小説・文芸 - 角川文庫作品一覧

  • 白痴・二流の人
    3.8
    敗戦間近の耐乏生活下、隣人の白痴女と奇妙な交際を続ける独身の映画演出家。極限の虚無と孤独を描き、世人に多大な共感を与えた昭和21年発表の「白痴」。優れた知略を備えながら二流の武将に甘んじた黒田如水の悲劇を浮彫りにする歴史小説「二流の人」。その他、坂口文学の代表作である「木枯の酒倉から」「風博士」「紫大納言」「真珠」「風と光と二十の私と」「青鬼の褌を洗う女」を収録。
  • 白昼の死線
    -
    「阿部くんか…」阿部は一瞬目の前が真っ暗になった。まさかと思っていた人員整理の候補の一番手にあげられたからだ。阿部は復讐を決意し、もう一人の人員整理の候補になった男とともに、会社の金を奪うが……。綿密な計画と鉄壁のアリバイに守られ、果たして、彼らの完全犯罪は成功するか!?
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 西戦の巻(上)
    4.3
    1~2巻616円 (税込)
    大和王朝の王子であり、勇猛にして心優しき英雄、倭男具那。彼は女王・倭姫王の託宣に従い、熊襲と呼ばれ、九州で猛威をふるう狗奴国との戦いに出陣することを決心する。西を目指す男具那、その途には、狗奴国の勢力の北上にともなって各地で蜂起する賊たちが立ちはだかる。そして、女人剣士・羽女らを軍に加え、宇沙地方を跋扈する賊・鼻垂との壮絶な戦の幕は開いた――。日本最古の英雄、ヤマトタケルの生涯を描く歴史叙事詩、待望の第二弾!
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 終焉の巻
    5.0
    大和王権の権威を東国に示すため東征の旅の途にある倭建(ヤマトタケル)は、駿河を従え、最大の目的地である毛野国に迫る。しかし房総半島に向かう途中、愛する妃・弟橘媛が海神の犠牲となって命を絶つ。弟橘媛の死と暗躍する大和の敵対勢力を前に、東征の意味を自問する建は、戦うことの無意味さを悟り、自分のために生きることを決意する。陸路、大和への帰路についた建を再び宮簀媛が待ち受けていた。再会は不幸の予兆となるのか? 黒岩重吾最大の古代史小説、遂に完結。
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 大和の巻
    4.6
    大和王朝の王子でありながら、権力よりも自由を求めて生きようとする若き英雄、倭男具那。重臣たちの人望を集めながらも、その勇猛さゆえに、父王、兄王子から疎まれ、王権を奪取しようとする士族たちに命を狙われる。台頭した大和王朝と、それに反発する士族たちの争いが繰り広げられる激動の四世紀末、数奇な宿命を背負い、ヤマトタケルの青春は幕を開けた――。血を分けた兄との確執と兄弟愛、刺客との壮絶な闘い、日本最古の英雄を描く壮大な歴史ロマン。
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 東征の巻(上)
    4.3
    1~2巻660円 (税込)
    九州の熊襲を征討した倭建(ヤマトタケル)は大和に戻った。愛する弟橘媛に若建が生まれ、しばし平穏な日々を送ったのも束の間、倭国統一を目指す父・オシロワケ王(景行帝)は、三輪王朝に服従しない東の国々を討つことを建に命じる。東征を前に、叔母で巫女王の倭姫王は、神宝の剣と、火打石、薬を授け、建を励ました。伊勢の朝日雷郎を平定し、尾張に入った建を、首長・音彦の娘で妖しい魅力を湛えた宮簀媛が迎える。日本最古の英雄を、雄渾な筆致で活写する壮大な歴史叙事詩第三弾
  • 白鳥の逃亡者
    -
    日向涼子は16歳。しかし普通の女子高生ではない。チェロの天才少女として常にマスコミの注目を集め、コンサートで日本中を飛び回る人気者なのだ。しかしそんな涼子も、恋人との関係や家族の問題に悩んでいた。ふとしたきっかけで殺人犯の君崎誠二と知り合った涼子は、彼に同情し、学校もコンサートも捨てて2人で逃避行の旅に出ることに――!チェロの名曲「白鳥」の調べに乗せておくる青春ミステリー。
  • 白髪鬼
    3.0
    ――わしは恐ろしい肉食獣になりはてていた。墓穴の底で、棺のふたをこじ開け、まず指先にふれたものは、肉が腐って抜け落ちた髪の毛、ゴツゴツした頭蓋骨だった。死体に寄生した蛆虫さえも死に絶えてしまっていた。信じ切っていた友の奸計にはまり、愛する妻にも裏切られた一匹の白髪の鬼。地獄の底からよみがえった復讐鬼。乱歩の伝奇小説の最高傑作! 白髪鬼/盗難/一枚の切符/人でなしの恋/恐怖王/を収録。
  • 箸墓幻想
    4.1
    邪馬台国の研究に生涯を費やした考古学者・小池拓郎が殺される。浅見光彦は小池が寄宿していた当麻寺の住職から事件解決を依頼され、早春の大和路へ。古代史のロマンを背景に展開する格調高い文芸ミステリ。
  • 覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪
    4.4
    戦争孤児が見る夢を、佐々木海人も見る。小さな家を建て、消息不明の母を捜し出して、妹と弟を呼びよせて、4人で慎ましく暮らすという夢を。8歳のころから見つづけてきたささやかな夢だ。そして応化19年6月、ふたたび戦争の季節がおとずれる。──突撃する。蜂起する。俺たちは戦争に勝利する──『裸者と裸者』『愚者と愚者』に続く、〈応化クロニクル三部作〉完結編!
