古き物には魂が宿るという。届かぬ思いを宿した古物はやがて一つの古物店へと流れ着く。鑑定する店主は鬼の男・鬼蔵。男を支えるのは人間の妻・渚。
窓辺に置かれた真空管ラジオから流れる、もう逢うことの叶わぬ懐かしい人の声。舶来物のドールハウスに住まう、仲睦まじい小さな住人たち。戦地に向かった夫と妻をつなぐ、めおと茶碗の数奇な運命。
鴫沢古物店に集まるアンティークにまつわる小さな不思議を、奇妙な縁で夫婦となった二人が解き明かす――。
Posted by ブクログ 2019年06月14日
想像していたより何倍も心優しくて、それでいてちょっと抜けていて放って置けない感じの鬼さんでした。
奥さんとの出会いの話が、切なくも微笑ましかったです。
お互いに「あ、この人と結婚するんだ」と思える出会い、羨ましいです。
そのきっかけとなった夫婦茶碗に宿る思い出も切なかったし、元持ち主の気持ちも受け継...続きを読む