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震える舌
その予感は娘の発作で始まった。極限の恐怖に誘われる衝撃の作品――平和な家庭での、いつもの風景の中に忍び込む、ある予兆。それは、幼い娘の、いつもと違う行動だった。やがて、その予感は、激しい発作として表れる。<破傷風>に罹った娘の想像を絶する病いと、疲労困憊し感染への恐怖に取りつかれる夫婦。平穏な日常から不条理な災厄に襲われた崇高な人間ドラマを、見事に描いた衝撃作。 ◎距離が伸びる時には父親として病気に向き合い、距離が縮む時、一人の人間として感染症の恐怖に怯える中で語られる心の葛藤は、医学小説のそれではなく、もちろん恐怖小説のものでもなく、強いて言うなら、極めて純粋な戦記文学を読んでいる印象です。確かに、今まで読んだ全ての小説の中で、病棟という「戦場」の真実がここまで正確に描かれた作品を知りません。<石黒達昌「解説」より> -
夏の流れ 丸山健二初期作品集
平凡な家庭を持つ刑務官の平穏な日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させ、死刑執行日に到るまでの担当刑務官と死刑囚の心の動きを、緊迫感のある会話と硬質な文体で簡潔に綴る、芥川賞受賞作「夏の流れ」。稲妻に染まるイヌワシを幻想的に描いた「稲妻の鳥」。ほかに、「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「チャボと湖」など、初期の代表作7篇を収録。 ◎「丸山健二の文学性は、ジェームズ・ジョイスに通じる。本作品集に収録されている初期短編を改めて読みながら、私はそう思った。(中略)すぐれた芸術家は生涯を通して変貌を続けるが、若き日の作品群は作品を受容する側にとっての定点を提供する。ピカソのキュビズムは、初期の見事な絵画によって担保される。このような文脈において、本文庫に収められた初期の短編の数々は、弱冠23歳で芥川賞を受賞し、長年文壇と一線を画して孤高の道を歩んできた丸山健二の文学の全体像を理解する上で、重要な意味を持つのではないか。」<茂木健一郎「解説」より> -
断言 読むべき本・ダメな本 新教養主義書評集成 経済社会編(ele-king books)
宣伝でも素朴な感想文でもない、“読者の役にたつ書評” とはこれだ! 宣伝でも素朴な感想文でもない、本当に “読者の役にたつ書評” とはこれだ! 長年にわたり価値を失わない良書をしっかり紹介し、ベストセラーであろうとダメな本は徹底的に批判する── 辛口書評家が30年ちかくにわたり書き綴った膨大な書評より、経済、ビジネス、経営、政治、歴史、社会などの分野をここに集成! 【目次】 はじめに:書評について 第1章 経済 第2章 ピケティ/格差 第3章 ケインズ 第4章 クルーグマン 第5章 ファイナンス 第6章 経営 第7章 ビジネス 第8章 政治 第9章 歴史 第10章 思想・ノンフィクション おわりに 【著者】 山形浩生 1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。 大手シンクタンクに勤務の頃から、幅広い分野で執筆、翻訳を行う。 著書に『新教養主義宣言』『たかがバロウズ本。』ほか。訳書にクルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』、ピケティ『21世紀の資本』、スノーデン『スノーデン 独白:消せない記録』、ディック『ヴァリス』ほか。 -
純粋怪談 其レハ事故物件ニ非ズ
