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Posted by ブクログ
「自分の口で夢を語るそばから、どこまでが本心なのか自分でもわからなくなる。夢はいつか叶うと無邪気に信じられた子供時代はおわっているのだ。殺戮と破壊と略奪の戦争の海にただよい出した孤児は、ふと気づくとずいぶん遠くまできてしまって、岸辺がどちらの方角にあるのかさえわからない。」
作者の死により、和平構築プログラムの途中で物語は終了する。戦闘は終わっても戦争は終わらない。戦争を記録する団体が弾圧され、戦争責任が勝者側の論理で決定されていき、曖昧な処分で終わったことにされていく。反乱分子のテロは続き、武装解除は進まない。収束する場所が見えない中で本作は突如終わってしまうのは残念だ。
たが、終わりがないのが戦争であるから、本作はある意味どこで作品として終わってもいいのだ。戦争責任は問われ続け、戦後の復興があり、癒えない傷があり、記憶はなかなか消えないのだから。
残酷な物語だが、最高のエンターテイメントに仕上がっている作品だった。
Posted by ブクログ
「裸者と裸者」と「愚者と愚者」を読み終えた後に、作者の死を知って、続きがあるとは思わずに、『ラストに見る生への賛歌を見るにつけ、捨てたものでもないという戦後を想像するのも難くない』と感想を書いたけど、本当に途中で終わってしまった第3部があったわけね。
前半、20年も続く内戦を終わらせるための闘いが延々と描写され、後半、その戦後処理が淡々と描かれる。
恐ろしい戦争で生き残り、それぞれの分野で成りあがった孤児、マフィアの女の子と男の子、急進派の女、武装したゲイたちが、これまで同様に自らの規範だけを頼りに日々を凌ぐ。
“短い人生のすべてが、現実に直面するたびに問題の深さと複雑さを知るという日々”
“破壊と殺戮、あるいは破壊と殺戮のための訓練に明け暮れる日々”
“世界の理不尽さをどうにもできない自分自身の悔しさ”に涙する日々
“たまたま出会った人間のために命を張る。結果がどうあれ悔いはない。そうやって生きてきた”日々
そして海人は“妹と弟にちゃんとした教育を与えるために徴兵に応じる。孤児兵の仲間と戦場で生き延びるために激しく闘う。戦争を終わらせるために最後の戦争に出撃する。”
相変わらず陰影に満ちた表現が随所にあってハッとさせられるが、それにしても前2巻の文庫化から3年以上も経って文庫となり、最早かなり忘れた部分も多く、前の話を読んでなければチンプンカンプンではという感は否めず、かなり読み進めるのがきつかったのは確か。
Posted by ブクログ
待ちわびた応化シリーズの最終巻。未完で終わってしまったために、上巻(海人編)と下巻(椿子編)の半分を纏めて一冊にしている。
戦争の「終わり」を描いた上巻では、難民問題や戦後の復興へ向けての諸問題が次々と常陸軍と同盟軍を悩ませる。戦争を終わらせようと奮闘する海人たちが、途中でパンプキン・ガールズの面々と遊んでいる場面など、どこか明るいムードは健在。最終決戦の前でも相変わらず生き生きと動く登場人物たちの会話であったり、懐かしい人々の登場であったりと、終わりへ向けて熱い展開が続く。
最後のあづみ救出の場面でようやく戦争が終わったんだなと実感できた。こういうところに描写の巧みさを感じる。
下巻では、戦後の復興の動きが本格化していく過程が描かれている。小さなNGOがアメリカ相手の裁判を起こそうとする話は、戦争を生き延びた人間の強さを感じさせた。
椿子の心中にとても興味があったので、あまりそれが描かれずに中途半端なところで終わってしまって本当に残念。海人、椿子、その他に戦争に関わった人たちの今後が見れないのもとても残念だけど、彼らならその後の人生もきっと大丈夫だと思えた。
シリーズ全体を通して、素晴らしい名作だったと思う。
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小説・文芸
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