小説・文芸の高評価レビュー
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世界的な画期的な学術発見。
だいたいそういうことは説明を聞いたところで聞き慣れない専門用語だらけで理解できないことが大半。
それに対して鈴木さんのされた研究の内容は「鳥の発する声は意味をもたない鳴き声ではなく、文法や意味のある言語だ」という私にもヒジョーにわかりやすい、そして夢のあるものでした。
鳥が好きで好きで、やり過ぎだよそれwwって突っ込みを入れたくなるような研究への熱中ぶりや、新しいアプローチを思いついたときのワクワク感、予想通り、予想以上の観察結果にたどり着いた時の喜び。
まるで自分があたらしい何かを発見したかのような気持ちになりました。
学ぶって、研究するってたのしそうだなぁ、と思いました。
身をパウダーにしてたどり着いた新しい世界、今後も期待してます! -
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だいたい一作目が名作、ヒット作として、それを受けて作られた二作目というのは一作目には及ばないものというのがほとんどである。
成瀬一作目は面白くはあるけど、言うほどかいな?と刺さらず終わった記憶があった。
リフレッシュ、リラックス用の読書にはなるかな、と二作目を手に取り読み進めたわけであるが、驚かされた、個人的には一作目より非常に面白く感じ、一気に読み終わってしまった。
二作目では成瀬を直接描くと言うよりは、我が道を行く成瀬に関わる人物が、気づきを得たり、考え方が変わるキッカケを得たりという物語であった。
我が子のことで色々と心配する父親の姿、友人関係で悩み涙してしまう、子どもと年の変わらない小学生の姿(を見守る親の心境)が、実生活で今抱いているものとリンクして、心に響くものがあった。
一作目もそうだったが、瑞々しく、生き生きとしていて元気をもらえる物語であった。
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箱根駅伝を舞台にした池井戸潤氏の長編小説、下巻は学生連合チームが望む箱根駅伝本選のレースの模様が描かれています。
数々の障害を乗り越え、スタートラインに立つ学生連合チーム。往路、復路で予想外の快走を見せる選手や、失速、転倒などのアクシデントも。そして”本選3位以上”という目標が現実的になってきたとき、アンカーのキャプテン青野がタスキを受ける…
箱根駅伝はタスキをつなぐチーム競技でありながら、プレーする(走る)のはチームで常に一人ずつという個人競技の側面もあります。出場する選手一人ひとりに背負った背景、性格などがあり、それを走っている様子に重ねて描いていて、10人分の短編小説オムニバスのようにも読めながら、タスキをつなぐ一つのつながったストーリーでもあります。ほぼ一人に一章をさいていて、上巻では意外にあっさりとしか触れていなかった学生連合の選手たちのキャラクターが下巻で一気に色鮮やかに浮かび上がっています。
池井戸氏ならではの読みどころは箱根駅伝を放送するテレビ局側のストーリーがあることです。編成と現場、予測不可能な2日間の箱根駅伝の緊張感を伝えるテレビ局の裏側の緊迫した様子が時折挟み込まれ、複層的な視点でストーリーが展開します。
でもこんな理屈抜きに、躍動する選手たちの描写と息詰まるレース展開に、一気に引き込まれるのは間違いないでしょう。 -
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大好きなシリーズの6作目。
1作目からとても大切に読んでいる本です。
冒頭にこれまで登場した人達の相関図が記されているので、登場した作品や人物同士の繋がりがひと目で分かるようになっています。
間隔があいても何となく登場人物のつながりは覚えていたのですが、相関図を見て思い出せることもあり、読み進めていく中でとても重宝しました。
今作で、特に印象に残ったのは第3章のジュピターの言葉です。
私自身が私を褒めて、認めてあげないと世界がくすんでしまうこと。そして、自分の内なる声に丁寧に耳を傾けることが、自分自身を満たすこと。
彼女の表現がすとんと胸に落ちて、こうやって自分を大切にすればいいのかと思うことができました。心が疲れてしまった時に、何度も読み返したくなる部分です。
タイトルに小夜曲と入っているからか、物語の中に様々な楽曲が登場するのでせっかくならと同じ音楽を流して、没入感を楽しみました。
本作がこれまでの物語をまとめた雰囲気となっていたので、7作目がどのように展開されるのかとても楽しみです。
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9/21~25
単行本化の時に購入したが、本題に入るまでが長く何がしたいのかよく分からなかった上、単行本だったので読みづらくて挫折した本。文庫本を購入し、読み切った今では前半部分があってこその本題だった気がする。というよりも、後半に差し掛かってやっと全体が連続していることに気づいた感じ?
