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青年コランは美しいクロエと恋に落ち、結婚する。しかしクロエは肺の中に睡蓮が生長する奇妙な病気にかかってしまう……。愉快な青春の季節の果てに訪れる、荒廃と喪失の光景を前にして立ち尽くす者の姿を、このうえなく悲痛に、美しく描き切ったラブストーリー。ヴィアンの代表作であり、20世紀フランス文学の「伝説の作品」が、鮮烈な新訳で甦る! 映画『ムード・インディゴ~うたかたの日々~』原作。
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Posted by ブクログ
SF、コメディ、恋愛、悲劇、全ての要素が合わさった新感覚の小説でした。SF要素が強くぶっ飛んだ世界観です。前半は恋愛コメディで、中盤から後半にかけては雰囲気が大きく変わって悲劇的で重たい雰囲気に。その作品内での大きな振れ幅も魅力的で、特に終盤はどうなっていくんだろうという展開で引き込まれていきました...続きを読む。始めのうちはあまりにも突拍子もない非現実的な出来事の連続で戸惑ったものの、慣れてくると他の小説では味わえない何とも言えない心地良さに変わっていきます。 言葉遊びも非常にユーモアです。例えばカクテルピアノという言葉はバーなどで会話の邪魔にならないピアノ音楽のことですが、この作品では音によって混ざるお酒の種類が変わって実際にお酒が作れるカクテルピアノとして登場します。そういった不思議な世界観の中でも人生の浮き沈みが人間ドラマとしてしっかりも表現されていて、単なる色物作品として終わっていないところがさすが名作ですね。 好き嫌いはハッキリしそうですが、私は非常に好きな作品でした。翻訳によっても雰囲気が大きく変わりそうな作品なので違う出版社でも再読してみようと思いました。
かつて曾根元吉訳(『日々の泡』)で読んだ。今回、野崎歓訳で再読。 原著は1947年刊。現代の文脈ではなく、どうしても当時のアクチュアルな文脈で読んでみたかった。大戦終結後、実存主義が抬頭し、アメリカナイズされるパリ、青年たちの熱気の充満するパリ、この作品はそうした状況のなかで生まれたのだから。野崎歓...続きを読む訳は、当時はだれでもわかったような固有名詞に訳注を添えてくれていて、助けになる。 シュールさ&ことば遊び、なんとなくレイモン・クノーに近い。ジャン゠ソール・パルトルを登場させるところも洒落がきいている。ハツカネズミもいい役回りをしている。肺の中の睡蓮の蕾も、肺結核のメタファーとして絶妙。 原題はL'Écume des Jours。ずっと『日々の泡』に慣れ親しんできたが、やはり『うたかたの日々』のほうが適訳。(p.s. もうひとつの訳、伊東守男訳も読んでみたが、曾根訳と同様、誤訳が散見された。野崎歓訳は、文章が少し硬いものの、一番いいように思う。)
詩的な表現を多く含んだ小説なのか、と思ったがこれは違う。 うたかたの日々は、一文一文を真に受け、作中世界の在り方に没入していかなければならないタイプの小説で、伏線や隠喩を解き明かすといった読書をする人にはこの作品の良さが分からないだろう。 我々が生きている世界では、肺に睡蓮は生えない。ハツカネズミ...続きを読むは踊らない。わりとちゃんと働く。 だからこの小説はレアリスムではない。が、その反面、圧倒的にレアリスムだ。 世界が綿密に描かれ、作品固有の運動していく。 それを真に受けて読んだ我々がこの本を閉じる時、今読んだものがファンタジックな世界だとは微塵も感じることはないだろう。 そこには圧倒的なリアリティがある。 リアリティとは現実に即していることではない、我々がさも現実であるかのように感じてしまうということだ、作品が世界に向かって開かれているということだ。 うたかたの日々はだから、レアリスムだと言っても良い、かもしれない。 それから、パルトルとボヴァール公爵夫人だけではなく、実存主義的なシーンはかなり沢山出てくる。 他者の死はゲームで倒された雑魚キャラのような扱いを受ける。それが社会のルールであって、主人公の一人であるクロエでさえもあり得ないほど適当に葬られる。 「醜いものは要らん」ということがまえがきに書いてあるが、この作品は生を美しく描き、死んだものには興味が無いという立場を貫いている。 俯瞰的な読み方をするなら、まず一番に浮かぶのは、生きていることの美しさと死んだ者の醜さやそれに対する社会の無情さのコントラストだと思う。