  • 走れ、コヨーテ
    -
    風戸進介、22歳。バイクに憑かれ、走ることに魅せられ、風を切ることだけに己れのすべてを賭けた青年。高校を3年で中退して以来ひたすらに働き、やっと手に入れた一台のバイクと共に、進介は唯一の友人・高木と連れだち日本を飛び立った。目的は、北米大陸縦断の耐久(エンデユーロ)レースへのエントリーだ。総走行距離1万6000キロ、30日間に及ぶ究極のオフロード・レース。進介は鋼の馬を駆り、地を削り砂塵舞う陽炎の果てをひた走る。太陽が、人々の群像が、進介を通り過ぎてゆく。ゴールの先には、また新たな日々があるかも知れない。けれど、ゴールはまだ見えない――。感動のバイク小説。
  • 走れメロス
    4.3
    1巻396円 (税込)
    妹の婚礼を終えると、メロスはシラクスの市めざして走りに走った。約束の三日目の日没までに暴虐の王の下に戻らねば、自分の代りに友セリヌンティウスが殺される。日はすでに傾いている。メロスよ、走れ!……身命を賭けた友情の美しさを描いて名高い表題作のほか、「富嶽百景」「駆込み訴え」「東京八景」など珠玉の9編を収録。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
  • 走ろうぜ、マージ
    4.3
    1巻660円 (税込)
    11年間を共に過ごしてきた愛犬マージの胸にしこりが見つかった。悪性組織球症。一部の大型犬に高発する癌だ。治療法はなく、余命は3ヶ月。マージにとって最後の夏を、馳星周は軽井沢で過ごすことに決めた。
  • はじめての結婚
    4.0
    正解の結婚しかしたくないからまだ結婚しない、などと思っていませんか? 同じ結婚でも男と女ではまるで意味が違うもの。恋愛と人生の達人である二人が夫と妻の立場から語る究極の結婚エッセイ。
  • はずれの記
    4.0
    季節もののおいしさに知る口の福。仲秋名月にこめた祈り。気になる秋の抜け毛。五十五年後の級友の消息。秘境への旅の感動―。移りゆく四季を背景に、日々の心の機微を描いた珠玉随想の数々。加えて、人生最大のイベントとなった豪華客船搭乗や引越しなど、稀な体験の数々。創作の現場から、日常生活まで国民的作家の素顔に出会える待望の一冊。
  • はたらく青年
    3.9
    学生時代。それはバイトの時代である! 若さがホトバシって、お金が足りなくなって、しゃかりきに勤労にいそしんじゃう日々なのだ。製本工場で巨大カッターにおののき、肉まんの点つけ作業に発狂しそうになり、配達するはずのエロ本にどうにもときめいてしまう。安い時給に騙され、泣いた、嗚呼、青春のバイト生活。誰もが思わず膝を打つ、はらだ印のはたらくエッセイ。
  • 裸の王様・流亡記
    -
    1巻594円 (税込)
    無口で神経質そうな少年・太郎が、ぼくの画塾へと連れられてきた。太郎の父は画材会社を経営しているが、彼が描くのは電車やチューリップの絵ばかり。人間が1枚も描かれていないスケッチブックに彼の孤独を見たぼくは……。閉ざされた少年の心にそっとわけいり、いきいきとした感情を引き出すまでを緻密に描いた芥川賞受賞作「裸の王様」ほか3編。世間を真摯なまなざしで切り取った、行動する作家・開高健の初期傑作集。
  • 八王子のレッド・ツェッペリン
    -
    都会でも田舎でもない、どっちつかずのとても宙ぶらりんな街が八王子だ。その街の片隅で今日も僕は宙ぶらりんな気持ちのまま、4月の空をながめている。僕は進学も就職もしなかったわけで、家業の工務店を真剣に手伝うわけでもなく、長い春休みをすごしているような毎日を送っている。なぜなら、自分の中で決めていたからである。プロのミュージシャンになることを……。木根尚登が自らの青春の彷徨を描く、TMネットワーク結成前の伝説の物語。
  • 八月十五日の開戦
    -
    1巻682円 (税込)
    昭和20年8月15日、日本の無条件降伏にもかかわらず、ソ連極東軍事司令官は北海道占領作戦を発令した。3日後、ソ連軍は北千島の辺境・占守(しむしゅ)島に上陸を開始する。島に配備されていたのは、熾烈な戦場を生き抜いた男たちであった。故郷への帰還に思いをはせていた彼らは、敗戦後の祖国と民族の分断を阻止すべく、再び過酷な戦いに突入する……。太平洋戦争における日本軍最後の戦いに身を挺した人々の壮絶な物語。
  • 8月のカモメたち
    4.0
    18歳の薊は、死んでしまった祖父の相続税を払うため、夕陽の当たる海辺のバー〈サンセット〉でアルバイトを始めた。過去を語らぬ店長の浩一に魅かれ、彼がかつての新鋭作家だと知った。……薊は初めての恋に落ちていた。人生への不安、胸の痛み、そして抱きしめてくれた腕の熱。彼の残した唯一の小説を探り、いつしか薊は小説家を目指す。人生で一番濃密で、一番短い夏が終わる。薊はその夏失った大切な命を描こうと誓った。小説に寄せる著者の切実な想いを込めた青春ロマン。
  • 八号古墳に消えて
    3.2
    考古学の権威・浅川教授の遺体が大阪・八尾の遺跡発掘現場で見つかった。体内に残された土の成分から、別の場所で殺された後に運ばれたことが判明。 考古学関係者の犯行が疑われ始める。捜査に乗り出したのは大阪府警の名物刑事、「黒さん」こと黒木と「マメちゃん」こと亀田の“黒マメ”コンビ。 やがて、浅川の裏の顔が明らかになり始めた矢先、またしても発掘現場で不可解な死が。手がかりは、失踪した研究者が残した写真。 そこには謎の古墳壁画が写されていた。能天気だが、やるときはやる二人組が学界の闇に隠された真相に迫る!
