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カレーなる逆襲! ポンコツ部員のスパイス戦記
感動の実話!? 廃部寸前のおちこぼれ野球部員が一念発起、エリート大学とカレー対決! 乾作品の新境地は、読めば腹ペコな青春小説!不祥事で廃部寸前の小樽経営大学(通称・樽大)に残ったのは、 主将・森一郎…甲子園の北海道予選で伝説のエラー。ネット上でも笑い者。 ファースト・恵山光…小太りで童顔。貧乏育ちでいい奴。 コーチ兼マネージャー・白石苗穂…一番野球がうまいアイドル。 入部希望者・砂原健介…36歳で新入生。熱血なだけの空回り男。 というポンコツな面々。 廃部を免れるために教授が持ち込んできたのは エリートの北海道総合大学(道大)とのカレー対決!?ヤル気も希望もゼロのメンバーに、エリート大学生達が火をつける? 3回の対決を経て、樽大のダメダメ部員たちはどのように成長していくのか――。 笑って泣ける、カレーなる青春小説です。 夏といえばカレーの季節! おまけに今年は甲子園100周年。 夏休みの読書に最適の、ピリッとスパイスの効いた青春カレー小説! -
さよなら、君のいない海
両親を不幸な事件により亡くしてしまった18歳の少年。現実に立ち向かう気力を失った彼だったが、謎のサーファー・イヌと出会い、人生を変える一発勝負に出ることに。それはイヌがハワイで計画していた、1回限りの大規模なマリファナビジネスだった。裏世界のフィクサーとの駆け引き、マフィアとの抗争、そして仲間の裏切り……。鎌倉からマウイへと舞台をつなぎ描かれる、新感覚のクライムノベル。 -
海を駆ける
海から来た謎の男が、奇跡と愛をもたらしてゆく 『淵に立つ』でカンヌ映画祭ほか内外の絶賛を浴びた深田晃司監督が、ディーン・フジオカ主演の最新映画(5月公開)を自ら小説化! インドネシア、バンダ・アチェの浜辺に打ち上げられた、日本人らしき謎の男。 彼の正体を探る周りの人間たちの間に、波紋が広がっていく……。 2004年のスマトラ島大津波と、2011年の東日本大震災。 そして、第二次大戦中は日本の軍政下に置かれ、オランダからの独立戦争においては日本人義勇兵が支援した、インドネシアと日本の歴史上の因縁。さまざまな要素が織り込まれ、映画のストーリーをさらに発展させた力作です。 -
希望をレンタルしてみませんか?
DVDレンタルショップ「もんすたぁ」は、望む者に適したバケモノを有料で貸し出してくれる。そこでバイトとして働くことになった女子大生・巡森は、信じられない不思議な世界へと足を踏み入れるのだった――。 -
もうひとつの命
あの頃の僕らはまだたくさんの高いものに世界を囲まれて、息苦しさを覚えていた。自由に走り回っているようで、ふと気づくと自分がどこにも行けないような気がして焦り、苛立ち、空を仰いでいた。僕らが『魔女』に出会ったのは、そんなときだった。あれから数年、自殺した稲村が生き返った。思い返すのは、例の魔女のこと。あの場に居合わせた僕ら六人は、どうやら命を一つ分だけ貰っていたらしい。一度だけ復活できる。なら命一つ犠牲にして、僕らに何が成し遂げられるだろう。 -
オフィスハック
