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吸血鬼は目を閉じ、十字を切った
美しい姿のまま永遠を生きる異端――吸血鬼。 彼らは“三つの禁忌”に従い、存在を隠し生き延びてきた。 吸血鬼を監視する非公開組織・INAPO(国際夜行性動物保護機関)に入ったヒバリは、美しい青年・シキョウと出会う。組織唯一の吸血鬼であるシキョウは、なぜか吸血鬼から迫害され、極端に他者との関わりを避けていた。 自殺した少女に遺された咬み痕、連続失踪事件――吸血鬼の関与を疑わせる事件を共に追ううち、ヒバリは過去の凄惨な事件に繋がるシキョウの秘密を知ることになり……。 美しき異端の監視官が紡ぐ、夜闇のミステリ。 【INAPO】 国際夜行性動物保護機関の略。表向きはフクロウなどの夜行性動物を保護することを目的とした保護団体だが、その実態は半世紀前に存在を確認されたヒト様生物――『吸血鬼』の保護・共生を目指し、監視を行う非公開の組織。 【シキョウ】 INAPOで監視官として働く、唯一の吸血鬼。寡黙で決して人に心を開こうとしない。齢は二百歳を超す。見た目によらず大食いで甘い飲み物が好き。 【ヒバリ】 行方不明の父を探しINAPOに入った女子大生。飾り気のない性格で、シキョウの相棒役に任命される。冷たく突き放すような言動のシキョウとは衝突をしてしまうが……。 -
幻国の菓子使い
突如、異世界へ迷い込んだ和菓子職人見習いの杏。スニファ王国の騎士・スピカに不法入国者として拘束された杏は、この世界の理を教わる。 ここでは年に一度、各国が魔女に菓子を捧げる祭典があること。祭典で魔女を満足させられなかった国は、国土が消滅してしまうこと。そして、魔女の特徴は黒髪黒目――奇しくも杏と同じことを。 祭典を控え緊張走るスニファ王国で、杏は様々な陰謀に巻き込まれていき……。やがて、魔女の脅威に揺らぐ世界の衝撃の真実が明かされる。 和菓子職人見習いが、魔女から国を救う!? 珠玉の異世界ファンタジー! 【佐倉 杏(さくら あん)】 老舗和菓子店『佐倉』の一人娘だったが、両親の死をきっかけに家を追い出された。ある日突如異世界へ迷い込んでしまい……。 【スピカ】 スニファ王国騎士団団長。第一王子シリウスに忠誠を誓い、付き従う。優秀だが、“黒髪”持ちのため周囲から敬遠されている。 【魔女】 強大な魔力を持ち、人々から恐れられる者。皆“黒髪黒目”を持ち、奇しくもその特徴は杏にも当てはまり――。 -
みぎがわ
ギターを手に歌う少女のシンデレラストーリー。 彼女のデビュー・活躍の裏には、1人の男の子の存在があった―― 「私の音楽でだれかを救う『英雄』になりたい」 YOASOBI「夜に駆ける」の原作が生まれた小説・イラスト投稿サイト「monogatary.com」(運営:ソニー・ミュージックエンタテインメント)から、 新たなアーティストが誕生! 「普通がいちばん」をモットーに生きてきた高校3年生の智也。 代わり映えのしない日々を過ごしていたが、ある日の放課後、通学路の土手で、ギターを手に歌うリカに出会った。 リカの歌は、もっと多くの人に聴かれるべきだ。 彼女のために力を尽くす智也だったが――。 青春時代、かけがえのない相手と出会った2人の感動の物語。 「monogatary.com」主催「モノコン2020」優秀作品、待望の書籍化。 -
倉橋惣三物語 上皇さまの教育係
子供は自ら育つ――自発性を大切にし、子供たちの中に眠る可能性を信じた倉橋惣三の教育が、 今の時代にこそ求められている。 “日本のフレーベル”、“近代幼児教育の父”と呼ばれる倉橋惣三は、 大正期から昭和にかけて活躍した教育者。 昭和3年からは昭和天皇、皇后陛下へのご進講が始まり、 上皇陛下が皇太子でいらした幼少期に、教育係を務めた人物である。 少年時代、運動が苦手で不器用なうえ、引っ込み思案だった惣三の心を開いてくれた、下町の子供たち。 導いてくれた恩師や、夢を語り合った生涯の友。 さまざまな出会いが、惣三という人間を作っていく。 学生時代から幼児教育に興味を持ち、やがて教育者となった惣三は、 激動の時代にあっても、変わらず「子供の友達」であろうとした。 幼児教育の改革を次々行っていく一方で、息子との関係に悩む一人の親でもあった。 遺された日記をはじめとする貴重な資料をもとに描く、感動の物語。 -
神戸むこやま幻奇譚
