ブックライブの高評価レビュー

小説・文芸の高評価レビュー

  • 殺し屋の出世術

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    前作『殺し屋の営業術』に続き
    今回も一気読みでした。

    営業や交渉術を「殺し屋」の世界で
    描く発想がユニークで
    騙し騙されの心理&頭脳戦に
    最後まで引き込まれました。

    営業やマーケティングの考え方が
    物語に自然と盛り込まれ
    「もしかしてビジネス書?」と
    思わず笑ってしまう場面も…

    エンターテインメント性たっぷりで
    本作も期待を裏切らない一冊でした。

    前作が好きな方はもちろん
    テンポのいいミステリーやどんでん返しが好きな方にも
    おすすめしたい作品です。

    ※NetGalleyを通じて、読ませていただきました。

    0
    2026年09月23日
  • 夜明けのはざま

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    近頃仕事や私生活があまり上手くいかず休職をしています。塞ぎ込む日々が続いていた時に久々にゆっくりとした時間があるなら本を読もうと思いSNSで調べたところこの作品が今の自分には良いのではないか?と思い救いを求めるように書店へ向かいこの作品を手に取りました。
    昔から母の影響でミステリやホラー小説ばかりを読んでいたのでこの手の小説は初めて読みました。
    作中には今の自分に刺さる言葉があちこちにありそれぞれの語り手達にとても感情移入しました。
    帯に書いてあるように間に合ったことと、間に合わなかったこと。大なり小なり人それぞれ必ずあると思う。それを悔やんで立ち止まったり責任を誰かに押し付けてみたりしたことがあると思う。
    しかし町田そのこ先生はその人間特有の「弱さ」を決して否定しない。悪いことじゃないんだよ。立ち上がり進むためなんだよ。と肯定してくる。
    今悩みがある人。過去の過ちや後悔によって前に踏み出せない人。きっとこの作品が小さな光となって自分の先を照らしてくれるとおもいます。

    0
    2026年09月23日
  • はじまりのスープ、夏ゼリー

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    主人公・中森リリーが作る料理を通して
    人と人との縁が繋がり、傷ついた心が
    解けていく物語です。

    登場する料理はどれも親しみやすく
    読んでいるうちに心も満たされました。

    特にリリーと大家さんとの軽快で
    ユーモラスな掛け合いが愛おしく
    クスッと笑えて心がほっこり温まりました。

    表紙そのままの爽やかな読後感で
    オレンジゼリーを再現してしまったほどです!

    「おいしいもの」を通して誰かと繋がりたい時や
    日常に少し疲れて癒やされたい時に
    ぜひ手に取ってほしい一冊です。

    ※NetGalleyを通じて読ませていただきました。

    0
    2026年09月23日
  • PRIZEープライズー

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    ネタバレ

    冒頭、中華料理屋での反省会のシーンは、総務担当者としては、胃が捻じ切れそうだった。
    せっかく連休の初日に読み始めたのに、仕事のことを思い出さざるをえなかった笑


    「背水の陣」とは。
    新人作家が実は会社を辞めたと打ち明けるシーンはなかなか考えさせられた。
    30半ばになると、20代とは違って、収入、衣食住が足りて初めて自分の好きなことができるという考えになった。


    校正担当者の指摘に腹を立てるシーンが面白い。
    「獰猛な笑み」の「獰猛な」をとっては芸術の欠片もない。
    だけど、私の仕事では良くある。
    全然自分のこだわりにみんなが気づいてくれない。何もわかってないなコイツらはと思いながらも、めんどくさいから何も言わない。


    執着。独占欲。
    「この人いいな」って思う人のことを、いま1番深く知っているのは自分だって思いたい。
    私の場合は男女に拘らず、このモードになる時がある。
    このことに今まで気づけていなかったかもしれない。
    自分の弱さに気付いたかも。
    こういう気持ちは相手に伝わらないように、胸に秘めておいた方が良いのだろうなと。


    「それは、いくら〇〇さんでも、ちょっとお言葉が過ぎませんか」
    切れ味鋭いね、この台詞。
    目上に言えば痛快、逆に若い子に言われれば絶句するだろう。
    いざってときに使えるように練習しておこう。笑


