理工 - 筑摩書房作品一覧

  • 増えるものたちの進化生物学
    3.9
    生命と非生命をわけるもの、それは「増える」ことである。増えて遺伝する能力は生物を進化させ、繁栄をもたらし、やがて私たち人間に自由と生きる喜びを与えるとともに尽きることのない不安や迷いを植え付けることとなった。生の悩みから生命の起源と未来を見つめる知的問答の書。
  • 死ぬまでに学びたい5つの物理学
    3.9
    母親に捨てられたニュートン、自殺したボルツマン、息子をナチスに殺されたプランク、ユダヤ人としてドイツを追われたアインシュタイン、原爆製造の汚名を着せられたハイゼンベルク……。科学の先端を切り拓いた物理学者たちの発見の陰には、孤独と苦悩の人間ドラマがあった。5つの革命的な知を生み出した天才たちの思考プロセスをたどり、科学はいかにして創られたかを解明する。文系の読者にも面白く学べる全く新しい物理学入門書。
  • 2050年の地球を予測する ――科学でわかる環境の未来
    3.9
    環境問題は短絡的に詰論を出したり、感情論で突っ走ったりせず、落ち着いて考えることが大切だ。大気や海の汚染は国境と関係なく地球規模で広がっていく。自然を守るために私たちが選択する道を探る。
  • 人間のトリセツ ──人工知能への手紙
    3.9
    人工知能がどう進もうとも、人類の存在価値は揺るがない。黎明期から37年にわたり研究開発に携わってきた著者が今こそ断言する、AIと人間の臨界。「人工知能に何をさせないか」――将来読書をするであろうAIに向けて綴られたこの手紙は、AIとの共存が大前提の未来を生きる私たちへの、AIのトリセツ・自身の脳のトリセツの最終回答でもある。
  • 京大人気講義 生き抜くための地震学
    3.9
    未曾有の震災も過去となりつつあり、被災地も平穏な日々を取り戻し始めた。本当の危機は、しかし、いま、迫ってきている。西日本を襲う南海トラフ巨大地震は、2030年代に起きるという。しかもそれは首都圏も直撃する、最悪の「五連動地震」となる可能性が高い。さらに日本列島の活火山は噴火スタンバイ状態にある。だが、恐れすぎてはいけない。地震のメカニズムを理解し、地球科学の思考法を体得すれば、着実に、巨大災害は減らせるのだ。本書を読んで一人一人が自律して行動することが、明日の震災を「生き抜く」ための第一歩となる。
  • 天下無双の建築学入門
    3.9
    人はいつから「家」に住むようになったのだろうか。自然の中で暮らしていた人間が家を建てるようになったのはいつからなのだろう? 山や川、木や石などに神が宿っていると信じていた頃からの心の習慣が、日本建築の中には生き続けている。建築史家であり、建築家でもある著者が建物の基本構造から説く建築学入門。
  • 数学基礎論
    3.8
    数学基礎論──それは20世紀とともに始まった、新しい数学の分野である。その黎明期には、カントルやラッセルによって相次いで見出された集合論のパラドックス、そして、ゲーデルの不完全性定理など、数学の根幹を揺るがす発見が続いた。しかし数学基礎論は、決して数学の息の根を止めてしまったのではない。「ミレニアム懸賞問題」として知られるP=NP問題(P≠NP予想)やファジー論理、さらには人工知能との関わりなど、数学の最先端を切り開く分野でもあるのだ。日本を代表する数学基礎論の大家がその歴史、および現代的なトピックについて平易に解説した入門書。
  • ゲノム編集の光と闇 ──人類の未来に何をもたらすか
    3.8
    2018年11月、中国の研究者が「ゲノム編集をした受精卵から双子の赤ちゃんを誕生させた」と発表した。生命の設計図をいとも簡単に操作し、実際に子どもを誕生させたという報告の衝撃は大きく、倫理的・社会的な議論が巻き起こっている。本書は「ゲノム編集」という最先端の生命科学技術を基礎から解きほぐして紹介しながら、それが拠って立つ生命科学の歴史と系譜をも辿ることで、私たちが手にする利益と内包する問題点のせめぎ合いを追う一冊である。
  • 宇宙はこう考えられている ――ビッグバンからヒッグス粒子まで
    3.8
    急速に解明されつつある宇宙の成り立ちの謎。ヒッグス粒子の発見が何をもたらすかを皮切りに、宇宙論、天文学、素粒子物理学が私たちの知らない宇宙の真理にどのようにせまってきているかを分り易く解説する。
  • 建築史的モンダイ
    3.8
    近代建築史研究一筋だった著者が中世ヨーロッパ建築、さらに初期キリスト教建築、新石器時代の建築へと歴史を遡るうちに気付いたのは、建築の発祥という大問題だった。何が始まりだろうか?住まいか?それとも神殿か?そもそも建築とは何をもって建築というのだろうか?長い長い年月を経て、石や穴だけとなった遺跡を訪ね、その遺跡のもらすつぶやきに耳をすませて見えてきたものとは?建築の起源、和洋の違い、日本独自の建築の歩み…「建築」にまつわる疑問を縦横無尽に解き明かす。
  • やぶにらみ科学論
    3.8
    クローン人間作ってなぜ悪い?地球温暖化なんてホントにあるのか?科学とオカルトって、どう違う?…オソロシイ勢いで進歩し専門化してゆく科学に、多くの人びとはついてゆけない。そのくせ、いかがわしい科学(まがい)は無根拠に信じてしまう。かように厄介な科学的現実から虚飾を剥ぎ取り、本質を見極めるにはどうしたらいいのか。そこで、生物学の風雲児(?)池田センセが最新の科学トピックに縦横に斬り込み、徹頭徹尾「論理」で腑分けする。
  • 生命をつなぐ進化のふしぎ ――生物人類学への招待
    3.8
    私たちは、現世に生を受けながら、浮世に明け暮らす生身である。永遠に若くはなく、終には老いとなる。個体としての命はかほど儚い。それはヒトもサルもトカゲも同じだ。他方、生命の誕生以来、生物は無限的な時間のなかで進化を遂げてきた。生命現象の多様性は進化の積畳なのである。生の永遠と命の儚さ、そのジレンマの狭間で、生命はまばゆい輝きを放つのだ―。本書では、様々な動物の生きかたを紹介し、進化的な視点から生命サイクルの意味と仕組みを見つめる。最新の研究を渉猟し、人間とは何かを考えた快著。
  • 世にも美しい数学入門
    3.8
    数学とは当面は何の役にも立たないが、後世になって非常に役立つこともある、という奥床しい学問である。そうすると、何によって価値判断するかというと、主に「美しいかどうか」なのであり、美的感受性を育てることが非常に重要である――ガウス、ラマヌジャン、谷山豊と古今東西の天才数学者たちのエピソードも交えながらユーモア溢れる語り口で、数学の美しさを証明していく〈世にも珍しい〉対談集。
  • はじめての植物学 ――植物たちの生き残り戦略
    3.7
    身の回りにある植物の基本構造と営みを観察してみよう。大地に根を張って暮さねばならないことゆえの、巧みな植物の改造を知り、植物とは何かを考える。
  • 理数探究の考え方
    3.7
    小中高の教育のキーワード「探究」のキホンをご案内します。教えられる教育から自ら主体的に学ぶ教育へ。高校では物化生地の理科のほかに「理数探究」という新しい科目が立ち上がりました。どう学びを深め、どうアウトプットするか、数学の確率的思考や理科の実験のデザイン方法などについて、豊富な事例とともに見ていきましょう。
  • ウイルスって何だろう ──どこから来るのか?
