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夏祭りの夜の出会いから別れまでの濃密な恋の顛末を描いた「鶴」、失恋したばかりの一夜の出来事「七夕」、離婚した夫が転がり込んできたことから始まる再生の物語「花伽藍」、恋人とともに飼い猫にまで去られてしまった「偽アマント」、未来への祈りを託した「燦雨」。結婚という制度から除外された恋愛の自由と歓び、それにともなう孤独を鮮烈に描いた、彩り豊かな短篇集。
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Posted by ブクログ
「鶴」を読んであまりに濃密な世界観に驚いてしまって他の4篇を読まずにそのままにしていた。松浦理英子や森奈津子を経て、中山可穂もおもしろく読めるようになった。
恋愛には、自分と相手の持つ、もっともやわらかい場所にゆっくりと爪を立てるような感触がある。 いたがゆく、もどかしく、いとおしい。 すべらかな肌は元のままのようで少しだけ盛り上がり、微かに熱を帯びている。 こういう傷はなかなか治らないものだ。 なかなか治らないからついつい弄ってしまって悪化させてしまっ...続きを読むて、なお一層のこと傷が深まってしまう。 傷のないまっさらな身体であれば飛び込んでいけるけど、お互い脛に傷を持つ身だからついつい尻ごんでしまうね。 だから今はこの花伽藍に抱かれて眠ろう。 最初のお話が最期のお話に見事にリンクする、すばらしい構成。
昨日買って一瞬で読んでしまった短編集。「七夕」と「燦雨」が好きです。 女の人が大半なお話群ですが、そこに登場するどこか男らしくない男の人がすごくいいなあと思う。 セクシャリティ・結婚・アルツハイマー。 全部、愛の捉え方を揺らがせるなにかだと思う。 試されてる、ような気になるなにか。
女性の同性愛の短編集。初中山さん。 最初の「鶴」読んですぐ、蠱惑的で、妖艶な言葉の数々に引き込まれた。それでいて太鼓、入墨などがぱっきりと清々しい。 自分のものではないからこそ燃え上がる愛と自分のものではない切なさ。女性同士の官能と、自分が男性ではないもどかしさ。 他の短編も、愛が始まった時は何も...続きを読むかも素晴らしいのに、いったん上手くいかなくなると、未練も恋も残っているのにお互いが傷付いて別れてしまうのが悲しい。 最後の老婦人だけ、添い遂げられて、哀しい話だけど救われる。
2011.09.15. 男の人との恋愛にうまくいかないと、時々、女の人だったらどうなんだろう・・・と、思ったりする。大変です。命がけです。インスパイアを受けた曲名が書いてあって、聞いてみたい。
中山さんらしい短編小説。背中に鶴の刺青を入れる鶴と、おばあちゃんになっても一緒に暮らしている女性カップルのお話・燦雨が特に良かった。
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