異人館街にある隠れ家カフェの裏家業は人助け。闇落ちしかけた心、祓います。兵庫県出身・神戸市在住の著者がおくる、あやかし×刀剣和ファンタジー。 故郷を捨て鬱屈とした日々をすごしていた浅緋は、黒いあやかしに襲われ、異人館街にあるカフェバーの店主・桐夜に助けられる。桐夜の正体は古の時代から、不思議な刀を使い心の闇に憑く魔を祓う一族「鬼人」の生き残りだった。彼の「仕事」に惹かれ、押しかけバイトになった浅緋はやがて桐夜たち鬼人の過去を知り……。 モダントレトロ、六甲の豊かな自然が織り交ざる街・神戸。お人好しヤンキーと美貌の鬼人が奇妙な運命で引き合う―― -
遺跡発掘師は笑わない 三体月の呪い
「天才発掘師」の噂を聞きつけた地権者から依頼を受け、和歌山へ赴いた無量。平家の落人伝説が残る、風光明媚な町だ。 しかし、意気込んで向かった発掘現場で、無量の身に立て続けに不穏なことが起こる。 聞こえるはずのない声が聞こえたり、誰かに腕を掴まれたような気がしたりするのだ……。 不穏な気配を感じながら発掘作業を進めると、現場からは経筒(きょうづつ)が出土した。経巻を保護するための筒形容器だ。 経筒から出てきたのはなんと、人形の頭(かしら)。 それを知った発掘現場の同僚で元舞台俳優の佐分利亮平は、無量を家に招く。 佐分利家には、「道成寺雛」という内裏雛が代々伝わっていた。 その雛人形を見た無量はぞっとする。女雛には頭がなかったのだ……。 経筒の中に入っていた頭はその女雛のものなのでは、と疑う亮平に、 カメケンチームは結託して、この内裏雛の謎を解こうとするが、そんな最中に亮平が事故に遭う。 背後には「安珍清姫」伝説や、佐分利家に伝わる「三体月の呪い」の言い伝えも絡んでいそうで……? -
クリスマスイブがターニングポイントだった件・他短編集
◆クリスマスイブがターニングポイントだった件 医大生のかおるは、ボーイフレンドの雅彦の自宅へ招待される。 雅彦の母親は、かおるを雅彦の嫁候補として見ており、厳しいことを言ってくる。 そんな母親に嫌気がさしたかおるは雅彦を避けるようになる。 やがて大学内で殺人事件が起きた。 殺されたのはかおるの親友で、かおるは容疑者として逮捕されるが……。 ◆切れやすい男 図書館司書のゆかりは、館長の聡美の弟・光司を紹介される。 光司は年齢はゆかりの倍だが、美しい顔立ちで両親がのこした遺産もあり、性格も温和で結婚するには好条件の男だ。 ゆかりは光司と結婚するが、幸せだった夫婦生活に少しずつ違和感が生じていく。 ◆プリンの誤解 主婦の香世子は、月一で姑が来る日はいつも彼女の好物のプリンを用意しておく。 今日も香世子はプリンを買ってきて冷蔵庫に冷やしておいた。 やがて姑を迎えに行った夫たちが帰ってくるのだが……。 ◆天国に行けないゴースト 大学生の晴美は、学校一イケメンの春樹と恋人同士だ。 だが彼女はストーカーによる被害がきっかけで引きこもりになってしまい、春樹は彼女の友人の沙也と付き合うようになる。 ある日ストーカーに殺されてしまい幽霊となった晴美は、沙也がストーカーを唆していたと知り……。 ◆理不尽な…… 小説家の山本は、編集者と打ち合わせしながら酒を飲んでいた。 打ち合わせが終わり、編集者と別れた後も飲み足りない山本は一軒のスナックに立ち寄り、そこで知り合った女と一緒に飲むことになる。 翌朝、女の家で目覚めた山本は女の恋人に見つかってしまい……。 -
夢と現の設計図
◆ 夢と現の設計図 女医の母親を持つ主人公・新庄あやめは、父譲りの強い意志を持つ元気な女子高生。 あやめは地震の夢である『大工になる』道を諦められず、現実と夢の狭間で苦しんでいた。 そんなある日、彼女は憂さ晴らしに神社で行われている祭りに参加し、そこで運命の人と出会う。 二人は同じ夢を志していて…… ◆ 偽の告白スイッチ 橋本咲子は、とある商社で働くキャリアウーマン。 ある日、咲子は自分の上司に、新しく入って来る新人社員の教育係を務めることになる。 一癖も二癖もある若手社員をまとめようと奮闘する中、一人だけは本当にどうしようもなく…… ◆ 再会食堂 河野みどりは、夫である俊哉と共に飲食店を経営していた。 経営もなんとか軌道に乗り、ついには子供も授かることができた。 だがしかし、その店で食中毒事件が発生。 みどりは店をたたむことになり、夫は消息を絶った。 この状況にみどりは…… ◆ 印象最悪の隣人 村坂綾子は、子供二人を抱えたシングルマザーである。 子供達のため、多忙な毎日を送る彼女だったが、もともと住んでいたマンションが取り壊されることが決定し、近辺にあったとある平屋に引っ越しをすることに。 その平屋の隣には、この地域の唯一のお隣さんがいるのだが、彼はかなり変わった風貌をしていて…… ◆ 再会と出会い 相川瞳は、引きこもりとなって五年目の一人娘を抱え、娘の気持ちに寄り添えなかった自分を責め続けていた。 そんなある日、瞳は仕事の移動中、同じ境遇を抱える一人の女性と出会う。 彼女にシンパシーを感じた瞳は…… ★さら・シリウス:あらすじ★ ★タンボ:文章★ -
