小説 - 角川文庫作品一覧

  • 十津川警部 三河恋唄
    4.0
    左腕を狙撃された衝撃で、記憶を失ってしまった吉良義久。自分の記憶を取り戻すために、以前自分が書きかけていた小説の舞台の三河に旅立つ。十津川警部も狙撃犯の手がかりを求め亀井とともに現地へ向かう。
  • 虹色の青春祭
    4.0
    落ちこぼれの天田呑一がやっとの思いで入学したのは、近年レベル低下で悩む名門女子校・小町学園。女校長が試験的に八名の男子を入学させたのだ。女生徒優先の校内で、彼らが安らげるのは便所だけ。ついたあだ名は便所コオロギ。しかし、呑一をリーダーに八名の奇想天外な発想と特技を活かした行動力で学園の難問を次々に解決、男子の復権を果たしていくが!?
  • 選挙参謀
    4.0
    選挙参謀を生業とする遊馬大介。20勝の腕前を持つ遊馬に、生まれ故郷・海南市の市長から、市長選参謀のオファーが。新進気鋭の対抗馬になんとしても勝たなくてはならない遊馬が取った戦術とは!?
  • 銀の匙
    4.0
    1巻484円 (税込)
    書斎の小箱に昔からある銀の匙。それは、臆病で病弱な「私」が口に薬を含むことができるよう、伯母が探してきてくれたものだった。成長していく「私」を透明感ある文章で綴った、大人のための永遠の文学。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
  • 遙かな坂(上)
    4.0
    大手スーパー〈マイウェイ〉の凍結庫で店長が凍死体になって発見された。東京四部長の逢坂常平は、早朝、警察からの電話で事件を報らされる。捜査は、自殺、他殺、事故死のいずれも決め手のないまま難航した。――逢坂の家庭では、妻千鶴を中心に、ひとり息子剛の東大合格だけを目標に生活を組みたてていた。少しでも入試に有利な条件を得るためのコネや情報、有能な家庭教師。だが、常平の九州への単身赴任、膨らむ教育費を補うための千鶴のアルバイト等により、家庭は大きな亀裂を生じていった……。家族全体を巻きこむ受験地獄と苛烈な流通戦争を描き、学歴社会を鋭く告発する社会派推理の力作長編。
  • もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵
    4.0
    1巻748円 (税込)
    本を読んでいないと、禁断症状が出てしまうほどの活字中毒である本の雑誌発行人、めぐろ・こおじを罠にはめて、味噌蔵に閉じ込めてしまう表題小説は、著者が初めて書いた記念碑的小説。もうひとつの読みどころは、著者の過激な好奇心がぎっしり詰まった辛口コラム。うんこ的本づくりに文句をつけたり、ゴキブリ雑誌を踏みつぶしたり、インチキベストセラーを攻撃する若き日の椎名誠がまるごと電子で初登場。
  • 眠らない少女 高橋克彦自薦短編集
    4.0
    妻が娘に語っていた「あまのじゃく」の物語を聞いていた「私」は、自分の故郷に伝わっていた凄惨な「あまんじゃく」を思い出し…。前世の記憶と怨念が凄絶な惨事を引き起こす表題作など厳選の10編。
  • 刑事たちの聖戦
    4.0
    旧大蔵省次官を経験した元高級官僚が相次いで殺された。浮かびあがったのは7年前、政財界を揺るがした疑獄事件。事件の渦中で消された警部補の息子に魔手が伸びる。刑事たちは矜持をかけて真犯人を追う!
  • 血の翳り
    4.0
    二年前、寒風吹きすさぶ冬の日、当時、警視庁捜査一課、霜月の妻と子が殺された。妻は凌辱を受け死体は凍りついていた。霜月は職を辞し、犯人を追跡したが、いまだ手がかりはつかめなかった。が、そのころから霜月の一族の子どもたちが何人も、不可解な死を遂げていた。何者かが霜月の一族を抹殺しようとする気配が感じられた。彼は自らの〈血〉の謎を明らかにするために、ルーツを遡りはじめる。が、浮かんできたのは呪われた〈血〉の恐るべき真実……。凄絶な暴力と性――時代を超えて展開する、バイオレンス・アクション!
  • 風紋の街
    4.0
    鉈割瓢と斧割糺は正統松浦水軍を先祖にもつ親戚同士のくされ縁。ある陰謀のため強姦の罪をきせられ、揃って刑務所へ。出所後、職と金のないふたりは大胆にも人妻を拉致し、無人島で暮らし始める。だが、夫に発見され、暴力団の手から真子という女性を救出するという奇妙な仕事が押しつけられる。色と欲にかられたふたりの天衣無縫な救出作戦とは? 冒険バイオレンス!
  • 本格推理委員会
    4.0
    小・中・高校の一貫教育学校の音楽室に、死んだはずの女性が現れたとの噂が。学園の理事長は、探偵の素質を持った少年・少女を選抜、本格推理委員会を設立し、事件解決を命じるが、事件は意外な方向へと向かい……!
  • 不器用な愛
    4.0
    無骨で不器用だが、人生の情を知る愛すべき男たち。仲間を売る『卑しき道』を歩む監察官、悪党から鮮やかに金を奪う詐欺師、雨の酒場で一夜ブルースを奏でる見知らぬ男……故風間一輝の傑作ハードボイルド短篇集。
  • 百戦百勝 働き一両・考え五両
    4.0
    春山豆二は生まれついての利発さと大きな福耳から得た耳学問から徐々に財をなしてゆく。株世界に規則性を見出し、新情報を得て百戦百勝。”相場の神様”といわれた人物をモデルにした痛快小説。
  • 垰

    4.0
    秋葉文七、四十八歳。妻を早く亡くし、一人娘・小菊までも事故で喪った彼は、ふと旅への郷愁にかられ、生前、小菊が辿った峠路をめぐるため強力ジープで出発した。道中、猿と戯れる娘との出会い。古き因襲の残る山村での不思議な出来事……。その一方で、文七のジープはなぜか何者かによって襲撃されるのだった。文七の波乱の彷徨はどこまでも続く……。伝説の峠路を舞台に、亡き娘への思いを謳い上げ、道を拒む者たちと闘う男の世界を描き上げた、叙情あふれるサスペンス・ロマンの傑作!
