しかった…けれど読んでよかったと思っている。

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2026年04月10日

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ネタバレ

先生はいったい何を考えていたのか
Kはどうして死んだのか
私はどうすればよかったのか

そんなことを考えさせられる小説だった。

先生と私の会話はいつみても距離があったように感じる、その距離は近づくこともあるけれど、近づいた分だけ遠ざかる。
先生が過去を少し吐露したあの日が最も近づいた日だろうが、それ以降先生は彼にやはり必要以上に近づこうとはしていなかった。
しかし、これは私だけでなく奥さんにもそうであった。奥さんがお嬢さんになったその日から、先生はきっと今のように過ごしてきたに違いない。そんなことを考えると奥さんには気の毒でしょうがない。
しかし、それ以上に先生が気の毒で哀れでしょうがない。Kが死んだのが先生のせいなのかは定かではないし、Kも先生をここまで苦しめるつもりが当たったのだろうかと思う。
自分なりの意見だが、先生はKの死についてここまで苦しむ必要はなかったように思う。それは彼自身のためにも、奥さんのためにも。
最後、先生は私に手紙を送っている。先生は死ぬ覚悟ができたらしい。しかし、なぜこの時期なのか。死の間際にしっかりと約束を守る先生であるが、私の父が死の間際にいる中で、どうしてさらに追い打ちをかけることができるのだろうか。
もしかすると、この小説で最も哀れで狂気的なのは先生なのかもしれない。

先生はどうしてこうなっていったのだろうか

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2026年03月31日

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説明の必要もない、夏目漱石の代表作。
「先生」が自殺した。先生の遺書には先生と友人Kとの過去のやり取りが書かれていた。

高校生の時教科書で読んで、一部だけだったから他の部分が気になって、本屋に買いに行って一気読みした。それを今回読み直した。

基本私は夏目漱石の明るい話が好きなんだけど、やっぱり「こころ」は名作だ。まず読ませられてしまうストーリー。そして美しい文体。最後には今も人の心に迫る、人類の普遍的悩みを描いたところ。

この話は疑問が次々湧き上がってくる。なぜKは自殺した?お嬢さんは誰が好きだった?先生とKが直接対決してたらどうなってた?先生やKの生い立ちとその後の人生もしっかりリンクしててもうため息しか出ない。すごすぎる。

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2026年03月22日

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傑作。間違いなく自分の人生観に影響を与えている作品の1つ。漱石の明治の皮相上滑りである急進的な改革への批判が作品に如実に描かれている点が面白い。いろいろな解釈の仕方があるようで、いろいろな楽しみ方をもたらしてくれる。

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2026年03月02日

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夏目漱石の代表作にして、個人的にも、高校生の頃くらいより大人になってからも、最も繰り返し読んだ小説。
小説を読む楽しさを本当の意味で知ったといっても過言ではない作品。記憶に残しておきたい多くのフレーズがある。

作者は、明治から大正初期を代表する作家であるが、いまもなお、非常に読みやすい。

全体は
私から見た先生→私と両親→先生の遺書
の3部構成であり、最後が中心。
前半は、後半に向けていくつもの伏線が見事にはりめぐらされている。

前期三部作の雰囲気とはガラッと変わる。
内容は、友人であるKの自殺により、それを抱え、人生が変わってしまった先生の孤独、淋しさ、ある種の人間への不信が見事に描かれている。
「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」のフレーズは何度読んでも印象的。
「襖に迸っている血潮を始めてみたのです。」という、Kの亡くなった後の描写も忘れられない。

まさに、先生の「こころ」は、英国から帰国した作者の「こころ」をあらわしているのであろう。

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2026年02月18日

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ネタバレ

まず思ったのは、こんなに長い手紙ある?でした。

なんとも言えない後味の悪さは、先生の犯した罪を妻に言わないのは、一貫して妻に翳りを宿したくないから、でした。
でも、真実を伝える勇気がないのを、妻を汚したくないから、にすり替えてるように思えました。