不思議な話だった。儚く美しいまさしく泡沫の日々、泡沫の恋だった。二人の恋が始まった時は幸せに満ちていたのに、こんなに切なく哀しい結末になるなんて。睡蓮に肺を蝕まれていく愛するクロエを救うため、下等なものとしていた働きに出るコランや、夫を破滅に導いた小説のために人を殺してしまうアリーズ。どこかで歯車が...続きを読む違う風にかみ合っていれば彼らは幸せになれたのかな。あまりにも幻想的すぎて現実味がないのになんでこんなに切ないんだろう。2012/174
面白かった・・・。 以前に別訳で「日々の泡」のタイトルの文庫本を買ったことがありました。もう10年以上前だったか。そのときは申し訳ありませんが、何が何だか訳のせいかのめりこめず、早々に脱落。 今回は、ほぼ盲目的に信じている光文社の新訳であることと、野崎歓氏の訳ということで再購入。読破。 いやあ、...続きを読むこれはすごい小説ですね。 以下、ネタバレ。ただこの本は、ネタバレがどうこうという本じゃないですけど。 よほどの好みを持った人以外は、むしろ情報を色々仕入れてから読んだ方が良いと思います。 主人公はまあ、コランという青年ですね。この人はお金持ちで働く必要がない。ニコラという料理人を雇っています。友人でもある。 他に、シックという友人がいます。この三人は男性です。 シックの恋人が、アリーズ。ニコラの姪がイジス。そして、コランが出会い結婚するのがクロエ。この三人が女性です。みんな若くて美女です。どうやら。 コランがクロエと出会う。恋をする。ふたりは愛し合う。結婚する。 コランは労働者であるシックにお金をボンとあげる。コランはクロエと幸せに過ごす。 だんだんお金がなくなってくる。困った困った。 その上、クロエが病気になる。肺に睡蓮が生えてきてしまうのです。花が必要なんです。お金がかかります。 コランにお金を貰ったシックは、パルトルという思想家/文化人に夢中になっていて、その人の希少本を買ったりなんだりで、やっぱり無一文になります。 シックはお金がなくて、アリーズと別れます。もうアリーズを愛するより、パルトルが大事なんです。 コランはクロエのために労働してぼろぼろになります。 シックは税金未納で破滅していきます。 クロエは病気で死にます。 というお話ですね。 で、この本は、普通で言うところのリアリズムじゃないんですね。 なんていうか、サージャント・ペッパーの世界なんです(笑)。 お金の単位から人体の構造から建物まで、全部とにかくラリっちゃってるんです。 ぶっこわれてアッパラパーなんですね。 なんだけど、それは無茶苦茶なだけではなくて、物語になっている。 というのは、コランを筆頭にヒトの感情は、ものすごくわかる。切ない。 そしてとにかく、社会的じゃないんですね。一見。その奥は社会に背を向けているけれど社会に飲み込まれていってしまうので、コレホド社会的な小説もないんですけど。 ワケワカンナイことが、その内に読書的快感になっちゃいました。 後半は止まりませんでした。 解説に詳しいですが、これが書かれた時代背景とか作者のボリス・ヴィアンの生涯とか、 パルトルがサルトルとか、その辺を知ってから読むというのもありですね。 なんていうか、理解して解釈して読むとすると。 ただ、そういうのじゃないのかもしれませんね。解読してもねえ。味わうなら先入観なしで読むのも、楽しいですね。 色彩が豊かで音楽があふれて、機知と愛と憎悪と暴力と虚無と享楽が怒涛に押し寄せる快感ですね。 村上春樹さんのシュールな小説とかありますが、あれが突き抜けるとこういう風景があるんですね。 小説という地平線でとにかくラディカルであるということと、 作家そのものにポップ・スター性があったということ。 それが、ポップ・カルチャー、規制価値破壊流行とでも言うべき風俗や経済が降臨しはじめた60年代にこの本の流行を生んだことは、 僕の生前の話ですが現代史の気分的解釈では納得がいくことです。 言ってみれば小説界のセルジュ・ゲンズブールですね。 たった一冊の本で、それも60年前に外国で書かれた本の翻訳で、こんなに陶酔できるというのは素敵なことですね。 ま、それに、その非社会的というか反社会的というか刹那的というか美しい虚無というか、 そのあたりの感じがカッコイイんですよね。 ゴダールの映画に出てきそうな女の子がカフェで読んでるなら、「うたかたの日々」が似合うんだろうなあ、という発想が陳腐ですが(笑)。
