【感想・ネタバレ】こころのレビュー

あらすじ

鎌倉の海岸で、学生だった私は一人の男性と出会った。不思議な魅力を持つその人は、“先生”と呼んで慕う私になかなか心を開いてくれず、謎のような言葉で惑わせる。やがてある日、私のもとに分厚い手紙が届いたとき、先生はもはやこの世の人ではなかった。遺された手紙から明らかになる先生の人生の悲劇――それは親友とともに一人の女性に恋をしたときから始まったのだった。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読んだのは高校の授業以来で、全文通して読んだのは初めてだった。Kが最終的にどうなるかを知りながら読んでいたので、前半のKの死と先生の罪を匂わせるような文章は「あーKのことねなるほどね」と理解しながら読めて新しいおもしろさがあった。漱石の思想が言葉として深く反映されていて、ずっしりとこころに残る文章が多かった。個人的には「馴れれば馴れる程、親しみが増すだけで、恋の神経はだんだん麻痺してくるだけです。」という言葉が1番響いた。

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2025年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「恋は罪悪ですよ、よござんすか。そうして神聖なものですよ」

「自由と独立と己れとに充ちた現代に生れた我々は、その犠牲としてみんなにこの淋しみを味わわなくてはならないでしょう」



自由と独立の明治の時代、その裏で人々は孤独でもあった。私も先生もKも奥さんもお嬢さんも家族を失い孤独な身であった。
Kの自殺は、単なる失恋でもなく、といって現実と理想の衝突というだけでもなく、人間の孤独を感じたからではないだろうか。先生が叔父に謀られていたと気づいた時と同じように。
傷ついた本人が最もその寂しさを理解しているはずなのに、それでも先生はKを裏切ってしまった。そこで先生は「自分もあの叔父と同じ人間である」ということを悟った。利己心に任せると、人間は人間を簡単に裏切る。その人間の"こころ"こそが、個人を超えて、人間という生き物が持つ「罪」であると気づいた。そのことに先生は絶望したのだと思う。

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読んでよかった。
難しい言葉も出てくるけれど、勉強になった。

恋愛か友情かは、とても難しい問題。
矛盾するような感情で成り立ってるこころや気持ちはたくさんあるんだなと思った。

詳細を詳しく書きすぎず、読者に想像の余白を残しているのは、意図的か分からないけれど、作品に奥行きを持たせていると感じる。

小説内で共感できる部分を見つけると、時代を超えて気持ちを共有出来ている感じがして嬉しくなった。
また時間が経ったら読み返したい作品。

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2026年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

10年ぶりに読んだら面白くて一気に読み進めた。最後の内容はわかっていても先生のミステリアスな過去について惹き込まれるような文章表現から飽きずに読み進められた。
高校時代に読んだ時は恋で人はそんなに狂うのか?と懐疑的な感想だったが、今読むとKや先生の自殺する理由も一定の理解はできる。

・先生は自殺してしまった。Kを騙してまで手に入れたお嬢さんとの幸せな結婚生活かと思えば、その奥さんをみればKへの罪悪感から自分自身を追いつめてしまい、自殺することが自分にとって一番救われると感じてしまったのかもしれない。それは仕方のないことかもしれない。
・Kの「覚悟」とは何だったのか。学問に進む覚悟であれば自殺することとはリンクしない。やはりお嬢さんとの恋だったのか。そうであればなぜすぐに告白しなかったのか。Kはお嬢さんが先生を好いていることを知っていた?それとも知らないが、先生がお嬢さんを好いていることは分かっていたが、先生への恩や友情から何度か先生の本音を聞き出してから先生が告白しダメなら自分がアタックしようとしたのか?
・Kが自殺してしまったのは、道に外れお嬢さんへ恋をしてしまったこと、お嬢さんが手に入らないと分かったことも1つの理由であるがそれだけの単純な話とも思えない。お嬢さんが手に入らない悔しさの他にも、先生が友人として自分に本音を打ち明けてくれずに騙すようにしてお嬢さんを手に入れたことへの友情が失われた悲しみの方が実は大きかったのではないだろうか。
・先生がKにお嬢さんへの恋心を打ち明けられなかったのは自尊心から?先生はKが自分より先にお嬢さんへの恋心を薄情されたときに負けたと感じ悔しさ、ずる賢さからKを「精神的に向上心のないやつは馬鹿だ」と非難。そして婚約した後も自分からは打ち明けられず、また奥さんやお嬢さんを通して打ち明けることも、自分がずる賢い人間であることが周囲にばれてしまうことへの自尊心からできなかった。そしてKが自殺した直後もまずは遺書を確認して先生への非難などはないか確認する程人間が小さい。プライドが高いことへの注意となる。
・お嬢さんはKと先生、どちらに関心があったのだろうか。私は女心が分からないたちであるため、お嬢さんの態度は先生への嫉妬心をくすぶらせるために映り、こういう態度は先生同様に好ましくなくないように感じた。でも嫉妬心で狂わせられるような恋の気持ちがないと愛着心が沸くことは難しいのだろうか・・・。
・先生が私にだけ告白したのは、私が過去の経験から学びを得たいと懐深くに入ってきたから、最初は信用できなかったが私の真っ直ぐな姿勢から信用した。奥さんに打ち明けられなかったのは、奥さんを美しい穢れのないものとして大事にしており、それを汚すことだけはできなかった。Kの自殺のときも奥さんに見せなくてよかったと安心している。

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2026年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 通読するのは2回目になるのかな?前回は確か高校生の時で、ご多分に漏れず教科書で読んで衝撃を受けて通読しようと思ったんだった。たしか。

