海外文学作品一覧
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-孤児として生まれたジェインは冷酷非情な伯母に育てられ、ついにはローウッドの慈善院へ追いやられる。施設は貧弱で衛生状態もわるく、生徒の扱いは非人間的であったが、ジェインは持ち前の意志の強さで試練と逆境を生き抜く。ヴィクトリア朝的雰囲気を濃厚にもちながら、なお一個の女性を描ききった小説として、今なお読みつがれている名作中の名作。
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-アメリカ中西部オハイオ州の一つの町(ワインズバーグ)に住む何でもない普通の人々の心にかくされた秘密の世界が、若いジャーナリストのジョージ・ウィラードを仲介役として、つぎつぎとあばきだされ、いつしかそれらはグロテスクな姿をさえとってくる。発表と同時に大きな注目をあび、以降もアメリカ文学を代表する作品として読み継がれている名作。
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-『エマ』というのは、だれもが気軽に手にとってみたくなる題名です。そして事実、ジェーン・オースティンというのは、実に気軽に楽しんでもらえる作家なのです。そのうえ彼女ほど、読者の好き勝手な解釈を許してくれる作品を書いた作家もいません。通俗的な恋愛小説ととってくださってかまいません。または、18世紀後半、あるいは19世紀前半の風俗習慣が生き生きと、手に取るように伝わってくる作品と解釈することもできます……要は、多種多様の要素を含みながら、けっして押しつけがましいところがなく、ひたすら読者を楽しませてくれる。それが彼女の作品の素晴らしさなのです。(訳者の言葉より)
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-エッセイスト、ジャーナリスト、批評家として幅広く活躍し、「ペンで暮らしをたてた最初のアメリカ人」とも評されるこの作家の代表作。原書は34編の短編小説と随想、紀行文からなるが、ここには最も有名な作品「リップ・ヴァン・ウィンクル」「スリーピー・ホローの伝説」の2編をふくめて13編の短編を収録した。
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5.0「ふたりは細い雨の降っている、人影ひとつない灰色の街を歩いていった。街の端までくると、ふたりのまえにまた広場がひろびろと果てしもなくひろがった。流れる白銀の糸の中から、凱旋門のどっしりした灰色の姿が、震えながら空高くそそりたっていた」……強制収容所を脱走して、フランスに不法入国、幽霊外科医として、もぐりの宿オテル・アンテルナショナールに不安な生活をおくっているラヴィック、天涯孤独の歌い手で、端役の女優マヅー、二人はふとしたきっかけで知り合うようになる。第二次世界大戦前夜の凶暴な嵐が吹き荒れつつあるパリを舞台に、避難民たちの不安と絶望、愛と復讐をみごとに描ききった名作。ラヴィックとマヅーの飲むカルヴァドスは当時、世界的流行にまでなった。
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-法律の定めによって、姦通を犯した印として胸に「緋色の文字」を縫いつけていなければならない女の生涯を描いたホーソンの代表作。近代アメリカ文学史を飾る傑作であり、当時の清教徒の生活意識や道徳観を超えた人間愛を描く心理小説。
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-『われらの時代に』で描かれたひとりの男の成長の過程。『女のいない男たち』における男の絶望。そして本作『勝者には何もやるな』では、あきらめの境地に達した男のいっそう深い絶望が語られる。人生の激しい嵐をとおりぬけ、静かに虚無の世界を眺めるかのように綴られるヘミングウェーの第三傑作短編集!名作 「キリマンジャロの雪」収録
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-「失われた世代」の代弁者として、黙々と生きる男の虚無と絶望と救いをうたいあげた、ヘミングウェー28歳のときの第二短編集。長編『日はまた昇る』と『武器よさらば』のあいだの時期に書かれ、熱狂的な支持をえた作品集。
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5.0死と暴力と恐怖にとりまかれた生を、装飾を排したかぎりなく簡潔な文体とみごとな構成で浮き彫りにした、ヘミングウェー26歳のときの処女短編集。それぞれ登場人物を異にする短編連作を通じて、ひとりの人間の生涯が浮かびあがる。ヘミングウェーを愛する高村氏による全面改訳版。