キッチュ!これに尽きる。読みやすくてサクサク読みすすめられる。 ガジェット満載の楽しいB級文学といったところ。 そんなジャンル存在するのかどうか分からないけど、大好きだ。 例えば映画『唇からナイフ』を観たときの感覚。ワクワクする。 いや待て、そういやこれの映画版観にいったわ。いまはなきシネセゾン渋...続きを読む谷かどっかでやってたような……? 映画もとことんキッチュだった、それだけ憶えている(笑)。 1968年製作だから30年近く経っての日本公開。そしてさらに20年が経過しようとしている今、新訳で原作を楽しむ——なかなか感慨深い。 この物語を完全視覚化するのは難しい。チャレンジングだったろうなー。 アニメと実写混ぜて現代風にアレンジしたら、面白い映像作品になるかもしれない。60年代風ファッションと相まって、これぞまさしくフランス流“kawaii”だ。 もちろんkawaiiだけじゃない。どころか、カラフルなイメージに突如ジャックインするグロテスクなシーン、言葉遊び、青春の儚さ、皮肉、喪失感、執着の成れの果て、斜陽、すべてが灰に帰す絶望などなど、よくよく考えたら全然明るくない。 この混沌とした物語世界に、シュルレアリスムの影響がないっぽいのも興味深い。 優れた作家かどうかはさておき、唯一無二な作品世界を構築した人だとは思う。 他の作品も新訳してくれないかなぁ。
僕たちの生きる世界とはちょっと違い、まるで夢の中での出来事のような非現実的な世界設定に最初はちょっと戸惑うが、物語全体に漂う、青春とその喪失感を描くのにはこれしかないという世界が素晴らしくも悲しい。物語は(お金とか仕事とか)どんどん現実の重みに潰されていくのだが、それでも非現実感は最後の最後まで強調...続きを読むされる。そしてそれはあまりにリアルな現実の僕たちみたいだ。
「さあ行こう、猫ちゃん」 「これ、猫の毛皮じゃないわよ、オオヤマネコよ」 「オオヤマネコちゃんっていいにくいな」 ひたすらにハッピーで太陽の真下にいるような前半から物語が終わりに近づくにつれて状況がどんどん悪くなっていくのは読んでいて辛かった。儚い。ところどころに散りばめられているファンタジー...続きを読むも魅力的。
おとななので、長い夏休みもないけど、夏に何かしっかりした物語を読みたいと思って選んだ1冊。けっこう読み終わるまで時間がかかった。なんとか夏が終わる前に読み終われてよかった。 はじめ現実離れした表現が目立ち、ヴィアンの本がはじめましてだから、そういうものかとなんとか受け入れることができた。そして、読み...続きを読む進めるほど、ファンタジー感は薄れて、気づけばけっこう暗い結末に向かっていくという。。 でも不思議なことに、読後に重さや悲しみのような負の感情はそこまで残らないさっぱり感?。ある意味、物語として最後まで楽しめたので、傑作なんだと思う。 本編終了後に丁寧に、解説と作者の年表と訳者のあとがき付きでありがたかったです。
幻想的な表現も助長し、 前半は兎にも角にも甘ったるい場面や描写が多く、カロリー高めであったが、 後半の落ち方に容赦がなく、ひたすら悲しい気持ちに。 とはいえ、思い返せば前半から容赦なく人が死んでゆく世界だった。 その世界に入り込むことへの準備さえできれば、 マジックリアリズムの面白さは跳ね上がる。...続きを読む ハツカネズミの自殺で締めるのが印象的。 ーーーー 大切なことは二つだけ。きれいな女の子相手の恋愛。そしてデュ-ク・エリントンの音楽。他のものは消えていい。なぜなら醜いから。 ーーーー あらかじめ失われた恋人たち コランの日々には魔法がかけられます。 それは同時に、甘い罠でもあります。 夢見心地のうちに過ごすひとときはすでにして、何もかも根こそぎ奪っていく破壊的な力の到来をはらんでいます。 うたかたの幸福を追い求めるぼくらの日々は、いつだって危うい。 愉快な青春の季節の果てに訪れる、荒廃と喪失の光景を前にして立ち尽くす者の姿を、ヴィアンはこのうえなく悲痛に、美しく描き切りました。 ーーーー
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