海外文学作品一覧
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-1901年、後のノーベル賞作家 セルマ・ラーゲレーヴのもとに地理の教科書執筆の依頼が舞い込む。伝統的スウェーデンと発展しつつあるスウェーデン。子供たちに祖国を知らしめることは喫緊の課題であった。ラーゲレーヴは快諾して、スウェーデン各地の地理・歴史・伝統文化を童話風に説き起こした。児童文学の形を採った大人の書。原典スウェーデン語。
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-1976年度スウェーデン文学振興会小説大賞受賞作品。不動産取引業のヨニー・オスカーションは友人の電気器具商から依頼を受けて、3月末のある土曜日、過疎地の森の中の一軒家にテレビ用延長コードを届けに行く。行ってみるとそこには全身麻痺の老婆が独りベッドに横たわっている。一目見たときオスカーションは「なんとしてもこの老婆を昇天させてやらねばなるまい」と考えた。原典スウェーデン語。
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-1966年マルッティ・ハーヴィオは「カレワラ物語」と称する散文物語を編纂した。本書はマルッティ・ハーヴィオ作「カレワラ物語」に準処した翻訳であり、韻文叙事詩「カレワラ」(小泉 保 訳、岩波文庫)への導入の書でもある。原典フィンランド語。
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-フィンランドの片田舎のとある広大な干拓地を4人兄弟の末娘として相続したアマリアは年下で身持ちの悪い作男のターヴィと結婚、一子をもうける。やがて夫は兵隊にとられ、戦死する。アマリアは再婚もせず女手一つで息子を成人させ、家庭を持たせると、首都ヘルシンキに向けて独り旅立つ。フィンランド版『女の一生』。原典フィンランド語。
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-19世紀半ばに赤毛のエイリークの末裔たちが新天地を求めて、アメリカ大陸に移住した。このアイスランド人入植者たちにスポットライトを当てて、その苦難と涙の足跡を照射しながら、北海の孤島アイスランドそのものをも手際よく鳥瞰させるアイスランド文化入門の書。原典は英語。
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-都会の生活に疲れ、南仏ペリグーの田舎に暮らすようになった平凡な一家。だが一見平穏で「静かな生活」の中味は決して静かではない。フランシーヌは弟ニコラをけしかけて叔父ジェローム殺しに手を貸す。ニコラは自殺する。疲れた心をいやすために訪れた海辺では、フランシーヌは一人の男が溺れ死ぬのを目撃する。だが彼女はその救助に手を貸そうとはしない……
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-長い生活の苦闘の末に、主人公はふとしたきっかけから田舎に引っ込む余裕を与えられる。四季を通して自然の風物、友情と人生、社会観などを静かに語る語り口には、自足し成熟した大人が感じられる。
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-「夜の樹」は、1949年に出版されたカポーティの唯一の短編集で、「夢を売る女」「誕生日の子供たち」「最後の扉を閉めよう」「銀の酒壜」「ミリアム」「無頭の鷹」「私の言い分」「夜の樹」の8編からなる。多くは人間の深奥にひそむ欲望や夢をシュールに描いた作品であるが、「誕生日の子供たち」のような幼年期への郷愁から生れた自伝的色彩濃厚な心優しい作品も含まれている。
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-ファウストは学問と知識に絶望して、悪魔のメフィストフェレスと契約をかわして魂を売りわたし、その見返りにすべての地上の快楽を手に入れ、享受しようとする。ファウストは秘薬を手に入れて若返り、マルガレーテとの恋を成就するが…(第1部)。マルガレーテの処刑からくる自責の念からよみがえったファウストは、皇帝の城、古代ワルプルギスの夜、ヘレナとの家庭生活など、次々に生命の諸相を体験する。やがて人生の〈たそがれ〉を迎えたファウストは盲目のなかで自分の大事業を見とどけようとしながら、思わず「時よ、とどまれ」と口にする(第2部)。ゲーテが60年の歳月をかけて完成した欧米文学の記念碑。ゲーテも賛嘆したドラクロワのリトグラフ挿絵16点入り。