    自分はおかしくなんかなってない。
    けれども周りは無理するな、休めって言ってくる。
    少し時間が経って振り返ると、なるほど確かに自分はおかしくなっていた、なんてことが人生で何度かあった。
    周りが言ってたことが正しかったと認めるのはこの上なく口惜しいが、結果これで良かったという。
    千紘が持ち直すのは並大抵ではないと思うが、私は応援したいと思う。


    読み終わった後に、それでこの本はどこから出てんのか?と思ってみたら、

    「文芸春秋」

    だった。やるやん。

    0
    2026年09月23日
  • 楽園

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    ネタバレ

    面白い。

    方舟、十戒に通づるものもあり、騙されないと思いつつ、結局騙された。

    夕木春央の本は読んでいて、リアルに手が震える。

    過激な描写を使わずに、悍ましいストーリー。

    それなのに、犯人に魅力を感じてしまう自分がいる。

    読後も楽園に囚われたままである。

    0
    2026年09月23日
  • ジウ The Next

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    えっ、えっ、えっ・・・・・・
    あれっ?あれっ?あれっ?・・・・・・
    おかしい、おかしい、変だなぁ〜
    ・・・・・
    最後に、お〜っ!
    と思ったら、ページが無かった・・・・・

    次を待つしかない・・・?
    ですね・・・・・

    0
    2026年09月23日
  • 私たちの世代は

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    瀬尾さんって、大人なのにどうしてこんなに子どもの心情に対する解像度が高いの?と思って調べてみたら元々学校の先生をされていたんですね。
    幼い子どもだけじゃなく、子どもを見まもる大人、子どもが大人になり、子ども時代を振り返ったときの感情描写を言語化がどれも秀逸。

    教員経験、それが全てじゃないというのは承知のうえで、瀬尾さんの教え子として国語の授業を受けてみたかったなと思う。

    0
    2026年09月23日
  • 獄門島 金田一耕助ファイル 3 アニメカバー版

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    ネタバレ

    (表紙が違うんですが多分中身は同じなのでこれで登録)

    市川崑監督をはじめとする映画はいくつか見ていて粗筋も犯人も知っているんだけど、金田一耕助(以下、耕ちゃん)ものは原作だとやっぱり良いので読んでいっている。
    今回はなんと言っても『本陣殺人事件』で探偵デビューした耕ちゃんが、その後戦争の真っ只中で「人生でいちばん大事な時期を空白で過ごし」たあとというのがなんかぐっと来ました。25、6歳だった耕ちゃんは30半ばのくしゃくしゃの頭に和装にソフト帽子の中年に。物語中盤で『本陣殺人事件』で親しくなった岡山県警磯川警部と再会してお互い感じ入る場面があるんですがこのあたりはやっぱり戦争中は考えることもなかった相手が無事で相変わらず活躍しているって知ったときの感慨は私たちが想像するより深いんだろうなあ。
    ※放送禁止用語が使われていますが重要な鍵のためそのまま記載しています。