<スーツ男子×バディ×銃撃戦>人事部が悪い社員を社内調整=ぶっ殺す! シリーズ累計150万部「ニンジャスレイヤー」チームが描く衝撃の社内スパイアクション。 【衝撃のスパイアクション開幕!】2018年、東京・丸の内。合併続きで肥え太った大企業T社には「消費者をナメくさっている」事業で稼ぐ社員が誕生していた。彼らの不正が世に出ればT社のダメージは計り知れない。その前に証拠を押さえ部署ごと解体するのが、人事部の特殊部隊「四七ソ=オフィスの死神」の仕事だ。営業から四七ソへ引き抜かれた31歳妻子持ちの香田は、年上の後輩・奥野とバディを組んでいた。ある日、AIをフル活用してパクりブログを運営する部署への社内調整依頼が入る。順調にサーバールームへ侵入した二人だが、突然、武装したコンサルタントに襲撃を受けた!血を流す奥野。はたして無事に任務を遂行できるのか!? -
トリダシ
「とりあえずニュースを出せ」 東西スポーツで、スクープを連発し異彩を放つ一匹狼の野球面デスク・鳥飼義伸。 異常ともいえるほどスクープに飢えたその姿勢、編集局長から新人まで関係なく叱り飛ばす尊大な態度……。 周囲の人たちは、彼の口癖にひっかけて軽蔑と畏敬の念を込めて「トリダシ」と呼ぶ――。 各球団の人事情報にまで口をだし「影のGM(ゼネラルマネージャー)」と呼ばれ、他紙から恐れられる存在のトリダシは、「なぜ、彼はそこまで〈スポーツ新聞〉、そして〈スクープ〉にこだわり続けるのか? トリダシには、以前、上司に煙たがられ、一般紙の社会部に転属した過去があった。 上からは煙たがられ、下からは恐れられるトリダシとは、いったい何者なのか。 そして、トリダシは、なぜ選手や監督の信頼を勝ち取り、かつ安心して口を開かせて、スクープを取りつづけることができるのか。 女性部下、元野球選手の記者、ライバル紙のエース、球団関係者、一般紙時代の過去を知る同僚、デスクなどの視点から、トリダシの実像とともに、丁々発止の知られざるスポーツ記者の世界の裏を炙り出していく連作短編集。 『ノーバディノウズ』でサムライジャパン野球文学賞、『サイレントステップ』で馬事文化賞候補と、玄人筋から絶賛される本城雅人が、満を持して自らの職業だったスポーツ記者ものに挑んだ勝負作。 横山秀夫氏も絶賛! 「この作者は巧みな投手だ。球筋の読めない心理戦に翻弄された。」 解説・内田剛 -
カナシミ
5分27秒の楽曲が7万7千の文字に転成! スネオヘアーによる書き下ろし小説『カナシミ』 これまでに多数のアルバムを発表してきた傍ら、YUKIさん、新垣結衣さん、坂本真綾さんらへの楽曲提供やサウンド・プロデュース、サントラ/CM音楽の制作や映画出演などでも幅広く活躍中のスネオヘアーさん。彼が、自らの代表曲「悲しみロックフェスティバル」をもとにして小説を書き下ろしました。5分27秒の楽曲が、心に染みる泣き笑いの7万7千字に転成したのです。 ◎内容紹介 大学の卒業式を目前に控えた時期、田辺高次は東京に引越してきました。音楽での成功をなんとなく夢見ていますが、これといった活動をしないまま、怠惰な日々を送ります。そんな時に現れたのがカナシミです。高次を導くかのように、あるいはもてあそぶかのように、カナシミは自在に振る舞います。高次はカナシミに反発しつつも、やがて惹かれていくのですが……。 -
霊子先輩は実写化希望!!
