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Posted by ブクログ
人は、自らの美学を体現する領土を立ち上げながら生きる。それは、家庭であったり、アート、小説であったり、思想であったり、建築物であったり。そして、納得如何に関わらず、領土はいつのまにか画定されていて、そのうちに死が訪れる。
美を追うことは、しばしば政治やマーケット、いわゆる「社会」的な障壁によって阻まれる。領土がつねに道に面しているように、私たちは社会から逃げることはできない。
ただ、そこにいて、何もせず、不安に駆られながら、プロセスがひとりでに動き出すのを待つ。
また、人は、移動を繰り返しながら生きる。多くの土地に出向いて、多くの他人と出会い、そのたびに草が踏み分けられ、足跡が増え、道ができた。
地図は全てを説明する。地図には、いくつかの行き止まりがあり、いくつかの合流が描かれている。あるいは、領土の分割があり、統合がある。どうしようもない不安も、どうしようもない断絶も、全てが地図に描かれる。
地図は何度となく改訂され、私たちはそれを見ながら、再び移動を繰り返す。
死ぬとき、私たちは一人で自分の領土に戻らざるをえない。画定してしまった領土、完成された領土に戻って、何枚かの地図のバックナンバーを畳んで、死を待つほかない。ただ、その孤独は、美に長く忠実にいた人ほど、不可欠で豊かなものになると思う。そして実際、そのような人々にとって、死はもはや恐怖ではないのだ。
Posted by ブクログ
①文体★★★☆☆
②読後余韻★★★★★
この小説の主人公は現代アーティストです。この主人公が物語のなかで作り出す芸術作品の表現描写がすばらしく、とても感銘を受けました。この作品群は視覚を主にしたものがほとんどといっていいのですが、文章でこれほど表現されているものを私は読んだことがありません。実際この作品を見てみたいと思いました。
そしてそのお父さんが建築家、というか大手の設計会社の経営者というほうが近い人物なのですが、そのお父さんが彼の創作活動のひとつのキーパーソンにもなります。主人公の彼のお父さんとの会話からは、若い頃はデザイナーであるウィリアム・モリスにあこがれたはなしであったり、反対に近代建築の巨匠であるル・コルビュジェの考え方を批判などが触れられています。でもそれは自分が成し遂げれなかったことに対する嫉妬そいうか羨望も思わせます。建築好きとしては、この場面は話のなかで印象的なところのひとつでもあり、登場人物を通して繰り広げられる作者の考察や偏愛が多くをしめ、それはこの小説の中で様々な分野の視点で語られ、それがこの小説の魅力にもなっています。それらがストーリーの中でうまく整理されて語られているところに、この作家の力量の大きさを感じます。
Posted by ブクログ
事実、現実をただ見つめ、そこにある無機物を装飾したり解釈したりすることなく表すのが好みなのか
エピソードやテーマが伝わるような形でストーリー性を帯びさせたいのか、両方を目指してるのか、アーティストとしての視点はよくわからなかったけど、商業や生産で価値を規定されるのではなく真実性に触れたかったジェドの熱さは一貫するものとしてあった
対極的に対外的には謙虚な無頓着さを保っているところ、社会との接点が薄く変化や出来事に過度に意味を持たせないながらも父やオルガ、ウェルベクといった限られた人にはそれなりに執着や情をもち諦観と現実味のバランスがとれているところも好きだった
人間の作り出したものや人物が時間と共に崩壊していく
産業の流れも変化を帯び、支持されるものがかわっていく
どんどんと繁茂していく自然により視覚的に表される時間経過の中で、移り変わりゆくものの流れを愛惜と憂愁を感じさせながらも真実としてとらえた最後のビデオ作品が1番好きだなあと思った
すごく面白いわけではないかなあ
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