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-若者デーヴィッド・バルファは遺産相続の権利をもちながら、欲深な伯父の陰謀によって「誘拐され」、アメリカ植民地へ奴隷として売られそうになる。だが船は難破、たまたま知り合ったジャコバイト党員のアランとスコットランドの荒野をさまよう。そこは内乱の影を宿す危険極まりない場所だった。スコットランド出身の作家が描く「宝島」とならぶ冒険物の代表作。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 本書でとりあげる主な作品は、煽情小説の『上流階級のレディ』(A Lady of Quality, 1896)、ロマンス小説の『ローリーの娘』(That Lass o'Lowrie's, 1877)、『ある女の意志』(A Woman's Will, 1887)、『シャトル』(The Shuttle, 1907)、児童文学の『小公子』、『小公女』とその原作の「セーラ・クルー」、及び『秘密の花園』などである。これらの作品の中で『上流階級のレディ』のヒロイン、クロリンダ・ウィルダスは大胆不敵な女性の姿を最もあからさまに示している。そこでまずはクロリンダについて述べ、当時の社会の規範や女性観を探ることから始めたい。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 第1次世界大戦に取材した文学のうち、『ルーマニア日記』をはじめ、その真摯な生き方の記録ともいえる文章で、人々に勇気と希望を与えてきたカロッサの作品を、初邦訳作も含め全篇新訳でおくる決定版全集。各作品には原則として、原注・訳注をあわせた後注を付し、さらに翻訳担当者による解説を付した。第4巻には、カロッサの幼年時代から青春時代を自伝的に描いた作品群の中から『美しい惑いの年』(相良憲一・濱中春共訳)と、二つの小品『学位授与』『ミュンヒェンへの移住』(相良憲一訳)を収録。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 第1次世界大戦に取材した文学のうち、最高とされる『ルーマニア日記』をはじめ、その真摯な生き方の記録ともいえる文章で、人々に勇気と希望を与えてきたカロッサの作品を、初邦訳作も含め全篇新訳でおくる決定版全集。各作品には原則として、原注・訳注をあわせた後注を付し、さらに翻訳担当者による解説を付した。第7巻には、『ルーマニア日記』(金子孝吉訳)および1925年から42年にかけてのイタリア旅行の体験に基づく『イタリアの手記』(松村朋彦訳)を収録。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 第1次世界大戦に取材した文学のうち、『ルーマニア日記』をはじめ、その真摯な生き方の記録ともいえる文章で、人々に勇気と希望を与えてきたカロッサの作品を、初邦訳作も含め全篇新訳でおくる決定版全集。各作品には原則として、原注・訳注をあわせた後注を付し、さらに翻訳担当者による解説を付した。第3巻には、カロッサの医師としての日々が反映された日記体の『ドクトル・ビュルガーの運命』『逃走』(田口義弘訳)、そして自伝的作品『青春の変転』(金子英雄訳)を収録。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 第1次世界大戦に取材した文学のうち、『ルーマニア日記』をはじめ、その真摯な生き方の記録ともいえる文章で、人々に勇気と希望を与えてきたカロッサの作品を、初邦訳作も含め全篇新訳でおくる決定版全集。各作品には原則として、原注・訳注をあわせた後注を付し、さらに翻訳担当者による解説を付した。第1巻には、カロッサの文学の凝縮された精髄が、密度の高い言語のうちに集約された詩集『1940年までの詩』(田口義弘訳)、『森の空き地に輝く星』『1945年-1956年の詩』『老いた魔術師』(金子英雄訳)を収録。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 はてしない静けさが どんな言葉よりもはっきり告げる、ぼくはもはや石になったと。/スペイン、グラン・カナリア島出身の詩人、本邦初訳詩集。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「芸術は偉大なり。されど愛はさらに偉大なり」詩人の道を歩むオーローラ・リー。理想社会主義者のロムニーと紆余曲折を経て結ばれるまでの半生を通じて芸術と女性の問題を扱う長篇詩。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 十九世紀末から われらの時代のそれへ――。 二つの世紀末にきらめく巨星オスカー・ワイルド。 現代ヨーロッパ文学の輝かしき原点ともいうべき ワイルドの多彩な営為を集大成する! 決定版 オスカー・ワイルド全集。