    その金田一の耕ちゃんは瀬戸内海の小島「獄門島」に向かっている。表向きは戦友鬼頭千万太(以下チマタ)の戦死を伝えること。しかし彼には裏の目的があった。なんとしても生きて帰ることを望んでいたチマタが無念の病死に際しての遺言「俺が死んだら三人の妹たちが殺される…俺の代わりに獄門島に行ってくれ…おれの従兄弟が…」という願いを叶えるためだった。
    金田一耕助物語では親族関係がとても複雑に絡み合うのでまとめておく。
    まずは「網元」について。物語で網元の地元での強さ、漁師たちをまとめる力などは読んでいたんだけど、ここで説明されていたのを読んで納得でした。そりゃー強い。
    漁師には3階級ある。一番下は船も網も持っていない。農家で言えば小作人。
    次の階級は船も網も持っているけれども小規模なので、「自作農」みたいな感じ。
    それらに君臨するのが、船も網も漁業権も持っている網元。「大地主」にあたるんだけどそれより権力がある。網元は漁穫の全てを総取りして、漁師たちに日当を渡すという関係。漁師は網元からそれぞれの網、鯛網、壺網、鰯網…などなどの網をその場その場で借りなければいけない。そして「板子一枚下は地獄」の世界に生きる漁師たちを束ねるだけの肝っ玉が必要となる。改めてナルホド。
    ●鬼頭家(島随一の網元の本家。「本鬼頭」と呼ばれる)
    嘉右衛門(故人):「太閤」と呼ばれる程の権力を持っていた。死んだことにより獄門島の権力のバランスが崩れる。
    与三松:嘉右衛門の長男で本鬼頭の当主のはずなんだけど、「気ちがいさん」で座敷牢に入れられている。
    チマタ(故人):鬼頭家の跡取りだったが、戻れなかったことでどうなるか…。
    月代、雪枝、花子:チマタの三人の異母妹。知的障害者だろう。派手な振り袖に帯に髪飾りでいつでもキャラキャラ大騒ぎで、異様な雰囲気を醸し出す「徒花」。
    お小夜(故人):月・雪・花の母。女役者だったのが与三松の後妻になった。
    一(以下ハジメ):嘉右衛門の次男(与三松の弟)の息子。
    早苗:ハジメの妹。ふんわりカールの美女だがなかなか度胸があるらしい。

    ●分鬼頭(わけきとう。嘉右衛門の従兄弟?の家)
    儀兵衛:当主の老人。本鬼頭から権力奪取を狙っている。
    志保:儀兵衛の妻。あだっぽい中年女性。ものすごく権力奪取を狙っている。
    鵜飼章三:分鬼頭夫妻が、本鬼頭から権力奪取のために住まわせている復員軍人。美少年。

    ●島人
    了然(りょうねん)和尚:獄門島の千光寺住職。故嘉右衛門老人と親しく、島での権力者。
    了沢(りょうたく):千光寺典座で、了然の跡継ぎ。
    荒木真喜平:獄門島村長だが、故嘉右衛門老人の派閥なので、もし分鬼頭が権力を握ったら追い出される。
    村瀬幸庵:獄門島の医者。故嘉右衛門老人の派閥なので、もし分鬼頭が権力を握ったら追い出される。
    竹蔵:漁で潮つくりという大切な役目。
    清公(せいこう):流れ者の床屋。俳諧もかじっていたので嘉右衛門のお太鼓持ちだった。耕ちゃんの重要な情報源。なお、よそ者耕ちゃんが島人から犯人じゃないかと疑われた時に「馬鹿言っちゃいけない、仮にも金田一の旦那は江戸っ子だ。本鬼頭を乗っ取る気なら回りくどいことしないでピストルパンパンぶっ放して解決すらあ。だいたい江戸っ子がこんな島の麦なんざ食ってられるか」とかばってくれた?ようで、耕ちゃんをなんか複雑な気持ちにさせるのです・笑

    ●警察関係
    磯川常次郎:岡山県警察部の警部。耕ちゃんとは『本陣殺人事件』で知り合っている。戦争を経てお互い前の仕事を続けているとわかって感慨深くなっている。なお階級は当時と同じ警部。同僚では警視になった者もいるけれど、戦争のゴタゴタで昇格しそびれたけれど、そのために県警名物の古狸警部としてドドーンと一目置かれているらしい。
    清水巡査:獄門島巡査。島では事件はそんなに起きないので(起きても島の人たちが島の掟で解決する?)、瀬戸内海の海賊対応の仕事なんかもやっているらしい。「向こうは7,8にんポンポンピストル売ってくるし、警察の船も弾丸打ち込むし、壇の浦以上の大合戦ですよ」ってのが警察のお仕事。なるほど。

    ●獄門島絶大な権力の鬼頭家の跡取り順番
    チマタ→月→雪→花→ハジメ→早苗→儀兵衛。
    儀兵衛と志保には子供がいないので、美少年鵜飼章三を雪月花の婿に入れて権力を取ろうとしている。
    チマタの遺言のとおりに「俺が死んだら三人の妹が殺される」としたら、ハジメが跡取り。
    そして現在では「私はハジメさんの戦友でした。ハジメさんは生きて、もうすぐで戻ってきますよ」という復員兵が獄門島を訪れた。