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-ナンナは十六になった娘の身の振り方を決めてやるのに迷い、友達のアントニアに相談する。「修道女にするのがいいか」「さっさと結婚させるのがいいか」「娼婦にするのがいいか」というのだ。それというのも、ナンナ自身、この三つの暮らしをすべて経験してきたからで…ルネサンス期ローマの町のけた外れの淫乱ぶりを暴露するポルノの元祖。
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-「悲しみをたたえた華麗さ、グレーのセーターのような、メランコリックな優しさ、ワイン色のアンニュイ。フイッツジェラルドの作品の中には、現代の女性の心をひきつける、何ものかがひそんでいるのかも知れません」(訳者)。この短編集には表題作のほか「冬の夢」「金持ちの青年」というフィッツジェラルドの代表的な三つの作品が収められている。
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-自分の発明した薬品によって「善良な市民」ジーキルから「悪の権化」ハイドに変身、闇にまぎれて悪逆非道をはたらき、ふたたび薬品によって元に復帰する……人の心の二面性を象徴的に描出した怪奇ものの古典。他に二つの短編「水車小屋のウイル」「一夜の宿」を収めた。
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-ジューディは結婚して、孤児院の有力な後援者に。かわって大学時代の親友、赤毛のサリーは孤児院の院長さんになって大活躍、がんこ者のお医者さんと力をあわせて、孤児院を大改革。前作とおなじ手紙の形で話が進められ、前作とおなじように、ユーモアにあふれ、強い正義感をうたった傑作。
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-孤児院に育った少女ジューディに幸運が。月に一度手紙を書くという約束で大学に入れてくれるという紳士があらわれたのである。「あしながおじさん」は、快活で機知にとむジューディがこの約束にそって書いた手紙形式の物語。90年も前の作品にもかかわらず今なお世界中の人たちに愛され親しまれている名作。
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-フランスのリシュリュー時代を舞台に、アトス、ポルトス、アラミスの三銃士と堅い友情で結ばれたダルタニャンとが、陰謀と権謀術数の渦巻くなかを泳ぎ渡ってゆく痛快、汗握るデュマならではの冒険活劇。スリルと波乱、雄大なスケールで、決して読者をあきさせない最高級のエンターテイメント!
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-製粉工場ができて利用されなくなった風車小屋のなかで、粉ひきじいさんが壁土をひいていたという「コルニーユ親方の秘密」、あばずれ女と結婚した青年が、女をもとの情夫に連れていかれて、女を思い切れずに自殺するという「アルルの女」など、プロバンスを舞台にした情趣あふれる24の短編からなるドーデの代表作。
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-舞台はフランス・ルネサンスの一見はなやかな時代。だが新旧の宗教の対立はきわだち、聖バルテルミーの大虐殺で対立はクライマックスを迎える。シャルル9世は君主ではあったが、母親のカトリーヌ・ド・メディシスは隠然たる力をもち、シャルルの弟たちもそれぞれが次期の王位を狙っていた。こうしたなかでシャルルの妹マルゴはプロテスタント勢力の旗頭ナヴァール王アンリと政略結婚をさせられる。だがマルゴは披露宴の席で元恋人のギーズ公からなにごとかささやかれると「今夜、いつものように」という言葉をラテン語であたえるのだった。
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-紀元前5世紀のヘロドトスの「歴史」に出てくる作者イソップ。だがその生涯はよくわからない。しかし、イソップ作とされる寓話の数々は、いつしかまとめられて多くの国の言葉に訳されて普及した。日本でも1593年に『天草本伊曾保《いそぽ》物語』が出版された。おもに動物や植物を材料に書かれたその寓話は、末尾の警句とともに、大人が改めて読んでも非常におもしろい。本寓話集には、(1)に148編の寓話を、(2)には120編の寓話と、同じく寓話作家として有名なラ・フォンテーヌの手になる、これも非常におもしろいイソップの伝記寓話15編が収めてある。
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5.0第一次世界大戦の一進一退がつづく北イタリア戦線に志願し、傷病兵運搬の任務にあたるアメリカの青年フレデリックは、戦場で働く看護婦キャサリンと恋におちる。二人はスイスへの逃避行を試みるが…。死と生の世界を「乾いた」文体で描いて発表と同時に各国でベストセラーとなった20世紀文学の記念碑的作品。