    3.7
    歴史を見てもウイルスは人間社会に多大な影響を及ぼしたが、同時にウイルスは人間社会の鏡でもある。ではウイルスの正体とは。科学的に、社会的に、考える。
  • 植物たちのフシギすぎる進化 ──木が草になったって本当?
    3.7
    サッカーの攻撃の戦術や、回転寿司屋さんが考えた効率化、同じようなことを、すでに植物たちがやっていた? 植物たちが生き残りをかけて進化してきた過程を追いかけると、「強さ」の基準や勝負の方法は無限にあることが見えてくれる。勇気づけられる、植物たちの話。
  • やりなおし高校地学 ──地球と宇宙をまるごと理解する
    3.7
    日本列島は2011年にマグニチュード9の巨大地震に見舞われて以来、千年ぶりの「大地変動の時代」に入った。4枚のプレートがひしめく日本で生き延びるには、地学の知識が不可欠だ。本書は、大学入試センター試験に出題された問題を解きながら、地球内部の構造、日本列島の成り立ち、地震と噴火のメカニズム、地球温暖化問題、宇宙の歴史まで、「壮大」かつ「実用的な」地学のエッセンスを、京大人気No.1教授の「科学の伝道師」が解説する。すべての日本人に捧げる、サバイバルのための地学入門!
  • 使える!確率的思考
    3.7
    ギャンブル、天気予報、ビジネスから人間関係まで、この世は不確かな事柄でいっぱいだ。私たちは、偶然に翻弄されながら、可能性の高さを見積もったり比較したりして、自らの行動を決断せねばならない。では、賢く適切な選択をするにはどうすればよいか? そこで強い味方となるのが「確率的思考」である。本書は、数字の苦手なわれらにも腑に落ちる平明な語り口で、確率のテクニックを駆使して考える術を伝授する。ツキの正体、統計数字のからくり、人づきあいやビジネスでの意思決定法など、魅力に富んだ事例満載で愉快に学べる一冊。
  • ニュートリノって何? ──続・宇宙はこう考えられている
    3.7
    ニュートリノに質量がある!の何がそんなに事件なの? ニュートリノの解明が宇宙や人類の成り立ちの研究にもたらすものとは? 世界一わかりやすい宇宙の本『宇宙はこう考えられている』続編。
  • 環境思想とは何か ――環境主義からエコロジズムへ
    3.7
    今日の地球環境危機は、産業革命以来の物質文明のあり方に対して、われわれに根本的な変革を迫っているといっても過言ではない。そのために本書ではまず、このような危機的状況をもたらした近代産業主義思想そのものを問いなおし、近代から現代に至るまで「環境問題」をめぐってどのような思想が展開されてきたのかを多角的に検討していく。これらの作業は“緑の社会”を実現していく上で重要な示唆を与えてくれるだろう。
  • ヒトの進化七〇〇万年史
    3.7
    二一世紀に入り先史人類学をめぐる状況は大きく変わった。画期的な発見が相次ぎ、人類の起源が従来より七〇〇万年遡るとともに、進化の道筋も見方の変更が迫られている。人類は、複数の人類種が複線的に生まれては消え、現生人類はそのうち生き残った一つでしかないとわかってきたのだ。最新の発掘成果と学説を解説する。
  • 環境問題のウソ
    3.6
    地球温暖化、ダイオキシン、外来種……。マスコミが大騒ぎする環境問題を冷静にさぐってみると、ウソやデタラメが隠れている。科学的見地からその構造を暴く。
  • キュートな数学名作問題集
    3.6
    数学嫌い脱出の第一歩は、良問との出会いから。「注目すべきツボ」に届く力を身につければ、様々なものごとの「本質」を見抜く力に応用できる。めくるめく数学問題たちの世界へ、いざ。
  • 科学哲学講義
    3.6
    「日はまた昇らない」──そんなはずはないと思われるでしょう。我々は毎朝「日は昇る」という知識を得て、日が昇ることを正当化しているからです。でもそんな推論がうまくいかないことを教えてくれるのが科学哲学。我々の見ている世界のあり方をがらりと変えてしまう科学哲学は、科学哲学者と科学者だけのものではないのです。科学的知識の確実性が問われているいま、科学の正しさを支えているものとは何か、真の科学的思考とは何かを根底から問い直す、哲学入門講義の決定版。
  • 害虫の誕生 ――虫からみた日本史
    3.6
    江戸時代、虫は自然発生するものだと考えられていた。そのため害虫による農業への被害はたたりとされ、それを防ぐ方法は田圃にお札を立てるという神頼みだけだった。当時はまだ、いわゆる“害虫”は存在していなかったのだ。しかし、明治、大正、昭和と近代化の過程で、“害虫”は次第に人々の手による排除の対象となっていく。日本において“害虫”がいかにして誕生したかを、科学と社会の両面から考察し、人間と自然の関係を問いなおす手がかりとなる一冊。
  • 数学の影絵
    3.5
    本書所収のエッセイ「林檎の味」では感覚の本質、「数学とは何か」では公理主義と抽象化、「四色の地図」は集合論、数学基礎論、位置解析学と展開して四色問題に及ぶ。日常の何気ない生活のなかにこそ数学の抽象的な概念は生起し、そこに数学の影を認めることができると著者は説く。影の裡にある無限の広がりと深さを縦横無尽かつ軽妙に綴った数学エッセイ。第1回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
  • すごいぜ! 菌類
    3.5
    高温や低温、重金属濃度の高い場所など極限に生きる菌類がいる。地球上のありとあらゆるところにいて、その総数は150万種とも。私たちの身近にいるカビやきのこ、酵母といった菌類とは何か?
