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先生、あなたはなんという呪いをかけられたのですか? あなたの大切な者すべてを三角形の綴じ糸でほどけぬように縫い付けて、それぞれの愛を禁じるおそろしい呪いをかけたのは、一体何のためですか? ――音楽家の忘れ形見と愛弟子の報われぬ恋「蝉丸」。隅田川心中した少女とその父の後日譚「隅田川」。変死した作家の凄絶な愛の姿「定家」。能に材を採り、狂おしく痛切な愛のかたちを浮かび上がらせる、中山可穂版・現代能楽集。
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Posted by ブクログ
隅田川、定家、蝉丸。 能の知識がこれっぽっちもないのが、残念。 久しぶりにこの人の本を読むのだから、大切に読みたいと思ったんだけど、気づけばほぼ一気読み。 蝉丸は読んでいてキリキリしてくるわっ! 誰にでも容易に薦められそうな内容でもない気がするが。 そして、あとがきが印象深い。 自分は紙の本が...続きを読む好きで、電子出版は意識にも上ってこないんだけど、著者自身がその手軽さを意識しているなんて思いもしなかった。
隅田川、定家、どっちもよかったけど、なんといっても蝉丸です。本人たちの口から言葉にされない感情が行間から、字間から、印刷のない余白からも伝わってくるようで読み終えるまで本をおけませんでした。 蝉丸くんがあんまりに高潔で純真で、蝉丸から目を逸らした博雅をぶん殴りたくなりました。今すぐ結婚なんか破談しろ...続きを読むボケー!って憤りました。できないからこそ、憤りました。やるせなさをあふれるくらいに詰め込んだ小説です。 ラストは「天使の骨」を彷彿とさせる馴染み深いもので、ああきっと会えるんだろうな、とほっとしました。どうか再会できますように。 中山さんの小説、呼吸にも、また紙の本の上で再会したい。あとがきを、何度も読み返してしまう本になりました。
鈍感な私でも作品として纏まりに欠けるように感じたが、スランプと聞けば頷ける。 とはいえ、作品全体、あとがきに至るまで狂気のようなものがちょくちょく顔を出し、それが凄みとなって突き刺さってくる。多少のアラもその勢いに搔き消える。 あ、表紙には騙されないように。
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