  • 恋人をみつける80の方法
    3.0
    気づかい、服装、ふるまい方など自分で意識できる些細なことを、ほんの少し気をつけるだけで、素敵な恋人が見つけられるとしたら、あなたはどうしますか? 本書には、あなたが恋を成就させるために必要なエッセンスが詰まっています。あなたが恋をしたくなったとき、好きな人ができたとき、そして恋に悩み傷ついたときに読んでみてください。きっと、あなたの恋を叶えるべく、最大の効力を発揮することでしょう。あなたが、自分の手で幸せをつかむための最高のバイブル。
  • 鉢町あかねは壁がある カメラ小僧と暗室探偵
    3.4
    弓道部、漫画部、学園際、修学旅行……美しい被写体を追い求める写真部・有我遼平の周りには難事件が続発。しかし、正体不明の女生徒は事件の真相をことごとく言い当てる。探偵少女と写真少年の推理と恋の推理劇。
  • ハ長調のポートレート
    4.0
    働き者のサラリーマン坂上勝之、正直で優しい妻エリ。二人の平凡な日常は、初めての赤ちゃん〈亜紀子〉が生まれた瞬間に色を変えた。「会社のため」に自分の生活や、妻の存在に目を瞑ってきた勝之。満員電車で、スーパー・マーケットで、家で……ちょっとした出来事が、彼に〈バラ色の平凡〉を教えてくれる。亜紀ちゃんが、大人たちにくれた、ごく普通の大切なもの。毎日を変える家庭小説。
  • 白球ガールズ
    3.0
    女の子はでられない――。甲子園を夢見てきた青山由佳は、硬式への思いが断ち切れず女子硬式野球部のある花ヶ丘学園高校へ転校する。しかし、早々に理事長代理と対立。「春の一勝」を部の存続条件にチーム作りに動きだすが、集まったのは個人主義、外国人留学生、ヤンキー……と超個性的な面々ばかり。男子野球部には幼馴染みで天敵の石田もいた! 果たして由佳は野球を続けていけるのか!? 熱血女子高校生野球エンタメ! 稲村亜美さん推薦! 由佳の野球を好きな気持ちとチームに対する ひたむきな思いに感動しました! 女の子だって野球が大好きです。
  • 八犬伝 上
    4.5
    1~2巻968円 (税込)
    文化十年、江戸飯田町の小さな家屋で、作家・滝沢馬琴は画家・葛飾北斎に語り出した。宿縁に導かれた八人の犬士が悪や妖異と戦いを繰り広げる『南総里見八犬伝』である。落城寸前の安房・滝田城で、時の城主・里見義実が一縷の望みを愛犬・八房に託したことをきっかけに、里見家の運命が動き出す――。闊達自在な伝奇「虚の世界」と、執筆への執念を燃やす馬琴を綴る「実の世界」を、緻密な構成で見事に交錯させて描いた傑作。
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ
    4.4
    味噌、醤油、ヨーグルト、日本酒、ワインなど、世界中にある発酵食品。著者はあるきっかけで“発酵”に魅せられ、日本だけでなく世界各地に伝承された美味なる食品を求めて旅をした。発酵とは、見えない自然を捉え、ミクロの生物と関係を結び、暮らしの中に喜びを埋め込む。この総体が発酵文化であり、そのローカル文化を通して人類の不思議を解くのが「発酵文化人類学」。発酵には、オーガニック、美容、ライフスタイル、イノベーションへの発展の側面があり、単なる食品にとどまらず、人間にとっての未来の可能性があり、歴史・文化を見直すきっかけになる。発酵は、今、人類の未来を左右する最も注目を集めている分野のひとつと言える理由がそこにある。 著者は発酵のしくみや人間と微生物との関わりを学ぶ中で、発見した。発酵には未来と過去があり、“微生物と人間の共存”は社会を見直すキーワードそのものだということを。 生物学、哲学、芸術、文化人類学などの専門用語を平易に解説した待望の文庫化。参考文献満載。解説・橘ケンチ(EXILE)
  • おとっつあん 八丁堀赤鬼忠孝譚
    4.0
    因縁をつけられて父親を無為に殺された高井伊八郎は、加護藩からひとり、江戸に仇討ちに出てきていた。憎き仇の名は、竜崎又右衛門。長らく仇を見つけられぬまま、行き倒れた伊八郎が助けられ意識を取り戻すと、そこは多くの恵まれない生い立ちの子どもを引き取って育てている、忠孝園という施設だった。そして、忠孝園を運営する有徳の士・祐源は、話に聞いていた父の敵、又右衛門と面影がそっくりだった――果たして、祐源の正体は善人の面をかぶった極悪人なのか? 自分が祐源を斬ったら、遺された子どもたちはどうなる??様々な黒い噂も耳に入り、伊八郎は真実を突き止めるべく、祐源に近づこうとするのだが―― さまざまな人生模様が交差する人情時代ミステリ!
  • 800

    800

    3.7
    1巻638円 (税込)
    ――なぜ800メートルを始めたのかって訊かれたなら、雨上がりの日の芝生の匂いのせいだ、って答えるぜ。思い込んだら一直線、がむしゃらに突進する中沢と、何事も緻密に計算して理性的な行動をする広瀬。まったく対照的なふたりのTWO LAP RUNNERSが走って、競い合って、そして恋をする――。青空とトラック、汗と風、セックスと恋、すべての要素がひとつにまじりあった、型破りにエネルギッシュなノンストップ青春小説!
  • HAPPYENDでふられたい
    値引きあり
    -
    私を待つ誰かのために、素敵なさよならをしよう。大事なのは、さよならの瞬間ではなく、別れた後のこと。喪失し、ぽっかりと空いてしまった場所をどのように埋めてゆけるか。悲しみを乗り越え、大切なものの一つとして、いつ思い出すことができるか。失恋の思い出は、何物にもかえがたい財産なのだから――人気作詞家として数多くのラブソングを作り続けてきた著者による、究極の恋の美学。その他、嫉妬とのつきあい方、適齢期に揺れる微妙な女心等、切ない恋愛について、自由な発想で綴った恋のエッセイ。
  • 初恋写真
    値引きあり
    3.0
    大学2年生の星野は、男子校出身で女子に免疫がない。所属している写真部の新入生勧誘で、カメラを首から下げた女子と出会い、一瞬で心を掴まれた。その1年生・花宮まいは、ある理由で高校に行けなくなった過去がある。男性が苦手なのも、その過去のせいだ。写真部に入部した花宮は、新歓撮影会などを経て、少しずつ星野と仲良くなっていく。花宮に起こった過去の事件を知らなかった星野は、付き合い始めたのち、佳い雰囲気のままつい彼女を押し倒してしまう。その瞬間、花宮の身体は固まってしまい……。不器用なふたりの、みずみずしい青春恋愛ストーリー。
  • 初恋ソムリエ
    3.9
    廃部寸前の弱小吹奏楽部を立て直し、普門館を目指す高校2年生の穂村チカと上条ハルタ。吹奏楽経験者たちに起きた謎を解決し入部させることに成功していた2人だったが、音楽エリートの芹澤直子には断られ続けていた。ある時、芹澤の伯母が高校にやって来た。「初恋研究会」なる部に招待されたのだという。やがて伯母の初恋に秘められた、40年前のある事件が浮かび上がり……。(表題作より)“ハルチカ”シリーズ第2弾!