前触れもなく理屈も通じず、ある日突然遭遇する怪。ひとたび遭えば傷つけられ、命すら脅かされる…そんな単純で恐ろしい怪異譚を集めた人気シリーズ第2弾! 門から家の方へ近づいてくる異臭。だがその臭いは妻にしか分からず…「腐臭が近づいてくる……」、玄関に飾られた青鬼の面。ある日、鏡越しに見ると目が…「鬼の面が歪む」、体調が悪くなる独身寮の部屋。壁と棚の隙間にねじ込まれていた紙片を見つけ開いてみると…「紙幣が、はさまっている」、不気味な噂の多い地下通路=トンネル。背後から濡れた足音が近づいてきて…「鬼ごっこ(強制)」他、明日は我が身の恐怖譚全28話収録! -
「超」怖い話 丑
真冬にさらなる冷気を求めんとする猛者に捧ぐ最恐怪談集。 首を絞められた時の痣が残る夫。夜中、夫の口から若い女の声が…「いじり」、実家の納屋から出てきた身蓋箱。中に入っていた4体の着せ替え人形にはなぜか右腕がなく…「欠けた記憶」、廃墟温泉街で見かけた吊り橋の向こうに立つ着物美人。橋を渡る途中で気づいた違和感とは…「ギリギリ死なない」、猛烈に湧き上がってくる食べ物への妄執。いざ口にすると奇妙なことが…「葛饅頭から始まる怪談」、始まりは水道水からの腐臭。家族の連続死。怪異の原因はある写真に…「封印」他、著者4人がそれぞれの嗅覚で引き寄せた戦慄の実話! -
密室から黒猫を取り出す方法
悲願の完全犯罪を成し遂げるべく、ホテルでの密室殺人を目論む犯人。目の前の扉を閉めれば完全犯罪が完成するというまさにその瞬間、一匹の黒猫が部屋に入り込んでしまった! 予想外の闖入者に焦る犯人だったが、さらに名探偵音野順と推理作家の白瀬白夜がホテルを訪れ……。猫一匹に翻弄される犯人を描いた表題作をはじめ、蝋燭だらけの密室殺人事件をめぐって(自称)名探偵琴宮と三千万円を賭けて推理対決をする羽目になってしまう「クローズド・キャンドル」など五つの短編を収録。気弱で引きこもりがちな名探偵音野順、第二の事件簿。/【収録作】密室から黒猫を取り出す方法/人喰いテレビ/音楽は凶器じゃない/停電から夜明けまで/クローズド・キャンドル/解説=青崎有吾 -
深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説
昭和12年(1937年)5月、銀座で似顔絵描きをしながら漫画家になる夢を追いかける那珂一兵のもとを、帝国新報(のちの夕刊サン)の女性記者が訪ねてくる。開催中の名古屋汎太平洋平和博覧会の取材に同行して挿絵を描いてほしいというのだ。超特急燕号で名古屋へ向かい、華やかな博覧会を楽しむ最中、一報がもたらされた殺人事件。名古屋にいた女性の足だけが東京で発見された!? 同時に被害者の妹も何者かに誘拐され――。名古屋と東京にまたがる不可解な謎を、一兵はどんな推理を巡らせて解くのか? 空襲で失われてしまった戦前の名古屋の町並みを、総天然色風に描く長編ミステリ。/解説=大矢博子 -
危険な男
ジョー・パイク、海兵隊あがりの元警官で、現在はロスで私立探偵を営んでいる。銀行の帰りに窓口で応対してくれた女性イザベルが拉致される現場を目撃、見過ごすことはできず、追跡して彼女を救い出す。二人組の犯人を警察に引き渡し、一件落着と安心したのも束の間、なんと二人組は保釈されてしまった。それを知ったイザベルは、犯人が再び自分を狙うのではと恐れ、パイクの電話にメッセージを残すも失踪する。だが、二人組は保釈直後に何者かに殺されていた。パイクは相棒コールの助けを借り、イザベルの行方を追うが……。実力派の著者最新作。/解説=若林踏 -
恋するアダム
独身男のチャーリーは、母親の遺産を使って最新型アンドロイドを購入した。名はアダム。どんな問題も瞬時に最適解を出すAI能力を利用して、チャーリーは上階に住む女子学生ミランダと恋仲になることに成功した。だが彼女は重大な過去を秘めており、アダムは彼女に恋心を抱きはじめる。人工知能時代の生命倫理を描く意欲作! -
カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話