人と関わるのも友達付き合いも苦手、頑張りすぎの僕の生活が一変した!! 自称16歳、霊子先輩と名のる幽霊にすっかり懐かれてしまったからだ。最恐の幽霊になって実写化されることを夢見る霊子先輩には、記憶がほとんどない。ドジばかりだけど一生懸命な彼女を、なんだか放っておけなくなってきた。しかし「幽霊は成仏させたほうがいい」と言う神主が現れたことから、先輩の記憶が戻り始めた。いったい何があったのか、霊子先輩が全てを思い出した先に待っていたのは――? -
夜空は見上げる君に優しく
渋谷の夜を照らすアドバルーン。気球から下がる布には、夜の街を楽しむ人達のメッセージがつぎつぎと流れていく。そんなメッセージの中に、「夜が怖い人もいるんです」という悲壮な呟きを見つけた、気球の管理人、横森佑。夜のにぎわいを守るため、呟きの主と待ち合わせると、やってきたのは一人の少女。それが、言葉を発せず、今にも消えてしまいそうな女子高生、咲良との出会いだった。夜の屋上に居場所を見つけた青年と、夜に脅える少女が、二つの月の下で出会う、儚い恋愛物語。 -
下町俳句お弁当処 芭蕉庵のおもてなし
俳句とお弁当。この二つは一見何の関わりもないものに思えるけれど、共通点がある。それはどちらも人の心に寄り添ってくれるということ。辛い時にはその人をなぐさめるように、楽しい時にはその人を祝うかのように、そっと傍らに在ってくれる――。社内恋愛騒動に巻き込まれ、傷心の三崎佳奈が東京深川でふらりと立ち寄ったのは、細い路地の奥にある小さなお弁当処、『芭蕉庵』。心に寄り添った、美しい俳句と美味しいお弁当を提供してくれるこのお店には、今日も俳句をたしなむ町の人々が集まってくる。心を癒す詠み人の集いに、あなたも触れてみませんか? -
光点
【NHKオーディオドラマ FMシアター「光点」、2019年1月5日 午後10時~全1回放送!出演:石井杏奈、森口瑤子ほか】汚れた手で彼に触った、どうしたいのかもわからないまま。工場しかない閉じられた町で暮らす実以子。中学を卒業して以来、手帳に職場の弁当工場にいく時間を記すだけの日々。自宅では母親が実以子の持ち帰るにおいに顔をしかめて、娘を追いつめる。「結局あんたみたいなのが、人に迷惑かけても顔色変えずに生きられるのよね」(本文より)。ある日実以子は「八つ山」と呼ばれる裏山で、カムトと名乗る青年と出会う。二人は共に時間を過ごすようになり、それは行き場のない者どうしのささやかな交流であったはずが……。母のいらだち、父の無関心、遠ざけられた現実――。不穏な日常をふりきり、二人が求めた光点とは。第41回すばる文学賞受賞作。 -
環蛇銭
ボロアパートの窓に寄りついて、老人は木枯らしに似た声を放った。「オサム、修。開けてくれ」バカな。裕一であるはずはない。親友だったあいつは、ひと月前に死んだはずだ。しかし、俺は老人の言に従い、裕一の研究日誌を探し当ててしまう。そして、古銭に触れてしまった。呪われた古銭に。次に魂を蝕まれるのは俺なのか…。八百比丘尼(やおびくに)伝説の迷路に迷い込む青年が得た、恐るべき真実とは…? 長篇ホラーサスペンス。 ●加門七海(かもん・ななみ) 東京都生まれ。オカルト・風水・民俗学などに造詣が深く、怪談、エッセイ、フィールドワーク作品などを著す。最新刊は『お咒い日和 その解説と実際』(KADOKAWA)。小説に『目嚢』『祝山』『鳥辺野にて』など、エッセイ『猫怪々』『霊能動物館』『墨東地霊散歩』など多数。 -
ダークゾーン【上下 合本版】