  • 初恋は坂道の先へ
    -
    小学校の教師をしている25歳の研介。ある日、恋人の品子に一冊の本が届くと、彼女は失踪した。本の贈り主は品子が以前話していた「忘れられない初恋相手」なのか? 場面は変わり、中学2年生のしなこは敬愛する小説家、日向の家に通っていた。日向には、海人という不登校の孫がいる。彼は本をばらばらにする謎の行動をしており、その取っつきにくい性格に初めは馴染めなかったが、徐々に交流を深めていく。 〈選考時のコメントより〉 ●僕はこの物語を読んで感じた気持ちを形容する言葉を知りません。ただただ、ジタバタするほど面白かった。そして泣いていました。この物語が大好きだと世界中に叫びたくなりました(35・男・書店員)  ●どこにでもいる、特別に何か持っているわけでもない登場人物、なのに一人一人が生き生きとしていて、しっかりと心に残る(32・女・書店員)  ●『本』というものは、人を結びつけたり人の心を救ったりするすごいものだということが、まっすぐ書かれていて嬉しくなりました(36・女・書店員)  ●ありきたりな恋愛ものかと思いながら読んでいたら見事にだまされた。辻村深月や朝井リョウを最初に読んだ時を思い出した(28・男・書店員)  ●それぞれの世代がそれぞれの視点で風景を見つめ、生きている。眼差しが優しく、未来が明るく感じられた(36・女・公務員)  ●読み終えた後に、不器用な自分を少しだけ好きになれた気がする。(29・男・販売業)  ●やられた!と声に出してしまいました。私も小説を読んで励まされ本のおかげで出逢えた人もいます。感情移入して夢中で読んでしまいました(18・女・高校生) 第1回ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞〈大賞〉受賞作に、文庫化にあたり短編「かなたの小説」を収録。
  • 初体験物語
    4.0
    かの兼好法師が“よろづのことも始め終りこそをかしけれ”と宣うように、古来より物事ははじめと終りがおもしろいものなのである。はじめて痩せクリームを購入し、塗りたくったあげく腹を無意味にかぶれさせてみたり、はじめて見た生ダリの絵に興奮し、力強いくしゃみ〈唾液含む〉をあびせかけてしまったり……。剃刀のような感性と宇宙規模の知性を誇るカオルコヒメノが満を持して綴る現代の徒然草。
  • 果しなき流れの果に
    4.7
    巨大な剣竜や爬虫類がいた六千万年も前の中生代の岩層から、奇妙な砂時計が発見された。その砂は、いくら落ちても減らず、上から下へ間断なく砂がこぼれおちて、四次元の不思議な世界を作り出していた。常識では考えられない超科学的現象……! さらに不可解な事件が起きた。この出土品の発見場所の古墳へ出向いていた関係者が、次々と行方不明となり、変死を遂げてしまったのだ――。強大な内なる闇に対抗するための、遥かな時間と空間を超えた壮大な戦いを、迫力に満ちたイマジネーションで描く日本を代表するSF長編作。偶然発見された、貴重な創作メモを収録。作家の思考の流れを詳細に辿り、創作の原点を明らかにするエキサイティングな特典解説つき!
  • 破天荒一代(上) ごじゃな奴・望星編
    -
    1~2巻594~638円 (税込)
    四国香川の貧乏人の家に生まれた主人公の布施俊吉は、幼少の頃から、“ごじゃな奴”(無茶苦茶な奴)と敬遠され、かつ一目置かれる破天荒な男だった。エログロ・ナンセンスの時代といわれた昭和初期を背景に、俊吉の数奇な生いたちから純情な初恋、そして単身上京してからのさまざまな逸話まで、やがて満州国の出現から日中戦争突入へ――好色と奇抜な行動力で、暗黒の時代の渦の中を逞しく生きぬく俊吉の半生を、鮮やかな筆致で活写する。実在の人物と史実を存分に駆使して、実力派人気作家が描く、生きた昭和史ともいうべき痛快半世紀。
  • 鳩とクラウジウスの原理
    値引きあり
    -
    クラウジウスの原理とは「エネルギーは必ず高い方から低いほうへと流れていく」こと。すなわち女の子はみんな、見てくれがいい男の所に行ってしまうのだ! そこで恋愛に縁のない貧乏青年・磯野が始めた新事業とは?
  • 花戦さ
    4.1
    厚き友情と信頼で結ばれていた、花の名手・池坊専好と茶の名人・千利休。しかし秀吉の怒りを買い利休は非業の死を。専好の秀吉に対する怒りが増していく。そんな専好に秀吉への復讐の機会が訪れる…。
  • 花失せては面白からず 山田教授の生き方・考え方
    3.8
    『この三年ほどの正月、わたしは不思議な、そして精神的にはとても贅沢な過ごし方をしている。学生時代の教授と二人だけのゼミナールで元日の午後を過ごす、のである。教授は今年九十三歳、わたしは六十八歳。』忠君愛国以外に生き甲斐なしと信じ、海軍の少年兵に志願入隊した著書は、敗戦によって価値観の根本的な考え直しを迫られ、東京商大に入学。そこで出会った理論経済学の山田雄三教授こそ、著者の生涯を決めた人物であった。出会いから四十余年。探究心で結ばれた、心洗われる“人間の絆”を通して著者自身の精神形成史を綴った感動の一冊。
  • 花伽藍
    4.2
    夏祭りの夜の出会いから別れまでの濃密な恋の顛末を描いた「鶴」、失恋したばかりの一夜の出来事「七夕」、離婚した夫が転がり込んできたことから始まる再生の物語「花伽藍」、恋人とともに飼い猫にまで去られてしまった「偽アマント」、未来への祈りを託した「燦雨」。結婚という制度から除外された恋愛の自由と歓び、それにともなう孤独を鮮烈に描いた、彩り豊かな短篇集。
  • 花婚式
    3.5
    葉山佐都子、39歳、再婚して6年。夫の草一郎は45歳の会社員、やはり再婚である。ふたりが望む子供はまだ授からない。けれどもお互いを気遣いあいながら、平穏で満ち足りた夫婦生活を送っていた。ところが、夫の友人の再婚相手に、佐都子が女友達を紹介するはめになったことから、夫婦の関係も微妙に揺らいでゆく。さらに、夫の後輩の離婚騒動にまで巻き込まれてしまって……。結婚7年目の“花婚式”を迎える夫婦の礼節と葛藤を綴る、全く新しい“再婚小説”の誕生。
  • 花咲かじいさんの恩返し トコロ流昔話
    -
    幼い頃、母の胸で聞かされた懐かしい昔話。「おまえがポチだったらあたしも大金持ちになれたのにね」と私のケツをギュッとつねった母の手の感触……。長く語り継がれてきた物語にひそむ数々の謎と本当の真実にブリブリ迫るトコロ流「新説昔話」の集大成が遂に完成!心にしみる深~い教訓の始まり始まり!
  • はなたちばな亭恋空事
    3.0
    手習い小屋「たちばな堂」を営むお久は、かわいくてかしこくて時々お間抜けな町内一の人気者。思う男は数知れず、だがさっぱり気づかぬ鈍感娘。そこへ狸がやってきて……お江戸あやかしラブコメの決定版!! ※本作は二〇〇九年九月、『はなたちばな亭らぷそでぃ』のタイトルで弊社より単行本として刊行されたものが底本です。
  • はなたちばな亭恋怪談
    -
    始まりは百物語……若旦那連中の道楽は、とんでもない災いを呼び覚ましてしまった。折も折、お久とのすれ違いに悩んだ金ちゃんは出奔し、クマもまた……恋もご町内も大ピンチ、この事態どうするどうなる!?
  • はなたちばな亭恋鞘当
    -
    カタブツ娘のお久ちゃんと純情男子金ちゃんが、ようやくちょっとだけイイ感じに……と思いきや、さらなる大騒動が……お江戸あやかしラブコメ待望の第2弾!
  • はなとゆめ
    3.9
    なぜ彼女は、『枕草子』を書いたのか――。28歳の清少納言は、帝の妃である17歳の中宮定子様に仕え始めた。華やかな宮中の雰囲気になじめずにいたが、定子様に導かれ、その才能を開花させていく。機転をもって知識を披露し、清少納言はやがて、宮中での存在感を強める。しかし幸福なときは長くは続かず、権力を掌握せんとする藤原道長と定子様の政争に巻き込まれて……。清少納言の心ふるわす生涯を描く、珠玉の歴史小説!