「自分の仕事で好きなのは、人となりのすべてが求められるところである。文法、句読法、語法、外国語、文学の知識だけでなく、さまざまな経験、たとえば旅行、ガーデニング、船、歌、配管修理、カトリック信仰、中西部、モッツァレラ、電車のゲーム、ニュジャージーが生きてくる」(序章より) ★推薦文★ 鉛筆と紙の辞書を愛し、校正が「出過ぎた真似」といわれるのを恐れている“女王"。他人とは思えない。 ――牟田 都子(校正者) ◆ 正しい英語とは何だろう? カンマの思想とは? 鬼校正者はどこを見る? 今、英語の「揺らぎ」があなたを魅了する。 ――阿部 公彦(英米文学者) ★概要★ 誤字・脱字や言葉の誤用を正す「校正」。ベテラン校正者の眼を通じて見るそれは、規則と心情とのあいだで揺れ動く、意外なほど人間らしい仕事だった! アメリカの老舗雑誌『THE NEW YORKER』の校正担当者で、“Comma Queen“〈カンマの女王〉の異名をもつ著者が、その半生と、校正の現場で遭遇したミスや「揺れ」を振り返る――。“between You and I"のようなネイティブでも間違える文法や語法、ディケンズ、メルヴィル、ディキンソンら著名作家たちが操る記号――カンマやダッシュ、コロン――の独特な使い方、クセが強い校正者たちのエピソード、トランスジェンダーのきょうだいを呼ぶときの代名詞etc…。「正しい英文法」だけでは白黒つけられない、迷いと葛藤の日々を描く唯一無二の校正エッセイ! -
たった10秒で心をほどく 逃げヨガ
不安に押しつぶされそうになった時。「孤毒」がまわって死がチラつき出した時。そんな時こそが、「まさにヨガの始め時」と話すのは、イケメンヨガインストラクターとして名を馳せるタダヒコ先生。本書では、絶望からいったん逃げ、リラックスして自分だけの居場所を得られるヨガポーズと、疲れた心に効く先生の「泣ける」名言を紹介。おこもり中の自宅でもすぐに試せて、ページをめくるほどに息をするのが楽になる「心の緊急避難」のヨガ本。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 -
嵯峨野より
嵯峨野の自然と人生を流麗に綴る好エッセイ―― 剃髪して京都の郊外嵯峨野に庵を結んだ著者が、樹木、野の草をはじめ四季の自然を愛し、それに対することで自分の来しかた、人生、世の移ろいを深くとらえ、さわやかな感動を読む者に与える好エッセイ。 吾れ、常に、ここにおいて、切なり、と心につぶやく。すると、心の中に涼しい風がおこり、もやもやした俗情がさっぱり吹き払われる……。剃髪して京都・嵯峨野に庵を結ぶ著者が、草花、樹木をはじめ四季の自然を愛し、それに対することで自分の人生、世の移ろいを深くとらえ、さわやかな感動を与える好エッセイ。 -
蛇淫の殺意
ひどい宿酔で午後3時過ぎに目覚めたとき、探偵の秋津慎平は自分がラブホテルの一室にいることに気づいた。隣には全裸の見知らぬ女が。女と淫蕩な時間を過ごした後、依頼人が待つ日比谷のシティホテルに赴いた。今回の依頼人は女優の伊吹杏子。盗まれた前衛美術家の作品を元の美術館に戻してほしいという仕事だった。たいして難しいことではないと思ったが、美術品を戻した後すぐに男たちに襲われてしまう。しかも伊吹杏子の家出した娘の捜索まで依頼されたことで、大きな謎に立ち向かうことになる。息詰まるサスペンスとエロス。上質のハードボイルド、ハードサスペンス長編! -
彼女は僕の「顔」を知らない。
「私は犯人を知りたいんです。私に与えられた時間は――もうきっと長くないから」 死者複数名を出した凄惨なキャンプ場放火事件から10年。僕の前に、同じ事件の生存者・静葉が転校生として現れる。事件当日に怪しげな男と遭遇したと言う静葉だが、彼女は“失貌症”――人の顔が認知できない病だった。 差出人不明の脅迫状、黒服の男、不審火の記録。10年を経て再び事件は動き出す。 これは――僕が静葉へ捧ぐ【贖罪】の物語だ。 ラスト僕らは「愛」を知る。二度読み必至の青春ライトミステリ! -