  • はじめてのオペレーションズ・リサーチ
    3.5
    オペレーションズ・リサーチ(OR)は、第二次世界大戦中、イギリスで軍事作戦研究の技法として創案された。その後、軍事に限らず企業経営や公共政策などさまざまな分野・組織において、意思決定の数学的・科学的アプローチとして発展を遂げた。問題の解決、改善のための最も効率的で最も適切な方法は何か。
  • はじまりの数学
    3.5
    どうして数学を学ばなければいけないのか。その経緯を人類史から問い直し、数学の本質を明らかにし、その面白さを体験してもらう。画期的に欲張りな数学の入門書。
  • 代数的構造
    3.5
    よく似たしくみをもつもの同士を同じものと見なす「パターン認識」。それは数学的な構造としては20世紀に深化発展した。数や多項式、関数などから、群・環・体などの有用な構造が取り出された。本書は抽象代数の基本概念を、歴史的背景をおりまぜつつ、ていねいな叙述でひもとく。随所に登場する卓抜な比喩は理解を助け、ガロア理論の意味まで望見させる。「体Σ/Kは地上に生えている大木に似ている。……基礎体は木の根に当たる。ガロア群は木を揺さぶる外からの力に比べられる」「秘密を探るのに、まずそれを揺さぶってみる……ここにガロアの理論のもつ射程の大きさがある」と。
  • 日本語の科学が世界を変える
    3.5
    世界をリードする日本の科学・技術。その卓抜した成果の背景には、「日本語による科学的思考」がある! 江戸から明治期、西欧から入る外国語の知を翻訳して取り込み、母国語の知識体系に位置づけなおしてきた歴史に遡り、また多くの科学者たちの証言を手がかりにして、この命題に迫る。そして、本来質の高い日本の科学が直面している問題に対峙、さらなる発展への道を提起する。ユニークな視点から解く、新しい「科学論」。
  • 異説 数学者列伝
    3.5
    数学の歴史をつくった大数学者30人の生涯。しかし、そこは森先生、エライ人ばかり登場する「数学主義史観」の本は大きらい、「ボロボロ史観」で迎え撃つ。彼らはみな、悲劇的で喜劇的なのである。数学者を序列化して30番までを選ぼうなどという趣味はないので、その選択はかなり恣意的である。各篇はまったく独立で、関心は数学者たちの“数学”にではなく“人間”のほうにある。数式は出てこないから、ご安心。昨今の理科ばなれ、学力低下を嘆くあなたには、きっとキツイ一服に。そんな異色の数学者列伝。
  • 科学の限界
    3.5
    科学技術が無秩序に発展し、高度に専門化してしまったことによる弊害が如実に現れている今こそ、科学の限界を見据える視点が求められている。その限界を、人間が生み出すものとしての限界、社会が生み出すものとしての限界、科学に内在する限界、社会とのせめぎ合いにおける限界の四つに分けて考察する。原子力エネルギーの利用に警鐘を鳴らしてきた著者が、3・11以後における科学の倫理を改めて問い直し、身の丈に合った等身大の、社会と調和のとれた科学を提唱する。
  • 数学をいかに教えるか
    3.5
    日米両国で長年教えてきた著者が日本の教育を斬る。掛け算の順序、悪い証明と間違えやすい公式のことから外国語の教え方まで。文庫オリジナル書き下ろし第4巻。
  • 農本主義のすすめ
    3.5
    そもそも「農」とはなんだろうか。農業に関する議論はたくさんあるが、産業の視点から語ったものに過ぎず、農の本質が語られることは近年ほとんどなかった。しかし、大正から昭和初期に、資本主義と農の本質は相いれないとして、「農本主義」を表明し、人間と自然の関係を問いなおす動きが生まれた。残念ながら昭和前期にはファシズムの温床だと誤解されてしまった「農本主義」を、資本主義が行き詰まりを見せる現在、再評価し、天地ともに生きる新たな思想として案内する。
  • 新しい自然学 ──非線形科学の可能性
    3.5
    非線形科学──それは近代科学が久しく避け続けてきた「自然の生きた姿の記述」に挑む新しい科学だ。例えばホタルたちの明滅が揃う同期現象や、物質の濃淡が形作る自己組織化のしくみはこの科学によって解き明かされる。本書では、非線形科学を一つの切り口としつつ、この分野の第一人者がより豊かでみずみずしい科学の可能性を探る。そして、科学知をも超えた新しい時代の知のあり方にまで思考の翼を広げる。
  • 人間は脳で食べている
    3.5
    どうせ食事をするならばおいしいものが食べたい。しかし、どういうものが「おいしい」のだろう?栄養があるもの?食べなれているもの?あるいは高価なもの?「おいしさ」というのは、実は生理的、あるいは文化的な数々のファクターが組み合わさったきわめて複雑な現象なのである。本書では、多様なレベルの考察を通して、その正体を追求し、その中でも、現代人にとって、もっとも重要な「情報のおいしさ」の構造とその行き過ぎを考える。
  • 「理科」で歴史を読みなおす
    3.4
    歴史を動かしてきたのは、政治や経済だけではない。数学的知識、暦の作り方、冶金技術など広い意味での「理科力」こそ、人間を人間として進歩させてきたものなのだ。縄文時代の天文学、世界最高水準の技術で作られた奈良の大仏、古代日本人の数学的センスがかいまみえる万葉集。ギリシア以来の「アルス」のあり方……。人類の「これまで」と「これから」を理科の視点から眺望する。
  • 生きのびるための流域思考
    3.3
    かつてない量の雨が日本列島を襲っている。頭上の雨だけを見ていても水土砂災害は分からない。雨は流域で集められ、災害を引き起こすからだ。生きのびるために、いまこそ、流域思考を身に着けよう!