Kはどこまで考えて死に至ったのか。
死ぬ直前までは、友人の裏切りによって、どんな人間も信じることはできないという絶望からで、だけど絶命の瞬間には、友人に一生の呪いをかけることができる、と思ったのではと感じました。

主人公の私は、父の大変な時にそれを上回る告白を受けて大丈夫か?と思いますが、私は若さゆえのしなやかさを感じるので大きく乗り越えていける予感はします。

また、私が夏目漱石の文章の中でも特に好きなのは、たった数行で心情や情景がガラリと変えることができるところです。
この本でいうと、
・植木屋で日が暮れ始めるところ
・卒業に対する病身の父の思いを聞いた後の主人公の心変わり
・下宿先で一見して床に飾ってある花や琴が、そこの娘の存在を感じたところで厭ではなくなった心境

とりあえず軍鶏鍋食べたい。
あとは小石川散歩したい。

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2026年02月18日

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遺書まではめっちゃ面白かった。
自己肯定感や覚悟がない人の文章読むのはしんどくなる。自分もそっち側の人間だと思ってるから。
Kの潔さや生き様がカッコ良すぎる。日本男児感じた。多分Kは長男。
2人とも違う世界で仲良くしてて欲しい。
語り継がれる作品だなぁ。と思った。

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2026年02月15日

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美しい代表的な日本文学 今まで古典はどうも読む気が起きなかったが、好きなアーティストが好きな本でこれを紹介していて、初めて読んでみた。深い。深い。人間の闇と悪、それに向き合う苦しみを美しい日本語の表記で、とても質の良い日本文学であることに納得。何度も読み返すことで、作者の意図・思いにやっと近づけるのかな、と思う。まずは作品の表層部分で衝撃を受け、二度三度読むことで作品をより深く堪能することができるだろう。ただそれには、こちらの人間としての深みが必要なんだろうけれど。

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2026年03月14日

日本近代文学の傑作

誰しもが読んだことのある傑作。
三章仕立てのこの小説は、前半で先生との出会い、中盤で父との関係、終盤で先生の過去を描いている。読者にとって最も謎なのは、先生の自殺の原因だろう。彼は何に悩み、なぜ「僕」にだけ過去を明かして自殺したのか。
どうやらこの謎に、多くの批評家や小説家が挑んだらしい(この記事を参考にした:https://naruhoudou.com/kokoroisun/)。名だたる批評家が挑んだこの謎を一般読者が解くのは難しいと言わざるを得ないが、だからこそ挑む価値があるとも言える。何故なら、結局誰にもわからないのだから。

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2023年03月30日

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高校生の時、下巻だけ教科書に載っていて、なんか気になるから上巻と中間も青空文庫で読んだ記憶。恋愛はいつの時代も普遍的なテーマだなぁ。

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2026年07月13日

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中学の朝読書の時間に読んで以来の再読。

​改めて読むと、先生は誰にも弱みを見せられず、本音を語れない人だと感じる。
そしてその不器用さのしわ寄せは、いつも周囲の人間へと向かっていく。

青年が緊迫した状況の真っただ中にいるにもかかわらず、自分の苦しみを優先して重い秘密を託してしまう先生の行動は、身勝手に感じてしまった。

先生には切実な思いがあったのはわかる。
それでも、あの状況に置かれた青年の気持ちを思うと、私ならそんなことはとてもできない。
思えば、かつて周囲の気持ちを置き去りにして、自分の思いを通そうとした先生の姿と、その本質は変わっていないように思う。

そう感じたのは、最近の自分の出来事も影響しているのかもしれない。あの状況であのような手紙を託されることは、私にはあまりにも酷なことに思えた。

書かれていない部分を読者に委ねるからこそ、読む年齢や経験によって、まったく違う『こころ』が見えてくる作品だと思う。

今の私には、先生の苦悩よりも、先生の生き方によって翻弄される人たちの姿のほうが心に残った。
Audibleにて。

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2026年07月10日

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日本文学史で最高傑作の一つに数えられる本作。
高校生の時に読んだ以来、久しぶりに再読。