さくら、うるわし 左近の桜
小旅館「左近(さこん)」の長男・桜蔵(さくら)は、母と弟が暮らす家を離れ、父・柾(まさき)の元から大学に通っている。柾の庶子ではあるが特に不自由はなく、柾の本妻である遠子(とおこ)とは、気軽に連れ立って出かけられるほどだ。複雑な家族関係に不満はないが、誰からか継いだ、不可思議な体質は困りものだ。見えないはずのものを見てしまうだけでなく、その者たちに魅入られ、身体をほしいままにされてしまう。それも、集まってくる者たちはいずれも桜蔵を「いい女」と呼んではばからないのだ。 耳を求めさまよう犬、男か女か判然としないマネキン――この世ならぬものたちが桜蔵の身体を求め……。生と性、死の気配が絡み合う珠玉の連作幻想譚。 -
茶寮かみくらの偽花嫁
いくら食べてもおなかがすいて、直ぐに倒れてしまう。 そんな、原因不明の特殊な虚弱体質のせいで、ふつうの人生をあきらめていた大島小鳥(おおしま ことり)、18歳。病欠続きで、ついに出席日数が足りず、高校を留年してしまった。 ある日、行き倒れていたところ、ミステリアスな、美貌の料理人・坂頼兼(さか よりかね)に助けられる。小鳥を助けた彼は、突然「僕と、結婚しませんか」と誘い……疑問を抱きつつも、打算で結婚生活をはじめることに。彼の作った料理だけが、なぜか彼女を満たし、健康に生活させてくれたからだった。 「彼はなぜわたしを助けたか」? 疑念はふくらむ一方だけど、満たしてくれる料理を通して、頼兼のとなりがだんだん居心地よくなって――。 舞台は鎌倉。訳アリ大食い女子高生が、ミステリアスな美貌の料理人とはじめる、怪異彩る契約結婚譚。 -
オルコスの慈雨
互いに偉大な魔術師と同じ魔法香を持つ孤児のシルヴィアとルグ。二人は優しい魔術師に引き取られ、日々幸せに過ごしていた。しかし、ある事件を境に溝が出来てしまう。 それから数年後。16歳になった彼らの元に、名門と名高いフォルトゥナ魔法学園への入学案内が届く。期待に胸を膨らませるも、あまりにも珍しい二人の魔法香に、様々な噂が立ってしまい……? 彼らの魔法香に秘められた謎、そして忌まわしき事件の秘密。魔法学園を舞台に、運命の歯車が回りだす――! -
藍の夜明け
16歳になった翌朝、爾はひどい悪夢から目を覚ます。その手の平には寝る前にはなかった浅い傷と、指には長い髪の毛が絡みついていた。前夜、近所で起きた女性の通り魔殺人の報道を知り不安に駆られる爾。異変は次々起き、三度目の朝。爾は自分が脱いだTシャツから血の匂いをかぎ取る。そして少女の他殺体発見のニュースが! その少女は、看護師を務める爾の母の患者だった。犯人が自分かもしれない。爾は親友の達樹にも話せず悩んでいた。ある日、学校で見知らぬ少年と遭遇する。達樹からは自分たちの幼なじみの白兎だと言われるが、爾には全く見覚えがなく……。大人のサスペンス・ミステリ、第3弾! -
声が出なくなったので、会社を辞めて二人暮らし始めました。
仕事は辛くて友だちも少なく、元カレはクズ。ストレスが原因で声が出なくなり会社を辞めた絵麻。無職になり祖母の遺した家でずぼらな引きこもり生活をしていたが、突如親友の弟・空が現れる。 「俺がここに住むの、どうですか?」 空の強引な提案で一緒に暮らし始める二人。空の手料理やお世話により、絵麻の生活は改善されていくが、空には秘密があって……。 『おいしい』『ありがとう』『好き』――声が出なくても想いは文字《カタチ》にして伝えたい。 優しく言葉を綴る恋の物語。 -
私の頭が正常であったなら
