ブックライブの高評価レビュー

小説・文芸の高評価レビュー

  • 正欲(新潮文庫)

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    「性的マイノリティの生きづらさ」を描いた作品……と思って読み進めると、もっと深くて恐ろしい構造にゾクッとさせられる。
    作中で描かれる「アクアフィリア(水フェチ)」の人たちは、誰にも理解されない絶望的な孤独を抱えている。 だけど一方で、外からは「カメラや風景が好きな人」に見えるから、誰にも害を与えず、日常の中で堂々と欲求を満たせる自由度も持っている。
    逆に、性的マジョリティ側はどうだろう? 自分たちが作ったコンプライアンスや「健全さ」という規制に縛られて、異性へのごく普通の欲求すら表に出せず、身動きが取れなくなっていないか。
    そして印象的だったのは、検事である寺井の「どんな立場であれ、法という一

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    2026年08月30日
  • 杉森くんを殺すには

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    児童用。
    小6娘や夫からも高評価だったので読んでみた。

    「杉森くんを殺す」ってどういうことだ…?
    そもそも杉森くんって実在?
    自分の中の好ましくない幻影が杉森くん?
    などと最初は考えを巡らせていたけど、物語が展開するにつれて明らかになる過去や杉森くんの正体。

    読者は一番突き放された状態でスタート。んー?…もしかして…ああ…なるほどね…そういうことがあったのね…と少しずつ追体験しやすくなってくる。

    ちょっとした言い回しの楽しさや高校生の若々しさも感じられながら、大切なテーマを児童文学でしっかり描いている。大人が読んでも文学としても面白い。
    これは小中学生にも、その親たちにもお勧めできる作品

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    2026年08月30日
  • 赤と青とエスキース

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    冒頭からあまりにも自分と同じ状況でひきこまれた。連作小説ってやっぱり面白いな〜。最後まで展開が読めなくて、理想と現実が渦巻いてて、でも文体が優しくて、ちょっとハラハラしながらも安心して読めた。それと美術館に行きたくなる。世の中には自分の知らない素敵な仕事がたくさんあるんだ。

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    2026年08月30日
  • 奈良千夜一夜物語

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    地元奈良民として一読。心が温まるような内容だった。奈良の人は心が温かいというのは誇れることだが、東京で生きてると麻痺してくることもある。そういう時に初心に戻れる本だと思った。読んだら売ろうと思ってたが保管しておこう。

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    2026年08月30日
  • medium 霊媒探偵城塚翡翠

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    ネタバレ

    「霊媒探偵」って時点で気付くべきだったけど…ホラー耐性皆無の私には、前半(最初の2話)あたりまではほんのちょっと怖かった|・ω・`)

    香月先生はやたら女慣れしたスカしたやつだと思っていたけど「女性は観察対象だったのでは…」と考えるとこわすぎた笑

    霊能力者が事件を解決ってそんなのミステリー小説として成り立つんだろうかと高を括っていたけど、ちゃんとミステリーだった!

    この結末を知った上で再読したらまた見方が変わるんだろうなーと、二度美味しい(であろう)作品だと思う。

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    2026年08月30日
  • 毒を売る女

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    短編集ですが内1編だけ「糸ノコとジグザグ 」という作品にシリーズものの探偵御手洗潔が登場します。★5というのは1編だけでも嬉しいといファンの評価も含まれています。
    その「糸ノコとジグザグ」においても御手洗潔の登場は多くありませんが、少ない描写であってもしっかり御手洗潔らしさに溢れており、またシリーズの他作品との繋がりも見逃せない理由になっています。もちろんファンサービスだけでなくミステリとしても楽しめます。
    本短編集はとてもバラエティに富んでいるのが特徴で、そこに1編だけシリーズものが入るのもキレイです。共通した特徴を挙げるとすれば、相変わらずのとても読みやすい文章と、当時の世情などの描写が盛

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    2026年08月30日
  • 筏までの距離

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    私小説なのかなと感じるくらい、場所の雰囲気とか言葉とかにリアルさを感じた。

    回想が多く、人のなかに根ざした人に対する記憶がゆっくり解かれていくような物語の進み方。
    傷とか激しさとは違う、本当に、ただ思い出すという感じ。凪。
    過去の関係がその人の一部になっているような。主観で進む静かな言葉が心地よかった。とても好きな小説だった。


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    2026年08月30日
  • 熟柿

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    日常は紙一重
    ちょっとしたことが積み重なっていまの人生があるんだなということを再確認させられるかのような小説
    短い時間軸ではなくて、それを積み重なる長い人生の時間軸で体感させられる感覚。
    ただその日常も、不意な出来事で簡単に崩れてしまうし、変わっていく。
    それがいいでも悪いでもなく、人生ってそんなものだよなと思わせられる作品でした。
    だからこそ、色々動いてみることで人生って道が開けるよねとも取れるし、一方で、タイトル通りに熟した柿の実が自然に落ちるのを持つように、気長に時機を待つこと、も意味のあることだとも取れる内容だった。

    重厚だけど、悲観的なわけでもない、
    最後には心が大きく揺れ動く展開

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    2026年08月30日
  • ラブセメタリー

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    【ラブセメタリー】
    精神科の看護師として働く町屋悟はある患者の話を耳にする。「⋯⋯僕は大人の女性を愛せません。僕の好きな人は、大人でも女性でもないんです」。表題作を含む3編を収録。資料を参考に取材を重ねたことが伺える作品で真に迫るものがありました。