  • 花髑髏
    3.7
    名探偵由利先生のもとに突然舞い込んだ差し出し人不明の手紙、それは恐ろしい殺人事件の予告だった。指定の場所へ急行した彼は、箱の裂目から鮮血を滴らせた黒塗りの大きな長持を目の当たりにするが……。
  • 花の図鑑(上)
    3.0
    1~2巻792~880円 (税込)
    鉄鋼関係の会社に勤める中座啓一郎には2人の恋人がいた。ひとりは画商の千倉法子。啓一郎とは学生時代から関係が続いている。もうひとりはスナック・バーのママの田川薫。恋愛感情というよりも、彼女の肉体にひかれていた。そんな時、啓一郎は婦人雑誌の記者だという寺田麻美と知り合い、彼女にも魅了されてゆくが……。女たちの間で彷徨う男の恋愛模様を軽やかに描く。〈上巻〉
  • 花の降る午後
    3.9
    1巻836円 (税込)
    最愛の夫を癌で亡くし、神戸の老舗レストランを女手一つで切り盛りする典子。仕事は厳しく人の良いシェフ、実直で有能な支配人、懸命に働くウェイターたち――。店を継いでからの四年間を振り返ると、彼女はとても充ち足りる。そんなある日、生前の夫に買ってもらい、今は店に掛けた油絵を貸してくれという青年が現れた。彼の名は高見雅道。その〈白い家〉という絵の作者だった。一方、店を狙う魔の手が伸びてきて――。典子に訪れた恋、そして、今、闘いが始まる。異国情緒溢れる神戸を舞台に描く真摯に生きる人々の幸福物語。
  • 花の骸
    -
    青森から上京してきた出稼ぎ三人組のひとりが、何者かに殺された。金に困り仲間三人で強盗に入った邸宅で、殺人を目撃してしまったせいだった。その数ヶ月前、三人はある邸宅に政財界の大物たちが訪れるのを知る。調査を進めるうちに、大がかりな汚職事件につながっていき――!?
  • 花のもとにて
    値引きあり
    4.0
    ひそかに憧れていた先輩・大沢を追って、同じ心理学の大学院に入学した響子。そこには、彼の恋人・亜々子がいた。響子は、快楽的で奔放な亜々子に反発しながらも、だんだんと惹かれていく。しかし、亜々子は、やさしい仮面をかぶったエゴイストの大沢に振り回され、傷つけられても全身でそれを受け止めていた。なすすべもなく、二人をただ見守ることしかできない響子。そして大沢が、新しい恋を見つけたときから、三人の心の均衡は、少しづつ崩れ始めた……。激しく切ない愛の物語。
  • 花はらはら人ちりぢり 私の古典摘み草
    4.0
    「もうどうでもいやになりました」――。初恋のお関につぶやく車夫、録之助(樋口一葉「十三夜」)、「水島さん」にひたすら憧れながら打ち明けられない少女、豊子(吉屋信子「花物語」)、破滅をいましめつつも、恋のぬかるみに足ふみ込む赤良の狂歌などなど……。極北の絶望にむしろ力を得たり、少女の可憐にエールを送り、愛とエロスに酔いしれる。今も昔も変わらない、恋する心の花びらを摘んで束ねた、お聖さんの古典案内。長谷川青澄画伯の美しい装画入り。
  • 花惑い
    値引きあり
    4.0
    “――恋はいつから始まるのか――僕はいつもそのことを考えてしまう。”南十字星の下、出逢った一人の未亡人(おんな)。六本木のディスコで知り合った自由奔放なもう一人のおんな。光と影、陽と陰――対照的なおんなたちの間で揺れ動くおとこ。花火のように終っていく夏。その中で、静かに密やかに燃えていくおとことおんな。切ない心の機微を描いた、おとなの恋の物語。
  • 花淫れ
    3.0
    1巻682円 (税込)
    男は美しい妊婦から羊水が漏れないように”栓男”になることを頼まれた。桜、向日葵、秋桜、寒牡丹……四季を彩る花々と妖しき女たち。世にも淫靡な妄想と狂気の官能小説!
  • 花夜叉
    4.4
    能の名門藤代流の若き後継者・篠芙。神懸かった舞の才能と、たぐい稀なる美貌を持つ彼は、稚い頃より、観月の四長老にその身を捧げ、一度廃絶した藤代流を復興させるための贄となってきた。だが、藤代は異母弟の明煌が襲ぐことになり、篠芙の運命は大きく変わってゆく。男たちに弄ばれ、支配されてきた篠芙が、華麗なる舞の裡に秘めた想いとは――。狂おしい官能の美を描いた至極の愛の物語。
  • 花酔いロジック 坂月蝶子の謎と酔理
    3.9
    大学に入学した蝶子は、勘違いから<スイ研>――酔理研究会に入ることに。酒に酔えない蝶子だが、先輩・神酒島が読み解く謎の理(ことわり)は蝶子に心地よい酔いをもたらし……。モラトリアム系青春恋愛ミステリ! ※本書は二〇一三年十二月に小社より刊行された『名無しの蝶は、まだ酔わない 戸山大学〈スイ研〉の謎と酔理』を改題の上、文庫化したものが底本です。
  • 売り出された花嫁
    -
    愛人契約の現場を目撃した水畑。女に話を持ちかけていたのはかつての家庭教師だった――一方、愛人契約を結んだ双葉あゆみは奇妙な愛人生活に困惑。女子大生の亜由美は友人たちを救うため、大奮闘!
  • 崖っぷちの花嫁
    2.0
    亜由美が遊園地で目撃したのは、ジェットコースターのレールの上を歩く女性だった! 助けに向かうと彼女は宝石のセールストークを始めた末に、拳銃自殺を図る。 間一髪で止めたものの2人とも入院し、 女性が勤める宝石店から亜由美に豪華なお礼が届くが、この店は数年前に傾きかけていて……。 きらびやかな宝石店に隠された秘密を亜由美と愛犬ドン・ファンが追う! 花嫁シリーズ第26弾。表題作ほか「花嫁は今日も舞う」を収録。
  • 花嫁化鳥
    5.0
    稀代の文学者・寺山修司が旅した日本各地に存在する不可思議な世界。 自らの手で集めた資料をもとに、奇妙な風習の謎を解き明かしていく。 日本人の血の原点を探った、寺山流のユニークな紀行文学。
  • 花嫁をガードせよ!