    ●帰ってきたもの、帰ってこなかったもの
    死亡:チマタ
    生きているという知らせがあった:ハジメ
    戻る予定:戦争中に供出されていた千光寺の釣鐘が、戦争が終わったために鋳潰されずに返還されることになった。

    ということで耕ちゃんは戦友の遺言で獄門島に渡ったのだ。
    美しい早苗さんに驚かされる。徒花のような三姉妹に驚かされる。艶っぽいお志保さんに驚かされる。
    そして獄門島の権力争いが蠢いていることを感じる。他所から来た巡査の清水さんは「この島の者はみんな気がくるってる」というくらいだ。
    千光寺の釣鐘が戻って来た日に、チマタの葬儀が行われることになった。だがその夜から連続殺人が起きるのだった。

    今回の連続殺人では、死体を俳句に見立てた装飾をされる。まだそれに気が付かない頃の耕ちゃんが「なんだ、有名な松尾芭蕉か!」などと食傷気味なんだけど、俳句を見てすぐに読人とか背景をかを思い浮かぶのが、戦争を挟んだとはいえこの時代の、耕ちゃんの教養だよなあ。(アメリカ放浪していたので、英語もペラペラのはず)
    「無惨やな 冑の下のきりぎりす」(松尾芭蕉)
    「一つ家に 遊女も寝たり 萩と月」(松尾芭蕉)
    「鶯の 身を逆に初音かな」(宝井其角)

    横溝正史物は死体が装飾されておどろおどろしいんだけど、それでも読めるのは「死」をだのエンターテイメントにしていないことだよなあと思います。P167に「死という事実は厳粛であるべき」って書いてあるのですが、これだけ死体を弄られていても読んでいて不愉快にならないのはちゃんと死を一人の人間の人生の終わりとして書いていることを感じるからじゃないかなあ。そして耕ちゃんも、死を前に不謹慎なことを口走る人には不快の目を向けるのであります。
    そんなおどろおどろしい死を書きながらもちょっと笑ってしまう場面も。駐在の清水巡査が海賊対応する様子(の報告)だとか、岡山県警の磯貝警部と知り合いだって聞いて「あんたはいい人みたいだけど、磯貝警部に疑われるような悪党じゃないだろうね?」と勘違いされるところ、そしてその清水巡査に最初の殺人犯人と間違われて牢屋に入れられちゃったところで「バカ、バカ、清水さんのバカ!」と悔しがるところ。しかし結果的には耕ちゃんが牢屋に入ったお陰で第二の殺人が起きたので耕ちゃんの無実が証明されたのである、あんまり嬉しくないタイミングだけどね(^_^;)。
    今回の殺人は、偶然と偶然が重なり、さらに合ってはならないタイミングでの「嘘」によって行われたことだった。まさに酷いことが重なっちゃったよなあ。
    そして犯人には現実の罰よりも酷い「絶望」が与えられる。それでも後味が悪くないのは、残った人たちが戦後の新しい獄門島を立て直そうとする早苗さんの強い眼差し。また醜い権力争いしているかと思われた分鬼頭の儀兵衛老人がさすがは網元の大人物で、良くも悪くも封建社会の権化であった嘉右衛門老人のことを「とにかく稼いで使ってそのために島の人々の暮らしが豊かに明るくなったことは確かだ」とお互いを認め合っていたのも良かった。

    そういえば横溝正史は「金田一耕助には、恋人も妻もいない」って書いていますが、全小説で耕ちゃんがほぼ唯一よろめいたのが、美しく案外肝が座った早苗さん。東京に出ませんか?って一応プロポーズ???耕ちゃんがんばったね。(振られたけど)

    0
    2026年09月23日
  • 金田一耕助ファイル3 獄門島

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    (表紙が違うんですが多分中身は同じなのでこれで登録)