暗闇の中、赤い怪物として目覚めたプロ棋士を目指す塚田は、「青の軍勢」と戦えと突然命じられる。周囲には、やはり怪物と化した恋人や友人たちが、塚田が王将(キング)となった「赤の軍勢」の駒として転生していた。将棋のようなルールのもと、特殊能力を駆使し、知恵と駆け引きで敵の王将を狙う「赤VS青」、異形同士の七番勝負が始まった。異次元空間(ダークゾーン)で繰り広げられる壮絶な“対局”の行方は? そして、この戦いの本当に意味とは? 慟哭の真実が待ち受ける衝撃のゲームバトルが始まる! ※本電子書籍は「ダークゾーン 上」「ダークゾーン 下」の2冊を合わせた合本版です。 -
血涙十番勝負
将棋ファン必読の書、伝説の真剣勝負が甦る。 文壇きっての愛棋家であった山口瞳が、斯界の巨星・大山康晴から中原誠、米長邦雄ら第一線棋士との真剣対局“十番勝負”に挑んだ、1972年のユニークな自戦記。 軽妙洒脱な文章で綴られながらも、将棋の世に観る棋士の魅力と、男の哀歓を描いて将棋を知らずとも読み応え充分。「血涙」は大げさではなく、総ては勝つためと、ステーキは食うは、マッサージ師を呼ぶは、酒は飲むは、挙げ句、胃腸薬を飲んで下痢止めを飲んで、身体は七転八倒……、まさに涙ぐましいほどの“真剣勝負”であった。担当編集・宮田昭宏氏のあとがきも今回、新たに収録。 -
うみの歳月
宮城谷ファン必読! 若き日に書いた貴重な現代小説を初公開! 歴史小説家として世に出る以前に書いた現代小説がいま甦る! 未発表作品も含む現代小説五編と詩一編を収録。 小学生の時に身のまわりの世話をしてくれた年上の女・ツルと、故郷・蒲郡の生家の商事会社に勤める美緒。二人の魅惑的な女を描く「バラの季節」。 蒲郡の芸者置屋を舞台にした、川端康成や泉鏡花のスタイルを思わせる若き日の作品だが、師・立原正秋からは「陳腐だ」と赤エンピツで書かれて送り返されたという「秋浦」。 温泉町で土産物店を営む母と新婚夫婦三人の日々を、勤めを止めて母との同居を選んだ夫の視点から描いた中篇「発見者」は、執筆当時四十歳を過ぎ、最後に書きたいことを自由に書いてから筆を折ろうと決心して書いた作品。同じ時期に書いた「買われた宰相」(『侠骨記』に収録)が、後の中国歴史小説に繋がったという。 解説・湯川豊 -
アヤカシ絵師の奇妙な日常
憧れだった美大に通うことになる白川実乃里。しかし実際に大学生活を送るうち、理想とはかけ離れた現実を知り、彼女は落胆する。教師からの厳しい指摘、友人の才能への劣等感――次第に自分の夢に対して迷いが生じてくる……。そんなある日、彼女は大学近くにある池で、不思議な青年と出会う。学内で「妖怪画家」と噂される彼の名は、一色真澄。その本業は、人間との共存が難しくなったアヤカシたちの悩みを解決することだというのだが――!? -
小森谷くんが決めたこと
余命2か月と言われて生き残っちゃいました。 波瀾万丈な人生を送ってきたドラマの主人公のような人物ではなく、どこにでもいる普通の男子の物語を書いてみよう――。 作家との話し合いの末、編集者が連れてきたのは三十代前半の会社員。しかし、話を聞いてみると、彼の半生はちょっと普通とはいいがたいものだった。 愉快だった小学生時代。暗黒面に落ちた中学生時代。悪友とのおバカな高校時代。美容師の女性と初めてきちんとした交際をした大学時代を経て、紆余曲折の後、憧れの映画会社に就職が決まる。 しかし、そんなある日、彼は余命2か月、末期がんであることを告げられてしまう。 -
ヴァンパイア騎士 煌銀(フレイル)の夢
李土との戦いで黒主学園夜間部は消滅。零と優姫は離れ離れになる。夜の街で海斗とともにハンターの任務につき吸血鬼を取り締まっていた零。そんな零を密かに見張っていたのは? スピンオフ全6編収録。 -
ルールズ