  • 高校生のためのゲームで考える人工知能
    3.3
    今やデジタルゲームにかかせない「人工知能」。どう作るとプレイヤーを楽しませるゲームになるだろうか。人工知能を考えることは、「知性」とは何か、「人間」とは何か、を考えること。さあ一緒に人工知能の正体に迫る冒険にでかけよう。
  • 天文学者たちの江戸時代 ──暦・宇宙観の大転換
    3.3
    「日本の天文学」の大転換は、江戸時代に起こった。日本独自の暦を初めて作った渋川春海、西洋天文学の導入を目指した徳川吉宗と麻田剛立、全国の測量で名を馳せた伊能忠敬、地動説に取り組んだ理論家の高橋至時、「機械おたく」の商人の間重富、シーボルト事件で獄死した悲運の秀才高橋景保……。先行するヨーロッパや中国の知識と格闘し、暦と宇宙の研究に情熱を燃やした江戸時代の天文学者たちの人生と思索をたどると、日本の宇宙観の変遷が見えてくる!
  • 日本建築入門 ──近代と伝統
    3.3
    近代の日本建築には、「日本という国への意識」が脈々と流れている。つまり、日本の建築を見れば、「日本的なるものとは何か」というアイデンティティの問いに対峙することにもなる。オリンピック競技場、万博パヴィリオン、国会議事堂、皇居など、海外からの注目も集める国家規模のプロジェクトが計画されるたび、伊勢神宮、桂離宮などの伝統建築が再検討され、議論が重ねられてきた。本書では、建築史・建築批評の第一人者が日本のシンボリックな有名建築をとりあげ、それらの議論を詳細に追う。日本のナショナリズムとモダニズムの相克がいま蘇る!
  • DNAから見た日本人
    3.3
    人類の祖先と考えられているラミダス猿人は、約六〇〇万年前にアフリカ大陸に現われた。その後、人類が地球上に広く進出するようになったのは、二〇万年ほど前である。現代人の遺伝子を調べれば、過去に人類が拡散した様子が、ある程度は復元できる。分子人類学が明らかにする、海に隔てられた“日本列島人”の起源。
  • ダイオウイカvs.マッコウクジラ ――図説・深海の怪物たち
    3.2
    深海には、われわれの想像を超える生物が蠢いている。まったく光が届かない世界で、捕食者から逃れ、パートナーを見つけるために特化した視覚・聴覚・嗅覚、不思議な器官。海の男たちから「シーサーペント」とおそれられた巨大ウミヘビや日本の漁船が引きあげたニューネッシーの正体とは。文字通りメスと一体化してしまうビワアンコウのオス、スケスケ頭のデメニギス、生きた化石シーラカンス、ダイオウグソクムシの無個性という進化など、深海のモンスターたちの異様な姿と習性を、迫力の描きおろしイラストで紹介する。
  • 環境問題の基本のキホン ――物質とエネルギー
    3.0
    科学的根拠があるとは到底思えない、当節の「環境問題」。真の解決を求めるのなら、まず「物質とエネルギー」の基礎を知ろう。この宇宙・自然界の現象が数式なしでも面白くわかり、科学的思考のセンスが身につく超入門書。 【目次】1 序論/2 物質の構造/3 さまざまなエネルギー/4 力学的エネルギー/5 熱エネルギー/6 電気エネルギー/7 化学エネルギー/8 核エネルギー/9 太陽エネルギー/10 未来志向エネルギー
  • 数学フィールドワーク
    3.0
    数学は「分からないことを分かるようにする」力を身につけるのに一番適した学問である。そして、この力は多くの分野で応用できる、と著者は説く。微分積分、指数関数、三角関数などが自然科学はもとより、社会や文化のなかでどのように使われているのか。数学の役割をさまざまなテーマを通して考察する広い意味での応用数学入門。数学の拡がりとその考え方の自由さを味わい、自らの頭で考え、問題解決の糸口発見に至る喜びへと誘う。
  • システム分析入門
    3.0
    「マンションか一戸建てか」「戦略基地は、海外にどのように配置し、構成すべきか」。システム分析とは、このような何をなすべきか(What to do)といった意思決定の場で有用な技法である。これに対してHow to do、いかに上手くなすべきかの技法がオペレーションズ・リサーチで、両者は車の両輪の関係にあり、しばしば戦略と戦術に例えられる。本書は、第1章で有用性、第2章では費用効果分析によるシステム分析の手順、第3章はその歴史が語られ、例題、挿図を用いてシステム分析の考え方が平易に解説される。政策決定、経営、資源配分、情報技術等、様々な局面で使用される意思決定の技法入門。
  • 糸を出すすごい虫たち
    3.0
    体重の二倍もの重さを支えることができる糸を出すミノムシ、柔らかくて強い糸を出すクモ……。身近に存在していてもずっと見過ごされてきた小さな虫たち。虫たちの作り出す優れた天然繊維に今注目が集まっている。
  • 中学生にもわかる化学史
    3.0
    世界は何からできているのだろうか。古代ギリシアの哲学者たちは考え「元素」を発想した。人間の手で世界は作り変えることができるはずだと、中世の錬金術師たちは実験をくり返して化学変化の基礎を築いた。やがて近・現代の科学によって元素の正体はぞくぞくと解明され、新元素さえ作り出せるようになった。かつてニュートンも夢想した“賢者の石”は実現しつつあるのか――。そんな化学の道程を歴史エピソードでたどり、最先端技術のすごさに迫る。
  • 生態系は誰のため?