    市川崑監督をはじめとする映画はいくつか見ていて粗筋も犯人も知っているんだけど、金田一耕助(以下、耕ちゃん)ものは原作だとやっぱり良いので読んでいっている。
    今回はなんと言っても『本陣殺人事件』で探偵デビューした耕ちゃんが、その後戦争の真っ只中で「人生でいちばん大事な時期を空白で過ごし」たあとというのがなんかぐっと来ました。25、6歳だった耕ちゃんは30半ばのくしゃくしゃの頭に和装にソフト帽子の中年に。物語中盤で『本陣殺人事件』で親しくなった岡山県警磯川警部と再会してお互い感じ入る場面があるんですがこのあたりはやっぱり戦争中は考えることもなかった相手が無事で相変わらず活躍しているって知ったときの感慨は私たちが想像するより深いんだろうなあ。
    ※放送禁止用語が使われていますが重要な鍵のためそのまま記載しています。

    その金田一の耕ちゃんは瀬戸内海の小島「獄門島」に向かっている。表向きは戦友鬼頭千万太(以下チマタ)の戦死を伝えること。しかし彼には裏の目的があった。なんとしても生きて帰ることを望んでいたチマタが無念の病死に際しての遺言「俺が死んだら三人の妹たちが殺される…俺の代わりに獄門島に行ってくれ…おれの従兄弟が…」という願いを叶えるためだった。
    金田一耕助物語では親族関係がとても複雑に絡み合うのでまとめておく。
    まずは「網元」について。物語で網元の地元での強さ、漁師たちをまとめる力などは読んでいたんだけど、ここで説明されていたのを読んで納得でした。そりゃー強い。
    漁師には3階級ある。一番下は船も網も持っていない。農家で言えば小作人。
    次の階級は船も網も持っているけれども小規模なので、「自作農」みたいな感じ。
    それらに君臨するのが、船も網も漁業権も持っている網元。「大地主」にあたるんだけどそれより権力がある。網元は漁穫の全てを総取りして、漁師たちに日当を渡すという関係。漁師は網元からそれぞれの網、鯛網、壺網、鰯網…などなどの網をその場その場で借りなければいけない。そして「板子一枚下は地獄」の世界に生きる漁師たちを束ねるだけの肝っ玉が必要となる。改めてナルホド。
    ●鬼頭家(島随一の網元の本家。「本鬼頭」と呼ばれる)
    嘉右衛門(故人):「太閤」と呼ばれる程の権力を持っていた。死んだことにより獄門島の権力のバランスが崩れる。
    与三松:嘉右衛門の長男で本鬼頭の当主のはずなんだけど、「気ちがいさん」で座敷牢に入れられている。
    チマタ(故人):鬼頭家の跡取りだったが、戻れなかったことでどうなるか…。
    月代、雪枝、花子:チマタの三人の異母妹。知的障害者だろう。派手な振り袖に帯に髪飾りでいつでもキャラキャラ大騒ぎで、異様な雰囲気を醸し出す「徒花」。
    お小夜(故人):月・雪・花の母。女役者だったのが与三松の後妻になった。
    一(以下ハジメ):嘉右衛門の次男(与三松の弟)の息子。
    早苗:ハジメの妹。ふんわりカールの美女だがなかなか度胸があるらしい。

    ●分鬼頭(わけきとう。嘉右衛門の従兄弟?の家)
    儀兵衛:当主の老人。本鬼頭から権力奪取を狙っている。
    志保:儀兵衛の妻。あだっぽい中年女性。ものすごく権力奪取を狙っている。
    鵜飼章三:分鬼頭夫妻が、本鬼頭から権力奪取のために住まわせている復員軍人。美少年。