最近部屋で、おかしなものを見るようになった夫婦。妻は彼らの視界に入り込むそれを「幽霊ではないか」と考え、考察し始める。なぜ自分たちなのか、幽霊はどこにとりついているのか、理系の妻とともに謎を追い始めた主人公は、思わぬ真相に辿りつく。その真相は、おそろしく哀しい反面、子どもを失って日が浅い彼らにとって救いをもたらすものだった――「世界で一番、みじかい小説」。その他、表題作の「私の頭が正常であったなら」や、「トランシーバー」「首なし鶏、夜をゆく」「酩酊SF」など全8篇。それぞれ何かを失った主人公たちが、この世ならざるものとの出会いや交流を通じて、日常から少しずつずれていく……。そのままこちらに帰ってこられなくなる者や、新たな日常に幸せを感じる者、哀しみを受け止め乗り越えていく者など、彼らの視点を通じて様々な悲哀が描かれる、おそろしくも美しい”喪失”の物語。【解説:宮部みゆき】 -
わたしは告白ができない。
校内でも有名なイケメン風紀委員長・睦月に片思い中の小夜子。 ある日、ずっと渡せなくて持ち歩いていた彼へのラブレターが紛失してしまった。 「大切なものがなくなった」と落ち込んでいると、それに気づいた睦月が「風紀を乱す盗難事件は即刻解決する」と言い出した。 落とし物として誰かに拾われ手紙を読まれることは嫌だけど、こんな展開で本人に内容を知られるのが一番最悪――。 渡すつもりだったラブレターが行方不明になったり、送ったはずの告白メールが見知らぬ誰かに届いてしまったり。 かと思えば大切な思い出を盗まれ、なりすまし告白をされたり。 わたしが告白できないのは、恋なのか故意なのか。……どっちでもいいから告白くらいさせてほしい! 『交換ウソ日記』の著者が描く、いつも誰かに邪魔をされ何故か告白ができない女の子と、イケメン風紀委員長とのドタバタ告白ミステリ! -
京都であった泣ける話
日本の古都・京都を舞台にした12編の心にしみるアンソロジーです。 【一部あらすじ】 京都で『ぬい旅』/編乃肌 伏見稲荷大社に「ぬい旅」。千本鳥居を抜けた先で起きた小さな奇跡とは? 不味い大福売りの男/溝口智子 京都の甘すぎる大福を売り続ける陰鬱な毎日。そこに一つの出会いが訪れて…… サエコとシノブ/桔梗楓 美大に入学した紗子、学内で孤立する京都出身のしのぶに、なぜか惹かれていき…… たかだか百年/天ヶ森雀 「そうだ、京都に行こう」の一言で始まった小旅行が百年の時を超える旅になる。 しづ心なく/那識あきら 今も忘られぬ常寂光寺。桜の花びらが舞い散る中、二人はあの日を振り返る 【ほか7作品収録】 『そこにあなたという道標、そして縁』ひらび久美/『めぐるめぐるコンパス』貴船弘海/『京都仮想現実同窓会』神野オキナ/『思い出は本棚の中』杉背よい/『綺麗な言葉の裏側は』朝比奈歩/『ぶぶ漬け食べに、京都行こう』矢凪/『人形流し』鳴海澪 -
万葉百歌 こころの旅
今、たどりつく。万葉集の新境地。選り抜かれた100首と独自の解釈が、新たな〈万葉観〉へと導く! 長歌、短歌、旋頭歌など、全4500余首が収められた日本最古の撰歌集「万葉集」。京都、飛鳥、奈良といった古都の散策を主題とする随筆の名手が、その中から100首を厳選し、瑞々しい解釈と美しいエッセイを添える。内乱が頻発し混沌とした社会にあって、歌の作者たちは嘆きや悦び、叶わぬ願いや迸る想いを懸命に詠み上げた。そうした先の見えない時代を生き抜く逞しさに満ちた古の詩が、私たちに今ひとたびの生命力を与えてくれるはず。詩歌の来歴はもちろん、著者自身が万葉ゆかりの地で見聞きした余話に豊かな学びと温かな癒しがある。また、躍動感のある大和路の風光描写が――たとえ物理的な移動がままならない時であっても――想像力あふれる魂の旅へと誘ってくれる座右の書。 -
小公子
ニューヨークの下町で母親と暮らす少年セドリックは、金色の巻き毛に愛くるしい顔立ち、そして誰とでもすぐに友だちになれる天真爛漫な男の子。ある日、イギリスの貴族である祖父の跡取りとして迎えられることになり、母とともに海を渡る。だが、冷酷な祖父ドリンコート伯爵は、アメリカ人の母親を憎み、ふたりを引きはなそうとしていた。それでも、人を疑うことを知らないセドリックは、祖父を慕い、よい伯爵になろうと無心に努力する。その姿が周囲の人々の心をつかみ、いつしか老伯爵の心も打ち解けていくが……突然、衝撃の事件が巻き起こり、運命の歯車が動きだす――! -