    3.0
    生息するプランクトンの種類や数で湖を観察すると、タフで豊かな生態系のようすが見えてくる。自然環境について、手前勝手な思い込みは捨てよう。人類が生き残るための、目からウロコの生態系論。
  • 鉱物 人と文化をめぐる物語
    3.0
    「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えてゐる。」(『銀河鉄道の夜』)。冒頭の「宮沢賢治はなぜ石が好きになったのか」からはじまり、ミケルアンジェロと竜安寺の関係、モーツァルトが石の名前になったわけ、吉良上野介の墓石など、鉱物の深遠にして、不思議な真実が次々と披瀝される。石に対する深い愛と学識に裏打ちされ、優しい語り口で紹介される「砂漠のバラ」、「火星の石」、「黄鉄鉱」、「ラピスラズリ」は、愛好家ならずとも思わず魅了される。「珠玉」のエッセイ。図版多数収録。
  • カリスマ解説員の 楽しい星空入門
    3.0
    古代より人間は、星から多くの情報を得て暦をつくり、想像力たくましく神話を語り継いできた。ストーリーを楽しみながら、雨季や洪水の時季、種まきや収穫といった農作業のタイミング、狩りや旅の針路、戒めの寓話や歴史を伝承するなど、生活に必要な知恵も星から学んだ。晴れた日には夜空を見上げよう。星をかいせば、恋人たちのロマンチックな夜の会話や、親子のコミュニケーションも盛り上がる。星座の探し方から神話や歴史、宇宙についての基礎知識まで紹介。紙上プラネタリウムの開演です!
  • 建築という対話 ──僕はこうして家をつくる
    3.0
    建築家はそこに生きる人へ想像力を働かせ、土地や人と対話を重ね、その先に新しい空間を見つけ出す。建築家として大切なことは何か? 生命力のある建築のために必要な哲学とは──。
  • 日本人なら知っておきたい 四季の植物
    3.0
    日本には四季の美しさがある。それを豊かに彩る植物がある。わが国では古くから植物に関心が寄せられ、暮らしと結びついてきた。日本人と花とのつき合いも深くて長く、すでに万葉人が野から庭に移し愉しむ。ふだん何気なく見ている景観や、ありきたりと思っている行事の習俗など、その主役が植物であることは、少なくない。本書では、豊富なカラー写真を交えながら、環境と伝統のなかで培われた植物に対する日本人の感受性と文化をみつめなおす。
  • ルベグ積分入門
    3.0
    ルベグ(ルベーグ)積分は20世紀初頭に登場したまったく新しい概念である。従来のリーマン積分ではどこに問題があったのか、そしてルベグ積分を定式化するにはどんな基礎概念が必要になるのか。リーマン積分では扱いきれない関数の「反例」のほか、点集合論や測度論などの予備知識を紹介しつつ、丁寧に定理を証明していく。著者は『零の発見』で知られる名文家でもある。本書においても筆さばきは明快そのもので、叙述はまったく古びるところがない。名著のほまれ高い教科書がここによみがえる。
  • 身体が語る人間の歴史 ──人類学の冒険
    3.0
    人間は他の動物と比べてどこがユニークなのか? 旅好きであり、汎地球的に分布、多様性が著しい──。日本からポリネシアまで、世界をめぐる人類学者が、身体の歴史を読みとき、人間という存在の本質に迫る。
  • フンボルト 自然の諸相 ──熱帯自然の絵画的記述
    3.0
    フンボルトの中南米探検行は6年の準備をかけ1799年に始まり、5年の歳月を費やした。彼は、地形や気象、地磁気などを機器測定した科学者であると同時に、ゲーテとの交遊からうかがえるように自然を深く愛好する人でもあった。「長い乾季のあと……草原の情景は一変する」「爽やかな雨を告げるのは、遠くの雷鳴である」「大地の表面が水でうるおされるや否や、かぐわしく匂う草原は多種多様なスゲ科植物、円錐花序モロコシ類、多種多様な禾本科植物で覆われる」。自然の全貌を絵画のように描きだしたこの科学的エッセイは、新しい旅行文学としても人気を博した掌編である。図版多数収録。本邦初訳。
  • やりなおし高校化学
    3.0
    範囲が広く、覚えることが多い。化学式や法則がややこしく、よく分からない……。そのような印象で「化学」に対して苦手意識を持っている人は多いだろう。しかし、化学は、この世界を考える上で土台となる学問であり、私たちの暮らしに深く関係している。その面白さを知らないままでいるのは、非常にもったいない! 本書は、高校化学をわかりやすく、簡潔に解説した、復習に最適の一冊である。この本で、物質のふるまいを知り、世界の不思議さに目を開こう。
  • ロボット入門 ――つくる哲学・つかう知恵
    3.0
    本書では、ロボットを、その歴史から紐解いて、現在をつぶさに考察し、この二一世紀の未来を見据える。それも、技術史という立場からではなく、実際に現場でロボットを研究開発している研究者としての立場から、今後のロボット開発の方向を探るという目的のために歴史を見つめ直す。
  • ダーウィン入門 ――現代進化学への展望
    3.0
    19世紀の知の巨人、チャールズ・ダーウィン。自然淘汰論による進化論を提唱し、生物学だけでなく、現代思想にも大きな影響をあたえた。ダーウィンはどんな時代を生き、何を考え、私たちに何を遺したのか。ルネッサンスから現代までの進化学説史の緊張関係にわけいり、「ヒト」の観念がどのように変わってきたのかをたどる。ダーウィンの功績と限界を審判し、最先端の進化学が切り拓いた地平を展望する生物学の入門書。
  • オトコの進化論 ――男らしさの起源を求めて
    3.0
    人間は現在約三〇〇種いる霊長類の一種であり、人間の男性はさまざまな霊長類のオス性を受け継いでいる。また、人間の男女の違いは人間の男とサルのオスの違いよりも大きいことがしばしばある。それは人間の行動が生物学的な性差を色濃く反映し、霊長類の性差のある社会性から受け継いだ特徴を強く示したりするからである。本書では、サルからヒトへの進化を通じて、オスからオトコになるために人類が経験しなければならなかった事柄を検証し、現在の男という性を破滅に追い込んでいる原因を探る。
  • 時間旅行は可能か? ――相対性理論の入り口
    3.0
    タイムマシンをつくって過去や未来へ行くことはできるのか? われわれを取り囲む時間や空間は、どうなっているのだろうか……。 時間旅行という人類の夢を追いながら、宇宙とは何かという根源的な問いに答えていきます。
  • 養老孟司の人間科学講義
    3.0
    ヒト遺伝子は既にその塩基配列がすべて解読された。それならわれわれは、ヒトについていったい何を「知っている」というのだろうか。ヒトに本来そなわる二つの情報系?「神経系=脳=意識」と「遺伝子系=細胞=無意識」という入射角からヒトという存在を捉えなおす、養老ヒト学のひとつの到達点。
  • 宇宙の地政学