    -
    女性警察官の西脇仁美は、命を狙われていた政治家・蔵本をかばい、彼の身替りに何者かに撃たれてしまう。その現場に偶然通りがかった女子大生の塚川亜由美と愛犬ドン・ファンによって一命をとりとめるが重傷を負い、それが原因で婚約破棄の危機に。そして亜由美たちが命がけで捕まえた犯人も、取り調べ中に自殺してしまう……。混乱する事件の行く末は? 表題作の他、「花嫁は日曜日に走る」を収録。大人気シリーズ第31弾。
  • 綱わたりの花嫁
    4.0
    大企業の社長令嬢の結婚披露宴に突然、覆面をした男3人組が乱入、花嫁が誘拐された。身代金目的の犯行だったが、誘拐されたのは全くの別人、アルバイトで花嫁のふりをしていた女子大生の久美子だった。本物の花嫁は、別の男性と駆け落ちしていたのだ。攫われたのが娘ではないと知った父親は、途端に捜査には協力しないと発言。久美子と交友のあった塚川亜由美は、彼女を助け出すべく、刑事の殿永と、愛犬のドン・ファンと共に事件を追うが……。大人気ユーモアミステリ!
  • 演じられた花嫁
    -
    休日に親友と舞台鑑賞を楽しんでいた女子大生・塚川亜由美。カーテンコールで主演俳優がヒロインにプロポーズし、会場全体が沸き立つ。だが、ただ一人、彼らを冷たく見つめる女優がいた。その後、ヒロインのもとに脅迫状が届き……。一方、亜由美の目前でアイドルの自殺未遂事件が発生。本人は口を閉ざすが、事情を知るマネージャーが殺されてしまう。芸能界で連続する不審な事件に、亜由美は愛犬ドン・ファンと真相解明に乗り出す。表題作の他、「花嫁は時を旅する」を収録。
  • 四次元の花嫁
    -
    塚川亜由美が友人とブライダルフェアへ行ったところ、そこには新郎だけが結婚式の相談に来ていた。何か訳アリのようで…!?一方で、モデル事務所の社長が電話で話している相手が亡くなった妻のようで…?
  • 標的は花嫁衣裳
    4.0
    「つかがわあゆみ様――」。デパートの館内放送で呼び出された塚川亜由美。しかし案内所には、もう一人〈つかがわあゆみ〉と名乗る女性が。そして次の瞬間、案内所に銃声が轟いた!
  • 毛並みのいい花嫁
    -
    女子大生・亜由美が従兄の結婚式へいくと、花嫁はなんと犬! 周囲の目の気にせず、二人は新婚旅行へ。しかし、その先で花嫁は何者かに誘拐されてしまう。亜由美とドン・ファンの名コンビが事件に挑む。
  • 花嫁は夜汽車に消える
    3.0
    花嫁の結婚の時と何年後かの姿を追って作る番組で、プロデューサーが目にしたのは自分の母親の花嫁姿だった。一方、女子大生の亜由美は孤独死した老女が遺した日記帳を受け取るが……。他1篇を収録。
  • 舞い下りた花嫁
    5.0
    社長が行方不明になったタレント事務所でアルバイト中の亜由美。事務所が借金を抱えていて、新人タレントがその「担保」にさせられると聞き、抗議したら、なぜか新社長にさせられて!
  • 花嫁の時間割
    4.0
    おなじみの女子大生・亜由美のもとに、高校時代の友人・ゆかりから、結婚式の招待状が届けられた。なぜか同時に三通――しかもそれぞれ相手の男性の名が違っている! おっとりとして世間知らずなゆかりは三人からのプロポーズを断りきれず、とりあえず全員と式を挙げることにしたのだという。何とか思いとどまらせようとする亜由美だが、三人のフィアンセのうちの一人が式を目前に殺されてしまったから、さあ大変! 亜由美と愛犬ドン・ファンの、大人気“花嫁”シリーズ!
  • 花嫁の指輪
    -
    「はじめてお目にかかります」。赤い自転車に乗ってきた不思議な女性。彼女と会ったのは、おかしな手紙が縁だった。同封されていたのは確かに僕の小学校時代の遠足写真。だが、彼女とは絶対同級生ではないのだ――。モノトーンの映画を観るような物静かな存在感に満ちた作品「遠い記憶」ほか「クジラの夏」「海岸の家」「家族」「橋を渡る」「夏の終わり」「白い街」「冬の時代」を収録。ノスタルジックなエッチングと文章が現実と創作を解け合わせ、胸を騒がす。沢野ファン必読の半自伝的短編集。
  • 花嫁は歌わない
    4.5
    女子大生亜由美の親友久恵が結婚を目前にして自殺した。最後に会った時、相手が離婚することが前提なのだ、と漏らしていた久恵。もう少し詳しく訊いておけば、相手が判ったかもしれない。亜由美は自分のドジさ加減にあきれ、ヤケ酒を飲んで大暴れ、そして留置場行きに……! 留置場帰りの亜由美は殿永刑事とバッタリ会い、久恵とある殺人事件との関係を聞かされる。さっそく事件解明に乗り出す亜由美と愛犬ドン・ファン! 迷コンビが大活躍!? “花嫁”シリーズ第3弾登場。
  • 花嫁は女戦士
    4.0
    愛犬ドン・ファンと一緒に遊園地で遊んでいた亜由美は、拳銃を持った日本人女性と外国人男性のカップルに誘拐されてしまう。しかも、そのまま教会に連れ込まれ、彼らの結婚式の立会人になるよう強要された! 男は南米B国の反政府ゲリラ、マルセル。そして日本人女性は〈ルネ〉と名乗り、マルセルと共にB国大統領の圧政に抵抗しているらしいのだが――いったいなぜ? 絶好調、花嫁シリーズ第15弾。
  • 花嫁は墓地に住む
    3.0
    女子大生・塚川亜由美と親友の聡子は、温泉宿で聡子の親戚である朱美と遭遇した。彼女は、不倫相手の昭男と旅館で落ち合う予定だった。しかし、そこへ朱美の母や河本の妻までやって来て一波乱!