人気ロックバンド、ポルノグラフィティの新藤晴一が描く 青春ロック小説の傑作! ポルノグラフィティのギタリスト・作詞家として活躍する著者が、 2010年の小説家デビュー以来、待望の第2作目を上梓! 舞台は、著者が長きにわたって身を置く音楽業界。 メジャーデビューを目指して奮闘する ロックバンドのベーシストを主人公にすえ、 ロッカーたちの生き様を追いかけた本書は、 細部にまでリアリティが宿るロック小説の傑作! 運命をともにするメンバーたちとの人間関係、 デビューにかけるひたむきな想いや葛藤、 成功を夢みる男たちの欲望……。 彼らの未来のカギを握るのは、いったい誰なのか? この出来事は、伝説となりうるのか? 夢か現実か? 一気読み必至の青春グラフティ。 -
世界で一番のクリスマス
80年代の上野界隈でネオンを輝かせていたフィリピン・パブ。 父親の経営する店の人気者だった姉は、AV女優として成功したけれど……。 麻美ゆまにインスパイアされた表題作の他、「午前零時の同窓会」「月夜の群飛」「鶯の鳴く夜」「吉原浄土」を収録。 石井光太は『物乞う仏陀』や『遺体――震災、津波の果てに』など、この世界の非情なる現実を見つめて、われわれの振舞うべきスタンスを、真摯に問い続けています。 ここ十数年で風俗業界も大きく変わりました。かつて女性が生きるための最終手段だったものが、いまや“普通の貧困”によって、生活費を得るために体を売るようになっているのです。過酷さの質が変わったのかもしれません。 『世界で一番のクリスマス』で、石井光太が描いているのは、東京・上野界隈にある風俗業界で必死に生きようとする女と男たち。 女性用デートクラブ、無許可営業のデリバリーヘルス、廃墟と化したラブホテル、風俗嬢の駆け込み寺となるクリニックなどを舞台に、男女のせつない心情の遍歴を、丹念にたどりながら見つめています。 表題作の主人公は、AV女優の姉を持つシングルマザー。上野駅ホームで撮影した本書のカバー写真にも協力してくれた伝説の元AV女優、麻美ゆまに、石井光太がインスパイアされて書いた作品です。 クリスマスの夜の奇跡を、お楽しみください。 -
UFOがくれた夏
『虹色ほたる』の川口雅幸が贈る夏の感動ファンタジー! グラデーションブルーの海の近く、白波小学校六年二組に転入したばかりの遼哉。問題児ばかりという六年二組に内心ビビってはいたけど、隣の席の美少女・晴香の助けもあって、少しずつクラスに溶けこみはじめていた。ところがある日を境に、遼哉のまわりで不思議なことが起こりはじめる。頻繁に目撃されるUFOらしき光、浜辺で拾った奇妙なガレキ、突如赴任してきた謎のさわやかポロシャツ先生カイドー、海岸沿いの廃れたドライブインに住む怪しげな爺さん“ジョーカー”、そして晴香の抱えた秘密……不思議で切ない、遼哉の運命のひと夏が、いま静かに動きはじめる―― -
閻魔大王のレストラン
――あの世とこの世の狭間にあるレストラン『紫苑』。そこは食事に未練を残したまま、世を去る人が訪れる不思議なレストラン。髭面のギャルソンが出迎え、コックの閻魔が奇跡の味わいで死出の旅路を彩ってくれる優しい場所。「これより天へ昇る味わいで、あなたの別れを祝福致します」 最後の食事を、あなたはどなたと召し上がりますか? もちろんお代はいただきません、その代わりに――。 -
晩鐘
佐藤愛子九十歳・奇跡の話題作、待望の文庫化! 老作家・藤田杉のもとにある日届いた訃報――それは青春の日々を共に過ごし、十五年間は夫であった畑中辰彦のものだった。 「究極の悲劇は喜劇だよ」 辰彦はそういった。 それにしても、どうして普通じゃ滅多にないことばかり起るのか。 当時の文学仲間たちはもう誰もいない。 共に文学を志し、夫婦となり、離婚の後は背負わずともよい辰彦の借金を抱え、必死に働き生きた杉は、思う……。 あの歳月はいったい何だったのか? 私は辰彦にとってどういう存在だったのか? 杉は戦前・戦中・そして戦後のさまざまな出来事を回想しながら、辰彦は何者であったのかと繰り返し問い、「わからない」その人間像をあらためて模索する。 枯淡の境地で、杉が得た答えとは。 『戦いすんで日が暮れて』『血脈』の系譜に連なる、かつて夫であった男と過ぎし日々を透徹した筆で描く、佐藤愛子畢生の傑作長編小説。 -