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    21世紀に入って中国が独力で有人宇宙飛行に成功、著しい躍進を遂げ、米国の宇宙覇権を脅かすほどとなった。同時に米国ではニュースペースと呼ばれる民間宇宙ベンチャー企業等の開発が本格化し、宇宙の地政学は米ソから米中へ、国策から民間へ、国威発揚からビジネスへ、そして平和利用から軍民一体へと大きくシフトした。月探査から月基地建設、さらに将来的には、火星移住も計画されている。世界中で活気づく宇宙開発の最前線をぜんぶレポートする。
  • 神経回路網の数理 ――脳の情報処理様式
    NEW
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    脳は多数の神経細胞の集合で、その機能は複雑な神経回路網によって担われ、最高度の情報処理システムとして働いている。ここに情報の基本原理の発現を見た著者は、神経回路網理論の法則化を目指し、そのことこそが、脳の働きを解明するために本質的に意義のある有効なアプローチであると考えた。こうして「数理脳科学」は誕生した。今日のAIの隆盛を導き、同時に脳科学研究の核心的理論を生み出した理工学者による記念碑的著作。
  • 古生物学者と40億年
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    ロマンあふれるイメージが強い古生物学だが、その研究現場は苦悩の連続だ。40億年に及ぶ地球環境や生命進化の歴史を明らかにすべく、化石を手がかりにして、今は絶滅してしまった古生物の生態や地球環境の変動の歴史までを紐解こうとするが、バイアスだらけ、わからないことだらけ。化石は過去に地球に生息していた古生物の遺骸や痕跡が地層の中に残されたもの。長い年月を経て変形していることもあるし、化石が完全体であることはほとんどない。そこで、古生物学者は化石や地層に刻まれた情報からだけでなく、現在の生物を観察したり、数理モデルを駆使したり、様々なアプローチも用いて研究に挑んでいる。何億年も前の世界に思いを馳せながら一歩一歩進む学問の世界を気鋭の古生物学者が描き出す!! 【目次】第一章 古生物学とは/第二章 地層から古生物学的な情報を読み解く難しさ/第三章 古生物学の基礎知識/第四章 化石から「わかること」とは……?/第五章 化石を研究しない古生物学者/第六章 古生物学の研究はブルーオーシャン/あとがき
  • 乱数
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    「乱数」とは、サイコロを振って出る目のように「規則性のない数字(の列)」のことである。フォン・ノイマンは、コンピュータを使って乱数らしきもの(疑似乱数)を作り出す方法を考案した。疑似乱数は、数値実験や標本抽出などの統計的諸手法にとっては、数の頻度分布の「一様性」が満たされていれば十分である。本書は、このような意味での乱数列の作り方や、正規分布などの頻度分布に従う乱数列への変換法、さらに得られた乱数列が実用上許容できるものかどうかの統計的検定法を基礎的理論から実用的な計算法までをバランスよく記述した「乱数」を体系的に学べる日本でほとんど唯一の入門書。
  • 理工学者が書いた数学の本 線形代数
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    「線形代数は理工学のすべてに通ずる基本です。その論理は、電気回路、振動、力のつりあい、微分などなど、ごく直観的に理解できる現象の中にも本質的に表れています」(「著者からひとこと」)。問題の解決にあたっては、既成の形式化した数学を当てはめるのではなく、本質的な構造に適合するように数学を創り、再構成する態度が必要であると本書は説く。“線形代数の基本概念や構造がなぜ重要であり、どういう状況で必要になるか”を工学や物理学の例を多く用いて、直観的な理解を目指すユニークな応用数学教科書。
  • 初等整数論
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    「やさしい整数のなかには思いがけないほど深く、ほとんど神秘的といってよいほど美しい様々な法則が潜んでいる」(本書「はしがき」より)。整数論には「帰納と演繹」、「構造」といった数学の柱となるような重要な概念や未解決の問題が含まれ、いちど知ったら忘れることがないくらい、鮮やかな印象を与えると著者は説く。数学を実用主義的観点から解き放し、「おもしろさ」、「楽しさ」を不可欠の要素として見直した出色の入門書。『微分と積分』と並ぶ主著。文庫版付録として「数学教育の2つの柱」を収録。
  • 微分と積分 ──その思想と方法
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    「微分積分という学問の本質的性格をていねいに解き明かした教科書はあんがいに少ないのではあるまいか。たしかに微分積分学はきわめて広い応用範囲をもっていて、それらをすべて網羅しようとすれば、何冊あっても足りないだろう。だが、その思考法の本質にねらいを定めて解説すれば意外に簡単なものである」(本書「はしがき」より)。微分積分法をその根底にある思想から数学史に即して語り、微積のエッセンスを基本から丁寧に分かりやすく説明する。数学者数学教育者として一流であった著者による、曖昧な説明や証明の省略を一切排した微積分学最高の入門書。
  • シンメトリー
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    シンメトリー(対称性)はワイルが著作や講演のなかで折に触れ取り上げたテーマである。数学・物理学・哲学と幅広い分野に通暁したワイルにとって、シンメトリーは至る所でその姿を現す、深遠で重要な概念であった。生涯をかけて深めた思索が結実した本書は、刊行まもなく『サイエンス』誌より、「シンメトリーというテーマに関するこのような本や論文は今まで存在せず、さらに今後書かれるすべての本が、何らかの形でこの本に依拠することになろう」と評された。実際、ワイルならではの含蓄に富んだ叙述は、今なお読者に新しい洞察を与えてくれる。最晩年の名講義を新訳で。
  • 算数・数学24の真珠
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    算数・数学には、海の宝石“真珠”にも喩えられるべき“基本中の基本”である考え方や概念がある。ゼロ、点と線、円周率、プラスとマイナス、ピタゴラスの定理、指数と対数、無限……。算数・数学を専門としない人や中学生、高校生にもその魅力・重要性がわかるよう、ベーシックな考え方を問い直し、ていねいに伝える数学入門書。やわらかい語り口と明快な論理で定評のある著者が贈る、数学史を彩る光り輝く24個の“真珠”。
  • 演習詳解 力学 第2版
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    「力学の原理に差はないのだから、教養課程の学生が専門課程に相当する部分まで進んでいけない理由はない。進めるだけ進め、少なくとも道は開いているほうがよい、行く先で解けるようになる面白い問題に展望があるほうがよい」。本書で提供される問題は、机上で考えられたものだけではなく、実際の自然現象に即して創られたものも多く含まれる。それらは難解な問題もあるが、話題は広く、古典力学の豊かさを余すところなく示している。経験豊富な執筆陣が、一切の妥協を排して世に送った類書のない力学演習書。練り上げられた刺激的な問題と詳細な解説で、力学の高みへといざなう。
