作品一覧

  • ビュビュ・ド・モンパルナス
    -
    1巻770円 (税込)
    貧しい庶民の生活を瑞々しい感覚で描いたフィリップの代表作。この作品は、パリの裏街で春をひさぐ薄幸の少女ベルトと彼女のヒモで「モンパルナスのビュビュ」と仇名される若者の物語だ。そこに展開されるのは汚辱に満ちた暮らしだが、貧しく虐げられた者たちに注がれる作者の眼は、愛と優しさに満ちている。この作品は二十世紀の「神曲」とも評される。フィリップの初期作品「やさしいマドレーヌ」を併載する。
  • 小さな町で
    4.0
    1巻2,090円 (税込)
    フィリップは早すぎる死の一年あまり前から、パリの大新聞ル・マタン紙に短い物語を書いた。依頼したのはのちに劇作家になるジロドゥーである。「わずかな枚数のうちに人生の断面が、いやときには一つの人生がみごとに描き出されている。…貧困、不幸な恋、病気、老年、死――こうした暗い題材を扱いながらも、フィリップはどこかにとぼけたようなおかしみ、人生そのものの諧謔をしのびこませるのを忘れない。そのエスプリというか奇妙なやさしさ、人生を低い視点から、狭く限って、鋭く眺める、そこが日本人の感受性、美意識に合ったのではないか。」(訳者)小さな町セリイを舞台にした短編集28篇の全訳に『朝のコント』からの5篇を付した改訳決定版。

    試し読み

    フォロー

ユーザーレビュー

  • 小さな町で

    Posted by ブクログ

    絡みつくような人間関係がその背景に存在していることを強く匂わせながら、幾つもの小さな物語が、いたって何事もなかったかのように語られて行く。その物語の中心に居るのは「田舎の」人々である。シャルル=ルイ・フィリップの「小さな町で」に登場するそれらの人々を語る時、どうしても括弧つきの「田舎の」人々と形容しなければならない気になる。おそらく自分の偏見が色濃く混じっているのだろうけれど、その「田舎」という言葉には、汗臭くなった同じ服を年がら年中着ているような人々、稼ぎの殆どを飲んでしまうような人々、貧乏なのに子供が大勢いるような家族、などが含まれる。都会に住む人々に比べ、個性の色濃い人物ということになる

    0
    2009年10月07日
  • 小さな町で

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    フランスの田舎町セリイを舞台に、町の人々の日常で起こる様々な事件集めた短編集。フィクションかと思ってたら実在の町みたいですね。イーノック・アーデンみたいな話やキリスト誕生パロディも。
    町にフォーカス、というのはジョイスのダブリン市民に似ているが、より田舎な町を舞台にしている分、より個々の性格やプライベートな事象に焦点が当てられている。あとなんかエグい話が多い。

    どうでもいいけど著者の名前のフランス王朝感すごい

    0
    2017年08月18日
  • 小さな町で

    Posted by ブクログ

    フランスの中央部に位置する人口二千人足らずの小さな町セリイを舞台に、そこに暮らす市井の人々のつつましやかな日常を、鮮やかに切り取って見せた短編小説集。家族の誕生や死、隣人との小さな諍い、時折起きる事件とも言えぬできごとを、乾いた筆致でさらりとスケッチした独特の作風は、小さなものを愛でる日本人によって殊の外愛され、他国に比べ根強い人気を持つという。映画の原作にもなった『ビュビュ・ド・モンパルナス』の名前だけは知っていたが、フィリップという作家は読んだことがなかった。

    ヨーロッパ随一と言われる一万ヘクタールにも及ぶトロンセの森に囲まれた小さな町は木靴職人や家具屋、桶屋という森から取れる良質の木を

    0
    2013年03月10日
  • 小さな町で

    Posted by ブクログ

     100年ほど前に書かれた短篇集。
     作者のフィリップが生まれたフランス、セリイを舞台にした町の住人たちのお話。
     山田稔さんが翻訳をしているから、まるで山田さん自身が書いたようなの作品だった。

     訳者解説にこの本について的確な説明があったので抜粋しておく。

     《 四百字詰原稿用紙に直してほぼ十枚、このわずかな枚数のうちに人生の断片が、いやときには一つの人生がみごとに描き出されている。これらを読めば、長く書く必要はないことをあらためて反省させられるだろう。
     貧困、不幸な恋、病気、老年、死 ──── こうした暗い題材を扱いながらも、フィリップはどこかにとぼけたようなおかしみ、人生そのも

    0
    2012年07月12日
  • 小さな町で

    Posted by ブクログ

    フランスの典型的小話〈コント〉の真髄。

    決してイイ話ではない話がオムニバスでサラサラと語られていく。

    時代と場所は違っても、かわらない人間の生活・心情がみえたように思う。

    作者の破天荒な人生を解説で知ると、ストーリーにも深みがでる。
    三年に一度くらいで読み返したい一冊。

    0
    2010年07月07日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!