罠【電子特典付き】
「便利屋と呼んでください」その男の特徴はとくには…ない。ロボットのような得体のしれない新キャラクター・便利屋。まるで死神のようであり、悪役なのか助っ人なのか得体が知れない。 議員の息子が誘拐され、身代金要求が犯人から来た。金を工面しようと事務所の金庫へ向かった秘書が暴漢に襲われ、現金を奪われる。ところが、その金はなんと、偽札だったと警察に知らされる。八方ふさがりになり、便利屋に依頼をする……。一方、捜査一課の刑事の巨漢の男・都築は、街に発生する事件を追ううちに、一人の人間に行きつく――便利屋だ。背徳の街・槻津市では、今日も政治家や葬儀屋、学校、旅行会社と次々と悪事を働いている。暴力で相手を屈服させるのではなく、悪事を捻り出す知力(悪知恵)で騙し合っている。 『極上の罠をあなたに』(単行本)に、書下ろし4編を加えた文庫版新装版では、都築は探偵事務所の所長に。ついに便利屋の正体が明かされる! 電子書籍特典として、本書の発売にあわせて書き下ろされた「インタールード 刑事の恋」を収録。 -
刻
二つの国と二つの言語。夭逝した芥川賞作家の内面の葛藤を描く長篇小説――若くして亡くなった、在日韓国人女性作家。日本で生まれ育ち、韓国人の血にわだかまりつつも、日本人化している自分へのいらだちとコンプレックス。母国に留学し直面した、その国の理想と現実への想い。芥川賞作家の女の「生理」の時間の過程を熱く語る長篇と、「私にとっての母国と日本」という1990年にソウルで、元原稿は直接韓国語で書かれた講演を収録。 ◎アイデンティティを追求した李良枝の私小説は、「目に見えない」心のミステリーを解明しようとした鮮烈なテキストなのである。日本から、見知らぬ「母国」へやってきた「刻」の主人公は、だから、母語ではない母国語の文字の前で落ち着きを失う。その「私」の1日においては、だから、一刻一刻、親近感と距離感の間で心のゆらぎを覚えて、最終的には選ぶことができないのだろう。<リービ英雄「解説」より> -
足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー
新書『応仁の乱』がベストセラーになって以降、関心が集まっている「足利氏」は、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』でも注目された。本書は、戦国を語る上で欠かせない「足利氏」をテーマに、7名の歴史時代作家が書き下ろした短篇小説を収録したアンソロジー。著者は、2020年上半期の直木賞を受賞した川越宗一をはじめ、大人気シリーズ「口入屋用心棒」の著者の鈴木英治、2020年の中山義秀文学賞を受賞した木下昌輝など、ベテランから新進気鋭まで、実力派ばかり。これまで戦国史を語る上で、メインで書かれることがなかった「足利氏」を軸に、この時代の画期となる出来事を時系列で描いていくことによって、“もう一つの戦国史”が浮かび上がる。 ■目次 ●第一話 早見俊 ◎嘉吉(かきつ)の狐――古河(こが)公方家誕生 ●第二話 川越宗一 ◎清き流れの源へ――堀越(ほりごえ)公方滅亡 ●第三話 鈴木英治 ◎天の定め――国府台(こうのだい)合戦 ●第四話 荒山徹 ◎宿縁――河越夜合戦 ●第五話 木下昌輝 ◎螺旋(らせん)の龍――足利義輝弑逆(しいぎゃく) ●第六話 秋山香乃 ◎大禍時(おおまがとき)――織田信長謀殺 ●第七話 谷津矢車 ◎凪(なぎ)の世――喜連川(きつれがわ)藩誕生 ●コラム 喜連川足利氏を訪ねて――栃木県さくら市歴史散歩 収録作品は、いずれも書き下ろし! -
最後は会ってさよならをしよう
