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人はいつから「家」に住むようになったのだろうか。自然の中で暮らしていた人間が家を建てるようになったのはいつからなのだろう? 山や川、木や石などに神が宿っていると信じていた頃からの心の習慣が、日本建築の中には生き続けている。建築史家であり、建築家でもある著者が建物の基本構造から説く建築学入門。
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Posted by ブクログ
筆者もあとがきで述べているが、見事なまでの「My建築史学入門」であり、すなわち藤森照信の建築に関する考察が凝縮されている本となっている。言うことが極端だったり、一部の事例からの推測が多いように見えたりするが、きっと書いてあることの何倍もの知識を持っているからできることなんだ、と勝手に思って楽しく読ま...続きを読むせてもらった。
建築学入門とは言うものの他の建築学の入門書とはかなり肌合いが異なっている。はっきり言って『建築学』の入門ではない。しかし、建築という人間の営みを、例えば『柱を立てる』というような根本的な点から考察しており、考古学的、謎解き的な楽しみがある。なぜ、日本の建築は今あるような形になったのか?などという疑問...続きを読むに縄文時代にまで遡って答えてくれる本はこれしかない!とにかく面白いです。
住宅のパーツ一つ一つを歴史を紐解きながら解説。筆者の交友の深さからくるエピソード、ユニークなキャラクターもあり、飽きずに楽しく読めました。
途中。縄文人の樹上住居云々は眉唾。憶測のどあいが強すぎるかも。もうちょっと裏付けしてほしい。切り口はすごく面白い。あまり真面目に読むべきではないのかも。
ユーモアたっぷりの建築エッセイ集。 軽く読めるとはいえ、知らないこともたくさんあって、楽しかった。 縄文の竪穴式住居。 夏はツリー・ハウスへ移っていたのではないか、とのこと。 石器で加工するには、栗の木のような硬い木の方が向いていたという、考証も面白い。 そこから、高床式とか、柱といった建築方法...続きを読むに関わる話から、家具や冷暖房といった、周辺的な問題まで、日本の住宅の変遷が、エッセイ特有の自在さで繰り出される。 雨戸って、世界にはないものだともあった。 ヨーロッパの鎧戸は、むしろ暖かい地方の、日よけの機能を持たされたものであるとも。 台風のときの守り神のように思ってきた私には、ちょっと衝撃的だった。 東南アジアの台風対策って、じゃあ、どうなっているんだろう?
あとがきにも書いてあるが「建築学」ではなく「マイケンチク学」というものなのだろう、だからこそこちらも斜に構えず、読み進めていくことができたように感じた。そこには、押し付けがましさはなく。むしろ小汚い居酒屋で自分の好きなもの(建築)を楽しく話しているような、イメージで本を読んでいけた。こちらも素直な気...続きを読む持ちで、読んでいけば自然と心に残る。好きなものを好きと胸をはって言える。藤森の素直な気持ちが伝わってきて、新しい発見がある。自分も建築が好きだったのだなという素直な気持ちで読み終えた。
難しいことはひとつも書いていない(讃辞である)。専門的なことへの説明もないが、ケンチクを面白く見るヒントをたくさん教えてもらった。 曰く、天井はなぜあるのか、曰く、暖房は数万年の歴史があるが冷房は数十年、曰く、ドアと引き戸の選択について。 専門知識なんてなくても(もちろん筆者は建築家ですが)考えをめ...続きを読むぐらすだけでこれだけ面白くなるなんてすごい。
[ 内容 ] 人はいつから「家」に住むようになったのだろうか。 自然の中で暮らしていた人間が家を建てるようになったのはいつからなのだろう? 山や川、木や石などに神が宿っていると信じていた頃からの心の習慣が、日本建築の中にはそこはかとなく生き続けている。 柱とは? 屋根とは? 天井とは? 建築史家であ...続きを読むり、建築家でもある著者が、初学者に向け、屋根、床、柱、窓、雨戸、ヴェランダなど建物の基本構造から説く気鋭の建築学入門。 [ 目次 ] 1 目からウロコ!?古代の建築術(石器で丸太は伐れるのか?―磨製石器 魔法的先端技術“縄”―しばる技術 弥生的なるモノ―竹 「夏は樔に宿」とは―樹上住宅 ほか) 2 アッと驚く!!住宅建築の技(家は夏をもって旨とすべし―住宅 シック・ハウスの代わりにシックイ・ハウスを!―建材 引き戸とドアーを隔てる歴史的事情―戸 日本建築の生命は床にあり―床 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