  • 追われる男
    4.0
    プレハブ住宅の中国進出の賭けに出た住宅メーカー社長の挫折から、戦後日本経済の縮図を浮き彫りにした長編小説。
  • 鬼の跫
    4.0
    真昼の情事に溺れる妻を尾行し、その現場に踏み込んだ現職警部・越智数正は、許しを乞う妻を射殺し、相手の男・由布文人の膝頭を射ち抜いた。懲役10年6ケ月―刑は確定し、越智は千葉刑務所に収監された。そして服役中に唯一の心残りであった娘・珠樹が自殺したことを知る。妻が死に、娘が死んだ今、不義を働いた由布は、やはり死をもって償うべきだ。越智は受刑者を束ねる暴力団組長と共謀し脱獄を図り、復讐の鬼と化した。一方、越智逮補に失敗したかつての上司・瓜生も職を辞し、越智を追う旅を始める……。傑作ハード・ロマン。
  • 十津川警部捜査行 北陸事件簿
    4.0
    とき403号が終点の新潟駅に到着したとき、車内から刺殺体が発見される。持参していた履歴書は60代の男性だったが、30代のフリーライターだと判明。何のために変装したのか……。他、4篇を収録。
  • 五木寛之自選文庫〈小説シリーズ〉 白夜物語 五木寛之北欧小説集
    4.0
    ムンクの版画「叫び」におののくノルウェーの娘ジュリー(「夏の怖れ」)。体内から湧く激しい「衝動」の正体にとまどい、旅先のオスロで自死するオリエ(「ヴァイキングの祭り」)。明けるとも暮れるともつかない妖しい薄明が、街と森と湖をつつむ北欧の夜。その白夜の中に展げられる愛と孤独と憂愁のドラマ。「霧のカレリア」「白夜のオルフェ」を含む4編を収録。北欧を舞台に青春の彷徨を描いた香り高い五木文学の傑作集。
  • 人生案内 夜明けを待ちながら
    4.0
    生まれながらの宿命は変わらなくとも、運命の偶然とは必ず出逢い、それが人生を豊かに変えてくれる。受験、就職、病気、年齢、生きがいとは――。私たちの切実な問いに、作家がともに悩み、ともに答えを模索した人生のガイドブック。 ※本書は、平成十年十二月、東京書籍より刊行された『夜明けを待ちながら』を書名変更し、文庫化したものが底本です。
  • アンの青春
    4.0
    マシュウの突然の死により、大学進学をいったん諦め、エヴォンリーの小学校の先生となった16歳のアン。ダイアナと村の改善に奔走したり、マリラが引き取った双子の孤児の面倒を見たり、大忙しの日々。学校では様々な個性の子供たちと出逢い、アン自身も刺激を受け、成長してゆく。空想好きは相変わらずだけれど、現実のアンの周りで本当のロマンスの物語が生まれはじめて―。永遠のベストセラー、第2巻。
  • ロコ! 思うままに
    4.0
    絶対的に君臨する父親によってお化け屋敷に閉じこめられている少年・ロコ。独りぼっちの彼が美しい一人の少女と出会う……ほろ苦い衝動が初めてロコを突き動かす! 泣ける表題作他を収めた充実の短編集。
  • 事件カメラマン天羽眞理子 慈しむ男
    4.0
    東京タワーが爆破された。しかしそれは惨劇の序章に過ぎなかった。つづく通り魔殺人、自爆事件、そして前代未聞の虐殺計画の裏には、たったひとりの「男」の姿が……。カメラマン天羽眞理子、最初の事件! ※本書は、第一回ゴールデン・エレファント賞 大賞受賞作品。二〇一一年七月、エイ出版より刊行された単行本『慈しむ男』を加筆修正および改題の上、文庫化したものが底本です。 ※「エイ出版」の「えい」は、正式には、「木」偏に「世」の表記です。
  • 新訳 フランケンシュタイン
    4.0
    若く才能あふれる科学者、フランケンシュタイン。死者を甦らせることに情熱を注いだ結果、恐ろしい怪物が生み出されてしまう。愛する者を怪物から守ろうとする科学者の苦悩と正義を描いた、ゴシックロマン。
  • 三百年の謎匣
    4.0
    名探偵・森江春策のもとを訪れ遺言状の作成を依頼した老人は、帰りに密室状態の路地で殺害された。老人から森江に託された大型の書物、それは世界に1冊しかないという奇書だった――博覧強記の連鎖ミステリ
  • 会いたい
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 恋をした一瞬の気持ちを北川悦吏子が言葉に、“言葉”の気持ちをMAYAMAXXが”絵”に瞬間保存した「恋」の詩集。賞味期限はあなた自身の恋する気持ちです。 ※単行本『やさしいあなた』『すぐ泣く君』(二〇〇三年七月、小学館刊)に加筆、訂正を加え文庫化したものが底本になります。
  • 十津川警部 神話の里殺人事件
    4.0
    N銀行の元監査役が「神話の里で人を殺した」と遺書を残して自殺した。捜査を開始した十津川警部は、遺書に書かれた事件を追うことに……。日本各地にある神話の里は判明するのか。十津川シリーズ長編。
  • 愛すべき女たち
    4.0
    35歳の本郷薫。会社でも重要なポストを与えられ、充実した日々を送っているが、結婚とは程追い生活を送っている。しかし、スポーツクラブで価値観が違う二人の女性と出会って……珠玉のラブストーリー。
  • 星のふる里
    4.0
    夫・浩一が失踪した。安定した日常に身を任せつつも「夫に女がいるのではないか」と疑いはじめた矢先の出来事だった。事故か、計画的な蒸発か? 妻・耀子がわずかな痕跡を追うと、愛人・眉村理枝の存在にたどりつく。愛人の存在にショックをうける耀子だったが、女同士の奇妙な連帯感が生まれ、浩一を探して理枝はギリシア、トルコへと飛んだ。女性心理の機微と夫婦関係の脆さを赤裸々に描き、ミステリー・ロマンの新しい方向を示した意欲作。
  • 虹への旅券
    4.0
    失恋の痛手を癒すため、商事会社のOL・穂積裕希子はヨーロッパ周遊ツアーに参加する。イスタンブール、アテネ、ローマへ旅を楽しむが、機中での洋酒びんの落下、トプカピ宮殿での落石事故など、裕希子の回りで不可解な出来事が頻発する。同じころ、東京で起きた殺人事件の容疑者として裕希子の名が浮かび、警察は彼女の行方を追っていて!? 森村誠一が贈る、旅×サスペンスの傑作推理!