かぎろい頌
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 幻の板画集! 棟方志功・保田與重郎の遺志を継いで集成、刊行! ――日本浪曼派の総帥・保田與重郎が詠んだ和歌を、昭和23年から20余年間も彫り続けた板画家・棟方志功。棟方・保田とも鬼籍に入ったが、50作で纏める計画は遂に「未完成板画集」となった。故人の遺志を継ぎ、改めて全国的規模で調査・収集を敢行し、判明した32柵で編む、初めての作品集。 ◎棟方志功 「かぎろい頌」は、保田氏のつくられた歌を五十くらいつくって、一本にしようではないか、というので、制作にかかりました。―(略)―まだ未完ですが、五十首完成ののち、好きに出来たものを発表しようと思っています。<昭和31年刊『板画の道』より> ◎保田與重郎 棟方さんが私の歌を彫ったのは戦後になってからのことだが、以来、折にふれ長期にわたって、私の歌を板画にしてくれた。―(略)―私の歌にふれた作品は、彼の各時代の手法が現われていて、作品年譜を見るようで、おもしろい。<昭和51年刊『グッドバイ棟方志功』より> -
『篤姫』と島津・徳川の五百年 日本でいちばん長く成功した二つの家の物語
将軍家御台所『篤姫』誕生の真の意味とは? 幕末の勝者・島津と戦国の覇者・徳川を同時並行で論じる! ――鎌倉時代から南九州を治め、幕末に栄光の時を迎えた島津家。室町時代から東海に活躍し、江戸幕府を開いた徳川家。はたして、それは対立の歴史だったのか……。幕末に島津斉彬の養女として、将軍・家定に嫁した天璋院篤姫。徳川と島津の雪解けのように言われる縁組だったが、江戸期の徳川・島津関係は、関ヶ原の遺恨による敵対関係では決してなかった!? 両家の創始から現代まで、著者ならではの斬新な論で、数多くのエピソードを鋭く紐解いてゆく。歴史ノンフィクション。 ※本書は2000年3月、同朋社より刊行された『葵の呪縛』を改題、大きく加筆・訂正、再編集し、文庫化したものです。 -
閉店時間
華やかな都会の夢をはらむ、白亜の殿堂・東京デパート。そこに働く松野紀美子、藤田節子、牧サユリの3人は、高校のクラスメートで、いまでも仲がいい。だが4年の歳月は、彼女たちをかなり違った色合いに染めあげていた。意地っぱりの紀美子、古風な節子、派手好きなサユリという性格の延長だけでなく、4階の高級呉服売場、地階の食料品売場、エレベーター係といった職場の影響にもよるらしい。そこから三人三様の恋が、そして当然、将来がひらけていくのだった。現代の花形企業であるデパートの内幕と、3人の女店員の恋愛模様を、清新な筆致で描いた長篇。 -
風は緑に
外国映画会社宣伝部の一雄とTV局報道部勤務の圭助をめぐってる、ファッション・モデルの彩子、アナウンサーの三千代、幼稚園の先生の牧子たちとの恋模様。だが、牧子はアメリカ文学者と不倫し、彩子を狙うスポンサーが現れて……。華やかな都会の第一線で活躍する男女の、恋愛の苦悩と情熱を描いた、青春の感動的ロマン! -
姫君千一夜
上州沼田藩主の姫でわがまま娘のお美紀さまは、藩を脱出し、浪人の潮田又十郎と仙太を家来として、江戸を目指す。人情あり、恋愛あり、笑いありの珍道中。 -
転落の歌
あまりにも醜い母のおこないを、真砂子は見た。少女の胸に汚点となった或る夜のこと。母は次々と男をかえ、生活はすさんだ。そして真砂子までも、母の男の餌食にされていく。家出、住み込み女中、そして場末のバー……。真砂子の汚濁にまみれた生活。それは、母から享けた淫らな血のせいだったかも知れない。やがて、銀座にでた真砂子は、ガイドをよそおうコールガール組織に巻きこまれる。麻薬の足かせでしばられ、肉を削りながら、ネオンの海にただよう少女・真砂子。混濁する意識のなかで、彼女は罪深い母をのろい、血をうらんだ……という表題作など、全10編。 -
朝な朝な
女流評論家の高輪薫が海外旅行中、ローマに留学している一青年から故国の一女性への贈物を預ってきたことから、幸福をもとめるその女性の運命がひらけて行く――華道創美流の機関誌「創美」の編集部につとめる仙波雅子は、母のつよい希望で掛川昇と見合するが、初恋の人・松尾三郎の愛情を確めたことから、周囲の人びと、とくに副編集長・石井志奈子などの鞭撻で、幸福をつかみとる……。華麗なフランス情艶絵画をくりひろげるような愛欲を描いてベテランの作者が、仙波雅子の愛と行動のうちに現代娘の一典型を、ヨーロッパ帰りの女流評論家・高輪薫の眼をとおして描く大作。 -
誰も知らない
