作品一覧

  • 増補 害虫の誕生 ――虫からみた日本史
    4.0
    1巻1,210円 (税込)
    今では忌み嫌われるハエやゴキブリ。しかしハエは小さくかわいらしい生き物と見られていた時代があり、ゴキブリは豊かさの象徴だったとする説もある。こうした虫たちは、いかにして人間の手で排除すべき〈害虫〉となったのだろうか。本書はその背景を丹念に読みとき、植民地の統治、「清潔」な近代都市の成立、戦争における伝染病の蔓延や毒ガスの開発などを契機に、近代国家が人々の自然観を組みかえてきた過去を明らかにする。文庫化にあたっては、テクノロジーの発達による害虫の「消滅」などを考察した補章を収録。小さな虫から、人と自然の関係に織り込まれたダイナミックな歴史が見えてくる。
  • 害虫の誕生 ――虫からみた日本史
    3.7
    1巻715円 (税込)
    江戸時代、虫は自然発生するものだと考えられていた。そのため害虫による農業への被害はたたりとされ、それを防ぐ方法は田圃にお札を立てるという神頼みだけだった。当時はまだ、いわゆる“害虫”は存在していなかったのだ。しかし、明治、大正、昭和と近代化の過程で、“害虫”は次第に人々の手による排除の対象となっていく。日本において“害虫”がいかにして誕生したかを、科学と社会の両面から考察し、人間と自然の関係を問いなおす手がかりとなる一冊。

ユーザーレビュー

  • 害虫の誕生 ――虫からみた日本史

    Posted by ブクログ

    昆虫と人との関わりについて、丹念に調べられた本。かつて害虫の発生が、制御不能の「たたり」や「神罰」だったのが、明治時代以降は、殺虫剤や天敵導入など科学の力で押さえ込もうとしていく。
    エピソードも豊富。江戸時代まではコキは食べ物が豊富な豊かな家にしか出なかったので、「黄金虫は金持ちだ」の黄金虫はチャバネのことだったとか。ハエは19世紀以前は小さくてかわいいイメージで語られていたとか、太平洋戦争中、枯れ葉剤を日本の水田にまく研究がされていたとか、色々勉強になる。

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    2014年10月05日
  • 害虫の誕生 ――虫からみた日本史

    Posted by ブクログ

    ニーチェの『悲劇の誕生』、フーコーの『監獄の誕生』、平朝彦の『日本列島の誕生』と「誕生モノ」で感銘を受けた名著は多いが、この『害虫の誕生』も名著である。
    現代に生きる私たちは、パソコンやテレビなどの現代生活の必需品に対しては、それなりの経緯を知っているが、生活の場から消え去ったものにたいしての「誕生」の経緯を知らない。
    私は、よく変人扱いされるが、一般人がもつゴキブリ、ハエや蚊(ひどい場合には、昆虫全般)に対する嫌悪感にはまったく同感できず、常々、なぜこんなにこの人たちは、昆虫を怖がるのだろうと感じていた。
    その嫌悪感の由来が、害虫の誕生とともに伝承された習慣であるという認識の正しさをこの書物

    0
    2011年12月04日
  • 増補 害虫の誕生 ――虫からみた日本史

    Posted by ブクログ

    初めて評論をちゃんと読んだ。やっぱり読むのに時間かかった。
    害虫の駆除の話だった。
    戦争で飛躍的に進化したらしい。国が旗振ってプロを集めて設備も準備して至れり尽くせりの環境にするって言うのは今じゃ信じられない。そんな中だったらどんなことに使われる技術になろうが研究者は嬉々として研究に取り組むだろうな~
    国が総力を上げて一つのことに取り組むとこんなに大きな力が出せるのは日本もまだまだやれる!っていう気持ちになるけど戦争がないとここまでやらないっていうのは悲しい。

    0
    2025年09月27日
  • 増補 害虫の誕生 ――虫からみた日本史

    Posted by ブクログ

    人間と共生する虫の中で、人間と利害が対立するものが害虫と呼ばれる。
    殺虫剤に耐性を持つ個体が現れるのは、人間という環境圧に対する適者生存の結果。
    なるほど。

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    2025年07月12日
  • 害虫の誕生 ――虫からみた日本史

    Posted by ブクログ

    害虫という概念は普遍的なものではなく、きわめて近代的な認識によるものであるということ。しかし、農耕が人間の生活に深く根づいて以降、虫による害は確実にあった。では近代以前の害虫たちは、なぜ害虫と認識されなかったのか。どのように認識されていたのか。

    近代以前、虫たちによる農作物への被害は自然現象のように捉えられていたそうだ。これは有名な蝿と肉の実験を思い浮かべるとわかりやすい。
    日本においては虫送りやお札によって害虫を追い払おうとしていたように、虫たちは超自然的な現象のように扱われていた。ゆえに、害虫による被害は台風や地震などと同じで、人の手に余るものであった。

    近代以降、科学の発展とともに害

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    2025年06月28日

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