  • 許されざる花嫁
    -
    女子大生の亜由美はホテルで中年男性に、花嫁を殺してしまうから自分を見張ってほしいと頼まれる。花嫁は、子供を連れて浮気相手のもとに去った彼の元妻だった……。表題作ほか「花嫁リポーター街を行く」
  • 花嫁よ、永遠なれ
    5.0
    勇士と沙織は、ハネムーン中の新婚夫婦。温泉地でのんびり過ごし、東京駅行きの帰りの列車に乗っていた。しかし、列車が東京駅に着いたとたん、二人は警官に取り囲まれ、勇士が逮捕されてしまう。容疑は殺人。しかも、ハネムーン中の温泉地で、15歳の少女を殺害した容疑がかけられているのだという。残された妻・沙織に同情した塚川亜由美は、事件の真相を探るべく温泉地に乗り込むが――。花嫁シリーズ第17弾。
  • 花より結婚きびダンゴ
    3.0
    人が生きるということは、大変なわずらわしさと汚濁に満ちている。しかし、そういうものを味わわない限り、もう一方で用意されている喜びや幸せの味もまた理解することはできない。結婚だって同じこと。こぎつけるまでの苦労が大きければ大きいほど、幸福だって大きくなる。結婚にはなにしろ女たちの人生がかかっているのだ。アルトマン・システムに入会するのもいいし、見合いだって見直そう。あの手、この手を使って目指す男を果敢にアタック。とにかく、みんな結婚しようよ! そもそも若い女が結婚に憧れなくて一体なにに憧れるんじゃ。抱腹絶倒の中から浮かび上がる、せつなく甘い「結婚」の真実――。
  • 母の死
    4.0
    1巻528円 (税込)
    死にゆく母を見まもる日々、私は悪いことでもするように、そっとひとつ母の額にくちづけた。そしてある日、母はかすかに「あした……」とつぶやく。透明な悲しみに満ちた表題作「母の死」。年の離れた少女・妙子との純粋無垢な愛の交流を、淡々と描く「郊外 その二」など八篇を収録。漱石が絶賛し、戦前・戦後を通じてよみつがれてきたロングセラー『銀の匙』の作家・中勘助の珠玉作品集。
  • ははのれんあい
    4.2
    1巻946円 (税込)
    夫とは職場の友人を通じて知り合った。口数は少ないし、ぶっきらぼうだけど、優しい。結婚して智晴(ちはる)が生まれ、慎ましいながらも幸せな3人生活が始まった。しかし生活はなかなか立ち行かない。息子を預けて働きに出た由紀子は、久しぶりの仕事で足を引っ張りながらも何とか食らいつき、家庭と両立していく。そんな矢先に発覚した、双子の次男と三男の妊娠……家族が増えてより賑やかになる一方、由紀子の前に立ち塞がる義母の死、夫との不和、そして――。「家族は時々、形を変えることがあるの。だけど、家族はずっと家族なの」。どんな形をしていても「家族」としてどれも間違ってない、ということを伝えたかったと語る直木賞作家・窪美澄が放つ、渾身の家族小説。文庫版には家族のその後を描いたスピンオフ短編「ははのけっこん」も収録。解説・白石一文
  • はばかりごと
    -
    あなたは下り派? それとも詰まり派? の問いかけに始まりラッシュ時地下鉄の中で開催される脳内緊急会議。反応しないセンサーを前に繰り広げられる孤高のパントマイムなど、近くてしょうがない異国(?)トイレに関するあれこれ。共感度120%のリアルさで語り倒した爆笑エッセイです。あなたにもきっと思い当たるフシが……読んで役立つ海外はばかり事情も充実!……ちなみにトイレ読み、激しく推奨です!
  • はみだし外資マンの邦銀買収
    -
    米資本の大手銀行「ホライズン・ステート・バンク」は、死亡寸前の邦銀「かみかぜ銀行」をタダ同然で買いたたき、42人の占領スタッフを東京へ派遣した。リストラで収益率を上げ、株価を高め、最終的には日本の個人金融資産をごっそりアメリカ本国へかっさらう!ところが、責任者マービン・バトラーの前に、日本でも特に不可解な人種「銀行マン」が鈍重に立ちはだかる。保身、根回し、なあなあ主義との、果てしない消耗戦が、いま始まった。
  • はみ出し銀行マンの銀行消滅
    -
    たった三千万円で「銀行店舗」を身売り!? 業績は絶好調だった総合優秀表彰支店が突然の廃店においこまれた!それは、まさに金融破たん時代の世にも奇妙な出来事。だが、そこに隠された真相は、醜い行内派閥抗争の激化と極悪非道の大手銀行の乗っ取りの陰謀であった――。元・大手銀行勤務「人事評価特A」のエリート行員が描く、いまや他人事ではすまされない、実録小説の決定版。
  • はみ出し銀行マンの金融崩壊
    -
    ニッポンの金融再編時代。大銀行がつぎつぎ倒産する恐怖の世の中で、かつてのエリート銀行マンはどうしているの――? リストラ、失業、転職のことから出向者の給料システム。格付け機関調査員のホンネや、外銀人事部の実態まで……。同情論では救えない懲りない金融業界の裏事情をすべて大公開!元・エリート銀行マンの著者による激辛エッセイの決定版。
  • はみ出し銀行マンの人事考課
    -
    小学校の「通信簿」がオール5だったヤツが大人になったら「人事査定」で評価E――。いったい人事考課とはなんだ? 職務希望書の書き方から貢献度の見せ方、上司別対処の裏ワザ、外資系企業の人事対策。はたまた派閥、学閥、社内競争まで……。人事評価特Aを10年間もキープした元・エリート銀行マンによる究極の「はみ出し流」世渡りエッセイの決定版。
  • はみ出し銀行マンの御子様教育
    -
    “偏差値七十”の世界で繰り広げられる野望と差別と根回し。学歴重視の環境にある銀行業界。はたしてそのエリート銀行マンの御子様たちは優秀なのか? 大手銀行勤務の「人事評価特A」のエリート行員が暴露した銀行員の御子様の生態!金融業界のさまざまな問題点を批評した超激辛エッセイ。
  • はみ出し銀行マンの左遷日記
    -
    行内派閥抗争、顧客データ流出事件、女子更衣室まで検査する“特検”の実態からイケイケ女子行員、変態行員の話まで……。大手銀行勤務の「人事評価特A」のエリート行員が暴露した超過激な内部告発と左遷日記。日本的経営に共通してある問題点を批評した激辛エッセイ。「左遷」の恐怖がわかる一冊。
  • はみ出し銀行マンの悪徳日記
    4.0
    正しい隠蔽工作、生涯賃金、ノルマ消化、オベンチャラの醜態から女子制服の話まで……。減点主義社会の銀行業界では、マジメに仕事をする奴よりもグータラ社員が得をする!? 元・大手銀行勤務の「人事評価特A」のエリート行員がお固い金融業界を分析した、超過激な激辛エッセイの決定版!平成不況を“悪化”させる一冊。
  • はみ出し銀行マンの家庭崩壊
    -
    都銀社宅のミエ比べ、人事決定権まで握る妻、「帰るコール」の悲劇から家族運動会での出世術、銀妻派閥の話まで……。高給料で、社宅は完備。一見優雅そうに見える銀行員の奥さん。ところが意外にもその生活は、無残で悲惨なものだった!大手銀行勤務の「人事評価特A」のエリート行員が暴露した超過激な家庭内部告発!“幸せそうな家族”の裏がわかる一冊。
  • はみ出し銀行マンの珍事件簿
    4.0
    怪しげな電話、恐怖の尋問、組合小僧の仁義から密室での役席会議、身元調査の実態まで……。元・大手銀行勤務の「人事評価特A」のエリート行員が本当に体験してしまった世にも奇妙な“珍事件”の数々。敗者復活戦もない、一度失敗すれば二度と出世コースに戻れない銀行業界という“減点主義社会”を超過激に批評した決定版。「日本的経営」が理解できる一冊。
  • ハムレットは行方不明
    3.0
    大学生の綾子がたまたま撮った写真の中に、行方不明だった教授の息子が写っていた! そこから巻き起こる新たな殺人事件……シェイクスピアの『ハムレット』の設定を現代に移して描いたユーモアミステリー。
  • 早替わりで候 音次郎よんどころなき事件帖
    3.0
    家を出て役者になった旗本次男坊の草二郎は「音次郎」の名で舞台にあがり、女形として評判をとっていた。ところがある日、兄の訃報が届く。実家に帰ると兄は暗殺されていたことがわかり、兄嫁から犯人捜しを懇願される。追い打ちをかけるように奢侈禁止令によって芝居小屋が打ち壊されてしまう。下手人捜しと芸能への弾圧――。突然振りかかった「よんどころない」事態。草二郎はどう戦うのか。手に汗握る本格的時代活劇!