女たらしで有名な大会社の御曹司・英太郎と、その親友の清司。そして、英太郎の妹、清司との結婚に踏み切れない幾代、清純な娘・麻子、英太郎との肉体関係で結ばれた柳子たちの、それぞれの愛の行方は……。そして、脳溢血で倒れた父親のロボットとして会社運営に携わる英太郎は麻子と結ばれ、清司は幾代と、柳子は知らぬ顔して別の男と結婚して……。 -
大豪記
大力無双の野人の怪童は、熊野詣りの美女・梢を山賊から救って町に出たが、加藤清正に見いだされ、無類の大活躍! 豪放磊落、野生児の時代雄編。 -
戦国愛染峡
長篠の戦いの敗退から6年、武田勝頼が治める甲斐の国は、ひたひたと周囲を圧し始めた織田・徳川連合の影に揺れていた。武士の身分を隠して、上杉の越後から情勢を見極めに来た、若き遣い手・朝井若狭之介は、人心が迷い乱れるなか、武田家忠臣の娘・小弓の、毅然と使命に生きる姿に惹かれていく。陣営内の裏切りや策謀に苦しむ小弓たち一族を、必死に助ける若狭之介だったが、武田家滅亡への潮流には抗いようもなかった……。「きんぴら先生」など現代小説で著名となった鳴山草平、得意の時代ものの本作で、戦国末期の若者たちの、鮮烈な心情を抒情豊かに描き出す! -
川向うの白い道
女子学園の先生を今は嘱託でしている老男性教師の、六甲山麓の家に下宿する卒業生2人のところに、同級生たちが集まってくる。そこに出入りする男たちとの出会い、そして様々な恋愛……。それぞれの成長と恋愛の物語。 -
青春海流
いのしし先生こと青年教師・猪村彪吉を軸心に、恩師・大加田老先生の姪・英子、かつての教え子・鳥井魚子、阿良夢代、鮎川葉子が織りなす、青春の哀歓賦。<上下巻> -
青春の言葉
風見京子、鳥羽ヤス子ら、3人の女子高生は、瀬戸内の島のお寺に勉強合宿へ。そこで、浜でキャンプをしていた医大生の汐見、寺田、矢部と知り合うことになる。京子は汐見に恋心を抱くのだが、父親が怪我をしたとの連絡が入り、しぶしぶ戻ることに……。若い男女の嫉妬うずまく中、大人たちの事情も絡んでいき……。新藤恵美の主演により映画化されている作品。 -
小説関根名人
明治から昭和にかけて活躍した「近代将棋の父」こと、十三世名人・関根金次郎。生まれは千葉の宝珠花で、子どものころから将棋が強く、人呼んで宝珠花小僧。10代前半で上京、十一世名人伊藤宗印に弟子入りし、その後、若手花形棋士となった青年金次郎は、師匠に勧められ修業の旅に出る。そこには、人情、恋、そして勝負の日々が待っていた……、という表題作のほか、天野宗歩(留次郎)の青年期を描いた「勝負一代男」、「勝負師 木村義雄」も収録。 -
女の旅路
30代なかばの荘一は、7年間連れ添った妻を病気で亡くしてしまった。そして荘一は、なんとか切り替えようと旅に出た先で、美しい人妻・藤堂萌子に出会う。だが、妻の妹の美也子は、姉より「自分が死んだら荘一と結婚してくれ」という旨の遺書を受け取っていたのだ。荘一は藤堂萌子に惹かれていくのだが……。愛憎、まさに絡まる物語! -
朱よりも赤く
長野・小諸の高原をスピードにのって走る車では、都会のおしゃれな5人の男女の若者が大騒ぎしている……。それぞれの青春と恋愛を明るく描いた、恋愛小説の傑作長編。 -
砂の花
真実の愛を求めて、男から男へとわたって歩いた女優・彰子が、払わねばならなかった代償は、あまりにも大きかった。彼女を捨ててアメリカへ去った第1の男・大滝のあとに現われた第2の男・石垣は、戦争で受けた心の翳をいつまでも暗くひいている男であった。彰子から捨てられたと思った石垣は、自殺。傷心の身を岐阜の実家へと戻った彰子の前に現われた第3の男・朝吹は、アル中の病身であったが、彰子との愛に男としての再起なるかとみえた。が、二人の間に横たわる壁は厚かった。そして、女優として舞台復帰を夢みる彰子……。現代女性の一面を、多彩な筆で描く、石原慎太郎の傑作長篇。 -
剣法奥儀
各流派には、それぞれの奥儀がある。一刀流「青眼崩し」、柳生流「八重垣」、知心流「雪柳」、天心独明流「無拍子」など、各流の秘太刀を生み出す剣豪の、妖気ただよう決闘を描く、五味康祐氏の傑作。 -
禁断
いまは亡き恋人の愛艇「ロドイスカ」に乗ってヨットハーバーを出た由紀子は、人けのない夜の海に投錨して、ひとり静かに故人の日記を読む。過ぎ去りはしたが、永劫に喪われることのない日々が再現し、彼女はいまなお、彼とともにいた。さりげない最初の出逢い、生まれて始めての接吻、神がそれを希んだような性の儀式、そして至醇な陶酔と怖れと……。不倫と人は言うが、千億に一つの幸福感にみたされて、由紀子は舫いのロープを切り、海の涯へ、二人だけの世界へ漂っていくのだった。妻子ある新鋭作曲家と若い女子医学生との恋に、現代の性とモラルの真意を探る、石原文学の傑作。 -