  • 超高層ホテル殺人事件
    4.0
    地上62階の高層ホテル壁面に、巨大な光の十字架が浮かび上がる。それは、翌日・クリスマスイブのオープン控えたホテルの、華やかなセレモニーの仕掛けだった。そんな最中、何者かが突き落とされたかのように落下した。転落したのはホテルの総支配人。彼の死は不可解な連続殺人の幕開けとなった――。密室とアリバイで組み立てられた、社会派推理小説の傑作!!
  • 異型の白昼
    4.0
    十数年ぶりに幼馴染みと出会い、愛欲の炎が再燃した瑛子は、資産家だが性倒錯者の夫に殺意を抱き始めた。以前、米国で護身用に入手したコルト・ガバメントが、悪意の実現者として鈍く光り始めた。が、瑛子がコインロッカーに預けた凶器は、ふとした偶然で他人に渡ってしまう。狂暴な殺傷力を秘めた拳銃は、それを手にした人間の殺意と憎悪に微妙な変化をもたらしていく……。
  • 不幸な恋の終わらせかた
    4.0
    「カラダの、つきあい」略して「K2」を重ねてしまうあたしは、なぜ不幸な恋からぬけだせないのだろう? 本当の恋をもとめるすべての人に贈る、究極の恋愛小説!
  • リリイ・シュシュのすべて
    4.0
    雄一は、中学一年の夏休み後、仲のよかった同級生から突然イジメの標的にされる。彼は、心の痛みをカリスマ的な存在である歌姫“リリイ・シュシュ”の世界で癒そうとする。そこだけが、自分の居場所であるかのように……。イジメ、万引き、援助交際……閉塞感に押しつぶされそうな日常と、そこから逃避してリリイ・シュシュのファンサイトに没頭する非日常の間で生きる十四歳。青春のダークサイドをリアルに描き出し、話題を呼んだ映画作品のもとになった、ネット連載小説の文庫化。
  • 切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人
    4.0
    東京都内の公園で臓器をすべてくり抜かれた若い女性の死体が発見された。やがてテレビ局に“ジャック”と名乗る犯人から声明文が送りつけられる。その直後、今度は川越で会社帰りのOLが同じ手口で殺害された。被害者2人に接点は見当たらない。怨恨か、無差別殺人か。捜査一課のエース犬養刑事が捜査を進めると、被害者の共通点としてある人物の名前が浮上した――。ジャックと警察の息もつかせぬ熾烈な攻防がはじまる! ※本書は二〇一三年四月に小社より刊行された単行本『切り裂きジャックの告白』を改題し、文庫化したものが底本です。
  • バンド・クエスト1 メンバーを捜せ!
    4.0
    「こーんなはずじゃなかったのに」16歳の熱血少女サクコは、まるでやる気のないブラスバンド部の空気にすっかり嫌気がさしていた。「イヤだったら、やめりゃーいいのよ」という親友ツーニーの言葉にも、一途なサクコは「中途半端じゃヤダ」と、悩みは深くなるばかり。だがそんなある晩、サクコはたまたま見たTV番組「ナイスなバンド天国」(ナス天)で、三人組の女の子ロックバンドに衝撃を受ける。音楽=クラシックという図式が確立していたサクコにとって、それは運命の出会いだった! そして翌朝、サクコはツーニーを電話で叩き起こす。「バンド作らない!?」ロックのロの字も知らない女の子のバンド大作戦が、こうしてスタートした……。深沢美潮が描く、リアルでキュートなガールズバンドストーリー、待望の電子化!
  • ラヴレター
    4.0
    雪山で死んだフィアンセ・樹の三回忌に博子は、彼が中学時代に住んでいた小樽に手紙を出す。天国の彼から? 今は国道になっているはずのその住所から返事がきたことから、奇妙な文通がはじまった。監督・脚本をこなした著者が同名映画の小説版を書き下ろし。
  • 12皿の特別料理
    4.0
    インドに出張中、交通事故に遭い、現地で入院してしまった夫が食べたがる「おにぎり」。おコメに梅干にノリ。海外ではなかなかそろわない食材を探し歩いて妻が作ったおにぎりは……。忘れられない思い出が詰まった料理が誰にも一つはあるはず。別れた夫と新婚のころ食べた鱈のプロバンス風、左遷された会社員がストレス発散に作ったそば、夫の浮気に気づいた妻が作る八宝菜。楽しい思い出、苦い記憶、そんな泣き笑いをたっぷり詰め込んだ12品の料理小説集。温かいうちに召し上がれ。
  • 夜の海に瞑れ
    4.0
    癌に冒された老ヤクザを故郷の淡路島まで運べ。舞いこんだ依頼はたやすいはずだった。だが、謎の追手の襲撃によって、老人と親友が拉致される。しかも、その老人は、五十年以上前にシベリアの捕虜収容所で、凍土に葬られたはずの男だった。組織を裏切った老ヤクザの本当の狙いは何か。殺し屋、ロシアンマフィア、そして日本の闇権力の陰謀と裏切りが交錯しあう中で、探偵碇田が執念の追跡の果てに見たものは……? 過去の傷痕に引きずられ、闇に蠢く男たちの吐息。信義なき世界でぎりぎりの誇りを全うする孤独な闘いを、壮大なスケールで描き切る、冒険小説!