大きな物語がある訳では無いが、先生が自殺するに至った背景や心理、お嬢さんとの関係、Kとの関係、奥さんとの関係など、常に切迫感を持って読み手に迫ってくる感じがした。

自分の望むものを手に入れたいがために、生活を助けたいと望んだ友人の心情を、冷静にかつ慎重に言葉を選びながら仕留める。
そして、そこから続く後悔や罪の意識。最愛の妻にはそれを告げないままこの世を去るエゴイズム。

読むタイミングや自分の状況により、読むポイントが違ってくるようだ。

あと、感じるのは現在と明治の死生観の違い。
今は新生児の死亡確率が低く、医療の発達もあり私たちにとって死は割と遠い存在である。
ただ、明治は現在よりも死亡率は高く、子供の頃に亡くなる人も今より多かった。

そんな中、明治の人々にとって、生きることはすなわち死ぬことと隣合わせであり、どう生きるかはどう死ぬかと近しい意味があったのでは無いか。
そんなことを考えさせられた。

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2026年06月30日

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教科書で読んだのはごく一部だったんだと気が付いた。全体を読んでみると、Kが出てくるのは最後の遺書のところで、教科書ではいきなり自殺してしまったので、何のことやら高校生には理解できなかった。今読んでもなぜ自殺しなければならなかったのか、よくわからない。女に振られたくらいで死にたくなるのかな。意外にも第1部の部分が楽しく読めた。文章は素晴らしく、本当に目の前に風景画広がるようだった。

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2026年06月25日

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夏目漱石前・後期各三部作のうちではやはり「こころ」が群を抜いて面白く、また、高校生の自分がなぜこれを読んでいたのかも何となく理解した。

正直、「こころ」以前の5作品は物語に大きく影響のないような風景もスケッチのように細々と描かれていて、少し退屈な部分もあるのだが、「こころ」はかなりドラマチックな作風。

「先生」というキャラクターのミステリアスさ、見え隠れする過去の謎、「先生」、「御嬢さん」、「K」という3人のスリリングな関係、そして後期三部作共通のテーマである「嫉妬」が暴発した結果もたらされる悲劇という、お話としての面白さ。

さらには、異性を好きになることの苦しさ、最愛の妻にさえ言えない秘密を抱えて生きることの孤独。

こうしたものがまだ感受性が豊かだった自分に響いたのだろうと思う。

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2026年06月17日

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平生は皆善人なんです、少なくともみんな普通の人間なんです。
それが、いざという間際に急に悪人に変るんだから恐ろしいのです。
だから、油断が出来ないんです。

先生の叔父は金のために悪人に変わった。
先生は愛のために悪人に変わった。
Kは...と考えてしまう。

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2026年06月09日

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人の心の葛藤と、移り変わりをじっくり書いたものだった。難しいと思ったけど、後半からかなり面白くなる。漢字の勉強にもなります。^_^

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2026年04月21日

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ネタバレ

倫理と愛、そして手段としての死の関係について深く考えさせられた。作中の愛が想像以上のパワーを持っていることが興味深かった。

会えるかどうかも分からない先生を案じて、父の死を看取る前に家を即座に飛び出した私は考えものだった、自分なら血縁関係を優先すると思う。

先生の遺書を読んで私の心がどのように変わったのか、父の最期に立ち会わなかっただけの価値があったのか、遺産問題はことなきを得たのかなどの遺書後の物語も気になった。

最初に私が先生に対して、どこかであったような気がするという感じていたが、ただの気のせいだったのだろうか。精神的な繋がりがあったってこと?