    ●島人
    了然(りょうねん)和尚:獄門島の千光寺住職。故嘉右衛門老人と親しく、島での権力者。
    了沢(りょうたく):千光寺典座で、了然の跡継ぎ。
    荒木真喜平:獄門島村長だが、故嘉右衛門老人の派閥なので、もし分鬼頭が権力を握ったら追い出される。
    村瀬幸庵:獄門島の医者。故嘉右衛門老人の派閥なので、もし分鬼頭が権力を握ったら追い出される。
    竹蔵:漁で潮つくりという大切な役目。
    清公(せいこう):流れ者の床屋。俳諧もかじっていたので嘉右衛門のお太鼓持ちだった。耕ちゃんの重要な情報源。なお、よそ者耕ちゃんが島人から犯人じゃないかと疑われた時に「馬鹿言っちゃいけない、仮にも金田一の旦那は江戸っ子だ。本鬼頭を乗っ取る気なら回りくどいことしないでピストルパンパンぶっ放して解決すらあ。だいたい江戸っ子がこんな島の麦なんざ食ってられるか」とかばってくれた?ようで、耕ちゃんをなんか複雑な気持ちにさせるのです・笑

    ●警察関係
    磯川常次郎:岡山県警察部の警部。耕ちゃんとは『本陣殺人事件』で知り合っている。戦争を経てお互い前の仕事を続けているとわかって感慨深くなっている。なお階級は当時と同じ警部。同僚では警視になった者もいるけれど、戦争のゴタゴタで昇格しそびれたけれど、そのために県警名物の古狸警部としてドドーンと一目置かれているらしい。
    清水巡査:獄門島巡査。島では事件はそんなに起きないので(起きても島の人たちが島の掟で解決する?)、瀬戸内海の海賊対応の仕事なんかもやっているらしい。「向こうは7,8にんポンポンピストル売ってくるし、警察の船も弾丸打ち込むし、壇の浦以上の大合戦ですよ」ってのが警察のお仕事。なるほど。

    ●獄門島絶大な権力の鬼頭家の跡取り順番
    チマタ→月→雪→花→ハジメ→早苗→儀兵衛。
    儀兵衛と志保には子供がいないので、美少年鵜飼章三を雪月花の婿に入れて権力を取ろうとしている。
    チマタの遺言のとおりに「俺が死んだら三人の妹が殺される」としたら、ハジメが跡取り。
    そして現在では「私はハジメさんの戦友でした。ハジメさんは生きて、もうすぐで戻ってきますよ」という復員兵が獄門島を訪れた。

    ●帰ってきたもの、帰ってこなかったもの
    死亡:チマタ
    生きているという知らせがあった:ハジメ
    戻る予定:戦争中に供出されていた千光寺の釣鐘が、戦争が終わったために鋳潰されずに返還されることになった。

    ということで耕ちゃんは戦友の遺言で獄門島に渡ったのだ。
    美しい早苗さんに驚かされる。徒花のような三姉妹に驚かされる。艶っぽいお志保さんに驚かされる。
    そして獄門島の権力争いが蠢いていることを感じる。他所から来た巡査の清水さんは「この島の者はみんな気がくるってる」というくらいだ。
    千光寺の釣鐘が戻って来た日に、チマタの葬儀が行われることになった。だがその夜から連続殺人が起きるのだった。

    今回の連続殺人では、死体を俳句に見立てた装飾をされる。まだそれに気が付かない頃の耕ちゃんが「なんだ、有名な松尾芭蕉か!」などと食傷気味なんだけど、俳句を見てすぐに読人とか背景をかを思い浮かぶのが、戦争を挟んだとはいえこの時代の、耕ちゃんの教養だよなあ。(アメリカ放浪していたので、英語もペラペラのはず)
    「無惨やな 冑の下のきりぎりす」(松尾芭蕉)
    「一つ家に 遊女も寝たり 萩と月」(松尾芭蕉)
    「鶯の 身を逆に初音かな」(宝井其角)