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 十九世紀末から われらの時代のそれへ――。 二つの世紀末にきらめく巨星オスカー・ワイルド。 現代ヨーロッパ文学の輝かしき原点ともいうべき ワイルドの多彩な営為を集大成する! 決定版 オスカー・ワイルド全集。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 十九世紀末から われらの時代のそれへ――。 二つの世紀末にきらめく巨星オスカー・ワイルド。 現代ヨーロッパ文学の輝かしき原点ともいうべき ワイルドの多彩な営為を集大成する! 決定版 オスカー・ワイルド全集。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 十九世紀末から われらの時代のそれへ――。 二つの世紀末にきらめく巨星オスカー・ワイルド。 現代ヨーロッパ文学の輝かしき原点ともいうべき ワイルドの多彩な営為を集大成する! 決定版 オスカー・ワイルド全集。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 十九世紀末から われらの時代のそれへ――。 二つの世紀末にきらめく巨星オスカー・ワイルド。 現代ヨーロッパ文学の輝かしき原点ともいうべき ワイルドの多彩な営為を集大成する! 決定版 オスカー・ワイルド全集。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 十九世紀末から われらの時代のそれへ――。 二つの世紀末にきらめく巨星オスカー・ワイルド。 現代ヨーロッパ文学の輝かしき原点ともいうべき ワイルドの多彩な営為を集大成する! 決定版 オスカー・ワイルド全集。
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3.5最高の悟りを得たブッダは、一切の生命への「慈しみ」を繰り返し説かれました。この本は、そんなブッダの教えの精髄と呼べるパーリ語の経典『慈経(Metta Sutta)』を、スマナサーラ長老が詳細な解説とともに紹介する画期的な仏教入門書。2500年語り継がれてきた教え、「全ての生命は幸福であって欲しい」という願いがこの経典に溢れています。収録されている『慈悲の瞑想』の言葉を唱えて、心穏やかな毎日を過ごしてください。
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4.3「わたしは作者にたいして、わたしにとってかなりの心理学的重要性を有するつぎの逆説的真理を明らかにしてくれたことをとくに感謝している。それは、人間の幸福は自由のなかにではなく、義務の受諾のなかにあるということだ。この書物の登場人物のひとりひとりは、おのれがなすべきこと、その危険な任務に、情熱的かつ全面的に身を捧げ、それを遂行したあとにはじめて、幸福の安らぎを見出す……」(アンドレ・ジッド 序文より)冷厳な態度で郵便飛行事業の完成をめざす支配人リヴィエールと、パタゴニアのサイクロンと格闘する飛行士ファビアン、それぞれの一夜を追いながら、緊迫した雰囲気のなかで夜間の郵便飛行開拓時代の叙事詩的神話を描いた本書は『星の王子さま』とならんで、サン=テグジュペリの名を世界中に知らしめた代表作である。南米ブエノス・アイレスの地に、主人公と同様、郵便飛行の支配人として赴任していた時期に執筆され、1931年度のフェミナ賞に輝いた。特別付録 ディディエ・ドーラ「『夜間飛行』に着想を与えた人物から見た」
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4.5歴史の不条理や官僚制を告発する、きわめて深刻・まじめなカフカ――この定番のカフカ像を手放すと、どんな新しいカフカが立ち現れるか? そのみごとな見本がこの「ちいさなカフカ」である。これは数多あるこちたき作家論の類ではない。著者は、散歩のようにゆったりとカフカの周辺を巡りながら、しかし肝心のところは看過せず、その等身大の姿を紹介してゆく。道すがらふと摘みとった作品や伝記の断片から、カフカの〈生のスタイル〉が透けて見えてくる仕組みである。「ほんのちょっとしたこと、ちいさな手がかりからカフカに入ってみた。そのつど考えたり、気づいたり、連想したことを書きとめた。動いていると風景が変わり、目の位置が変化すると別の景色があらわれるように、いろいろなカフカが見えてきた」女性たちに送った夥しい手紙の数奇な運命、大の映画好きであったカフカと『審判』の関係をはじめ、賢治のクラムボンとオドラデク、『ライ麦畑でつかまえて』と『アメリカ』、さらに多羅尾伴内・長谷川四郎・クンデラに通底するカフカなど。われらの隣人カフカを知るための格好の道案内。