花霞紅莉の怪異調書シリーズ
世にニ十冊しか存在しない奇書『眼球蠱聞(がんきゅうこぶん)』。その物語をなぞるかのように、博多区連続通り魔事件が発生する。捜査官の花霞紅莉(はながすみ あかり)は、見た目は小柄な新人刑事ながら、他人の仕草から嘘を見抜く能力があった。コンビを組む、切れ者ながら昼行灯の捌津茅晋助(はつがや しんすけ)と容疑者である高校生の自宅を訪れると、事件の鍵を握ると思われる『眼球蠱聞』と大量の人形を発見する。事件の真相に迫る二人は、日本庭園「仙願亭(せんがんてい)」に潜む、人形に纏わる怪異に蝕まれて行き……。 -
明日から本気出す人たち
さっぱり売れない地下アイドル、残業ばかりの契約社員、引きこもりの大学生、借金を恋人に隠す中間管理職―― 「あなた、あまり幸せそうではありませんね」 彼らの前に現れたのは、未来予報士と名乗る黒ずくめの怪しい男。彼は独自の観測によるちょっとうさんくさい未来予報をもとに、依頼者の心を少しだけ動かして、新たな一歩を踏み出すための道しるべを示します。今日とは少し違う明日にしたいあなたに贈る物語。 -
AIに負けた夏
成功率百パーセントの恋愛があります――。失恋に落ち込む大学生、秋山明はAIによる恋愛シミュレーションを受ける。その相手は実在する女性のデータをインプットしたアンドロイドだった。「――私は切れてしまった赤い糸をつなぐためにここに来ました」 システムのバグで“消失”したという秋山の運命の相手に関するデータ。彼女の行方を探すために始められた疑似デートをきっかけに、複雑に絡んだ赤い糸が紐解かれていく。ひと夏の恋愛ミステリー。 -
小指が燃える
「沈黙のなかの沈黙」 長崎に住む作家の「私」は20代の頃、同僚の義父の葬儀に参列して、「夜、もうひとつのお葬式がある」と聞かされた。さては隠れキリシタンの秘義か? と色めきたつ「私」に同僚は困惑を隠さない。そのときから「私」の脳裡に一組の男女が棲みはじめた。 「私」はやがて、弾圧の時代にもキリシタン信仰を守り抜いた一族の末裔を主人公とする小説を書いてデビューする。しかし、それは底の浅い、通俗的な物語ではなかったか?「私」はやがて書きあぐね、行きづまる。 自分は、遠藤周作『沈黙』などの物語をこの土地の歴史に編みこんでいたのではないか? 虚構の記憶をも土地に重ね、本来の土地の姿を見失っていたのではないか? 幕末の潜伏キリシタンのプチジャン神父による発見という「物語」を批判的に乗り越える試み。作家としての出発点へ立ち返り、新たな地平へと飛翔を遂げる問題作。「小指が燃える」 長崎で戦争や敗残兵の物語を紡ぐ「私」の元へ、小説は面白くなければ、売れて読まれねばと言い切る元政治家の先輩作家(石原慎太郎)と、原爆体験を書き継ぐ女性作家(林京子)のまぼろしが交互に訪れる。 体験していない戦場や爆心地を書くのは、そこに美を感じ魅了されるからではないか。それは堕落、倒錯ではないか・・・。 己に問い直しながら「私」は、以前、文芸誌に発表した敗残兵の物語を書き直しはじめる。力作中篇240枚。 -
孤独のいいなり
35歳になったフリーライターの真弓子。元彼のDVのトラウマから過食嘔吐を繰り返す。 新しい彼〈蛍さん〉は、結婚してしまったが、彼との不倫関係は続いている。 ライターとしての仕事に窮した真弓子は、風俗雑誌のライターとして働き始める。取材に訪れたプチ風俗店で、青い瞳の男「グンジョー」に出会う。彼は渋谷あたりでうろつく少女たちを風俗店に売り飛ばす男だった。 グンジョーと出会ったことから、彼女の生き方は次第に転落の一途をたどる。一方グンジョーは正体不明の女「藍」の幻を追いかける。「藍」は救われない男たちに無償の奉仕をしている女だ。 リアルでファンタジックで、愛と性の狭間で壊れていく女、再生していく女を描く物語。 -