  • 木更津キャッツアイ
    4.0
    高校は卒業したけれど、家を継いだような継がないような、それでいて、野球は続けている5人の仲間達。余命1年と告知されたぶっさんを中心に、心にストライクな木更津物語。
  • その後の世界最強の商人
    4.0
    ハフィッドは講演旅行でローマを訪れ、巻物を譲った青年パウロが理不尽に捕らえられていることを知る。処刑された彼の遺志を継ぎ、ハフィッドは残りの人生をかけた、ある壮大な計画を思いつく。感動の名著!
  • 落差 上 新装版
    4.0
    1~2巻770~858円 (税込)
    日本史教科書編纂の分野で名を馳せる島地章吾助教授は、学生時代の友人の妻などに浮気心を働かせていた。教科書出版社の思惑にうまく乗り、島地は自分の欲望のまま人生を謳歌していたのだが……社会派長編。 ※本書は昭和四十一年一月十日初版の角川文庫を分冊、改版したものが底本です。
  • 偏狂者の系譜
    4.0
    昭和30年代短編集(3)。学問に打ち込み業績をあげながら、社会的評価を得られない研究者たちの情熱と怨念。「笛壺」「皿倉学説」「粗い網版」「陸行水行」の計4編。「粗い網版」は初文庫化。 ※本書は、昭和30~40年代作品群から、研究者たちの孤独をテーマに4作品を選び、新たなタイトルを付けたオリジナル文庫が底本です。
  • この闇と光
    4.0
    森の奥深く囚われた盲目の王女・レイア。父王からの優しく甘やかな愛と光に満ちた鳥籠の世界は、レイアが成長したある日終わりを迎える。そこで目にした驚愕の真実とは……。耽美と幻想に彩られた美しき謎解き!
  • されど愚か者は行く 道場 I
    4.0
    1~2巻792~836円 (税込)
    会社をリストラされ、空手道場を預かることになった藤堂は、お人好しだが空手の腕はなかなかのもの。潰れかけの道場を立て直そうと奮闘するが、ひと癖ある入門希望者たちが次々と難題を持ち込んできて!? ※本書は、二〇〇七年に文春文庫として刊行された『Dojo―道場』を加筆修正の上、改題しました。
  • 恋愛びより
    4.0
    門限は8時。当然、女友だちとの外泊も禁止。何人かのボーイフレンドもいたものの、親の言い付けをひたすら守ってきた女子大生の妃佐。就職活動をしようとしても、働くことを許されず、両親に結婚を押し付けられた彼女は、遅い反抗を始めるが……(「窓から髪を垂らしておくれ」より)。愛の切なさを知るたびに、少女から魅力的な女へと成長していく女性たちを描いた三篇の恋愛物語集。
  • 霊名 イザヤ
    4.0
    新進の童話作家で幼稚園経営者の深沢将人は、開かずの金庫から奇妙な文書を発見する。調べてみると、それは中世キリスト教の異端カタリ派の聖典『イザヤ昇天録』であり、そこには亡き母の手による書き込みがあった。「イザヤにとって、マナセを殺すことは、絶対に避けることのできない運命だ。お前は必ず、ここへ来ることになっている」正体不明の発作に加え、新任の保母・小津江真奈世のオカルトめいた言動に悩まされていた将人は自らの洗礼名イザヤとの符号に愕然とし、精神的に追いつめられていく……。衝撃のオカルティック長編ミステリ!
  • 四人家族
    4.0
    二十年も専業主婦だった妻靖子が、突然、仕事をしたいと言い出した。しかも就職先は京都・山科のデザインルーム。「私、波風を立てたいの、この家に」そう言い残して、妻は軽やかに単身赴任をした。残された夫の信之、娘の友紀、高校生の息子・徹也は混乱し、やがて初めてお互いに向き合い始めるが――。空気のようだった家庭に生じた大きな波紋が四人の家族を急速に変化させていく。東京と京都を行き交いつつ、危うくも力強い家族の絆を育んでいく感動作!
  • 花のもとにて
    4.0
    ひそかに憧れていた先輩・大沢を追って、同じ心理学の大学院に入学した響子。そこには、彼の恋人・亜々子がいた。響子は、快楽的で奔放な亜々子に反発しながらも、だんだんと惹かれていく。しかし、亜々子は、やさしい仮面をかぶったエゴイストの大沢に振り回され、傷つけられても全身でそれを受け止めていた。なすすべもなく、二人をただ見守ることしかできない響子。そして大沢が、新しい恋を見つけたときから、三人の心の均衡は、少しづつ崩れ始めた……。激しく切ない愛の物語。
  • 雨は見ている 川は知ってる
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ずっとずっとひとつの思いに沈みこんでその中でさまよっていると今がいつでここがどこなのかは大事でなくなる そんなふうにふだんの時間もすごせたらいいのに
  • ブラディ・マリーは甘くない
    4.0
    私の大親友・葉子とその妹の真紀子がハワイにやってきた。葉子は私のボディ・ボード仲間、バイトでお金を貯めてはハワイを訪れ、プロのボディ・ボーダーを目指している。一方、真紀子は全身をブランドもので固めた短大生。あちこちでナンパされているが、お金のない男とはつき合わない主義らしい。姉妹とはいえ対照的な二人がハワイで出会った恋は、思いもよらぬ意外な展開に…。 しっかりとしたプライドがなければ、いい恋愛には出会えない。ブラディ・マリー・シリーズ第5弾!