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-「人生のやりなおしがあり得ないぶん、自分のなかに出来上がっている枠組みは不動で、内なるレンズはすでに透明度を失っている。どれほど対象が新しかろうと、自分に備わった尺度で風景を切り取り、意味を与えがちである。…日常のなかにいるかぎり、それが繰り返される。日常の外に出るとき、わずかではあっても、自分の認識が揺さぶりをかけられる瞬間がある。立ち止まってレンズの曇りを払い、歪みの理由を探ろうとする。空間の旅が時間の旅へと転化し、外側の風景が内なる風景を照らすに至るのは、そのようなときである。カンヴァスを前に非日常の風景が必要なのは、自分の内側をより効果的に映し出すためではないだろうか」(夕映えの旅景)休暇を待ち切れぬようにしてトルコとクレタ島へ出かけ、ネパール旅行に加わり、ふた夏をイギリスのケンブリッジで過ごす。旅行の影の同行者はブルームズベリー・グループの人々、わけてもE・M・フォースター、ケインズ夫妻、ヴァネッサ・ベル…しかし旅とはついに自分自身との対話である。カトマンズであれクノッソスであれチャールストンであれ、旅先での出会いや出来事はおのずと自身の過去につながり、ときに思いがけない記憶が蘇る。この過去と重なる現在のなかで、著者は他ではあり得なかった自分を再確認する。まずは軽快に、そしてときに辛辣ときにユーモアを交えて、三つの旅はその意味を深めつつ転調してゆく。旅に重ね合わせて、軽妙にしかし力強く語られた個人史…本書はまぎれもなく第一級の文学的紀行=エッセーである。
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4.0フィリップは早すぎる死の一年あまり前から、パリの大新聞ル・マタン紙に短い物語を書いた。依頼したのはのちに劇作家になるジロドゥーである。「わずかな枚数のうちに人生の断面が、いやときには一つの人生がみごとに描き出されている。…貧困、不幸な恋、病気、老年、死――こうした暗い題材を扱いながらも、フィリップはどこかにとぼけたようなおかしみ、人生そのものの諧謔をしのびこませるのを忘れない。そのエスプリというか奇妙なやさしさ、人生を低い視点から、狭く限って、鋭く眺める、そこが日本人の感受性、美意識に合ったのではないか。」(訳者)小さな町セリイを舞台にした短編集28篇の全訳に『朝のコント』からの5篇を付した改訳決定版。
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-村上春樹ファンの多くは、彼が訳したアメリカ短篇小説を、彼自身の作品同等に愛読している。村上テイストあふれる翻訳短篇は、相似形で読者を招き、原作の核心へと誘い込んでいる。村上氏が翻訳紹介する短篇作品は、小説の魅力と共に、アメリカの文化・社会のディテールを繊細に掬い上げており、そこが重要なんだと私たちに気づかせてくれる。村上訳の大胆な柔らかい言葉と原文を往き来するなかで、私たちは一篇の小説から豊穣を得るのだ。本書は、村上春樹作品をデビュー作以来熱心に追ってきた著者の『村上春樹短篇再読』に継ぐ評論集であり、ムラカミ訳経由で原作を味読精読するための格好のガイドとなっている。作品の細部に分け入り、各々の小説の粋と技巧を楽しんでいただければ幸いだ。T.カポーティ「ティファニーで朝食を」、F.S.フィッツジェラルド「カットグラスの鉢」、R.カーヴァー「ダンスしないか?」、U.K.ル=グウィン「空飛び猫」ほか、村上春樹氏が訳した短篇15作品を取りあげる。
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-「ここでは憎しみに浸かりきりというわけではないが、やはりちょっぴり人間的悲惨を感じている。ともに語り合う人間がだれもいない。……なんという精神的孤独だろう。撃墜されたとしても絶対になに一つ後悔しないつもりだ。未来の蟻塚の世界はわたしを恐怖させる。……」『戦時の記録』三分冊の最終巻をなす本書は、1943年11月から1944年7月までを収める。北アフリカ、アルジェでの無為の日々から戦列に復帰したサン=テグジュペリは、1944年7月31日、コルシカのボルゴ基地からフランス南部上空の偵察飛行へと飛び立ったまま、未帰還となった。彼が愛してきた、目に見えない絆で結ばれた整いとしての文明の崩壊、その瓦礫と廃墟、蟻塚、人間の砂漠…未来の世界への深い危惧を抱きつつも、「ひとはかならず自分の力の限界までいく義務があるのだ」と、戦闘員としての自分の持ち場に、義務を果たしに戻っていったサン=テグジュペリの最晩年の日々を、多くの証言と資料によって辿る。