かなり面白かった!
文量や情報量が重いけど、アステカ神話とか麻薬カルテルとかバイオレンスなものが好きならすぐ読み切れると思う。
人物の背景描写が多いのが良い
本幹にほぼ関わらないようなぽっと出のモブにすら1~2ページをかけて出自を書くので、物語の枝葉がしっかりしている印象。設定厨(?)におすすめ
登場人物は狂ったやつが多くて、刃牙に出てきそうなパワー系も数人いる。
ラストはあっさりしてるかも -
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ネタバレイギリスの女流作家、シャロン・ボルトンの新潮文庫第二弾。過去、東京創元社から3作出版されており、順調に邦訳されて嬉しい限り。
病院から退院してきた「わたし」は、隣家にアナという女性が引っ越してきたことを知る。アナが開業したパン屋に足を運ぶと、年に二週間だけ村を訪れる宗教団体の一家が、娘の誕生日ケーキを注文しているところに出くわすのだが…
個人的には、イギリスのイヤミス女王。
一昨年に出た前作「身代わりの女」に負けないくらい、全く好きになれない登場人物たち。登場人物表が「わたし」の時点で身構えながら読んだが、それでも騙されたし、ラストの絶妙さ加減は素晴らしかった。
今年のエンタメ的なベスト、とまではいかないが、安心して騙してもらえる良作を連発してるなぁと。昔の土着的な作品も好きなので、今作の湖畔地域かつ怪しげな宗教団体との軋轢は懐かしかった。おすすめ。
一点だけちょっと…と思った点。
帯で煽るのは結構冒険で、最近は特にネタバレを忌避する雰囲気もあって、ほとんどうまくいっていないんじゃないかなと。巻末解説の切り取り方だと思うが、今作に限っていえば、登場人物表の時点で何かあるのはわかりきっているわけで。あえて帯で煽らなくとも…と思った(海外エンタメなんてなかなか売れないので、苦労されているんだとは思うけど…)。 -
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太田さんらしいいきなり渦中に放り込まれる冒頭、読んでいる私があっという間にパニックの中で右往左往させられていました。でもその後はアクション場面は少なく結構理屈っぽかったですね。特攻隊員に食べさせた覚醒剤入りのチョコレート、片道分のみの燃料、爆弾は機体から切り離せない等、懐古趣味で明治礼賛のジジババが大好きな日本軍の卑劣さは興味深かったです。それにしてもトヨタ自動車って、元々大嫌いな会社ですがやっぱり社員を奴隷以下に扱うテロ企業でした。創業家のバカ息子もその通りで早く潰れて仕舞えば良いと思います。そしてそんな悪魔から賄賂目当てに過労死推進を政治方針にする女狐ババァ。自民盗と同義語の統一教会や日本会議、それらにに媚びへつらうしか能のない官僚、そして無気力無関心で人間としての責任まで放棄している我々国民までも猛批判。沈みゆく船日本に向けた太田さんの本領発揮の本でした。報道機関が矜持を捨てた中で悪い奴ら全てをやっつけてくれてありがとうございました。
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ネタバレ〈備忘録・ネタバレあり〉
たぶん20年ぶりくらいの再読。
生死や恋を題材に、幼少〜青年期の各主人公たちがそれぞれの目線で語る短編集。
山田詠美自身の経験や感覚が、この物語に大きく反映されているようだ。
自分軸で逞しく生きる男の子、大人びて憂いを含んだ男の子、そんな彼らの魅力を見つめる女の子たち、ちょっと不良で男女の真理に鋭いおねえさん…
山田詠美の小説にはそんな魅力的な人たちがよく登場し、出会うたびに憧れを抱くのだが、大人になった今もなお憧れてしまう。
晩年の子供、花火、海の方の子、ひよこの眼、がとても印象的で好みだった。
・晩年の子供