  • 朝までブラディ・マリー
    4.0
    麻里が作るブラディ・マリーには、「勇気」がカクテルされてるの。麻里がバーテンダー兼探偵として勤めるワイキキのホテルに、トップスターのミュージシャン、絵未が訪れた。誰もが憧れるその生活に彼女は疑問をもち始めていた。私の夢ってなんだったんだろう? 今の私は本当の自分を生きているのかしら。ハワイの名物“天気雨”とウクレレの響きが、絵未の渇いた心にしみわたっていく……。見失った「自分」を麻里と探すアバンチュール・ヴァケーションが始まった!! ブラディ・マリー・シリーズ第4弾!!
  • 文鳥・夢十夜・永日小品
    4.0
    エゴイズムに苦しむ近代的人間の運命を追求してやまなかった漱石が時として見せた滋味豊かな一面をのぞかせる美しくも香り高い珠玉の短篇。メルヘンと呼ぶべきか、夢幻と名づくべきか、読者を一つの世界にいざなってやまない。漱石を愛する人々の忘れてはならない貴重な人間像。「京に着ける夕」「倫敦消息(1)(2)」「自転車日記」も収録。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
  • わしらは怪しい探険隊
    4.0
    1巻462円 (税込)
    おれわあいくぞう ドバドバだぞお……潮騒うずまく伊良湖の沖に、やって来ました「東日本なんでもケトばす会」ご一行。ドタバタ、ハチャメチャ、珍騒動の連日連夜。男だけのおもしろ世界。
  • 一房の葡萄
    4.0
    有島武郎の童話はここに収められた8篇がすべてである。男手一つで愛児を育てあげる苦労を味わいつつ、すでに学齢期に達した3人の子供に、精神の糧を与えたいという父性愛的願望から書かれたものである。「おぼれかけた兄弟」「碁石を飲んだ八っちゃん」「ぼくの帽子のお話」「かたわ者」「火事とポチ」「真夏の夢」「燕と王子」を収録。
  • 彼岸過迄
    4.0
    「行人」「こゝろ」とつづく後期三部作の序曲。このあたりからの作品は漱石自身の問題に密着してくる。人間ゆえのエゴイズムの悲劇は、自意識をもてあます須永と千代子に……。1912年の作品。
  • 海の斜光
    4.0
    轢き逃げで息子を失い、妻にも先立たれた作家の成田は、佐賀へ傷心を癒す旅に出た。旅先で知り合った女性と心を通わせる成田だったが、数日後、唐津の名勝・七ツ釜で女性が水死体となって発見され!?
  • 精神分析殺人事件
    4.0
    「また宿題をやってこなかったのね!」若い女教師中原みどりは、クラスの中でいつも一人だけ反抗的なその少年の頬を激しく打った。だが少年はたじろぐどころか、逆に燃えるようなまなざしで彼女を見返した。数日後、郊外の桑畑でみどりの死体が発見された。捜査線上に例の少年が浮かび、彼の部屋から血のついた小刀が発見された。さらに、ミドリ色の昆虫に限って切りきざむ少年の奇癖が明るみに出たのである……。犯罪者の深層心理を鋭く抉る異色の短編集。表題作ほか四編を収録。
  • 科学的管理法殺人事件
    4.0
    人間は機械の歯車と見なされ、ただの働きバチにすぎない「科学的管理法」。社員の不満は充満し、爆発寸前だった。その矢先、部下の反発を買っていた猛烈課長が殺された! 犯人は、被害者が事件当夜いっしょに過した女の夫で、血まみれの登山ナイフを握り茫然自失のところを緊急逮捕。だが、現場の状況が、刑事に不審を抱かせた。そして、綿密な捜査により浮かび上がった意外な事実とは……。表題作のほか、公害殺人事件/殺意の架橋/虫の息/電話魔/虚無の標的を収録した短編集。
  • エンドレス・サマー
    4.0
    この本は“タッチ・オブ・グローリー”というタイトルで連載した文章が中心となっている。訳し方が難しい。あの男が、栄光をつかもうとしている。今まさに、勝利に手をかけようとしている。とでも訳せばいいのだろうか。だが、どんな人間にとっても栄光は一瞬のものでしかない。栄光をつかんだと思った瞬間には、それはもはや過去のものとなってしまうからだ。それゆえ、心ある人たちはもがき続けることになる。この本ではそうした輝き続けようとする男達の物語を書いてみた。山際淳司
  • 神田川デイズ
    4.0
    世界は自分のために回ってるんじゃない、ことが、じんわりと身に滲みてきた大学時代……それでも、あたしたちは生きてゆく。凹み、泣き、ときに笑い、うっかり恋したりしながら。
  • 黄金仮面
    4.0
    怪物は彼女のふくよかな胸をねらって、短剣をふりかぶった。もがきにもがく手が、近々とのしかかる怪物の顔を、はっしと打ったその瞬間、ポロリと落ちた黄金仮面! 怪物はアッと叫んで、す早く仮面を被りなおしたが、その正体はまざまざと……。ゾッとするほど無表情な金属性の顔、シューシューという妙な笑い声、めくれ上がった三日月型の唇からしたたり落ちる血。古美術、国宝ばかりを狙う怪盗に名探偵明智小五郎の鋭い挑戦! 黄金仮面/何者/D坂の殺人事件/心理試験/を収録。
  • 丸の内殺人物語
    4.0
    ◎部下と帰宅途中、飲酒運転の人身事故を起こしてしまった! ◎単身赴任先で浮気をしていたら、突然妻がやってきた! ◎やりすぎの領収書ゴマカシがついに経理の女の子にバレた! ◎トイレで専務と並んで用足し。どんな挨拶をしたらいいのか! サラリーマンなら誰でも体験しそうなピンチの数々。うまく脱出をはからねば、破滅があなたを待っている……。身につまされる笑いのあとに、背筋も凍る恐怖。読み出したら止まらない興奮の短編5連発!(『それは経費で落とそう』改題)
  • 旅路(上)
    値引きあり
    4.0
    1~3巻275円 (税込)