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-『戦時の記録』3分冊の第2冊目にあたる本書は、1942年から1943年までのサン=テグジュペリをめぐる資料、証言を収める。苦渋の選択の結果であった合衆国亡命の日々に、連合軍の北アフリカ上陸の報に接し、歓びのうちに発表された「まずフランスなのだ」。サン=テグジュペリは、この公開状でおこなった呼びかけに忠実に、フランスの解放のため、一兵士としてみずからの生命をかけるべく戦列に復帰した。政治抗争の罠にとらえられながら、『戦う操縦士』、『ある人質への手紙』、そして『星の王子さま』のなかに、人間が生きるよすがとなる磁力線の存在を、言葉、階級、党派を超えて人間を結び合わせるものの存在を鮮やかに示して――。近年になってはじめて完全に公表された「アンドレ・ブルトンへの手紙」を新たに加え、〈戦時の記録〉全3冊は、ミュンヘン協定(1938)の直後にはじまり、第二次大戦勃発後のサン=テグジュペリの最後の日々をたどる。
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-〈戦時の記録〉全3冊は、ミュンヘン協定(1938)の直後にはじまり、第二次大戦勃発後のサン=テグジュペリの最後の日々をたどる。その第1巻である本書は、33-2飛行大隊の一員として任務に赴いたのち、パリ占拠とヴィシー政府の樹立、独仏休戦を経て、動員解除を受けてアメリカへ渡り、かの地で合衆国参戦を迎えるまでを収める。ニューヨークのフランス人社会のなかで、ドゴール派とヴィシー派の抗争に巻き込まれながら、サン=テグジュペリはつねに、政治や党派を超えて「尖塔をそびえ立たせた大聖堂の一つ一つの石材となるべき」人間と、その人間の肉体と精神をはぐくむ母胎としての文明の運命に思いを寄せた。のこされた覚え書や手紙、また、レオン・ヴェルトやアン・モロウ・リンドバーグをはじめ、彼をめぐる人々による証言が、当時のサン=テグジュペリの面影を生彩豊かに伝える。
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4.0戦争を未然に防ぐために、女性には何ができるか? 貴重な三ギニー貨幣をどこに寄付すればよいのか? ヴィクトリア朝の家父長制の偽善とファシズムのイデオロギーを比較・批判し、反戦の基本的な構想を展開する。女性と文学を扱った『自分だけの部屋』と並ぶ、ウルフの代表的長編エッセイ。
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-「戦争は過ぎた。歴史の深刻な動乱は昨日の悪夢のやうである。……われわれは忘れてはならない――われわれの過誤と弱さとを。われわれは絶望してはならない――なぜなら人間性実現の新しい仕事が我々の心と手との営みを待つてゐる。」片山敏彦『詩心の風光』は、みすず書房が世におくった最初の出版物として、1946年7月1日に刊行されました。凸版印刷、一万部、定価は20円。当時の社名「美篶書房」は、本書の序にも、創業者・小尾俊人の名とともに記されています。1945年12月の創業から今年で60年、微力ながらも今日まで出版活動を持続できましたのも、ひとえに読者の皆様のご支援の賜物であり、心より御礼申し上げます。出版点数も3600点を数えることができました。この記念の年を締めくくるにあたり、出版の基本理念と創業時の精神の息吹をとどめたく、ここに新版を刊行するしだいです。
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5.0十九世紀、文豪ゲーテは「世界文学の時代が到来した」という名言を遺した。そして現在、世界の多極化を映し出す「バベル後の光景」から、新たな文学地図が描かれている。村上春樹や吉本ばなながイタリアの街を闊歩し、イギリス国籍の日本人作家カズオ・イシグロが、かの地の精神的風土を英語のキャンバスに描き出す。多くの作品を翻訳し、最先端の翻訳理論に通暁した著者が、旧植民地からの声や、ホロコーストの沈黙から芽吹いた言葉に耳を澄まし、「悲しみから生まれた希望」を標す五つの作品を取り上げた。二十一世紀の世界文学案内。【目次】プロローグ/序章 歴史のクレバスと現代の創世記/第一章 自分を語り、他者を語る――エヴァ・ホフマン『記憶を和解のために――第二世代に託されたホロコーストの遺産』/第二章 未来への記憶――アン・マイケルズ『儚さのかけら』/第三章 現代の神話――アルンダティ・ロイ『小さきものたちの神』/第四章 漂泊の果て――記憶の回復――マフムード・ダルウィーシュ『忘却への記憶――一九八二年 ベイルート 八月』/第五章 「不思議なもの」との友情――デイヴィッド・アーモンド『スケリグ』/結び――世界文学への応答/関連図書リスト――この先へ進みたい読者のために