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-ルイ14世によって引き起こされたオランダ戦争の渦中、オランダ国内は政治的党派の争いも過熱していた。その一方で、ハルレムの町は「黒いチューリップ」を作り上げた者に10万フロリンの巨額の懸賞金を出すというイベントを企画する。資産家の息子で根っからの園芸好きのコルネリウスは、全力をあげて品種改良に取り組む。だが隣家には、コルネリウスに対抗心と嫉妬の炎を燃やす園芸家ボクステルの目があった。彼はコルネリウスが当時の政治リーダーの叔父から重要書類を託されたらしいのを目撃する。
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-プロシア・フランス戦争(1870-71)の敗北によるアルザス・ロレーヌのドイツへの割譲、パリ・コミューン政府の樹立と、あっという間のその瓦解をへての第三共和政の成立(1871)、王党派と共和派のその後も長引いた確執……こうした激動の時代に傷つき疲弊した市井の人びとの苦労や悲しみの種々相を、あくまでも静かな共感をもって描いた小品集。第一部の巻頭におかれた「最後の授業」はなかでもいちばん有名な作品。
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-「ぼく」の父が経営する旅篭屋「アドミラル・ベンボウ」に、頬に傷のある老水夫がやってきたことから全てが始まった――少年誌に連載されたこの『宝島』は、子供だけでなく大人をも夢中にさせた海洋冒険小説の代表傑作である。自然なプロット、登場人物のリアリティ、臨場感あふれる描写の連続。冒険小説の元祖として今なお世界中の読者に愛読されている。
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-「意識の流れ」の文学の創始者のひとり、ウルフの代表作。一夜の晩餐によばれた人たちのさまざまなその場の意識や思いつきが、重なり合い、呼応し、反発し、とめどなくあらぬ方へと流れ行く…そのさまは、不思議な現実感と虚無感をかもしだす。大澤氏の訳はみごとなまでに流麗である。 アカデミー賞を受けた映画「めぐりあう時間たち」で一躍おおきな話題に!
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-ハーン(小泉八雲)は日本古来の伝承や民話をこよなく愛し、研究した。その蓄積を生かして流麗な英文で自在に創作した物語集が「怪談」である。深刻なもの、軽妙洒脱なもの、夢幻的なもの、霊的世界との交流の話、そして怖いもの、すべてが今は失われた心の世界を再現している。
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-修道院で教育をうけた清純な少女ジャンヌの夢は幸福な結婚生活であった。だが、その夢は無残に裏切られる。彼女はつぎに息子に希望を託す。だが息子も彼女を裏切る。苦闘に満ちたジャンヌの暮らしに浮かび上がる「女の一生」。現代でも古びないモーパッサンの最高傑作。
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-青年貴族フェリックスはモルソーフ夫人と知りあい、激しい恋のとりことなる。だが、年も倍の男に慈悲心から嫁ぎ、結婚後は性格破綻者の夫と病気がちの子供たちを育てあげることに精一杯の夫人は、プラトニックな愛しかフェリックスに許そうとしなかった…バルザックの「人間喜劇」の田園生活情景に属する代表作。
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-好色漢ユロ男爵、貞淑のかがみのその夫人アドリーヌ、強欲な商人あがりのクルヴェル、淫蕩多情で強欲なマルネフ夫人、そして醜女であるために誰からも愛されず、男爵夫人におさまった美人のアドリーヌを妬み、いつか没落させてやろうと密かに執念を燃やす従妹ベット。これら主要人物に多くの登場人物をからませて、パリを舞台に描きあげられた人間くさい物語。バルザックの「人間喜劇」の代表作のひとつ。
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-モーパッサンは人間の欲望の織りなす日々の暮らしの機微を、さまざまな側面から切り取って鮮やかに示してくれる多くの短編小説を書いた。この集には表題作のほか、「聖水授与者」「月光」「宝石」「温室」「オトー父子」など20編を収めた。