    北海道の鉄道を舞台に、大戦をはさんだ激動の時代を力強く生きる人々を描く、愛と感動のドラマ。大正14年11月の朝、室伏雄一郎は、父と母の二つの骨壺を持って函館本線の乗客になった。父嘉一が死んだのは10年前、雄一郎が10歳のときだった。嘉一は故郷の須賀利を出て死ぬまで25年間、一度も故郷に帰らなかった。5年前に胃潰瘍で死んだ母も同様だった。雄一郎は無給の駅員見習のちにやっと本雇になり、今、故郷の南紀州の墓に両親の骨を納めるために旅立つのであった。
  • 死の逆転─京都が危ない
    4.0
    浪速の司法書士・石丸伸太(ブーやん)に亡父の戦友からの手紙が届いた。地上げ屋の度重なる横暴に苦しんでいるという。人情厚いブーやんは早速、背高ノッポの妹・由佳と京都へ向かう。ところが、二人を待ち受けていたのは突然の依頼撤回だった……。手のひらを返すような仕打ちの意図も解らぬまま、更に驚くべき事件が起こる。今度は、地上げに反対する女性が死体で発見されたのだ! 苦慮の末の自殺か? それとも――。乱開発続く京都を舞台に、凸凹コンビが活躍する社会派推理。
  • 恋しても
    4.0
    生きてる間にした事はダイエットだけ、男と食べ物に未練を残して死んだ、亜由子。彼女の部屋に越してきた、浮気なくせに一途な男、正道。二人のおかしな共同生活のなか、お調子者の正道は、どう間違ったのか、超堅物の慶子に惚れなおし、彼女ために女断ち。ところが亜由子が、そうはさせじと世話女房ぶりを発揮して、正道の生活は大混乱。――そんな亜由子が初めて知ったのは、愛される事ではなく愛する事だった。おかしくて切なくて、少し悲しい、涙もこぼれる恋のトライアングル。
  • 京都の祭に人が死ぬ
    4.0
    都大路をねり歩く華麗な時代祭の行列。先頭の馬車に仕掛けられた爆弾によって市長が死亡、さらに再開した行列の中で静御前に扮した女性が青酸死した――。テレビ中継のゲストとして祭を見ていた推理作家矢村麻沙子は、馬車の入っていた倉庫の数字錠から事件の真相に迫ってゆく……。(時代祭に人が死ぬ) 歴史と伝統を誇る京都の祭を舞台に、トリック・メーカーの女王が贈る傑作推理短編集!
  • 待っている男
    4.0
    人は人生において、三回真剣に待つことがあるという。いつ来るか。いつ来るか――。男を待っている女がいる。女を待っている男がいる。大人の男女の微妙な駆け引きと打算。そこに、男と女の妖しい関係が見えてくる。不気味な恐怖とユーモア。阿刀田高が描く、男と女のこわ~いお話。
  • 花惑い
    4.0
    “――恋はいつから始まるのか――僕はいつもそのことを考えてしまう。”南十字星の下、出逢った一人の未亡人(おんな)。六本木のディスコで知り合った自由奔放なもう一人のおんな。光と影、陽と陰――対照的なおんなたちの間で揺れ動くおとこ。花火のように終っていく夏。その中で、静かに密やかに燃えていくおとことおんな。切ない心の機微を描いた、おとなの恋の物語。
  • 数えずの井戸
    4.0
    数えるから、足りなくなる――。暗く冷たい井戸の端で、「菊」は何を見たのか。それは、はなかくも美しい、もうひとつの「皿屋敷」。怪談となった江戸の「事件」を独自の解釈で語り直す、傑作怪談!
  • 明治十手架(上)
    4.0
    1~2巻550円 (税込)
    明治7年、時は文明開化真っ盛り。元八丁堀与力・原胤昭は、恩師有明捨兵衛が悲痛の死を遂げたことから長年勤めた石川大牢獄島を飛び出した。そして、有明の残した姉妹のもとに身を寄せる。この清麗可憐な姉妹に導かれ、粋な町奴は十手を片手に出獄人保護という徳行に乗り出した。だが、官服纏う物怪や凶悪無残な悪党どもが行く手を阻む。嗚呼、正義は地に堕ちたのか? 不思議な縁によって数奇な運命を全うした明治の傑人を描く、大伝奇小説。
  • 覘き小平次
    4.0
    幽霊役者の木幡小平次、女房お塚、そして二人の周りでうごめく者たちの、愛憎、欲望、悲嘆、執着……人間たちの哀しい愛の華が咲き誇る、これぞ文芸の極み。第16回山本周五郎賞受賞作!!
  • 湖底のまつり
    4.0
    渓流の平らな岩に座り、紀子は足を伸ばした。その時、突然、彼女は川が大きくふくらむのを感じ、次の瞬間には濁流に呑み込まれていた……。傷心を癒すため旅に出た香島紀子は、旅先の峡谷で増水に遭い、危ういところを土地の若者に助けられた。その夜、彼女は村はずれのあばら家で、男と一夜を共にした。だが翌朝、なぜか男が消えている。探しに出た彼女は、村人から、男が一月前に毒殺されていたと聞いて愕然とした! 本格推理の構成の中で、幻想美を追求したミステリー・ロマン。
  • 大都会
    4.0
    場内が一瞬、静まりかえった。いよいよ新型カラーテレビの公開実験だ。スイッチが押された! だが、画面にうつし出された映像は意外にも……。大混乱に陥った会場で茫然と立ちすくむ主任技師渋谷夏雄。日本のエジソンと呼ばれ、弱電業界で一人脚光を浴びる新進の技師だ。彼の技術がもたらす膨大な利権をめぐり、大企業のどす黒い陰謀が渦巻く。社会の現実と友情の板ばさみに苦しみながらも、信念をつらぬく三人の若者を描いた、著者会心の長編傑作。
  • 鳥取雛送り殺人事件
    4.0
    新宿歌舞伎町で起きた殺人事件の第一発見者となった浅見光彦。遺留品の藁細工に着目し、被害者が雛人形作家だと知る。ところがその直後、今度は若い刑事が鳥取で行方不明に。浅見は謎の迷宮から抜け出せるか。
  • 崇徳伝説殺人事件
    4.0
    崇徳上皇を取材していた浅見光彦は京都の崇道神社で見知らぬ女性からフィルムを託される。一方、特別養護老人ホームで次々に不審な事件が起きる……。現代に蘇る「崇徳上皇伝説」の祟りなのか!?