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2026年03月20日

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ネタバレ


こころ
著者| 夏目漱石
出版| 新潮社
発売日| 1952年 3月4日

「あの冷やかしのうちには、君が恋を求めながら得られないという深いの声がまじっていましょう」

ーーーー

夏目漱石は、自己否定感とエゴイズムの権化を作り出した。

自殺するを殉死とする。
殉死が自責の念からの解放手段として使えてしまった。

解説にあった、漱石の自己の葛藤に対しての自己制裁がえげつないと思った。

先生の死は殉死として書かれる。

主君主体ではない、近代日本の人に向けての批判に〈殉死〉が使われるのは、もう効力を示さない時代遅れな手法だと漱石はわかっていた。それでも、漱石は明治天皇の死に続いた乃木大将の殉死に感動した。ゆえに、殉死を書き、それを世間に否定させることで、漱石の殉死に感動してしまう自分を殺した。

自分に厳しいひとの、自分自身の手による自分への制裁は、その人を大切に思う人からしたら、とんでもないエゴイズムだ。

自殺だってエゴイズムの一つとも言われているように感じた。

エゴイズムになってる人の心境は、ほとんどその人本人にしかわからない。ひたすらにループする、自己否定、過去の映像、自己呵責、懺悔…

その他者には、わからない心境を事細かに描いた作品だとおもった。

もうひとつ心に残った言葉が以下。

「あの冷やかしのうちには、君が恋を求めながら得られないという深いの声がまじっていましょう

恋の満足を味わってる人はもっと暖かい声を出すものです。然し君。恋は罪悪ですよ。」

ドキッとする。

本当は欲しいと思ってるのに、自分が得られないから、得られないのではなく、得ないことにしてると思い込ませるための他者を下げる冷やかしによる、逃避。恋に限らず、この逃避を自覚して、素直に欲しがれようになったとき、前に進めるのだろう。

そして、恋は罪悪。

これを、友人を死においやった先生の口から出てくるのは相当な重みがある。

だれかを傷つけないでいられる、何も失わないでいられる恋は難しい。恋にはどうしてもエゴイズムが入ってくる。愛とのバランスが大切だと感じた。

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2026年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『人間が嫌い』というよりは、雁字搦めになった自分自身を先生は嫌いになってしまったように思いました。
恋愛に友情に家族に仕事に…明治から令和へと時代は確かに変わりましたが、人の悩みの根源は変わらないですね。
学生時代には気付けなかった、人間の業を勝手に覗いた気分です。

先生の遺書は本当に文章が綺麗ですが、手紙で書かれているため都合良く語られているようにも見て取れました。
もし「私」が「先生」の所へいち早く駆けつけ、口頭でこのお話を聞けていれば、先生はどのように語られたのだろうと考えずにはいられません。

一概に先生が悪い、Kが悪いとは思えませんが…最初から最後までエゴに付き合わされたお嬢さんが1番気の毒です。
でも、人間ってそう簡単に言い切れる程単純なものじゃない…いろいろありますよね…。

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

漱石の作品の中でもこの作品が1番好き。高校時代に1年かけて授業で読んで思い入れがあるためもあるかもしれないけれど。

漱石はどんなきっかけでこの作品を着想したのだろう。

この時代は不思議ではないことだったのかもしれないが、先祖の財産に頼って生きる「書生」という立場に興味が湧いた。自分で稼いだわけではないのに、その多い少ないで不満を言うのはどうかと思うが。

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2026年03月14日

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呑気と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする。『吾輩は猫である』1906

智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ。『草枕』1906

愛嬌は自分より強いものを斃(たお)す柔らかい武器であり、不愛想は自分より弱いものを扱き使う鋭利な武器である。『虞美人草ぐびじんそう』1907

僕の存在には貴方が必要だ。どうしても必要だ。『それから』1909

冷酷に見えた父も、心の底には自分以上に熱い涙を貯えていたと考えると、父のかたみとして、彼の悪い上皮だけを覚えているのが、子として如何にも情けない心持がする。『彼岸過迄』1912