タイトルをなぜこんな名前にしたのかは不明。タイトルと内容は全く関係ありません。 それはいいとして、内容はかなりおもしろかったです。 前半は古代の建築技術について、後半は住宅の要素について、それぞれ短いコラム形式で書かれています。 藤森さんらしくカタカナを多用したちょっとふざけたような文章ですが、書...続きを読むかれている内容は興味深いものばかり。教科書に引用されたりするような本だから一度は読んでみるとおもしろいと思います。僕なんかは考えたこともないようなことを、半分おふざけ半分本気で書かれているので読んでても退屈しません。建築に全く興味のない人もおもしろく読めるし、少しでも知識のある人はその分面白さが増します。 藤森さんの本はどれもおもしろくてはずれがない! P.76 蝦夷の竪穴式の屋根には大和と違って草が生え、まるで地面が一部盛り上がっているように見えてしまったのだ。そうした状態の住居から出撃して、追われれば逃げ込む勇猛で敏捷な蝦夷の姿はほとんど土蜘蛛のようだった。 これが、おそらく縄文時代の寒冷地の竪穴式住居というものの本当の姿に違いない。これまで各地の遺跡で行われている家屋の復原や、教科書に載っている縄文時代の村の姿の図は、ちょっとキレイゴトすぎるように思う。草葺き屋根よりもう一歩踏み込んで、草生え屋根こそ、日本列島の住まいの原型だった。 P.106 平らで清浄、周囲から切り取られている。この二つの日本の床の特徴を建築の歴史の上でさかのぼると、ついには古代の神社にまで行きつく。伊勢神宮で知られるように、昔々の日本列島の住人は、聖なるもの、聖なる場を表現するにあたりユニークなやり方をした。 ギリシャ正教やキリスト教や仏教などのほとんどの宗教は光り輝く神仏や神の子の像を作り、それを壮大な神殿や教会の中に納めているが、日本ではそうしたものを目に見せるような建築的演出はしない。代わりに何をしたかというと、いわゆる依代である。しかしこれだけでは聖なるものの演出としては心もとないから、その周囲の草や木を取り除き、地ならしし、河原から奇麗な石を運んできて敷き詰め、さらに中にケモノが入りこまぬよう柵を回した。ギリシャやキリスト教などのようにあたりに威を払う建物なんか必要としなかった。現在、伊勢神宮では依代の柱の上に高床式の本殿がかぶさるように立っているが、飛鳥時代、大陸から導入された仏教建築の荘厳さに驚き、やむなく豪族の館を持ってきて建てて対抗したというのが本当のところだろう。 わが列島のご先祖様や、屋根と壁からなる神殿建築はなくとも、ただ一本の柱とその周囲に画された清浄な平面だけで十分「聖なるもの」を感じ取ることができたのである。そしてこの、正常な平面に対する聖なる気持ちが、床というものへの深い感受性につながってゆく。 P.111 ポイントは尻の高さにある。ザラザラしようが寒かろうが、尻の位置が高いほど位は高い。座の高さ。 地面→縁側→板の間→円座→畳 地面と縁側の標高差は結構あるが、縁側から畳までの間はごくわずかしかない。そのわずかの標高差を位に合わせ四つに分割してランキングした。 P.164 人の入り込める空間があれば、そこには必ず文化が芽生える。 P.167 軒下の陰影の存在が明るい屋根に深い味わいを与えている。ここまではよく言われることなのだが、もう一つの陰影も忘れてはならない。縁の下に生まれる陰影である。日本の伝統的な建築は、やや離れて眺めると地面のところに陰影が横一文字にただよい、その上には光を照り返す縁側があって、底から白い障子の面が立ちあがる。そして障子の上端の辺りからまた深い陰影がわだかまり、その上には屋根が明るく輝く。明と暗、この二つの帯の重なり合いによって日本の建築物の外観は成り立っている。日本の伝統木造建築の奥深い味わいは、陰影によって支えられてきたのである。これこそ縁の下の力持ち。 P.198 きっと庭では時間は止まっている。ずっと昔からそこにあり、いつまでもこのようにしてあるのだろう。 庭とは時間を無化する装置なのである。
全体は2部に分かれており、第1部では、縄文時代の住居についての考察が、著者自身がおこなったさまざまな実験をまじえつつ展開されています。第2部では、床、畳、窓、廊下といった、現代の住宅建築にまつわるテーマについて語られます。 建築の歴史や思想についての入門書ではなく、著者が過去から現在に至るまでの建...続きを読む築のさまざまなテーマについて自由に語ったエッセイといった感じの本でした。もう少しオーソドックスな建築入門の本を予想していたので、ちょっと期待はずれでしたが、それでも楽しんで読むことができました。
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