伯母の家の犬に噛まれた10歳の主人公は、狂犬病で半年後に死ぬのだと覚悟する。その日から、晩年をどう過ごし最期を迎えるかを考える日々を送る。感覚が研ぎ澄まされて季節や時間を色濃く感じるようになり、家族へ悲しみを与えず死にたい、嫌な目に遭わせてしまった同級生に詫びて愛情を伝えたい…と博愛精神で晩年への準備をしてきたある日「晩年を特別視する必要はないのだ」という悟りにたどり着く。
家に帰った彼女は穏やかな心情で犬に噛まれたこと、狂犬病なんてへっちゃらだということを母親に伝えると、飼い犬では狂犬病にならないことをあっさり告げられる。拍子抜けした彼女は、真剣に死に向き合ってしまった無駄な日々を憎み、数日後にはそれも馬鹿馬鹿しくなり、明るい学校生活を過ごすことを決心する。
突拍子もない事柄を大真面目に悩み考えるのって、子供の頃のあるあるだと思う。その真剣な様子が可笑しくてかわいい反面、博愛精神からの死は特別なことではない…という結論に至るまでの描写が、子供なのに真理に辿り着いているようで震える。さらにそれがあっさりと打ちのめされ元の日常に戻る様子にもリアルさを感じ、さすが上手だなぁと思った。
・花火
両親から破天荒な姉の様子を見るよう頼まれた妹は、姉と妻帯者である彼氏との情事に遭遇する。嫌悪感を示す妹に姉は、男女の関係は花火のようなものだと言ってのける。
その夏意中の彼と結ばれた妹は、性行為がとても自然で喜ばしいものだということを理解し、自分にも備わっていた思いがけない感情に酔いしれた。そして同時に姉の言葉を思い出し、自分も彼に対し、姉のいうような道筋を辿るのだろうか?という信じがたい未来が、甘い頭の中をよぎる。
おそらく女性の多くが感じているのでは?という感情と身体の変化がシンプル&的確に言語化されていて、、、これを書いたときの山田詠美は30歳くらいのはずなのに、既にこの境地に達しているのすごすぎる。
(引用)
はっきり言って、今、彼を見ても寝たいなんて思わないわ。体をくっつけていると、すごく安心する。それは、彼をとても信頼しているからよ。でも、それがセックスに発展すると、嫌悪感すら覚えるわ。前は、彼に触れられて、一番、感じていた部分が、今は、一番、最初に拒否反応を起こすのよ。
・・・
そういう思いやりを持つことが、男を愛するってことなのよ。あの人に会いたいって恋焦がれてる時って、自分を愛してるのよ。自分の欲望をなだめるためにその男を思うのよね。同じ会いたいと思うのでも、その人を愛し始めた時は違う。もっと、静かだし、もっと悲しいものよ。
・・・
男と女って、まったく面倒だわ。体で魅かれ合って、それに飽きた瞬間にら離れられない関係になる。体が離れられないなんていうのは、まったくの嘘。離れられなくなるのは心が結び付き始めるからよ。体も心も結び付いて離れられないのは、だから一瞬なのよね。両立しない。すぐに消えちゃう。まるで花火みたいなものよ。素晴らしい瞬間だけどね。
・海の方の子
偽善者でいる自分に酔うこまっしゃくれた主人公が、転校先で出会った嫌われ者で片眼が義眼の男の子・哲夫に接近する。当初は〝みんなに嫌われる可哀想な人にも分け隔てなく接する自分”に酔っていたが、自分の意思や幸せをしっかり持っている彼を知り、思わず「私、なんか、哲夫くんと結婚するような気がするな」と口に出す。こういう男の子が好きだなあと感じたのだ。「可哀想な人に首を突っ込む」のを止めた彼女の変化に気づいたのか、哲夫も彼女の言葉に対し素直に返事を返す。
やがてまた転校の日を迎えた彼女は、挨拶の席で涙が噴き出す。それは皆へのものではなく、哲夫のために流れた涙だった。憮然とした表情の哲夫を見ながら、口に流れ込む涙に「しょっぱいもんが好きなんだ」いう彼の言葉を思い出していた。
この歳で哲夫の格好良さに気づけるとはイカシすぎだし、幼い2人の恋とも言えぬ淡い関係なのに、まるで大人の話のような恍惚さを感じた。
(引用)
毎日、ふかふかのわらの山に寄りかかって、夕陽を浴びて、ぼうっとするのです。「誰もが私を好きになること」に向かって、努力することもないのです。そんなことをしなくても、私のだんなさんは、気にしないのです。私は、この思いつきに有頂天になりました。
