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古き物には魂が宿るという。届かぬ思いを宿した古物はやがて一つの古物店へと流れ着く。鑑定する店主は鬼の男・鬼蔵。男を支えるのは人間の妻・渚。 窓辺に置かれた真空管ラジオから流れる、もう逢うことの叶わぬ懐かしい人の声。舶来物のドールハウスに住まう、仲睦まじい小さな住人たち。戦地に向かった夫と妻をつなぐ、めおと茶碗の数奇な運命。 鴫沢古物店に集まるアンティークにまつわる小さな不思議を、奇妙な縁で夫婦となった二人が解き明かす――。
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Posted by ブクログ
ラジオ、ドールハウス、夫婦茶碗。ラジオの話は涙腺持っていかれたけど、いや親父しっかりしろよというもやっとがすごい。
想像していたより何倍も心優しくて、それでいてちょっと抜けていて放って置けない感じの鬼さんでした。 奥さんとの出会いの話が、切なくも微笑ましかったです。 お互いに「あ、この人と結婚するんだ」と思える出会い、羨ましいです。 そのきっかけとなった夫婦茶碗に宿る思い出も切なかったし、元持ち主の気持ちも受け継...続きを読むいで今も使っているところに泣けました。 元持ち主の夫婦の場面がね、本当に泣けた。 泣けたと言えば、最初のラジオの話もガチ泣きしましたので。 あの展開は狡い、こっちは涙もろいんだってば。 亡くなったお母さんとラジオでの交信……できなかった最後の別れと新たなお母さんへのバトンタッチの場面、泣くなと言われても無理だった。 昭和の最後が舞台なので、まだ携帯電話などのデジタル機器のないアナログな時代が、あのおっとり夫婦の雰囲気に大変マッチしてました。 こんなに泣ける話だとは思ってなかったし、鬼があんなほんわかした天然さんだとも思ってなかった(前述したけど) いい意味で予想を裏切ってきて、面白かったです。
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