  • 皇女の霊柩
    4.0
    東京品川の閑静な住宅街で殺害された木曾妻籠出身の女性。事件を追って木曾路へ向かった浅見光彦は、同じ木曾路の馬籠で、ほぼ日を同じくして東京の女性が殺されていた事実に驚く。歴史ミステリ。
  • 天城峠殺人事件
    4.0
    天城峠付近で発見された、千社札を持って寺社巡りをしていた男の死体。そして人気アイドルの心中事件。無関係とも思える二つの事件に遭遇した浅見は、意外な接点に気づき、巧妙なトリックに迫っていく!
  • わたしの恋人
    4.0
    保健室で出遭った女の子のくしゃみに、どきんと衝撃が走った。高校一年の龍樹は、父母の不仲に悩むせつなと付き合い始めるが--。かたくなな心が次第に自由を取り戻すまでを、爽やかなタッチで描く!
  • 約束の森
    4.0
    警視庁公安部の刑事だった奥野侑也は、殺人事件で妻を亡くし退職を決めた。孤独に暮らしていた侑也に、かつての上司を通じて潜入捜査の依頼が入る。北の果てに建つモウテルの管理人を務め、見知らぬ人物と暮らしながら疑似家族を演じろという。侑也が現地に赴くと、そこにいたのは若い男女と傷ついた一匹の番犬だった。やがて闇に隠れた謎の組織の存在と警察当局の狙いが明らかになり、侑也は眠っていた牙を再び甦らせる――。
  • 翼に息吹を
    4.0
    1945年知覧特攻基地。死地に赴く若き特攻隊員の戦闘機をひたむきに整備する担当将校がいた。ある日異常が発生したと万全のはずの一機が戻ってきて……。戦後世代だからこそ描き得た切実な戦争青春文学。
  • 地の果ての獄 上 山田風太郎ベストコレクション
    4.0
    明治19年、薩摩出身の有馬四郎助が看守として赴任した北海道・樺戸集治監は、12年以上の受刑者ばかりを集めた、まさに地の果ての獄だった。監獄で次々と起こる奇怪な事件に巻き込まれた四郎助が目にしたものとは
  • 8月のカモメたち
    4.0
    18歳の薊は、死んでしまった祖父の相続税を払うため、夕陽の当たる海辺のバー〈サンセット〉でアルバイトを始めた。過去を語らぬ店長の浩一に魅かれ、彼がかつての新鋭作家だと知った。……薊は初めての恋に落ちていた。人生への不安、胸の痛み、そして抱きしめてくれた腕の熱。彼の残した唯一の小説を探り、いつしか薊は小説家を目指す。人生で一番濃密で、一番短い夏が終わる。薊はその夏失った大切な命を描こうと誓った。小説に寄せる著者の切実な想いを込めた青春ロマン。
  • 閨房哲学
    4.0
    老若男女を問わず、放蕩者と呼ばれる者にのみ、この作品が捧げられる。この作品の教えによって、われわれの精神を養い、それにつれて情欲も生き生きとするだろう。情欲の源こそ、幸福にみちびいてくれる唯一のものなのだから。辛らつな対話体で、若い娘に快楽と悪徳の本質を説き、またサドの反社会性の哲学が最も攻撃的、論戦的な形で露呈された希有な著作である。
  • 異型の街角
    4.0
    物質文明が進み、人々の嗜好や欲望が多岐にわたっている現代では、昔では考えられなかったようなことが職業として成立している。人探し屋、有線放送のなんでも屋、スーパーの苦情処理係、高層ビルのガラス拭き屋。人生の裏面を垣間みた彼等が偶然手に入れた一挺の拳銃。ある者には幸福の女神となり、ある者には地獄の使者となる“コルト45”は誰を狙おうとしているのか!? 社会の表面には出ない変わった職業を通して、人生の断面を描く異色長編推理。
  • 盲目のピアニスト
    4.0
    ある日突然失明した、天才ピアニストとして期待される輝美の周りで次々と人が殺される。気配と音だけが彼女の疑惑を深め、やがて恐ろしい真相が……人の虚実を鮮やかに描き出す出色の短編集。
  • 「萩原朔太郎」の亡霊
    4.0
    萩原朔太郎の詩さながらに演出された、オブジェのような異様な死体。元刑事・須貝国雄と警視庁で名探偵の異名をとる岡部警部が、執念で事件の謎を解き明かす!
  • 三州吉良殺人事件
    4.0
    浅見光彦は、母雪江の三州への旅のお供を命じられた。道中〈殉国の七士の墓〉に立ち寄った時に出会った愛国老人が蒲郡の海岸で発見される。誰がどこで殺したのか? 嫌疑をかけられた浅見母子が活躍する異色作。
  • 恐山殺人事件
    4.0
    博之は北から来る何かによって殺される……恐山のイタコである祖母サキの予言通り、東京のマンションで変死体で発見された。真相究明の依頼を受けた浅見光彦は呼び寄せられるように北への旅に出る。
  • 王将たちの謝肉祭
    4.0
    美少女棋士、今井香子は新幹線の中で、見知らぬ男から一通の封書を預かった。その男が死体となって発見され、香子も何者かに襲われた。そして第二の殺人が起こる。感動を呼ぶ異色サスペンス。
  • 亜愛一郎の転倒
    4.0
    集中豪雨がもたらした土砂崩れで、列車は駅と駅のド真中で完全にストップ。乗客たちは復旧を待つことにしたが、先を急ぐ三人の男たちは徒歩での山越えを決意した。またたく間に道に迷い途方にくれる一行。その時、幸いにも遠くに人家の灯がポツンと見えた。一夜の宿を借りたのはよかったが、これが災難の始まり。前の晩、たしかにあった家が、翌朝には跡形もなく消え失せていた。この地方の伝説通りの怪事件が勃発した! 名探偵亜愛一郎が活躍する傑作事件簿第二弾!
