小説・文芸の高評価レビュー
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若者の全能感、思い上がり、浅慮さを叩きのめしてくる良いビターな青春ミステリーだった。
上記は米澤穂信によくあるテーマであるけれど、推理をしたところで手遅れだろう?と突きつけてくるのは今までになかった(気がする)ので新鮮で楽しい。
日常という舞台は人物の人格や思惑の輪郭をぼやけさせる効果があると思う。
守屋の万智、マーヤ、そして自分自身の内面に対する不理解が読者を突き放すような冷たさであと味が悪い。
しかしあと味の悪さだけで終わらないのが本作の素晴らしいところであり、解説を含めた解釈になってしまうが守屋はいつか憧れたマーヤの場所まで届くのだろうと思わせてくれるラストなのが良かった。
米澤穂 -
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ネタバレ最後の方泣けました(T ^ T)
たまが倒れ、病院に運ばれました。
社長さんが現れた時は、震える足で頑張って
立ち上がりました。
「抱っこして、社長さん」と言いましたが、
社長さんは断りました。
初めて社長さんと会った時、
「10周年を迎えたら祝おう。」そう約束していた
はずなのに…
その夢は叶わなかった。
たまは亡くなり、幽霊となり、
故郷の貴志駅に帰ります。
そこではたまのお葬式が開かれていました。
「たまは、神様になり、この貴志駅を
支えてくれるでしょう。」
そして、たまの神社までも建てられました。
たまは、今も、貴志駅を支えているでしょう。
たまのおかげで、貧乏電車を救うことができまし -
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あまり落語に詳しくない人でも立川談志さんの
名前は知っていると思います。
今はその弟子たちが、談志さんの遺伝子を受け
継いでいます。
その弟子の一人である、立川志らく氏が談志師匠
に弟子入りしてから現在までの日々を綴った
エッセイが本書です。
理不尽な要求を弟子たちに対して突きつけることで
有名だった談志師匠ではありましたが、その本意は
「オレに気を遣わせるな。オマエがオレを快適にする
ことを考えろ。オレひとりを快適にすることができ
ないで、お客様を快適に出来るのか?」という言葉
に凝縮されています。
落語は現在でも人気のエンターテイメントでは
ありますが、談志師匠が存在していなかった -
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大好きだったマカン・マランシリーズ、四作で完結して寂しかったけれど、番外編が出たとのことで読みました。シャール姐さん!!より魅力を増して、優しく温かい。舞台が台湾なのもいい…
大体シリーズものの登場人物を忘れてしまいがちなのですが、このシリーズは登場人物の物語が良かったからか、その人のエピソードをすぐ思い出せた。
それだけ好きだったシリーズ。一見うらやましく思えるあの人も心の中にはいろいろかかえていて。というのがよく伝わってくる。シャールさんと話したり、おいしいお夜食を食べる中で、自分自身の道を見つけていく。
とくにエピローグがよく、山を楽しんで下っていくこと。幸せを限定(結婚したら幸せなど) -
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本書は読者を選ぶ本である。山本芳久氏の解説で興味を持った読者もいることと思うが、哲学史で語られるような概要やトマス哲学の体系を学ぼうとする人にとっては期待外れの一冊となってしまうかもしれない。しかし、その山本芳久氏の解説にも詳しく述べられているように、生涯にわたってトマスを突き動かした確信が如何なるものであったのかをこれ以上にない仕方で表す稀有なトマス入門である。
評者は原著をすでに読んで感動していた。ヴィクトリア王朝の英語を代表するチェスタトンだけに印象的な言葉の数々が心に刺さってくる感覚を幾度も覚えた。それに比してしまうと、もうちょっと訳し方があるのではないかと思ったのが読み始めたとき