君は山を呼び寄せる男だ。呼び寄せて来ないと怒る男だ。地団駄を踏んでくやしがる男だ。そうして山を悪く批判する事だけを考える男だ。なぜ山の方へ歩いて行かない。『行人こうじん』1913

鋳型に入れたような悪人は世の中にいない。平生は善人で普通の人間が、急に悪人に変わる▼私は淋しい人間です。私は淋しい人間ですが、ことによると貴方も淋しい人間じゃないですか。自由と独立と己れとに充ちた現代に生まれた我々は、その犠牲としてみんなこの淋しみを味はわなくてはならない。『こころ』 1914★4

わざわざ人の嫌がるようなことを云ったり、したりする。そうでもしなければ僕の存在を人に認めさせる事が出来ない。仕方がないからせめて人に嫌われてでもみようと思う。『明暗』1916

夏目漱石

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政夫。15歳。年上の民子(17歳)に恋。民子さんは野菊のように可憐で気品のある人。しかし、民子は別の男のもとに嫁ぎ、流産して亡くなる。亡くなったとき、手には政夫からの手紙と写真が握られていた。政夫は民子の墓の周りに野菊を植える。伊藤左千夫1906

「学んだことがない」と「学んだことがあるけど忘れた」は違う。むしろ忘れた後に本当の学問の効果が残る。内田百聞ひゃっけん

もし我々に死がなかったら生の倦怠をどうしようか。死こそは実に我々に恵まれた甘露である。とはいえ、私もまた生の執着をもっている。ただ執着である。愛ではない。中勘助『しづかな流』

悲観しているから厭世というのは浅薄(せんぱく)である。倉田百三『愛と認識との出発』

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2026年07月02日

購入済み

夏目漱石「こころ」に触れ

朝日新聞で100年ぶりに連載されたことをかなりたってから知った。
明治時代の大学生、勿論家庭もそれなりに裕福であろう。しかし、どうしてもその時代の大学生は、自分の生きざま、思想に陶酔しているように感じてしまう。
文学者であれ、芸術家であれ自分は特別な存在として身を置いているようだ。
それが、現代の若者と似ても似つくさない、ある意味とても魅力的に写る時代背景、ロマンを感じることができる。
明治、大正の堅物であるが故の純粋な恋心が伝わる。

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2014年07月14日

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男の嫉妬ほど醜いものはない。嫉妬からはじまり、命まで取られるのだから救われないお話である。内容の暗さからは想像できないほどに文章は読みやすい。書かれた時代を考えると、さらさらと読めるのには驚く。夏目漱石全集とまではいかなくても、メジャーな本はおさえよう。長い時代の洗礼を受けて尚、読み続けられる理由が確かにある。

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2026年05月25日

Posted by ブクログ

高校生の頃読んで以来、40年近く経って再読。今読み返すと良さがわかるなかな、と思いまして。
漱石の小説って、当時のエリート層が好んで読んだのかも知れませんが、そんなに名作なのかしら、という印象。
心理描写の文章力はすごいのかもしれませんが、そういうジャンルを作ったあるいは完成させたかもしれませんが、ドロドロしたエゴや自己嫌悪、気が滅入るわ。

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2026年07月12日

Posted by ブクログ

第三部は気になる展開でそそられた。

正直、国語の教科書抜粋部分がこの作品のピークであり、全部通しで読んだところで感動は大して変わらなかった。

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2026年05月28日

Posted by ブクログ

これはKの呪いなのか復讐なのか。折角貰い受けた生。苦しんで生きながらえるなど勿体無い。気楽に楽しく生きたいもんです。

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2026年04月09日

Posted by ブクログ

* 「東京と違って田舎はうるさいからね」
* 明治の時代も東京と地方で周囲の人間への介入の仕方に差異があったんだな。
* 人はそんなに変わらない生き物なのかもしれない。

* 嫉妬と独占欲
* 先生のKに対する気持ちが令和の今でも共感できる普遍的な人間の心の動きだった。
* 御嬢様の気持ちはどうだったんだろう。

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2026年03月22日

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