  • 疾き雲のごとく
    -
    時代は血なまぐさい戦乱の世に突入した。将軍家に連なる名門・今川家は、家督争いによって二つに分裂する。一方、この内紛に目をつけた隣国の上杉定正は、名将・太田道灌を送り込むことで介入を目論んだ。道中、道灌は宿泊した寺院で、「宗瑞」を名乗る眼光鋭い青年僧と邂逅する。二人の運命的な出会いが、歴史を動かそうとしていた……。周囲の人々の眼を通して戦国の風雲児・北条早雲の生涯を描いた、疾風怒濤の歴史小説。
  • はやくいって
    3.0
    「奴隷になるのは、窮屈な自分から自由になることだと、ご主人様は教えてくれました」……26歳の地味なOLだった繭子は、ご主人様に出会って、それまでとはまったく違うセックスを経験することにより、自分の中の何かが決定的に変わったことを知る(「わたし次第」)。非日常の世界で、われを忘れるほどに乱れる愛と歓びを描く6つのストーリー。ますます淫らになった、SM青春小説『私の奴隷になりなさい』シリーズ第4弾。
  • 早咲きの花 子どもたちの戦友
    4.3
    1巻550円 (税込)
    昭和18年、東京から愛知県にある海沿いの国民学校へ転校した真次。無人島の宝探しや炎天下のスイカ泥棒、子ども同士の決闘など、大自然の中を駆け回っているうちに、彼らはかけがえのない親友になった。だが、やがて真次たちは戦争の渦に否応なく巻き込まれる。学徒動員により豊川工廠で働いていた子どもたちは、一面を焼き尽くす苛烈な空襲の下、捨て身の覚悟で互いを守り合った……。史実を元に戦下の友情を描いた感動作。
  • 林先生に伝えたいこと
    3.5
    わたしはこのひとのように人生を真正面から受け止め、苦悩していただろうか。若くして罪を犯した女性からの手紙が筆者のもとに届いた。彼女の魂は、障害を持って生まれついたという事実のため、幼いころから防御の術なく無残に傷つけられてきた。だが、綴られていたのは、死んでしまおうと幾度も思いながら、それでもなお独力で立ち直ろうとする途切れる事なき意志の軌跡だった――。表題エッセイ他、食べることについて、死について、淡路島から沖縄・渡嘉敷島移住の顛末まで幅広く論じる清冽なエッセイ集。
  • はやぶさ/HAYABUSA
    3.7
    幼い頃から宇宙の神秘に魅せられていた恵は、あることがきっかけで宇宙科学研究所の研究生としてはやぶさプロジェクトに関わることに。宇宙研のスタッフに刺激を受けながら、次第に恵は避け続けていた自分の問題と向き合いはじめる──。長く過酷な宇宙の旅から奇跡の帰還を果たしたはやぶさと、決してあきらめることなく支え続けたプロジェクトチームの感動の実話を描いた話題の映画を、完全ノベライズ!
  • ハリネズミ乙女、はじめての恋
    値引きあり
    4.0
    芸人一家に生まれたものの孤独な子供時代を過ごしたコノカ。ハリネズミのハリ君との出会いが、新しい自分への一歩となったはずが……女の子なら誰にでもある心の傷跡に、優しく光をあてた恋と友情の青春物語。
  • ハリール・ジブラーンの詩
    5.0
    愛し合いなさい、しかし愛をもって縛る絆とせず、ふたりの魂の岸辺のあいだにゆれ動く海としなさい。(「結婚について」より) 深い思索の中から紡ぎだされた、静かな叡智に満ちた詩の数々。人生の礎となる一冊。
  • 春いくたび
    4.7
    江戸末期、戦地に赴く信之助を泣きそうな顔で見送る香苗。再会の願いも空しく時は過ぎ、尼僧になった香苗は救護院に流れ着いた老人の姿に息を呑む(「春いくたび」)。貧にして餓死するは武士の本懐なり。亡父の教え通り、最後の一夜を迎える兄妹。しかし、そこに突然激しい剣の音が(「武道宵節句」)。昭和の少年少女のために、山本周五郎が心とことばを尽くした短篇の中から時代小説10篇を収録。
  • 遙かな坂(上)
    4.0
    大手スーパー〈マイウェイ〉の凍結庫で店長が凍死体になって発見された。東京四部長の逢坂常平は、早朝、警察からの電話で事件を報らされる。捜査は、自殺、他殺、事故死のいずれも決め手のないまま難航した。――逢坂の家庭では、妻千鶴を中心に、ひとり息子剛の東大合格だけを目標に生活を組みたてていた。少しでも入試に有利な条件を得るためのコネや情報、有能な家庭教師。だが、常平の九州への単身赴任、膨らむ教育費を補うための千鶴のアルバイト等により、家庭は大きな亀裂を生じていった……。家族全体を巻きこむ受験地獄と苛烈な流通戦争を描き、学歴社会を鋭く告発する社会派推理の力作長編。
  • 遙かなるカミニト
    -
    「カミニト」――。大学の友人・早田に案内されたタンゴ喫茶で初めて聞いたその曲は、タンゴを退廃的なブルジョワ音楽と決めつけていた秋山の心に、不思議と甘美な、しびれるようなものを与えた。音楽、恋、そして若き日の熱い想い。20年後、秋山は40代半ばのカメラマンとしてブエノスアイレスに来、青春の思い出につながる街を訪れたが……。
  • 遥かなる大和 上
    3.3
    改革を推進する聖徳太子の期待を背負い、遣隋使に加わった留学生・高向玄理と南淵請安は隋都で大使・小野妹子から密命を受ける。高句麗侵略前夜、失踪した通事の行方を追い、2人は帝国の疲弊した現実を見る。

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