わが愛と命の記録
将来の伴侶と決めた同僚の教師・中村謙一に伴われ、彼の実家をたずねた中川タミ子は、この結婚に反対する彼の両親から、ひどい侮辱を受けて席を立った。よく晴れた夜空にまたたく何千、何万の星、その孤独な光は人間の孤独に似てはいるが、人間には星にない愛情がある。家を捨ててきた中村とその夜タミ子は近くの温泉に一泊し、進んで契りを結ぶ。昔気質の人格者だが、女癖の悪い彼女の父、二号さんが公認されている中村の家、そんな生活だけは、と笑い合った二人だが……。一時代前の女の赤裸々な記録を通して、現代の若い男女に愛と結婚のモラルを訴える力作長編。 -
マギの恋
平吉は「夢見る男」だった。この人生に、小説と詩を書くこと以外に、真剣になることはない、と思い込んでいた。マギと呼ばれる小屋の2階で、彼は隣りの娘・トシ子と愛を誓い合った。トシ子は美人ではないが、純粋な心の持ち主だと、平吉は自分にいいきかせていた。しかし、結婚してやがて子供が生まれようとする頃、彼の描いていたトシ子の像が、風化された土人形のように崩れてしまう日がやってきた……。津軽地方の土の香りを漂わせつつ、人生への暖かい眼と鋭い諷刺を識り込んだ、巨匠の名作である。他に、若い愛をテーマにした好短篇11篇を収録。 -
そんな筈がない
医学部の学生で、元警察官の父を持つ滝口康子が、次々と事件の真相を推理。新聞記者の小島純吉、康子の父に昔お世話になった老刑事の真田らも活躍する、4編の連作ミステリー小説集。 -
0時間の男
千鳥が渕マンションの一室で、パール・ホワイトの受話器から、悩ましい女声の秘密指令をうけると、刈谷は過去を忘れ、未来を考えない男になる。現在の、この0時間に命をかけるのだ。「人狩り特急」では、在日米軍航空医療班細菌主任・小関博士の身辺警戒を命ぜられて、奇妙な誘拐事件のからくりを暴き、「深海魚作戦」では、ジュネーブ宝石商殺しの真犯人、日本の宝石界を牛耳るリュー将軍一味を捕え、「金髪特攻隊」では、外人旅行者相手のニセの旅行小切手偽造組織に挑戦する。ナポレオン・ソロばりの、秘密国際刑事警察機構・ICPOの日本特派員の、胸のすく大活躍! -
たそがれてゆく子さん
男が一人、老いて死んでいくのを看取るのは、本当によかった。 夢に見た専業詩人の生活、ぽっかりとした自由。 もんもんと考え、るると書く。 カリフォルニアのキャニヨンを犬どもを従えひたすら歩く。 料理や洗濯は、しないことにすぐ慣れた。 山賊のように台所で立って食べた。卵ばっかり食べていた。 ひとりの肩にのしかかるローンに光熱費、熊本地震、石牟礼道子さんのこと、末っ子の結婚、 そして……日本に帰ろう。 「みんなホルモンのせいでしたと、今は言い切りたい」―― 女のための戦記『閉経記』から五年。 書くことで生き抜いてきた詩人の眼前に、今、広がる光景は。 -
5分で感動 書店にまつわる泣ける話
目当ての本があってもなくても、ただ訪れるだけで楽しい場所。 紙の書籍には、電子書籍とはまた違った魅力があり、 書店はこれまで知らなかった新しい世界との出会いの場でもあります。 本書はそんな書店にまつわる14編のアンソロジーです。 14編のうち以下の3編は、マイナビ出版主宰の短編小説コンテストの受賞作です。 【最優秀賞】 『レオ・レオニとソーダ』快菜莉 【優秀賞】 『記憶の中の本』零谷雫 『僕の太陽』大田ヒロアキ 【一部あらすじ】 『幸猫書房と飛び出す絵本』矢凪 病院に来た移動式本屋『幸猫書房』。歩行訓練を終えた幸音は母と共に本屋を訪れる。 『月刊 たかしくんをつくる』鳩見すた ある日届いたマンガ雑誌。「これから毎月一冊、あなた宛に本が届きます」と、母は告げる。 『かたつむり書店』鳴海澪 夫亡き後、夫婦で始めた書店を懸命に守ってきた晴子。支えてくれたのは常連の椿だった。 『記憶の中の本』零谷雫(※コンテスト優秀作品) 書店員の美玖に本を探して欲しいと頼む女性。彼女は、著者名も書名も分からないと言う。 『ラスト・ブック』楠谷佑 寝る前に絵本の読み聞かせをしてくれていた母が去ったのは、小学四年生の冬のことだった。 ほか9作品収録 『あなたの『好き』をおしえるもの。』桔梗楓/『風の吹き抜ける書店』杉背よい/『僕の太陽』大田ヒロアキ(※コンテスト優秀作品)/『レオ・レオニとソーダ』快菜莉(※コンテスト最優秀作品)/『ブックスココミネは健在です』神野オキナ/『の陰の』溝口智子/『行きつけの本棚』那識あきら/『かつて存在した書店という名の生き物について』水城正太郎/『書店員さんにありったけの感謝を』編乃肌 -
神様 2011