    横溝正史物は死体が装飾されておどろおどろしいんだけど、それでも読めるのは「死」をだのエンターテイメントにしていないことだよなあと思います。P167に「死という事実は厳粛であるべき」って書いてあるのですが、これだけ死体を弄られていても読んでいて不愉快にならないのはちゃんと死を一人の人間の人生の終わりとして書いていることを感じるからじゃないかなあ。そして耕ちゃんも、死を前に不謹慎なことを口走る人には不快の目を向けるのであります。
    そんなおどろおどろしい死を書きながらもちょっと笑ってしまう場面も。駐在の清水巡査が海賊対応する様子(の報告)だとか、岡山県警の磯貝警部と知り合いだって聞いて「あんたはいい人みたいだけど、磯貝警部に疑われるような悪党じゃないだろうね?」と勘違いされるところ、そしてその清水巡査に最初の殺人犯人と間違われて牢屋に入れられちゃったところで「バカ、バカ、清水さんのバカ!」と悔しがるところ。しかし結果的には耕ちゃんが牢屋に入ったお陰で第二の殺人が起きたので耕ちゃんの無実が証明されたのである、あんまり嬉しくないタイミングだけどね(^_^;)。
    今回の殺人は、偶然と偶然が重なり、さらに合ってはならないタイミングでの「嘘」によって行われたことだった。まさに酷いことが重なっちゃったよなあ。
    そして犯人には現実の罰よりも酷い「絶望」が与えられる。それでも後味が悪くないのは、残った人たちが戦後の新しい獄門島を立て直そうとする早苗さんの強い眼差し。また醜い権力争いしているかと思われた分鬼頭の儀兵衛老人がさすがは網元の大人物で、良くも悪くも封建社会の権化であった嘉右衛門老人のことを「とにかく稼いで使ってそのために島の人々の暮らしが豊かに明るくなったことは確かだ」とお互いを認め合っていたのも良かった。

    そういえば横溝正史は「金田一耕助には、恋人も妻もいない」って書いていますが、全小説で耕ちゃんがほぼ唯一よろめいたのが、美しく案外肝が座った早苗さん。東京に出ませんか?って一応プロポーズ???耕ちゃんがんばったね。(振られたけど)

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    2026年09月23日
  • 晴れの日の木馬たち

    Posted by ブクログ

    いつも著名な「絵画」や実在の「画家」を中心に物語を創作される原田さん。できるだけ史実に添いつつ、適度な想像を織り交ぜ、感動的なストーリーになっているのだが、今回の主人公は架空の人物。明治末期から大正にかけて岡山で女工として働きながら、小説を書くことに惹かれ、周囲の助けもあって女文士として成長していく。主人公の山中すてらは架空だが、倉敷紡績の社長であり、大原美術館を創設した実業家の大原孫三郎や、大原の支援を受けて海外から多数の西洋画を日本もたらした洋画家の児島虎次郎、主人公とその父を支える宣教師アリス・ペティ・アダムスなど、周囲を取り巻く人物や時代背景には多くの実在の史実・人物が織り込まれている。小説家としての自分自身を気持ちを山中すてらに代弁させているかのように読めて、なんだか清々しい。

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    2026年09月23日
  • 嵐のピクニック

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    普段から「本谷有希子にハズレなし」と勝手に言って憚らないが、この作品集は本当に当たりだらけだと思った。

    0
    2026年09月23日
  • 旅する練習

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この作者の作品の中で最も好き。
    叔父は描写の、姪はドリブルの練習をしながら目的地に向けて旅をする様子が描かれる。語り手の位置が絶妙で、物語時現在において語っているのかと思いきや、実は語り手は過去の出来事の回想として書いていた、という反転がある。(この辺は解説で松家仁之が指摘している。)だから、物語上いきなり姪が死んだのではなく、姪が死んだがゆえにこの物語が書かれたと捉えるべきなのだろうと感じる。
    この物語全体を回想・描写する「私」は、海辺で姪と鳥を重ね合わせつつ「この歓びを何と言えばいいのか」とノートに書きつける「私」と、同じ位置にある(それはこの物語自体を「終わりのない練習」と語ることからもわかる)。だから、物語を語り描写する「私」にもまた、同じ「歓び」があると思う。他にも、「ればよかった」式の後悔や、描写の対象が描写の中でしか現れてこないという悲しみ、姪が唱える真言を写しとることで行われる祈りなど、この旅の描写には「私」の思いがあふれている。描写って、客観的で無機質な営みでは決してないんだなぁ。

    0
    2026年09月23日
  • 彼女たちは楽園で遊ぶ

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    ネタバレ

    喧嘩別れした親友が高校を退学した。
    突然、山に施設を作った新興宗教・NI求会に入会したのだ。
    親友を取り戻そうとする凜音。
    東京から《特別》になるために来た初花。

    大人が《楽園》と定めた場所に閉じ込められた子供たちは、
    その聖地で、禍々しいものと対峙する。

    女子高生たちの、青春×スリラー開幕!

