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孤独な天才芸術家ジェドは、個展のカタログに原稿を頼もうと、有名作家ミシェル・ウエルベックに連絡を取る。世評に違わぬ世捨て人ぶりを示す作家にジェドは仄かな友情を覚え、肖像画を進呈するが、その数カ月後、作家は惨殺死体で見つかった―。作品を発表するたび世界中で物議を醸し、数々のスキャンダルを巻きおこしてきた鬼才ウエルベック。その最高傑作と名高いゴンクール賞受賞作。
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Posted by ブクログ
人は、自らの美学を体現する領土を立ち上げながら生きる。それは、家庭であったり、アート、小説であったり、思想であったり、建築物であったり。そして、納得如何に関わらず、領土はいつのまにか画定されていて、そのうちに死が訪れる。 美を追うことは、しばしば政治やマーケット、いわゆる「社会」的な障壁によって...続きを読む阻まれる。領土がつねに道に面しているように、私たちは社会から逃げることはできない。 ただ、そこにいて、何もせず、不安に駆られながら、プロセスがひとりでに動き出すのを待つ。 また、人は、移動を繰り返しながら生きる。多くの土地に出向いて、多くの他人と出会い、そのたびに草が踏み分けられ、足跡が増え、道ができた。 地図は全てを説明する。地図には、いくつかの行き止まりがあり、いくつかの合流が描かれている。あるいは、領土の分割があり、統合がある。どうしようもない不安も、どうしようもない断絶も、全てが地図に描かれる。 地図は何度となく改訂され、私たちはそれを見ながら、再び移動を繰り返す。 死ぬとき、私たちは一人で自分の領土に戻らざるをえない。画定してしまった領土、完成された領土に戻って、何枚かの地図のバックナンバーを畳んで、死を待つほかない。ただ、その孤独は、美に長く忠実にいた人ほど、不可欠で豊かなものになると思う。そして実際、そのような人々にとって、死はもはや恐怖ではないのだ。
ウェルベックはスキャンダラスなイメージだけが先行していて買わず嫌いだったけど、名声に負けない傑作!読んで良かった。
22.9.14〜29 ウエルベックの作品を読むと、毎回中盤でほだされるのはどうしてだろう。主人公が語る建前の中からその奥にある感情を読み取れるようになるからなのかな。特に、この作品だと父との会話でうおーと感動して、そのままぐいぐいと読んだ。書き出しからある種のこっち側への宣言みたいに見て取れる/作...続きを読む家ウエルベック自身がこちらに見せかけている言葉たちも好き。カラックスのポーラXみたいだと思った。ウエルベックのなかだと一番好きかも。
2012年頃、壊疽を起こしつつも自己増殖をやめない市場経済とその中での生活に倦んでウィリアム・モリス社会主義を標榜した。同時期に発行された、作中で度々モリスに触れるウエルベックの『地図と領土』。漠として抱き続けているこの気鬱さの実体が、ものすごく精緻に暴かれたような。圧倒された。 『服従』におけるユ...続きを読むイスマンスや、この『地図と領土』におけるモリスなど、ウエルベックが作中で重要なモチーフとして取り上げるものと、自分がそれらに興味を持つ時期が全くかぶっていることに何か不思議さと、不健康な誇りを感じる。
架空の芸術家の一生を描いたウェルベックのゴンクール賞受賞作。架空の図録とか、架空の美術展を描いた小説はいくつかあるが、ここまで壮大に「架空の近代芸術」を描く(予言する、というべきか?)とは度肝を抜かれた。さらにウェルベックが惨殺されるという驚天動地の展開で警察小説テイストも加わり、ボリュームたっぷり...続きを読む。ウェルベック特有のあからさまなセックス描写は必要最小限で控えめ…かなぁ。
匿名
『素粒子』や『ある島の可能性』にあったようなキツめの性描写や人生や社会に対する絶望感・倦怠感は本作ではそこまで強く描かれていなかった。美術やアートについては全くの門外漢なので少しついていけない部分もあった(出てくる作品や人物はウェルベックの創作だが、登場人物の語る創作論とかの前提知識が無いので難しか...続きを読むった)
①文体★★★☆☆ ②読後余韻★★★★★ この小説の主人公は現代アーティストです。この主人公が物語のなかで作り出す芸術作品の表現描写がすばらしく、とても感銘を受けました。この作品群は視覚を主にしたものがほとんどといっていいのですが、文章でこれほど表現されているものを私は読んだことがありません。実際...続きを読むこの作品を見てみたいと思いました。 そしてそのお父さんが建築家、というか大手の設計会社の経営者というほうが近い人物なのですが、そのお父さんが彼の創作活動のひとつのキーパーソンにもなります。主人公の彼のお父さんとの会話からは、若い頃はデザイナーであるウィリアム・モリスにあこがれたはなしであったり、反対に近代建築の巨匠であるル・コルビュジェの考え方を批判などが触れられています。でもそれは自分が成し遂げれなかったことに対する嫉妬そいうか羨望も思わせます。建築好きとしては、この場面は話のなかで印象的なところのひとつでもあり、登場人物を通して繰り広げられる作者の考察や偏愛が多くをしめ、それはこの小説の中で様々な分野の視点で語られ、それがこの小説の魅力にもなっています。それらがストーリーの中でうまく整理されて語られているところに、この作家の力量の大きさを感じます。
著者本人が登場して惨殺されるという突拍子もない設定だが物語は破綻することなく粛々と進んでいく。ユーモアと批評を散りばめた文体がクセになる。現代におけるアートのあり方をテーマに選んだこの作品がフランスで非常に高い評価を得たのは、そもそもアートに対する関心や批評性が高いからとも言えるだろう。肖像画を描く...続きを読む画家の心情は想像するしかないのだが、村上春樹による「騎士団長殺し」にも描かれていたように対象の姿からなにかを掘り起こすような内面的な闘争がそこにあるのだろうか。興味深い。
事実、現実をただ見つめ、そこにある無機物を装飾したり解釈したりすることなく表すのが好みなのか エピソードやテーマが伝わるような形でストーリー性を帯びさせたいのか、両方を目指してるのか、アーティストとしての視点はよくわからなかったけど、商業や生産で価値を規定されるのではなく真実性に触れたかったジェドの...続きを読む熱さは一貫するものとしてあった 対極的に対外的には謙虚な無頓着さを保っているところ、社会との接点が薄く変化や出来事に過度に意味を持たせないながらも父やオルガ、ウェルベクといった限られた人にはそれなりに執着や情をもち諦観と現実味のバランスがとれているところも好きだった 人間の作り出したものや人物が時間と共に崩壊していく 産業の流れも変化を帯び、支持されるものがかわっていく どんどんと繁茂していく自然により視覚的に表される時間経過の中で、移り変わりゆくものの流れを愛惜と憂愁を感じさせながらも真実としてとらえた最後のビデオ作品が1番好きだなあと思った すごく面白いわけではないかなあ
素粒子が面白かったので読んで見ました。 生涯をかけた芸術の探求ってとこでしょうか。 嫌いじゃないけど、まぁまぁのグダグダ感。 ウェルベックはしばらくいいかな。
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地図と領土
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ミシェル・ウエルベック
野崎歓
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