小説・文芸の高評価レビュー
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著者が配偶者に先立たれてから書き残した詩。照れくさいからと、自身の死後に発表されるよう準備を整えていたそう。つまりこれは完全にプライベートなラブレターのようなもの。そんなものを読んでもいいのか、とどこか厳粛な、背筋の伸びるような思いで読み始める。
本来詩集って一気読みするものではないのかもしれない。けれど、ページをめくる手が止まらず、おまけに冒頭から涙も止まらず。美術展の展示を回るように余韻を味わいながら次の詩へ。漂う喪失感、切実、純真、気丈、寂寥、思慕、いわずもがな愛情。生活。日常。
「最後の晩餐」があまりに切ない。挙げ出したらキリがないけれど、「月の光」「駅」「蝉しぐれ」「モーツァルト」「殺し文句」「ひとり暮し」「なれる」「歳月」……とてもよかった。
埋められないものを無理に埋めようとせず、時間の経過とともに受け止めていく。ああそうだったのね、と悟っていくような。
表紙をめくると1ページ目に夫婦2人が写った写真。この写真そのものが、なんだか“歳月”よなあと感じさせる。
茨木のり子さん生誕100年記念で、ミナペルホネンの特別カバーが登場したのに合わせて、以前から気になっていた『歳月』を購入。ほか2冊も。
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Posted by ブクログ
『龍の守る町』の続篇である。5年前の水害で大きな被害を受けた瑞乃町の消防署に勤める秋月司令補が主人公であり語り手だ。前作を読んだのは約1年前なのではっきりと記憶が残っている……はずなのだが、あやふやだった。こんなぼくや未読の読者のために砥上さんは丁寧に過去をおさらいしてくれたので、安心して読み進めることができた。生死の境で働く消防士が主人公なのに妙にコメディータッチで、そのギャップがおもしろい。彼が守ろうとする故郷とそこに生きる人々の姿に胸が熱くなり、笑ったり泣いたり忙しい読書だった。
読書中、台風25号の接近による大雨が降り続いていた。8月13日の千葉豪雨以来、何度目かとなる大雨が新たな被害をもたらさないことを切に願う。また、災害の現場で働いておられる方々に敬意を表したい。 -
購入済み
お見事です‼️
著者のインタビュー記事、東京新聞(中日新聞も一緒)に載っていましたので、これをまずは試し読みしました。
ショートショート、というよりは川柳・狂歌、に近いのでしょうか。
厳密な文字数制限のなかで、見事にオチをつけています。 -
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感動ー!めったなことではうるっとしない私でも涙が…命の誕生や看取りの現場、ヤングケアラー問題などいろいろなことが詰め込まれててもちっとも押し付けがましくなく、それぞれが問題や事情を抱えながらも日々を必死に懸命に前向きに生きていく様に涙が滲んで文字もぼやけまくり。登場人物の皆が皆、周りの人、相手のことを想い、その大切な人のために何ができるかを考えて生きている姿がもうストレスやイライラで日々荒んでる私の心に岩清水のように流れ込んできてなんだか全身スッキリ洗い流されたかのような清涼感。医療モノの小説って先輩後輩、医者や看護師なんかがもうあまりにもデフォルメされすぎててわざとらしくてウンザリしたり笑っちゃうようものも結構あるのだが、この小説のキャラクターや会話はナチュラルでみんな普通の体温で存在して物語の情景に溶け込んでいて文章も読みやすくてすーっと胸に沁みこんでくる。全員を陰からそっと見守りながら応援したくなる。読んだ私も彼らのように頑張ってみようと元気が湧いてくる。藤岡陽子さんの本は間違いないです。
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ネタバレ横田は怜子ではなく梶井を選び、多くの被害者が梶井に心を許した。これは、女性にスタイルと献身性を求める日本社会において、スタイルは求める水準ではないがそれよりも献身性や心配りの点で完璧で、想像通りに動くロボットのような女性を男は求めているという絶望的な事実、男に期待される全てを得ようと必死に努力する現代女性への皮肉を表しているのかもしれない。
さらに、梶井が自分を顧みて周囲の男を捨てたように、女性の行動一つで男は宙に放り出されたように感じ、無様に命を絶つまで日本の男は女性に依存していることを暗喩している。
一方でこの梶井の男を切り捨てる行動は、男女が深い関係を築くには、女性がストレスの捌け口としてスタイルを切り捨て完璧な役割を演じるだけでは足りないと解釈できる。女性側の自己主張だけでなく、恥を恐れず周りを頼ること、自分で自分を満たす力など男女お互いに求められるのだと思う。
家族となりセックスすることを強く求めることと、家族になるとセックスしたくなくなる男女で相反する感情も、上の男女の固まった立ち位置が関係しているのかもしれない。女性が庇護対象で守るべき存在となれば男は女性を性的見られなくなるのかもしれない。
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結婚相談所で働き、人と人との赤い糸を結ぶはずの主人公が、身の回りで次々と巻き起こる不穏な事件によって、自らは黒い糸とご縁してしまう。その構図がなんとも皮肉で、タイトルの意味を考えながら読み進めるのも面白かった。
登場人物もくせ強キャラが多く、誰も彼もどこか怪しく見えてくる。「犯人はこの人か? いや、こっちか?」と疑いながらページをめくる手が止まらなかった。
余韻もあり、その後が気になる人物が何人かいるけれども、完全に平穏とは言えないまでも主人公らが取り戻した日常が伺えて読後はスッキリとした気持ちになれた。
それにしてもとんだとばっちりで黒い糸と縁づいて気の毒。
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Posted by ブクログ
特に好きな話
・可愛いミミ(久永実木彦)
形見のクラシックカー、ミミック、百合
・車の軋る町(大島清昭)
古くから町に伝わる怪奇現象、車系妖怪推理
・ドンキの駐車場から出られない(宮澤伊織)
霊のやつシリーズ、無限に続く立体駐車場、スピード感
・電車家族(柴田勝家)
電車で暮らす家族
・車夫と三匹の妖狐(上田早夕里)
人力車引きの先祖から代々伝わる話
・帰投(斜線堂有紀)
魔法使いの戦争利用、純愛、ボンドルド
・新形白縫譚(空木春宵)
白縫譚、怨気、ささがに憑き、スピード、ジェンダー
・キャラセルは誘う(黒木あるじ)
円形療養施設の秘密、首無しの黒馬と白い少女
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