  • 対称性の数学 ――文様の幾何と群論
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    人体、鉱物や雪の結晶、建築の意匠、芸術・工芸作品……。対称性はミクロレベルにおいては分子構造から、マクロレベルでは特殊相対論で距離の定式化や銀河の形状に至るまであらゆるところに伏在している。ただ、この対称性のパターンは、意外にもその種類が多くない、という注目すべき事実がある。パターンを分類し、抽象し、一般化すると、そこに数学の概念“群”が現れてくる。本書の前半は“平面の結晶群”とも言うべき周期性をもった壁紙模様、モザイク模様が語られ、後半ではプラトンの正多面体の合同群についての考察がなされる。初学者のための群論的思考入門。
  • アインシュタイン回顧録
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    「想定外に当たっていたね」。アインシュタインの理論を、現代の物理学者はおおむねそう評価する。実験機器と実験法の進歩につれ、ただの予想かと見えた理論が次々に実証されてきたからだ。独創の極致ともいえる理論を彼は、いったいどうやって生み出したのか? 幼少期から執筆時までの約70年間を振り返り、何をどう考えてきたのかを語り尽くす、アインシュタイン唯一の自伝。生い立ちと哲学、19世紀物理学とその批判、量子論とブラウン運動、特殊相対論、一般相対論、量子力学に疑義を呈した真意、統一場理論への思いが浮き彫りになる。貴重な写真を多数収録。達意の新訳による文庫オリジナル。
  • 大学数学の教則
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    高校までの数学は、問題が与えられ、定義を憶え、定理やその証明を使いこなしながら解いてゆくもので、しかも与えられた問題には必ず「正解」がある。これに対して大学では、与えられた問題を解くのではなく、「問題がどのように作られたのか」、「問題をどのように作るのか」という点に目を向けることが重要とされている。この大きな断絶を埋めるべく本書は誕生した。数学の教科書は著者によるひとつのストーリーが書かれたもので、けっしてその記述を鵜呑みにしてはいけない。数学の真の喜びは、自分自身の教科書を「再構成」したときにはじめて、「新発見」というかたちでやってくる。書き下ろし「解答」を付した大幅増補版。
  • インドの数学 ──ゼロの発明
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    サンスクリット文化圏の数学は、多様性と創造性に溢れ、数学史においても大きな足跡を残してきた。「ゼロの発明」はとりわけ有名であるが、それにとどまらない。本書は、ヴェーダ祭式の祭場設営に由来する最古層の幾何学に始まり、ジャイナ教徒の数学と哲学・世界観との関係、数学と天文学、7世紀以降のアルゴリズム数学と代数の確立など、各時代に開花した数学を概観し、その発展の過程を探る。終章では、三角関数、ホロスコープ占星術、筆算法、和算などのトピックを通して、インドと他文化圏との数学の伝播を考える。
  • 生物多様性を問いなおす ──世界・自然・未来との共生とSDGs
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    本書では生物多様性を、「生物資源」と、人類の「生存基盤」という二つのの価値と、さらにその両方を統合したアプローチである「地球公共財」と位置づけて考察していく。大航海時代以降の植民地・帝国主義時代からグローバル企業などによる現代のバイオテクノロジーの時代までの生物資源をめぐる先進国・途上国という構図、自然保護を目的とした国立公園で生じる軋轢や地域社会との関係。人類と自然との相利共生関係。そして近年世界的な標語となったSDGsを見据え、将来世代に引き継ぐべき「三つの共生」を提起する一書である。
  • 線型代数 ──生態と意味
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    線型代数は大学教養課程で学ぶ数学の柱のひとつだが、もう一方の柱、解析学ほど学生には定着していない。これは、線型代数がどういう世界を語り、どのような生態なのか、長い歴史のある解析学と較べ、見えにくいことによる、と著者は言う。物理学や工学、化学、経済学、情報系など多くの分野で有効な武器として使われている線型代数をイメージや意味のセンスを大切にしながら、根本的な概念からひとつひとつ丁寧に説明する。「基礎」の骨格をくっきり際立たせた一味違った入門書。
  • 微分積分学
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    『零の発見』『数学序説』『ルベグ積分入門』の著者による微分積分の教科書。構成は微分法・積分法の基本事項から初等関数(三角関数・指数関数・対数関数)の微積分、多変数の微積分、微分方程式など、大学初年度で学習すべきオーソドックスで過不足のない内容で、具体的な事柄や注意すべき点、演習問題も豊富に載っている。非常に丁寧かつ厳密に叙述された、理工系大学の微分積分学の決定版として長年読まれ続けてきた大定番の入門書。
  • 植物はおいしい ──身近な植物の知られざる秘密
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    私たちは、毎日、いろいろな野菜や果物、穀物を食べています。本書では季節ごとの旬の食材植物から、驚きの新品種、香りの効能、認知症予防まで、「食べる植物」について「すごい」「おもしろい」「ふしぎ」と感じる「おいしい話題」を豊富に紹介します。植物たちのかしこさ、生きるためのしくみの巧みさ、私たちの健康にもたらす効能など、食材植物たちがもつ楽しい資質を、ラジオなどでおなじみの植物博士が、平明にやさしく解説する一冊です。
  • 初等整数論入門
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    「神が作った」とも言われる整数。そこには単純に見えて、実は底知れぬ深い世界が広がっている。“ポツポツ”と離散的に存在する数の中に、さまざまな「構造」が潜んでいるのだ。例えば整数を1個おきに集めると、奇数・偶数という秩序が現れる。では2個おき、3個おき……と考えると、どんなことがわかるだろうか? 本書の内容は、高等学校で学ぶユークリッドの互除法、不定方程式や循環小数などの話題から、合同式、イデアル、既約剰余群、原始根・指数のことまで。数学教育にも造詣の深い著者が、現代的な視点から系統的に整数論の初歩を解く。
  • 物理現象のフーリエ解析