Twitterで、140字ぴったりで完結する物語「超短編小説(スーパーショート)」を綴る作家・神田澪。 恋愛、ミステリー、SF……涙の感動作からクスッと笑えるコメディまで。わずか140字の先に、想像もしないラストが待っていると話題沸騰! そんな神田澪待望のデビュー作がついに登場! これまで書き続けた千篇以上の作品の中から厳選して掲載しました。 表題作はもちろんのこと、Twitter上で17万いいねを記録(2020年12月時点)した絶大な人気作のほか、さらに書き下ろし作を多数加え収録。 得意とする140字作品を基軸に、140字小説を連ねた初の「連続ショート作品」に、初発表のエッセイや中編など、さまざまな形態のものがたり合計141篇を収録した本作は、まさに「ものがたりの宝石箱」。 現代の「千夜一夜物語」、ここに登場! -
実話怪談 樹海村
◆謎の村「樹海村」は実在するのか――? 山道から七〇〇メートル以上離れた樹海の最深部で数年前、朽ちた複数のテントが発見された。 錆びたガスコンロに、鍋、フライパン、空容器の残骸。 木々に張ったロープにはボロキレのような洗濯物が干されていた。 果たしてそれは何を意味するのか? 青木ヶ原樹海を探索し、これまでに七〇体以上の自殺遺体をしてきた樹海のスペシャリスト・栗原亨が映画の舞台を徹底検証、自殺の森の真の姿と恐怖に迫る。 また、かの地で実際に起きた怪奇心霊現象、訪れた人の恐怖体験などを記した樹海怪談十七篇も収録。 樹海は呪界――リアルな恐怖が迫りくる、実話怪談版・樹海村! 日本最恐の禁足地・樹海のミステリーを解き明かす… ◆収録内容 第1部 樹海ルポルタージュ 栗原 亨 間違いだらけの樹海知識 青木ヶ原樹海とは 樹海に自殺死体はあるのか? 自殺エリアの傾向 遺体の考察 自殺者レポート はたして樹海では本当にコンパスは狂うのか? 樹海は本当に一度入ると出られないのか? 樹海内でスマートフォン(携帯電話)は使えるのか? 樹海内で心霊現象はあるのか? 野犬は存在するのか? カラスが見つけた遺体 まぼろしの遊歩道を探せ! 樹海最大のミステリー 自殺防止呼びかけ箱、呼びかけ看板 自殺志願者には遭遇するのか? 樹海の必見スポット 青木ヶ原“呪界”考 住倉カオス 第2部 樹海実話怪談 「誘う息」 住倉カオス *再録 「樹海のフィルム写真」 ふうらい牡丹 「彩りの森」 緒音 百 「死体探し」 乱夢 「ドラゴンズケイヴ」 神沼三平太 「見知らぬ男の夢」 月の砂漠 「死にたくない」 神沼三平太 「慰め」soo 「未来予想図。」 音隣宗二 「ズレて見える」 中野前後 「ない 」大坂秋知 「免許証」 神沼三平太 「育ての母」 つくね乱蔵 「一方通行」 橘 百花 「「こっくりさん」に纏わる話」 営業のK *再録 「泥顔」 つくね乱蔵 「干瓢」 平山夢明 *再録 -
実話怪談 犬鳴村
◆禁忌の里「犬鳴村」は実在するのか――? 日本を代表する最凶の心霊スポット・旧犬鳴トンネル。 その先には、日本国憲法すら通じぬ謎の集落「犬鳴村」が存在する……。 映画『犬鳴村』で一躍話題となったこの都市伝説は、果たして本当に伝説にすぎないのであろうか? これまで数多の怪奇スポット、恐怖の現場をその足で取材してきたルポルタージュ怪談の雄・吉田悠軌が村伝説を徹底検証、土地の歴史を紐解きながら、噂の真相と恐怖の裏側に迫る。 また、藪の中から突如現れた謎の言語を話す男との遭遇譚など新旧犬鳴トンネル、犬鳴峠、犬鳴ダム周辺で実際に目撃された怪奇現象、恐怖体験を記した実話怪談二十五篇も収録。 