  • わがふるさとは黄泉の国
    4.0
    1巻396円 (税込)
    ある時、商社マン室谷は知り合いのデザイナー久子が“自殺村”と称される奇妙な村の出身である事を知らされた。人づき合いが苦手で、古代史やら民俗学の本を読みふける彼は、その村が、古事記に由来する事に気づく。村人は先祖代々、自ら死に急ぎ、現在死に絶えていた。村は死者の国である黄泉の国と地形的につながり、彼の血筋もまた村人の秘密につながっていた……。奇想天外なストーリーの展開を示す表題作他、多元宇宙テーマの「二都物語」等を収めた半村良の傑作短篇集。 カバーイラスト/杉本一文
  • 闇の中の黄金
    4.0
    1巻440円 (税込)
    邪馬台国を取材中、親友の自殺を知らされた津野田は、その原因を探るべく調査を開始した。そして死の直前、彼もまた邪馬台国のありかを追って、国東半島を訪れていたのを知った。国東に向かった津野田は、そこで見た世界の金市場を牛耳る黄金商人の集まりで、日本歴史に隠された重大な秘密に気づいた。邪馬台国の秘密につながる莫大な黄金の夢を取り巻く人々と、背後に暗躍する“嘘部”一族。古代より、日本歴史を陰から動かす謎の一族嘘部の活動を雄大な構想で描くシリーズ第2弾。 カバーイラスト/杉本一文
  • 聖母伝説
    4.0
    1巻440円 (税込)
    私がバーでマネージャーをしていたある日、突然チンピラが乱入し店内で発砲した。撃たれたのは幼なじみの谷口怜悧男。しかし彼は、重傷を負ったものの、超人的な回復力をみせたのだった。以前から、怜悧男にはどこか得体の知れないところがあったのだが……。怜悧男が背負う驚くべき出生の秘密が明らかにされていく――。不思議な男とのかかわりを半自叙伝風に綴る、伝奇ロマンの秀作! カバーイラスト/杉本一文
  • 致死家庭
    4.0
    少年時代、虫でも殺すように幼女を川に突き落とし、溺死させた波多野と的場。共に社会人となった二人の共犯者が三十数年後、偶然街で出合った。互いに近況を語り合ううちに、的場がとてつもないことを告白した。時折、無性に人を殺したくなるというのだ。波多野は、家族も本人も死を望んでいる末期癌患者を教えてやった。的場は自殺に偽装し、その患者を殺した。やがて波多野は、限度を超えて家庭内暴力を振るう息子正介を的場の標的に供したのだが……。異色の社会派長編推理。
  • 黄昏ゆく街で
    4.0
    1巻528円 (税込)
    〈別れがあまりにも残酷なことならば、許すということはあまりにも切ないものだ。(中略)黄昏はそんな人間の心を影絵のように彩って、まるで叶えられなかったすべてをもとの場所へと連れ戻してくれそうだ――本文より〉真実の愛を求めるがゆえに、孤独な迷路をさまよう青年のやさしさと苦悩を描いた、未完の長編ラヴ・ストーリー。
  • SPEAK EASYの魚たち
    4.0
    大都会の片隅にある、ほんとのモグリ(ダイバー)たちが集まる安酒場。ここで働いている私が耳にした愉快な常連モグリたちの、とっておきの物語。少し回ってきたついでに話しちゃいます――、ボラ目〈ノブオ〉必死の純愛ダイビング・プロポーズ。見てくれも本人の話もどうも女タラシッぽい滑止大学〈タラ〉の真面目な“イントラ殺し”。誰よりもやさしい〈KIN坊〉の南の海でのラブストーリー――ああ、話をしていたら、私、楽しくなっちゃってますます回ってきたみたい。
  • 少し酔って
    4.0
    1巻506円 (税込)
    ホテル・ルームで、バーで、レストランで、二人がグラスを合わせる時、物語(ラブ・ストーリー)の幕が上がる。あるいは、物語の幕が下りる。ブランデーで、バーボンで、カンパリで、少し酔っている。男も女もグラスを武器にする。ハッピー・エンドでもない、悲しい結末でもない、贅沢で粋な10篇。
  • 新釈雨月物語
    4.0
    1巻528円 (税込)
    巨匠石川淳が、奔放な想像力と流麗な文体を駆使し、この上田秋成の『雨月物語』を現代に蘇らせる
  • 終りの美学
    4.0
    1巻462円 (税込)
    夏が、終ろうとしていた。――デビュー作『情事』を、この書き出しではじめた著者は、様々な“終り”のなかに、男と女、人間のドラマを見いだし、創作へと駆り立てられつづけた作家でもあった。愛する家族のこと、気のおけない友と過ごした時間、創作への情熱、新鮮な驚きと刺激を与えてくれた旅の話…。人生の様々な“終り”のなかで、寂寥感とともに、作家の胸に去来する人、言葉、風景――。惜しまれつつ急逝した著者の、エピローグを飾る名エッセー集。
  • 亜愛一郎の狼狽
    4.0
    人けのない宮前空港で、折からの驟雨にずぶ濡れになって、約二時間も佇んでいる中年男がいた。宮前署の羽田刑事だ。彼はまもなく到着予定の旅客機を待っていた。この機の離陸直前、何者かが爆破を予告したのだ。ふと目を転じた羽田は、写真機のそばを動き回る三人の男に気がついた。中でも、長身の美青年の奇妙な動きが……。隙のない服装と端麗な顔立ち、だが、その挙動は常におどおどして落ち着きがない。ユニークな名探偵亜愛一郎が次々と難事件に挑戦する傑作事件簿!

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