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3.0人間通・歴史通で知られる作家・童門冬二の最新作。著者は、近年話題になっているEQ(心の知能指数)と『論語』の「恕」はイコールであるという。孔子がEQの素晴らしさを2600年も前に強調しているということに感銘し、本書を執筆。この、人生訓に満ちた『論語』の中から『やさしさと思いやりがすべてだね(其恕乎)』、『すぐわかりました、と言うな(聞一以知十)』、『恥はおこないを正しくする(有恥且格)』、『生まれつきの能力なんてないよ(有教無類)』、『ことばは意味が第一だよ(辞達而巳矣)』、『それを言っちゃあおしまいよ(駟不及舌)』、『先に仕事を、利益はあとに(先事後得)』など、珠玉の言葉365を厳選し、独自の視点で意訳。その上で、現代人の生活にちなんだエピソードを交えながら、今を生きるための智恵をエッセー風に解説する。一日一話読み進めていくうちに、まるで孔子と対話しているような気分になれる、すがすがしい一冊。
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5.0「孫子」「韓非子」「孟子」「老子」「史記」「十八史略」「三国志」――。中国古典には現代に十分通用する戦略・戦術のすべてがつまっている。本書は、リーダーが勝つための条件として、(1)先見力を磨く(2)戦略を立てる(3)決断を誤らない(4)逆境を乗り切る(5)志を全うする(6)過失を遠ざける、の6ポイントをあげ、著者ならではの名言・名句の読み下し、さらにはその現代語解釈を取り上げながら、その言葉の奥にあるリーダーのための帝王学を探り出し、読者にわかりやすく説く。不安な時代を生き抜くうえで、企業経営者は物事の本質がついつい見えなくなってしまう。走りつづけていないと死んでしまうのではないかという切迫感をもってしまう。しかしだからこそ、むやみに迷走するのではなく、一度踏みとどまって今何をなすべきなのかを考え、間違いない道をみつけていかなければならない。企業倫理が厳しく問われるなかで先人の残してくれた立派な伝統に学ぶものは多い。
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-「信なくんば立たず」と教える孔子に対し、「人を信ずれば則ち人に制せらる」と説いた中国古代の思想家・韓非子。孔孟の「仁」の教えに対して、厳格な「法」の適用と信賞必罰を主張し、秦の始皇帝に絶賛された彼の著書は、“人間不信の哲学”といわれる冷徹な論理、卓越した人間観察と「法術」理論を核に展開されるリーダー論であった。イソップ寓話さながらのたとえ話から、人間の本質や為政者のあるべき姿に鋭くせまる『韓非子』。その魅力と、現代に活かすべき叡智を、組織管理を中心にトップやリーダーのあり方に焦点をしぼり、著者独自のわかりやすい口語訳と役立つ解説で紹介する。◎現実を生きる人間学◎リーダー学の要諦◎部下を操縦する7つの心得◎組織管理の6つのポイント◎トップが自滅する10の原因◎仕える側の論理 リーダーは論理的であれ! 人間の実相、権力の本質を見すえた不朽の古典がここに甦る。組織を合理的に操る最強の管理学。
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-少年は父親から赤い小馬(pony)の子を贈られ、それを育てることを委(まか)される。愛する小馬ギャビランとの出会いと不幸な別れ。スタインベックの故郷サリーナス・ヴァレーを舞台に一人の少年の成長の過程が、大自然や生き物との交流を通じて生き生きと描かれる。
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-長年、ろくに肥料もやらずにタバコ栽培を続けた結果、不毛の地と化した南部の農村。その土地にしがみついて生きるジーター老人は棉花栽培の夢を捨てきれない。娘の兎口の手術費用の工面もできず、末娘のパールは口べらしのため、十二歳で嫁に出される。貧困と絶望がもたらす堕落と人間本来の欲望。アメリカ南部のプア・ホワイト(白人貧農)の暮らしを赤裸々に描き、社会に衝撃を与えたコールドウェルの代表作。
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-自分の土地に金鉱脈があると信じて、15年も痩せた農地を掘りつづける老農夫タイ・タイは、物欲の権化である。娘婿のウィルは義理の姉妹に手を出し、長男ジムは弟の美しい妻を奪おうとして射殺される。
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-「秘密にみちた恐ろしい過去の呪い」にしばられたピンチョン家の館……そこを舞台に繰りひろげられる、罪と報いと救いの物語。ピューリタン的伝統の色濃い1840年代アメリカ・ニューイングランドの歴史と雰囲気が背景をなす重厚な作品だが、登場人物たちは非常に個性的で、巧みな脇役とともに、その日常の描写はユーモラスでもある。