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-抜け目のないやり口で財産家、事業家、地主としての地歩を固めたグランデ老人は、家庭においてもワンマンで、砂糖ひとかけら、ろうそく一本にいたるまで倹約し、金を貯めることに生き甲斐を見いだしていた。そんななか、おとなしい母に育てられて二十三になった一人娘ウジェーヌは、その持参金目当ての有力な二つの家族の争いに巻き込まれそうになる。そこにパリ育ちのかっこいい従兄弟シャルルがあらわれる。ウジェーヌは初めて恋心をおぼえる。……骨太なリアリスト、バルザックの代表作で「純愛」の訳名もある。
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-自分の足を食いちぎったまぼろしの鯨を追って、怨念(おんねん)を晴らそうとする船長エイハブ。エイハブが乗組員たちをまきこんで大海原を舞台に死に物狂いでモービー・ディックを追う物語は、乗組員のひとりの力強い語りで進行していく……。海と船、一頭のマッコウ鯨をめぐって展開される壮大な人間ドラマ。鯨を語るにも必読。
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-とらえたかと思った瞬間に逃げ去る幻影《ヴィジョン》。『燈台へ』の作中人物は、それを追いつづける。それは悲劇であり、哀歌でもあるが、にもかかわらず、明るさと救いが与えられる。「生は、意識をもったその最初から終局に至るまで、われわれをとり巻いている半透明な《かさ》…この定まらぬ、未知の、とらえがたい《スピリット》を書きあらわすことが、小説家の仕事ではないだろうか?」ウルフはこう書いた。
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5.0清朝末期から中華民国成立までの動乱の時代を背景に、貧農出の王一家の父子三代にわたる変遷をたどる家族物語。1931年、「大地」は出版と同時にベストセラーとなりピューリッツァー賞を受賞、各国語に訳された。 貧しい農夫、王龍(ワンルン)と阿藍(オーラン)一家の暮らしにようやく明るさが訪れようとしたとき、飢饉が襲う。二人はやむなく町へ出、それぞれ車夫と乞食になって糊口をしのぐ。そのうちに二人は、折からの暴動の勃発によって思いがけぬ大金を手にする。一家は再び故郷に帰り、没落した地主から土地を買い入れる。さいわい引き続く豊作にめぐまれて王龍は大地主にまでなるが、余裕ができると女遊びに走り、ついには妾を家に入れる。阿藍はただ黙々と働きつづける。子供たちは大きくなり、一家の暮らしはしだいに変容し、やがて二人にも死が。
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-「アラビアン・ナイト」の無削除完全版として有名なバートン版を、大場正史氏の生涯をかけた翻訳で贈る。「アリババ」や「アラジン」や「シンドバッド」は誰でも知っているが、本来の「千夜一夜物語」はそれだけのものではまったくない。女性に対する不信から、夜ごと一夜妻を殺し続けるシャーリヤル王。その夜伽《よとぎ》に選ばれた才女シャーラザットは、「明日の晩はもっと面白い話があります」「こんな話もあります」といって一夜ずつ身の破滅をのがれる。話の内容は千変万化、ファンタジーあり、恋愛譚あり、悲喜劇あり、人情話あり、猥談あり
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-パリのうらぶれた一画にある、うらぶれた下宿屋ヴォーケル館にうごめく人たち。自分はしみったれた暮らしを送りながら、嫁いだ二人の娘の言うままになって全財産をつぎこむゴリオ、いつの日か、社交界に打って出るか、学位をとって出世しようと、野望をたくましくする田舎出の青年ラスティニャック、反社会的な言辞をろうする得体の知れない四十がらみの大男ヴォートラン……徹底したエゴと妄執を描くバルザックの「人間喜劇」の代表作のひとつ。
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-モスクワのオブロンスキー公爵家では、夫のステパンの不倫を知って、妻のドリーがいっしょに暮らせないと言い出す。ステパンはペテルプルグにいる妹のアンナに助けを求める。同じころ、ステパンの親友で田舎暮らしのレーヴィンが、ドリーの妹キティーに求婚しようとモスクワにやってくる。しかし、キティーには意中の人、ウロンスキー伯という美貌の青年士官があった。そのウロンスキーは母を迎えに出た駅で、ペテルブルグからやってきたアンナ夫人と出会う。アンナの到来で、オブロンスキー夫妻の仲はまるくおさまる。ペテルブルグに帰る前日の舞踏会でアンナはふたたびウロンスキーに会い、二人は楽しげに踊る…これがアンナの破滅への序章だった。文豪トルストイが心血を注いで完成させた名作。
