小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレこうやって本を読んでいる自分自身が、階級を意識していることをまざまざと突きつけられた。労働だけに汲々とする毎日を送る労働者階級ではないぞ、知的階級だぞ、と思いたい気持ちがないとは言えない。
スマホによって集中力がなくなって本が読めない、かと思いきや、情報化によって奪われたのは集中力ではなく「未知を受け入れる力」なのか。
ゆとり世代なのでさすがに仕事に全身全霊なんて論外だけど、趣味にも全身全霊を求められているという指摘はまさしくそのとおりで耳が痛い。オタクや推し活の文脈ではよく、もっとイベントに行け、もっとグッズを買えと煽られるが、それは資本主義と自己実現が悪魔合体した現代病なのだな。
自分 -
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ネタバレハインリッヒ・ハイネがその著書「アルマンゾル」で「本が焼かれるところでは、いずれ人も焼かれるのです」と記し、1933年5月10日にフンボルト大学にあるベルリン・ベーベル広場でナチス学生が反ナチス的図書と勝手に決めつけた2万冊の本を山のように積んで焼き捨てた。日本は第2次世界大戦中に北京の精華大学でナチスの10倍である20万冊の本を焼いた。今も共和党州であるテネシー州の州都ナッシュビルで同じように焚書が行われたが、トランプ狂信者のMAGAが遅れた野蛮な南部で本を焼いている。そのような現代だからこそこの小説を読む意義がある。
違法とされた本が燃やされ、その本が隠されている家も燃やす未来で、主 -
Posted by ブクログ
生まれながらにして運に見放された男、流れを変えるチャンスが巡ってきてもそれを掴めずに、ちょっとしたボタンのかけ違いから人生が悪い方向へと転がっていく男、真柴亮。
震災で幼い娘を津波にさらわれ絶望の淵に立つ男、二人を殺して逃亡する真柴を追いながら、彼の心情を深く理解する刑事・陣内。
震災で妻を失い、行方不明になった幼い息子を探す漁師・村木。
三人の目線で描かれる逃走劇は切迫感と焦燥感と哀切に溢れる。
自分はどこで間違ったんだろうと自問する真柴が切ない。プロローグで彼の行く末がわかっていながらも、どうか生き直してほしいと願わずにおれないこの感じは「盤上の向日葵」を読んだ時の思いに似ている。
刑 -
Posted by ブクログ
ネタバレ未知との遭遇、いわゆる「ファーストコンタクト」ものSFの大傑作。
上巻6章でブリップAとコンタクトしてからは、ページを捲る手が本当に止まらなかった。
宇宙船(現代)パートと計画(過去)パートを交互に描く構成が面白すぎる。それによって、主人公の宇宙船生活を読者に追体験させることに成功している。
宇宙船という閉鎖空間で、それぞれの母星のために体を張り続けるライランドとロッキーの友情がアツすぎた。ライランドがピンチに陥れば同様にハラハラするし、ライランドとロッキーがフィストバンプする時は一緒になってしたくなる。
加えて、怒涛のスピード感で奔走する計画パートもむちゃくちゃ読み応えがあって面白かった -
Posted by ブクログ
ネタバレ池井戸潤らしさのある、ストイックにアツい青春小説。お気に入りのキャラクターは辛島アナ。
箱根駅伝に行く夢を一度はたたれた者たちが集まって、それぞれの理由を胸に再び箱根駅伝を目指す物語。関東学生連合に着目するとは…。驚きの着眼点に脱帽。
池井戸潤らしいビジネスのエッセンスとしては、テレビ中継を行う局を同時並行で追う。箱根駅伝に関わる人たちを多角的に描写している。この構成が、スポーツを取り扱った池井戸潤の小説であるノーサイドゲームとは異なる部分。
上巻を読んだ感想としては、池井戸潤の理想とするマネジメントが様々な場面に描かれており興味深かった。諸矢や新監督の甲斐、テレビ局の徳重に共通しているのは「