禁忌に触れる恐怖が背筋を駆けのぼる、実話怪談版・犬鳴村! “その村”があるのはこの世とは限らない―― ◆収録内容 第1部 犬鳴村伝説とはなにか 吉田悠軌 「この先、日本国憲法つうじません」 犬鳴村伝説の広まり 杉沢村、樹海村について 新旧「犬鳴」訪問者インタビュー ・かつての「犬鳴」の姿とは―― 1970年~2000年(「朱い塚」管理人・塚本) ・現在の「犬鳴」の様子とは――2000年代(濱幸成) ☆犬鳴村特別座談会 (久田将義、住倉カオス、吉田悠軌) 第2部 犬鳴村実話怪談 「この電話番号は」 吉田悠軌 「公衆電話」 村上ロック 「〇三〇五」川奈まり子 *再録 「一緒に来てほしい」 日高屋四郎 「亥の子石」梨 「奇妙なライダー」鬼志 仁 「福岡トンネル」緒音百 「噂」 緒音 百 「そこにいたもの」おがぴー 「まっくろ」高倉 樹 「犬鳴の住人」月の砂漠 「嫌な音」月の砂漠 「先客」 月の砂漠 「地図アプリ」 菊池菊千代 「祟られ」坂本光陽 「犬鳴トンネルの写真」 坂本光陽 「水」ムーンハイツ 「何が見える?」 天堂朱雀 「先が見たい」 天堂朱雀 「「目的地」の女」キンブルヤスオ 「トンネルにて」アスカ 「遠吠え」アスカ 「ラジオチャンネル」 雨水秀水 「新犬鳴トンネル」 戸神重明 *再録 「隧道事故」神沼三平太 -
樹海村〈小説版〉
「お姉ちゃん知ってる? この箱が置かれた家はね、 みんな死んで家系が絶えるの」 人々を戦慄させる禍々しい古くから伝わる強力な呪いを、 歪な木々や地を這う根が生える、 不気味で壮大な樹海の奥深くに封印した。 ――13年後。姉妹の響と鳴の前に、あれが出現。 そして、樹海で行方不明者が続出する。 自ら向かったのか?それとも魔の力に吸い寄せられているのか? 恐怖が、いま再び解き放たれる。 実録!実在!?東映が贈る【恐怖の村】シリーズ第2弾! 次なる舞台は…アノ富士の樹海。 樹海に封印された呪いの箱が、今解き放たれる! 2020年2月に公開し、非常事態下において異例の興収14億円、110万人を震撼させた映画『犬鳴村』。 続く【恐怖の村】シリーズ第2弾の舞台は、令和の時代となった今もなお禁足地として存在する富士の樹海。 木々の生命力がみなぎる美しい場所である一方、 「コンパスが効かない」「一度入ったら迷って出てこられない」「本当に死体が多数ある」 など様々な話題が絶えず、人生の最期を迎える場所としてこの地を選ぶ者の多さでも有名。 そんな森の奥深くには、何者かが暮らす村が存在した。 そして、封印されし凶悪な呪いの箱……! 「絶対に検索してはいけない」とインターネットの怪談スレで語り継がれる、通称“コトリバコ”。 逃げても逃れられない箱の恐怖と「SUICIDE FOREST」として世界的に有名な富士の樹海がもたらす負の引力。 〈小説版〉は、『犬鳴村〈小説版〉』に引き続いて久田樹生が手掛ける。 -
ヴェルサイユ宮の聖殺人
1782年5月――ブルボン朝フランス王国が黄昏を迎えつつある頃、国王ルイ16世のいとこにして王妃マリー=アントワネットの元総女官長マリー=アメリーは、ヴェルサイユ宮殿の施錠された自室で刺殺体に遭遇する。殺されていたのは、パリ・オペラ座の演出家を務めるブリュネル。遺体は聖書をつかみ、カラヴァッジョ「聖マタイと天使」に血文字を残していた。そして、傍らに意識を失くして横たわっていたのは、戦場帰りの陸軍大尉ボーフランシュだった――。マリー=アメリーは集った官憲たちに向けて、高らかに告げる。「この方の身柄を預けて下さいませんこと? 私のアパルトマンで起きた事件です。こちらで捜査しますわ。無論、国王陛下の許可はお取りしますからご安心下さい」「俺は助けて欲しいと一言も言ってない! 」かくして、奇妙な縁で結ばれた、才女気取りのやんごとなき貴婦人と第一容疑者のボーフランシュ大尉は、謎多き殺人事件に挑む。第10回アガサ・クリスティー賞優秀賞受賞作品 -
小説 ダーウィンズゲーム ~フラッグゲーム~
シブヤでクラン間対戦『フラッグゲーム』に参加しているサンセットレーベンズ。シュカから依頼を受けてレインがずっと捜していた老人のプレイヤーの情報を手に入れ、事態が動き出す。そしてシュカとレインの過去が今明らかに…!! 『ダーウィンズゲーム』の原作者自らが描き下ろした完全新作小説!! ファン必読の一冊!!
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