くまにさそわれて散歩に出る。「あのこと」以来、初めて――。 1993年に書かれたデビュー作「神様」が、2011年の福島原発事故を受け、新たに生まれ変わった――。「群像」発表時より注目を集める話題の書! 2011年。わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。――<「あとがき」より> -
明け方の若者たち
2021年12月、北村匠海主演で映画化決定! ! 9万部突破の話題作、早くも文庫化。 「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」 その16文字から始まった、沼のような5年間。 明大前で開かれた退屈な飲み会。そこで出会った彼女に、一瞬で恋をした。本多劇場で観た舞台。「写ルンです」で撮った江の島。IKEAで買ったセミダブルベッド。フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり。 世界が彼女で満たされる一方で、社会人になった僕は、“こんなハズじゃなかった人生”に打ちのめされていく。息の詰まる満員電車。夢見た未来とは異なる現在。深夜の高円寺の公園と親友だけが、救いだったあの頃。 それでも、振り返れば全てが、美しい。 人生のマジックアワーを描いた、20代の青春譚。 -
はつ恋
南房総の海沿いの町で、古い日本家屋に愛猫と暮らす小説家のハナ。二度の離婚をへて、人生の後半をひとりで生きようとしたときに巡り合ったのは、幼少期を姉弟のように過ごした幼馴染のトキヲだった――。四季のうつくしい巡りのなかで、喪失も挫折も味わったふたりは心も体も寄せ合いながら、かけがえのない時を積み重ねていく。あたたかな祝福に満ちた、大人のための傑作恋愛小説。 -
水神様の舟
――世界は全てを湖に依存していた――。選ばれた〈潜人〉であるセリは隊を辞め、弟を探す旅に出ていた。辺境の邑で出会った少年・レンに「待っていた」と言われ驚くが、彼の邑では、湖から油をくみ上げる櫓を直すため、潜人の派遣を要請していたのだという。セリが修理を買って出ると、邑長は三日間の期限を通告した。疑問に思いながらも承知したが――。エブリスタ「次に読みたいファンタジーコンテスト『神様』」大賞受賞作。 -
恋侍 ―中目黒世直し編―
真実の恋を手に入れるのは、この僕だ。 恋侍・落合正泰の前に現れたのは、美人双子と外資系キャリアウーマン。 中目黒・歌舞伎町で繰り広げられる恋愛試合。今宵の勝敗はいかに―― イヤーコンテンツ配信サイト「NUMA」より『恋侍』待望の書籍化! ――口説かずに後悔するより、口説いてから後悔しろ。 僕が双子と出会ったのは、いまから二時間前、小洒落た中目黒の小洒落た立ち飲み居酒屋だった。 立ち飲み居酒屋がいかに素晴らしい場所かは以前から巨匠に教えてもらっていた。 恋愛示現流・免許皆伝の恋侍 落合正泰。鍛え上げた知性を武器に、いざ、参る! 『三軒茶屋星座館』シリーズの著者による、等身大ラブコメディ! 巻末には、柴崎竜人×現代アーティスト・杉田陽平 特別対談も収録! -
人には聞けない マンガ・男と女の法律相談
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 誰にも相談できなかったあなたの悩み解決します! 知らないと危ない生活法律知識。弁護士作家・和久峻三が楽しく漫画指南! ――不倫関係のツケ、結婚・離婚にまつわる難題、子供の事故と親の責任、知らぬ間の連帯保証人、インフォームドコンセント……。身の回りで起こる男と女とカネのトラブルを、法的にどう解決するか? 弁護士作家・和久峻三が人には聞けない悩みや心配事に、分かりやすく楽しいマンガつきでお答えします! -
夜ひらく谷
性的不能の烙印を負って、山寺=曼荼羅寺にこもる三国実が、妖女艶婦の愛欲の中で、いかにして青春を復活していくかを描く問題作。 -
青い糧
K学園高等部のサッカー選手だった河村は、試合で膝に怪我をした。その頃、厳格な父が死んだ。スポーツのできない体になった河村は、放埓な仲間との新しい生活に踏みこんでいく。賭博、酒、狼藉、背伸びした女遊び……。悪賢い才覚で大金を手に入れ、それを湯水のように使う。彼らがひかれるのは、じつは賭でも犯罪でも女でもない。情熱の浪費、浪費のための浪費、消耗することへの欲望がすべてなのだ。そうした無頼をてらう生活のなかで、河村はキャバレーに働く可憐な恵子を知り、彼女との愛欲に純粋な価値を求めて……。高校生と年上の女のはげしい恋を描いた長篇。 -
西陣の蝶