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    熱伝導の研究から、「任意の周期関数は三角関数の無限和で表される」ことを発見したジョゼフ・フーリエ(1768-1830)。実際その級数展開の方法は、熱伝導のみならず、さまざまな物理現象をときあかすために欠かせないツールであることが明らかとなった。本書は熱・光・音の伝播という身近な現象から、線形応答理論や量子論におけるフーリエ変換の応用まで、具体例を多数紹介。丁寧な筆致で、読者を多様な物理の世界へといざなう。
  • 現代数学序説 ──集合と代数
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    さまざまな概念が抽象的に基礎づけられた、現代数学の世界。高度なものと考えがちだが、高校数学の知識があれば、その奥深い不思議な世界を十分味わうことができる。本書は前半で集合や濃度、組合せ論について、後半では理論や群・環・体の代数的構造などについて解説する。著者は『集合・位相入門』『数学読本』などの入門書・教科書で知られる数学者。いずれも著者も名著の誉れ高く、本書もまた初学者のための配慮が行き届いており、独習用としても好適。懇切丁寧な叙述で読者を現代数学の世界へといざなう。
  • 数学で何が重要か
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    数学愛好家のための書き下ろし第3巻。代数的整数論で何が重要か、2次形式の理論、強近似定理や数学オリンピック、外国数学者達との交流のことなど。巻末に前著への附録を付す。
  • 複素解析 1変数解析関数
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    「複素解析」は、複素数を変数にもつ関数の振る舞いについて考える数学の一分野である。その出発点となるのが“オイラーの公式”eiθ=cosθ+isinθで、実数の世界では見ることのできない美しい規則性が、複素数の世界で次々と展開される。本書は関数の正則性、コーシーの積分公式、留数定理など微分積分に関する基本的な事柄から、ピカールの大定理、楕円関数、そしてモジュラー関数の話題まで、1変数複素関数のポイントをやさしく解説。複素関数がもつ“解析性”という著しい性質を見据え、その本質に迫る入門書。
  • 集合住宅 ──二〇世紀のユートピア
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    二〇世紀前半にかけて、世界中で建設された集合住宅は、庶民にも快適な生活を行きわたらせようという強い信念に支えられていた。加速する工業化と並行する形で、資本家・政治家・建築家の知恵を結集し、大規模かつ精力的に展開された集合住宅の建設計画。そのいわば「夢の跡」は、ウィーンにパリにフランクフルトに、そして日本にも見ることができる。貧富の格差拡大の警鐘が鳴らされる今日、公共住宅復権の可能性を睨みつつ、ユートピア建設の軌跡を追う。
  • ゲーテ地質学論集・気象篇
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    変幻きわまりない雲の形態はどう解釈できるのか。まさに雲をつかむようなとまどいの末、ゲーテはハワードの雲の分類に手がかりを見つける。バロメータと温度計の時代に、経験の収集と分析を超え、詩人科学者は全体把握と理念的な綜合をめざした。上昇を促す熱と下降を促す重力に、空の現象の多くが関係づけられないか。ゲーテは言う「自然の書物がどれほど多くを私に教えてくれるか…、私の静かな歓喜はとても言いあらわされない」。歓喜は紀行文に詩に照り映えた。本邦初訳論文を多数収録。編者博捜で初めて成ったゲーテの人文学的自然科学論集。
  • ゲーテ形態学論集・動物篇
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    生きて発展する刻印されたフォルム! それは動物の骨格に潜在的にそなわっている「比較の第三者」としての原型を意味するゲーテの革新的な生物学思想の言葉である。植物において「すべては葉である」としたゲーテ形態学は、さらに対象を動物にも広げていく。動物形態の多様性は骨学的原型から発するもの、またそれぞれの動物の骨格部分は同一の基本器官のメタモルフォーゼ(変態)と洞察した。それら哺乳類についての論考のほかに、チョウのメタモルフォーゼやヒトの観相学をも含むオリジナル編集になる新訳決定版論考集成。図版多数。哲学しはじめ20世紀後半の現代科学に贈られた、ゲーテの大いなる遺産。『植物篇』の姉妹篇。
  • 生き物と向き合う仕事
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    命は決して平等ではない。獣医学は元々、人類の健康と食を守るための学問だから、動物を救うことが真理ではない。冷静な頭と温かい心で日々、生き物たちと向き合う獣医師が伝える命とは、病気とは、生きるとは?
  • 日本の樹木
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    深山幽谷で、里川の畔で、あるいは暮らしの傍らで、しずかに佇む日本の樹木。用材として、薪炭として、日本人の暮らしを支えてきました。戦後、生活の在りようが変わり、その存在が希薄になりつつあります。本書では、あらためて木の美しさと不思議さを再発見してもらうために、生物学から生態学までをふまえ、ヒノキ、ブナ、ケヤキなど代表的な26種について進化の秘密を紹介します。自然環境のなかで成長した本来の樹形を写したカラー写真をとおして、緑樹の影のしたたかな生き残り戦略について楽しく学びます。
  • 科学的思考とは何だろうか ――ものつくりの視点から
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    恩恵は期待するが、近づきがたい―これが科学の一般的なイメージである。しかし、科学の考え方は常識から「掛け離れている」わけでも、常識に「反している」わけでもない。その秘密は常識を「鍛え上げる」という、科学者たちの創意工夫のうちに、実は隠されていたのだ。本書は古代のタレスから近世のガリレオ、さらに現代のアインシュタイン革命までを現場感覚で丁寧に検証しながら、科学的思考の本質を描き出す。
  • 病原体はどう生きているか
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    たとえばコレラ菌は、子孫を残すためにコレラという病気を起こす。コレラ患者の身体は最適な生存環境だからである。けれども患者の死は、コレラ菌にとっても不都合なことになる。ではコレラ菌は、どうやって生き延びるのだろうか。ミクロな世界の生存競争を眺めながら、病気と病原体の自己保存との関係について考える。

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