「私」と「先生」、「若い頃の先生」と「K」の他に、本文に潜む「今の私」が過去の自分の目を通して「先生」をどう見ていたか、またその時の感情を今はどう思っているのかをうまく読み解けると解像度がもっと上がりそうだと思う。つまりこれは2回めが本番、の構図を持つ話だったんだな、と今更気づいた。さすがに高校生の時が初読だと「今回が2度めで本番」とは読めないので、近いうちに読み直したい。

 多分、若い頃の「私」は「先生」をとても大きな、あるいは完璧なもの、偶像化するような意識で捉えていて、それに「先生」は息詰まりをかんじていたんだろうな。だかこそ、自分の過去の卑怯さであったり、それに端を発した罪悪感であったり、弱さであったりを「私」に投げつけてこの世を去ったのは、一種の意趣返しでもあったのかもしれない。一番生々しくてどろどろした部分は、偶像とは対局にあるものだから。
 お前が尊敬していた男はこんなにみっともなく、小さい男なんだぞということをすべて開陳しつつ、その上で反論も説得も何もできないところに行ってしまうのだから、本当にこれは卑怯が過ぎる。

 しかし、そんな自分の中の闇の部分を「持っていけ、抱えていけ、自分が世界で一番気を遣っている妻には教えるな、お前だけだ」というのはなんという甘い毒か……!「私」はこれをもう一生抱えて生きていくしかない。
「私」の実父の話が並行して進む以上、これは「父性からの脱却あるいは独立」という青年期からの巣立ちの物語でもあるのだと思う。「今の私」がどういう状態にあるのか、過去の「私(=自分自身)」や「先生」をどう思っているのかが詳らかにされていないのでそこが見えにくいのだけれども、実父との別れ、心の「父」との別れを同時期に味わった「私」には大きな欠落が刻まれているんだろうなぁ……。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

美しい小説。圧巻である。
昔、教科書で読んだ時、その面白さに衝撃を覚えた。しかしなぜか全文は未だ読んだことがなかった。
兄が、最初の方はつまらないと言っていた。
たしかに、最初の方は長い。
しかし、最初の方の先生に対する俯瞰が、後半の内省と合わせて、先生という人物像を、あらわにしている。
エンタメ的にも面白い。
文章も美しい。
自意識も、繊細に書き上げられており、自分と重ね合わせながら読んだ。

264 つまり私は極めて高尚な愛の理論家だったのです。同時に尤も迂遠な愛の実際家だったのです。

281 精神的に向上心のないものは馬鹿だ

302 もう取り返しが付かないという黒い光が、私の未来を貫ぬいて、一瞬間に私の前に横わる全生涯を物凄く照らしました。

303 それでも私は私を忘れる事が出来ませんでした。

317然し腹の底では、世の中で自分が最も信愛しているたった一人の人間すら、自分を理解していないのかと思うと、悲しかったのです。理解させる手段があるのに、理解させる勇気が出せないのだと思うと益悲しかったのです。

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2025年10月18日

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ネタバレ

はじめて夏目漱石の作品を読みました(教科書で読んだことはある気がするが記憶がない…)
自分自身、卑怯者だなと思うことも多く生きてきたので、先生と遺書編はグサグサ刺さりました。
どうすればこの罪を償うことができたんだろうと考えたり、償えると思うこと自体がまた卑怯であるという地獄の無限ループに陥り、めちゃくちゃ暗い気持ちになった。
遺書を書いて私に打ち明けることで、少しでも楽になりたかったのかな。
罪を告白しても、誰かに謝っても、心の陰は消えないんだろうなー、と共感したり、辛くなったり、どうにもできない気持ちでしんどかった!

あと遺書ながっ!

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1ヶ月ほど読むのにかかった。昔の小説は読むのに時間がかかる。表現の仕方、古語を理解するのに時間がかかるし、一つ表現するのに十かかるくらい丁寧に書かれているからだろうか。こころは特に先生の手紙に重点を置いていた。夏目漱石自身、その先生に心を通わせたのだろうと思う。愛情と友情、金銭欲、人間の心の部分に深く迫る作品だった。金の為に自分を利用しようとした経験を持つ先生が愛情の為に友を自殺にまで追い込んでしまう。心優しい先生は、自分のせいだと自分を戒めた。その罪悪感を誰にも伝えられず、私という新たな人物との繋がりから先生を見せる事により、読者に想像を膨らませる書き方は素晴らしい。芥川もそうだが、昔の偉大な小説家は感受性が豊かで優しい。そして自分を限りなく客観的に見ることができる人たちだと感じた。その為、自分のフィクションの世界のキャラにも自分を重ね、深く入り込んでしまう。優しい人ほど辛い。そんな彼らが書いてきたものこそが人生そのものだと消化して今に繋げ自分を支える一部になっているのだから美しい。私は先生の弱い部分も強い部分の気持ちもよく分かるし、人間の善と悪の頭と体の矛盾は誰しもが経験しているから想像に容易い。しかし、重すぎた。友人の死により、手に入れた妻だからこそ打ち明けられずに1人抱え込んで生きながらえる辛さは計り知れない。死は償いでもあり逃げでもあるし、妻にとっての苦しみでもある。逃げ場のない先生の葛藤を手紙で知った私はどうするのだろう。そこまでで書くのを辞めた夏目漱石の意図はなんだったのだろう。私には生きていて欲しいと願う。妻には伝わらないで欲しいとも。

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2025年10月05日

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