渋谷にて行方不明
若者を引き付ける刺激的な魅力にあふれる街・渋谷。ともに中学三年生の田村知佳は茨城から家族と、市橋友香は山梨から友達と、憧れの渋谷に遊びに来た。少女の面影を残す彼女たちは、それぞれ別の男にナンパされ、監禁されてしまう。そして二人は秘密のパーティで、オークションにかけられ中年男の餌食となる寸前の窮地に。一方、彼女たちが宿泊を予定していた人気ホテル「ステイ渋谷」のオーナー寺泊新吉は、二人が危険な状況に陥ったことを察知。かつて渋谷の自警団を作っていた、古き良き渋谷を愛する老人やオヤジたちと協力しあって、二人を救おうと立ち向かっていく。ロリータたちの危機的状況の描写や秘密パーティで繰り広げられる官能の世界は、読者の期待を裏切らない。大活躍するオヤジたちのキャラクター設定と相まって、神崎作品の中で異彩を放つ佳作。 -
越し人 芥川龍之介 最後の恋人
文豪と美貌の「文学夫人」の秘められた恋。 芥川龍之介が死去したのは昭和2年(1927)7月24日。死後90年の節目にあたる2017年7月に、芥川の「最後の恋人」とひそかに語られている歌人、片山廣子を主人公とした小説を刊行いたします。14歳年上の上流夫人で、アイルランド文学翻訳者としても名を知られていた廣子と芥川の軽井沢での出会い、そして情熱的な手紙のやりとり。廣子の娘と堀辰雄の成就しなかったロマンスをサイドストーリーに、誇り高く情熱を胸に秘めた「幻視者」廣子の人生を、女性作家の視点で活写する渾身の書き下ろし長編です。 芥川が「才知の上にも格闘できる女に遭遇した」(「或阿呆の一生」)と書き、菊池寛が「最もすぐれた日本女性」とその才能を絶賛した廣子は、芥川の死後世間との関わりを絶ってひっそりと生きますが、最晩年にエッセイ集と歌集を刊行して高い評価を受け、79歳で亡くなります。女性のみごとな生き方のひとつの例として、片山廣子の人生は私たちに一筋の光を当ててくれます。 -
彼は孤独を深める
謎の女を書く ある日、急に目の前に現れ、またある日、まさかこのままになるとは思わず、別れてしまった女がいる。男はそのことを悔やみ、いつまでも忘れられない。そのことをバーの主人に切々と語っているがまさにそのバーカウンターの内側にこそ、その女がいたのだった。女々しい、と形容することは簡単だが、主人はその女を「小説に書きなさい」と言う。書くことで、いつまでも謎の女であり続けるのだ。しかし、その前にまた女が現れたらどうなる? それはわからない。なにしろ男は、まだ書き始めてもいないのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
横須賀ブロークンアロー
「小説推理」で62回にわたり連載されたエンターテインメントが文庫オリジナルで登場!「ブロークンアロー」とは重大な核兵器の事故のことを指す米軍の符牒。――福島から高校卒業と同時に上京し、今は横須賀で車両整備の仕事をする28歳の江井(えねい)徹は横須賀の地下壕で旧日本軍の戦闘機の破片を拾う。それがネットオークションで高値で落札されたことから、俄然「お宝探し」に興味を持つ。しかし、江井は気付いていなかった。それがどんなに危険なことかを。立ち入り禁止区域の周辺をうろつく江井を、正体不明の連中が襲い始める。当初は警告ふうだったものが、次第に過激になり――。
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