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5.0青年エドモン・ダンテスは「ファラオン号」の次期船長の有力候補として、希望に胸ふくらましてマルセーユに帰港する。そこにはフィアンセが首を長くして彼の帰りを待っていた。だが、足取りも軽く父親とフィアンセのところへと急ぐダンテスの背後には、「ファラオン号」の会計士ダングラールの食い入るような憎悪のまなざしがあった。…ダンテスが知らずして託された手紙が陰謀の引き金をひく。ダンテスは無実の罪を着せられ、死の牢獄「シャトー・ディフ」に幽閉される。囚人三十四号としての十四年の獄中生活! だがダンテスはついにチャンスをとらえて脱獄する。まず知りたいのはフィアンセのこと、父のことだ。せめて獄中で知り合ったファリア神父から聞いたスパダの秘宝を手に入れることができれば…雄大な構想で展開する波瀾万丈の物語。 全5巻。
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-霧ふかいある冬の朝、ペテルブルグの終着駅へと、列車が疲れきったかっこうで物語を運んでくる。三等車の座席に三人の男がいる。色あせた包み一つをかかえてスイスから帰国途中のムィシキン公爵と、熱病やみの男で、着のみ着のままでプスコフからわが家へ帰るラゴージン、そして、赤鼻、吹き出物だらけで、何のために列車に乗っているのか見当もつかぬ、抜け目のないレーベジェフだ。列車の到着後、その日のうちに主人公はほとんどすべての登場人物と会う。…純真な子供のような眼をもつムィシキンを、ひとは「白痴」よばわりする。だが公爵は常にその曇りのない大きな空色の眼に微笑をたたえているのである。……「しんじつ美しい人物を描こうとした人は常に失敗しています。なぜなら、それは量り知れぬほど大きな仕事だからです」ドストエフスキーのこの決意が結実した傑作。
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-フョードル・カラマーゾフは金と女にしか興味のないような悪魔的な男だったが、彼には3人の息子と1人の私生児があった。長男ドミートリイは27歳の退役士官で、婚約をむすんだ娘がありながら、妖婦グルーシェンカに恋慕して父親の恋敵になる。次男のイワンは合理主義者、無神論者である。三男のアリョーシャは幼いときから僧院に入って修業し、キリストの愛によって肉親を和解させようとする。私生児のスメルジャコーフは癲癇の発作もちで、悪がしこく、自分の出生に恨みを抱いて生きている。入り組んだ愛憎のもつれのなかで、フョードルが何者かによって殺害される。あらゆる証言からみて状況はドミートリイにとって不利なことばかりで、結局彼は起訴され裁判にかけられる……人間の獣性と神性をみごとに描きつくした大作。
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-プラハで怪しげな犬の売買をして暮らしていたシュベイクは、オーストリア軍に召集されて前線に送られる。以前に兵役に服したときは「愚鈍」とレッテルをはられて除隊になったのだが、シュベイクははたして「愚鈍」なのか、それとも「知恵者」なのか。だが、シュベイクは上官の命令を忠実に実行することで、軍に多大な損害をあたえる。軍律の盲点をつく天才だったのだ。この長編は、第一次世界大戦時に被支配状態にあったチェコ人の一下級兵士がおこなった珍無類の抵抗と冒険をコミカルにえがき、諷刺・ユーモア文学の世界的傑作として名高い。シュベイクが常連だったことになっているプラハのレストラン兼酒場「ウ・カリハ(さかずき屋)」は、今も観光名所として知られる。
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-トロイアの陥落後、帰路についたオデュッセウスは単眼巨人ポリュペモスの島に着く。仲間を食われたオデュッセウスはポリュペモスの目をえぐって脱出するが、ポリュペモスの父親、海神ポセイドンの怒りをかい、以後故郷へたどりつくまで10年間の長い放浪苦難をよぎなくされる。女神カリュプソによる7年の幽閉、人を豚に変える魔女キルケ、美しい歌声で誘惑するセイレネス、恐ろしい怪物スキュレとカリュプデスらとの遭遇と闘い、そしてようやくたどり着いた故郷イタケでは、妻ペネロペイアに言い寄り、その家を我が物顔に占拠利用するやくざな求婚者どもと闘わなければならなかった。 だが、オデュッセウスは単純な勇士、不撓の航海者にとどまらない。策士であり、高貴であると同時に残酷・貪欲な人物でもある。「オデュッセイア」はそうした意味でも「最初の小説」「最初のすぐれた冒険小説」の名にはじない。
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-「神曲」は地獄篇、煉獄篇、天国篇の三部からなり、ひとりの男(ダンテ)がこれらの場所を旅していく物語。地獄は降りるにしたがって狭くなる地下世界で、そこではありとあらゆる罪に陥った魂の呻吟する姿が描かれる。好色、貪欲、浪費、吝嗇、激怒、怠惰、異教徒、さまざまな暴力、欺瞞、追従、聖遺物売買、占い、詐欺、偽善、盗み、不和、贋金つくり、裏切り……地底には巨大な姿をした魔王ルチフェロが半身を地に埋もれさせ、罪びとを口にくわえて噛み砕いている。この地獄篇にはギュスターヴ・ドレの石版画を収録した。