殺人の容疑者として拷問にかけられた父は、蝶子が5歳のとき、冷酷な検事をうらみながら、死んだ。20年後、蝶子は、京都上七軒町から、芸者として出ていた。幸うすい青春に、父の記憶は黒いシミのように、影をおとしていた。ある日、呼ばれたお座敷に、父を死に至らしめた鬼検事がいた。蝶子は、装った笑顔で、その男に酒をすすめるのだったが……。社会の暗い部分と人間の醜い本能との間に、しめつけられた蝶のような女の、哀れな人生を、細密画のように描いた「西陣の蝶」の他に、「三条木屋町通り」「貴船川」など、全8篇を収録。 -
身がわりの夜
それは少女だけに許された、幻のような記憶かも知れない。下宿人だった画学生の杉浦が、正子の裸体を熱っぽくデッサンし、鮮紅色の乳房に、ふと触れた日の感傷は……。正子は、いま新宿・元青線のバー勤め。マダムの弥生は画家の未亡人で、かつて杉浦を愛した過去をもつ女だ。「杉浦はパリの安宿で病いに臥せている」と耳にした正子は、パリ行きを決意した。彼女は幻影を追って稼ぐ。ある夜、正子がとった男は甘美な肉体の香に酔いながら、奇妙な述懐を始めた……。女の感傷の傷跡を描く表題作ほか、全10篇。 -
情事の配当
結婚7年め、子宝に恵まれぬのは、夫の体質が原因だと診断されたとき、絹子はむなしい虚脱感を味わった。頼りきっていた12歳年長の夫の姿が、ひどく老化してみえる。豊かな肉体をもてあましつつ、「ゴルフウィドウ」に甘んじなければならぬ絹子……情事への誘惑が心をゆさぶる。相手は、証券セールスの時岡という青年だ。夫の出張の夜、ついに彼女は甘美な悦楽にはしった――。「この情事の配当がほしいわ」絹子の胸に悪魔がささやく。彼女は夫に迫った「ね、私、人工授精をうけようかしら」。が、事態は一変した。時岡が事故死したのだ――という表題作ほか全10篇。 -
女館
生まれながらに霊感を与えられた美少女・妙子と、女ざかりの独身女、妙子に仕えて上品な物腰の、女の魅力を持ち続ける老女――「女館」に棲む3人の女と、影の如くつきまとう奇怪な風体の髭の男をめぐって、さまざまな事件が展開する。妙子の霊感で、動かなかった機械が動くようになり、新しい流行色のファッションが作られるようになり、政治家や実業家が、「女館」に日参するようになる頃、妙子は初めての恋に、女として目覚めてゆく。現代の愛と欲望のゆくえを、流麗な筆で捉えた異色長篇小説。 -
純愛の砂
考古学で名を知られた大学教授を父に持ち、母親がいない20歳過ぎの千也子と、やんちゃな妹で高校三年生のルミ子。二人の恋愛の行方はいかに? -
終幕
30年来、新劇界に不死鳥の如く君臨してきた美貌の女優・長塚明子。彼女は脳腫瘍に冒され「五本の薔薇」の舞台を最後に、生命の危険を賭けて危険な手術に臨もうとしていた。数時間後に迫った死の影に脅えながら、彼女は愛の多かった自分の半生を、愛を交し合った男たちを思い返し、真の愛の意味を問いつづけ、舞台で使った5本の薔薇を、彼女の最も愛した人に贈ろうと考える。劇評家の宇佐見、彼女の発見者・春原、演出家の高城……幕が降り、まだ興奮のさめやらぬ群衆に囲まれて楽屋から出てきた彼女が薔薇を手渡したのは、意外な人物だった……。 -
刺のある樹
植物学者・仁木雄太郎は、シャボテン・マニアの貴金属商がヨーロッパ旅行中、その邸に住まわせてもらっている。そこへ警視庁の砧警部補の紹介で製菓会社の重役が、警察ではとりあってくれないからと捜査を依頼にくる。自動車に轢かれかけたり、川へ突き落されたりして、死の恐怖におびえる男の出現。この「刺のある樹」は、その妻の死にはじまる。複雑な家庭の、絞殺、青酸カリ殺人の謎と、死の恐怖。電気ミシンのソケットの秘密に挑む、お馴染み雄太郎・悦子兄妹が、密室殺人事件のトリックを論理的に解明してゆく過程を、明るい清新なスタイルで描いた長篇。 -
坂田家の四季
すでに一男二女の父となった、かつてのきんぴら先生こと、坂田金平の家で、長女の縁談をめぐって起こる様々な事件。日常の悲喜こもごもを、小気味よい巧みな筆で描いた、明朗家族小説。 -
沙羅の門
琵琶湖畔の古刹・昌福寺の一人娘・千賀子は、父・承海が、後妻として八千代を迎え入れたあくる日に、初潮を見た。正式な妻帯が許されない寺の中での、父と継母のなまぐさい営みが、女として目覚めた千賀子の心と体を、かなしい渦巻きに突き落とす。やがて京都の大学に進んだ千賀子は、ボーイフレンドと愛の過ちをおかし、そのことを八千代に告白するが、姉妹のような継母と娘の間に、父の承海もたちいることのできない、ふしぎな愛情が育っていた。……偽りと煩悩にいろどられた寺の生活を背景に、せつない女の愛と宿命を、美しい叙情で描きつくした、香り高い名作。 -
紅い水着の女