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    2026年08月30日
  • 犯罪者 下

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    いや〜読み終わりました。
    読み応えがあり、余韻もあり、とてもよい本でした。
    読書ってこうあるべきだよな と思います。

    ラスボスだと思っていた滝川が亡くなってからも、物語は終末に向けて続いて行きます。
    最後は亜蓮も出てきて、その後がなんとなくいい方向に進んでいくんだろうなと思わせる終わり方で好きです。

    いい小説でした。

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    2026年08月30日
  • 踊りつかれて

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    時期は早いが、今年1番の作品は塩田武士さんの「存在のすべてを」と思っていたが、本作は肩を並べる、いや超えた作品になった。
    「歪んだ波紋」、「デルタの羊」も傑作だったが、「騙し絵の牙(大泉洋が表紙だったからかw)」、「盤上のアルファ」は今ひとつ楽しめず、私にとっては「ムラのある作家さん」というイメージがあったが、圧倒的な筆力にただただ脱帽。
    全作読もう。

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    2026年08月30日
  • ペッパーズ・ゴースト

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    淡々と進んでいく物語。魅力的なキャラクターたち。コミカルな会話。やっぱり伊坂幸太郎さんの本が好きだと思わずにいられない。

    ただ、ネコジゴの描写が辛すぎて何度か本を閉じた。猫の虐待の場面を乗り越えられてよかった。

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    2026年08月30日
  • 宙ごはん

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    とても良かった。家族の形や人と人を繋ぐ縁が料理で表現されていて人間模様は心に来るものがあった。宙の成長談としても良いし、人は表面的な断片だけで必ずしも推し量れないと改めて感じた傑作だった。

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    2026年08月30日
  • 鉄の骨

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    売れている作家さんの本はやはり面白いんですね。恥ずかしながら池井戸作品初体験でした。談合。言葉は知っているけれど具体的な中身は、と聞かれてもちゃんとは答えられない。その現場を読書にわかりやすくスリリングに書いてくれる。かつ、日本の労働人口の多くがサラリーマンな中、普通のサラリーマン社会が舞台の話はやはり入ってきますねー。長かったですが一気読みでした。

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    2026年08月30日
  • 刺青・秘密

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    短編集ですが、どの作品も他と重ならない、それぞれの面白さがありました。

    「文豪の作品」と聞いてイメージするような、取っ付きづらいイメージとは違って、かなり読みやすく感じました。
    読みやすいのだけれど、言語表現の何と豊かなことか。美しい日本語とはこういうものを言うのだと思いました。

    瑞々しい表現と、筋の面白さ。
    谷崎潤一郎作品の魅力に触れることができ、大変満足な読書体験となりました。

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    2026年08月30日
  • アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド 東京バンドワゴン

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    シリーズも21作目。堀田家のみなさんお元気ですか〜という感じで読む。お決まりの朝食シーン。今回は勘一さん、初めて真っ当な食べ方の選択というオチもあり、なんだかんだ長いお付き合いだなぁと思う。

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    2026年08月30日
  • おむこさんは殺人鬼

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    5話構成のショートミステリー集で各話いずれも途中でネタバレしない見事な筋書きで甲乙付け難い。
    中でも「答え合わせ」は、継父が殺されると言うミステリーにも関わらず、血の繋がり無くとも深い親子愛を感じさせ感涙もののヒューマンストーリーで、突出して素晴らしい作品だった。
    「震える箱」は一見頼り無い刑事・中平が飄々と事件の真相に迫って行くストーリー進行が何とも痛快な作品。その他3作も面白く、著者の確かな力量を味わえる一冊だった。

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    2026年08月30日
  • 鹿の王 2

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    いやー面白い! 医術の描写がしっかり表現されていてとてもいい。自分も医療に関わる人間だが、ホッサルたちの行う医療処置が自分たちの行う処置と寸分違わず表現されているところが特に好きなところ。
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    2026年08月30日
  • N/A

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    拒食症とか同性愛者とか、いろんなレッテルを貼られることに嫌悪感を抱く主人公・まどか。気持ちはわかる。レッテルを一枚貼られると、それとしか認識されなくなる。もっと言えば、その一部だけをその人の全てとして、その人の全部を理解したと思われてしまう。これは不快。ただ、このレッテル貼りというのは、人間が社会生活を送る上で必要なシステムでもあって、情報を端的に要約して手に入れるということは、効率性を生む。でもそれは相手にとって都合の良い部分だけを解釈されて自分がどういう人間なのかを乱暴に決めつけられる、といったことにもなりかねないわけで、やっぱり不快。
    まどか自身も、それを避けよう避けようとして、友人へか

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    2026年08月30日
  • パッキパキ北京

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    ネタバレ

    私は菖蒲の性格や人生、生き様を、正直に言うと好きになれない。みんなが菖蒲みたいに生きられたらいいのに、とは思わない。きっと友だちにはなれない。

    でも小説だからこそ、見知らぬ土地で力強く生きていく菖蒲の日常は知らない世界を覗き見しているようで面白かった。

    みんな好きに生きる権利がある。そう考えるのは全然間違ってない。
    そう思える菖蒲はかっこいいと思う。
    『でも、大丈夫、私が私を見捨てる日は永遠に来ない。』この文章が、ふとした時に私の心の中に浮かんでくる。

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    2026年08月30日