・ひよこの眼
転校生の幹生の目を見た時懐かしい気持ちに包まれた亜希は、その理由を知りたくて日々彼を見詰め続けてしまう。周りは亜希が幹生を好きだと囃し立て、2人を学園祭の実行委員に推薦する。幹生は照れることもなく受け入れ、亜希を誘って下校する。幹生は亜希がいつも自分を見ていること、それが甘い恋心ではないことにも気づいていた。亜希は正直に理由を話し、幹生はそれを興味深そうに聞く。
次第に一緒に笑い合う時間が増え、あの目は影を潜めていく。ある日互いを好きだと伝え合う。幹生は繋いだ手を自分のポケットに押し込んだ。
幸せに包まれて帰宅した亜希は、母と妹の会話から過去に死んだひよこを思い出す。見覚えのあった幹生の眼は、死ぬ間際のひよこの眼と同じだったからだと気づく。幹生は死を予感し、諦め悟っていたのだ。
翌日登校すると幹生の姿はなかった。父親が病気を苦に自殺を図り、その道連れにされたのだった。
人生を歩むことを諦めていた幹生は、確かに希望を持ち始めていた。その最中で信頼すべき親によって未来を絶たれてしまうとは…なんと救いのない絶望だ。
親にいとも容易く人生を左右されてしまう、まだ子供だったことを思い知る。
2人の会話する言葉はとても綺麗で、素直な人柄がよく現れている。死の直前に交わした2人の美しい会話が、私の心をさらに痛めた。
また亜希の幹生への想いは、中学生とは思えないほど大人びていて、深い愛情に満ちており驚く。いや…大人びているわけではないのかな。純粋なぶん、シンプルに相手の幸せを願い、辛い想いはしてほしくない、と思えるのか。表裏一体って、大人と子供の間にも言える言葉かもしれない。
あらゆる文章が宝石のように輝いていて、絶望との乖離が引き立ち、泣けてしまう。本当に素晴らしかった。これを30歳そこそこで書けた山田詠美って恐ろしい。
(引用)
私を含めた些細な事柄に、とても興味を示すことなど出来ない程に、何かに対して心を砕いている彼の身の上を想像し、私は溜息をつかずにはいられなかった。私たちの年齢の人間が許容出来る大きさ以上に、なにかを背負っている。彼は、そういう人にみえた。
・・・
それでも、私は知っていた。私と言葉を交わしていない時、幹生がやはり、まばたきもせずに何かを見詰めているのを。私は、もう、その瞳を懐しいとは思わなかった。そう思うには、私は、彼に好意を持ち過ぎていた。その表情をする時、彼が決して幸福ではないことを、私は知っていた。彼が、幸福ではないのだと思うことは、私の心を傷付けた。私は、その時、既に、好きな男には、呑気な幸せをさずけたいと願う程に大人になっていた。
・・・
彼は、私の目の前で笑っている。それだけでいいのだ。だからこそ、余計に恐くなる。私の目の届かない所で、彼が、もし、つらい目に会っていたらと考えるだけで、私の心には暗い影がさす。
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「おれは嫌いだった。なんか寂しいもん。でも、今はいいな。これからも平気かもな。おれ、寒がりだけど、吐く息が白くなって行くってことは、体の中があったかいってことだもんな」 私は、涙ぐみそうになった。私は、この先、どんなことがあっても、幹生に寂しい思いをさせたくないなあと思うのだった。彼の瞳には、相変わらず涙の膜が張っているように見える。けれど、それは、決して上の空の涙ではない。私が側にいることが、彼の瞳を濡らしているに違いないのだ。
・・・
「ほんとのこと言うと、高校は諦らめてたんだ。おれんち、貧乏だからさ。でも、なんか、大丈夫のような気がして来た。もしかしたら、なんとかなるかもしれない。働いたって行けるんだし」
・・・
彼は、あの公園で、確かに生きようとしていたのに。そして、私の手をきちんと握ったのに。あの人は、私が初めて出会った、人生に対して礼儀正しい人だったのに。
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