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    2026年09月23日
  • リデルハウスの子どもたち

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    金色の草原の果て
    緑に囲まれた白亜の校舎。
    リデルハウスには秘密があった――

    かつて子どもだった、
    そしてこれから大人になるあなたへ
    贈る物語。

    金色にかがやく草原の果てに佇む、緑に囲まれた白亜の校舎。全寮制の名門校リデルハウスには、奇妙な制度があった。特別な才能を認められた生徒は「ラヴ」と呼ばれて、普通の生徒が知らない場所で学園生活を送っている。そして、かれらはリデルハウスからの“制約”の見返りとして、在学中に一度だけ「ギフト」を行使できる。「ギフト」は、実現可能な望みであればなんでもひとつ、叶えることができるという──。
    新鋭が紡ぐ、懐かしくも新しい少年少女たちの物語。

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    2026年09月23日
  • 葉桜の季節に君を想うということ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    めちゃくちゃ面白かった。

    けど、読むのが大変な小説でもあった。



    突然場面が変わって、墓を掘るシーンに切り替わって「ん?今何が起こったんだ?」となって読み返したり。

    このヤクザの話ってどこでどう関係するんだろうか?ってなったり

    このババア、話に全く関係なくね?ってなったり


    時間軸や人物が結構頻繁に切り替わるので、今誰の話なのか分からなくなって読み返す。みたいなのが結構あった。




    風呂敷が広がり過ぎて、綺麗に終わらなそうって思いながらずっと読み進めた。

    でも、読み終わる頃には凄く綺麗な終わり方で締められてて「おぉ〜!!」ってなった。

    後半に爆発するタイプの小説だった。

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    2026年09月23日
  • 思い出が消えないうちに

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    舞台は東京から函館へ。
    時田家の血を引く時田ユカリ(流の姉)の
    自由奔放さが登場人物を大きく変える
    ちょっとしたキッカケになる…
    かすかな蝶の羽ばたきがやがて嵐になることもある。

    過去に戻っても、現実は変わらない。
    事象が変わらなくても、心の持ちようは変わる…
    出来事に意味付けているのは自分。
    だったら、その呪縛を解けるのは自分だけ。

    それより、あの席に座ってる燕尾服の方はだれ?

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    2026年09月23日
  • 尻でカスタネットを奏でたら視線が刺さり震えたが今日も猫は愛おしい

    Posted by ブクログ

    ⚠️注意: 猫エッセイを期待している人はp162-163を読むこと。それ以外は猫が絡んだ人ならぬモノの観察日誌であると心得え、読むことが推奨される。

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    2026年09月23日
  • 山なら言いたいことがある

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    ズボンのポケットに入りそうなくらい薄くて著者が17人でひとつが短くバラエティに富んでいる。
    なので山あいの温泉に鉄道旅で行くときにお供にすると良さそうだ。
    と思いました。

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    2026年09月23日
  • あの冬の流星

    Posted by ブクログ

    何か評価とか感想とか口にすることも憚られるくらい感動して泣けた作品。

    お父さんの誰かが覚えている限りその人の物語も答え合わせも終わりじゃないという言葉だったかな

    あまり今までの人生で信じてなかったけど、この本読んだ後は信じれるようになった。

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    2026年09月23日
  • 禁忌の子

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    ネタバレ

    謎解きやミステリーとしては普通だったが、非配偶者間胚盤胞移植で生まれた子とその家庭が抱える課題と闇が取り上げられており、考えさせられた。

    主人公はいい人過ぎると思った。信也は気の毒としか言いようがない。

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    2026年09月23日