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-聖地カンタベリへの巡礼に出かけるため、同じ宿屋にたまたま泊まりあわせた客たち総勢29人。騎士、粉屋、荘園の管理人、貿易商人、料理人、法律家、修道女、免罪符売り、市井の女房など、身分や職業はまちまち。全員でくじを引き、順番に道中おもしろおかしい話を披瀝しあったら旅のなぐさめになろうという宿屋の亭主の発案に合意する。これがこの物語で、断片しか残っていないものまで含めて全25話。本書では長年この物語に親しんできた訳者によって、現在のわれわれにもアピールする代表的な話、この物語を知るに必要十分な9話が紹介されている。
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-「七日物語」ともいう。邪欲に燃え狂う僧侶、愛欲に盲目となる王、わが子と奸淫を犯す貴婦人…いっさいの権威をはぎとられた赤裸々な人間像をえぐりだしたフランス版「デカメロン」の全72話からなる完訳版。ナヴァル女王マルグリットはフランソワ1世の姉で、その宮廷に多くの人文学者や芸術家をあつめ、16世紀フランス・ルネサンスの華がひらいた。彼女は詩人で、宗教改革者たちの保護者でもあった。
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-日雇い労働者ジャン・ヴァルジャンは、貧しさのどん底で、ある日一片のパンを盗もうとして捕えられ、重刑を科せられる。彼は不当な刑に怒りをおぼえ2回も脱獄を企てたため19年も刑に服すことになった。ようやく釈放された彼は片田舎の町ディーニュに現われたが、宿屋は前科者と知ると泊めてもくれない。あてどなくさまよった彼は、アルプスのふもとにあるミリエル老司教の家にたどりつく。司教は、暖い部屋に招き入れ銀の食器でもてなしてくれた。だが、恩を仇で返すように、彼は司教館の銀の食器を盗んで逃げる。すぐにつかまり、彼は司教館に連れもどされたが、「それはわたしがこの人にあげたのです」と司教は言う。ジャン・ヴァルジャンは奇跡を目にしたような衝撃をうけ、寒風の吹きすさぶ野を泣きながら駆け去る……ジャン・ヴァルジャンの改心と苦闘の人生がはじまる。この主人公をめぐって、売春婦ファンテーヌ、その子コゼット、その恋人マリユスらの人生がからみあい、おりからの激動する時代とともに数多くの人々が嵐のように渦巻き過ぎる。ユゴーの世界観を集大成した代表作。
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-「ハムレット」「オセロー」「リア王」「マクベス」のシェイクスピア四大悲劇をまとめたお徳版。充実した解説・年譜つき。
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3.0『不思議の国のアリス』は、アリスの冒険の一部に過ぎない。ディズニー映画を思い浮かべる人も多いだろうが、実はアリスは、もっと不思議で奇妙なノンセンスの世界に入り込んでしまっていたのだ。幼いころからことば遊びにたけた数学と論理学の研究者、文理融合型マルチ人間である作者ルイス・キャロルは、その並外れた遊び心とこだわりで、次から次へとアリスにカラクリを仕掛ける。ニヤニヤ笑いを残して消えるチェシャ猫や、延々とお茶会を続ける帽子屋と三月ウサギなどなど、馬鹿馬鹿しいことを言ってアリスを困らせる登場人物たち。しかし、そこには「理をはらむ馬鹿馬鹿しさ」があり、「理がはらむ馬鹿馬鹿しさ」がある。当たり前が当たり前でない『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を楽しむガイド。「俺もおかしいし、君もおかしい。そうでなきゃ、こんなところにこなかったはずだ」(チェシャ猫)
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-古代エジプトの女王・クレオパトラについては、今日、深い学識をそなえた理知的な女王、専制的で放蕩で残忍な男たらしの女王という、二つの相反する人物像が伝わっている。著者のゴーチエは、『モーパン嬢』の中で、「ああ! クレオパトラよ、今にしてわたしは分かる、一夜をともに過ごした愛人をどうして君が朝になると殺させたのかが。(中略)いかなる男性も生きて君の閨房(ねや)の秘密を言いふらすことを君はいやがったのだ」と書いている通り、放蕩で残忍な男たらしの女王に刺激された。本書は、命がけでクレオパトラ女王から一夜の情けを受けた若者の物語を描いたゴーチエの短編を収録。