剛直で声が大きいけれど、めっぽう正義感と腕っ節が強い天川剛太郎は、都心の紡績会社で頑張る若手。湘南の海で出会った深紅の水着の女・涼子にひとめで心を奪われ、急速に距離が縮まるものの、さっぱり行動が読めない涼子嬢との一進一退の関係にほんろうされる。そんな二人の前に、腹にイチモツ抱えた面々が現れて、剛太郎は熱情とトラブルの渦に巻き込まれていく。長く波高い日々と純情がつむぐ、一途な恋の物語。 -
権九郎旅日記
川崎門下の高弟で、新婚間のない土佐藩士・権九郎は、団栗眼、獅子ッ鼻の無骨極まる男だが、藩でも屈指の無外流の達人で、純情硬骨ながら女に甘い。その権九郎が江戸勤番のため急遽、土佐から江戸まで下る道中で、襲いくる女難また女難の果てに、いまだ不本意ながら己が貞操は守られる結果に……。爆笑、哄笑、苦笑い……抱腹絶倒の東海道道中記。 -
拳銃を磨く男
大がかりな偽ドル密輸団を追う「私」なる人物は、密輸団の核心に迫るため、前科者・加下千里の偽名で香港ボス・楊長二の元に潜入し、彼の手先の美女・ジェーン李に近づく。そして、ジェーンとともに東京空港へ向かうが、飛行機のタイヤに仕込んだ偽ドルは、パトカーの追跡で放棄せざるをえない。ホテルの女支配人、女高利貸し、バーのマダムと、その用心棒など悪漢の、入り乱れる密輸団と、公安調査官の対決。力作長編ハードボイルド・サスペンス。 -
銀色の牙
影の多い国際都市・香港――そこでは、国籍は何の保証にもならない。日本商社の駐在員・越見は、ある日、友人のジョニイ劉が、アパートで殺されているのを発見した。間もなく、ヨットの遭難で話題になった男たちが、つぎつぎに殺される。そして、阿片窟の常連、元日本軍参謀、暗い過去のある大貿易商、美貌の女画家などの、もつれた糸のような動きに巻き込まれた越見にも、黒い殺人者の手が伸びてきた……。サスペンスに富んだ巧緻な物語の中に、落し穴を持つ現代の人間関係をさぐった、この野心的な長篇は、行動派の作者が華麗な才質を注いだ本格小説である。 -
温暖前線
九州の南西海上から本土にむけて放たれた無数の風船。それは化粧品会社が、東京への招待客をきめる「幸運の風船」だった。その中の2つ、赤と青の風船が、四国土佐と新潟の山中に落ちた。小松大五郎と柳田千穂は、この奇抜な宣伝アイデアによって出あったカップルだが、小松は新婚旅行の夜、室戸岬の宿で花嫁に逃げられた心の痛手をもち、また千穂も雪溪のみえる谷間で遭難、同行していた二人のボーイフレンドに置き去りにされた悲しい経験をもっていた。著者独自の素材で幻想的にくりひろげる、現代若人の恋と真実。 -
愛の静脈
瀬戸内海に臨んだ県立女子高校の新任教師・矢吹は、明朗な性格で人気者だったが、ロレンス思想の礼讃者である彼は、放課後、教師および生徒を前にチャタレイ講義をし、大きな波紋をよぶ。敬虔なクリスチャンの池内先生は、矢吹と激しい恋に陥ち、霊肉一致の苦悩の果て、二人は結婚したが……。この「愛の静脈」は、子を残して先立った美しい妻の追憶に生きる旧師・矢吹の心の支柱たるべく後妻になった夕子が、未来を開く扉は過去からの照明によらねばならぬとして、互いに傷つけ合う教師同士の怖るべき恋愛に、生徒として関係した愛と憎悪を回想する、香り高き告白小説である。 -
ここは静かなり
自分の恋の行方を追いながらも、教え子たちのコーラス大会への指導、高校生の恋愛問題など、数々の問題を抱え、同僚教師のストーカーまがいの行動なども起こる。また、寄宿している一家の事業が破綻しそうになり……。好感持てる新任教師物語。 -
きんぴら先生慕情譜
「きんぴら先生」とは、小田原の海星女子高校の教師、坂田金平氏の愛稱である。生来の硬骨な朴念仁ぶりと正義感、加えて独身とあって、女学生や教師の間には奇妙な人気があり慕われているが、いつも何らかのトラブルに捲きこまれている。そんななか、元同僚「ザベス先生」が神戸から戻ってくることになり、かつてのときめきが蘇るが……。夢多き女子高校生と多感な青年教師が奏でる青春の幻想曲を描いて好評の、「きんぴら先生青春記」「同青春譜」に続く「きんぴら先生」シリーズの決定版。 -
きんぴら先生青春譜
「きんぴら先生」の愛称を持つ青年教師・坂田金平。独身、正義漢、唐変木のコンコンチキである。甲府の男子校、湘南の女学院、横浜の女子高ときて、このたび横浜郊外の望ケ丘女子高校に赴任してきた。クセのある教え子相手に苦戦しているところへ、かつての教え子も現れてさらに一波乱。そして、同僚エリザベス・テーラー似の「ザベス先生」が気にかかり……。『きんぴら先生青春記』の続編。
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