小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ人は暮らす環境によって本当に大きく影響を受けるんだな、という当たり前だけど大切なことを深く実感させられる小説だった。
陽子さん、夫、そして息子。それぞれが置かれた立場や環境の中で少しずつ性格や関係性が作られていってしまうのは、生きていく上で仕方ないことなのかもしれない。
けれどラストで陽子さんが気持ちを入れ替え、生まれ変わるように一歩を踏み出したことで、それに引きずられるように夫や息子の関係性や雰囲気まで変わっていく。その変化を見て、これからこの家族は前よりもずっと居心地よく、住みやすい家庭を作っていけるんじゃないかなと思えた。
家族のあり方について考えさせられるとともに、最後は前向きな気持ちになれる良いお話だった。 -
Posted by ブクログ
監禁目的と思われる改築が施された民家で、男性の遺体が発見される。証拠が徹底的に消された奇妙な現場を前に、姫川玲子率いる捜査班が事件を追う。そこへ魚住久江が加わる。
被害者と加害者、双方の視点が丁寧に描かれ、読み進めるほど「いったい誰が被害者で、誰が加害者なのか」と揺さぶられる。単純な善悪では割り切れない。そして、人の悪意がやがて取り返しのつかない大きな悲劇を生んでいく。その悲しさが強く心に残った。
そして何より印象的だったのが、姫川玲子と魚住久江。
頑なに捜一への異動を拒んできた魚住が、なぜここにいるのか。その背景が明らかになったことにも納得。
人の心を読み取ることに長けた魚住の目を通して見る姫川玲子が、とても新鮮だった。直感と行動力で突き進む姫川と、人に寄り添い、その心を丁寧に読み取る魚住。まったくタイプの違う二人が互いを認め、刺激を受け、補い合っていく関係がいい。
これまでの出来事によって、どこか以前の勢いを失いかけていたように感じた姫川。しかし魚住との出会いによって、自分自身と向き合い、再び前へ進み始めたように見えた。
この二人なら、これからどんな姫川班になっていくのだろう。
そして、また思い切り“暴れる姫川”が見られそうな予感。
次作がますます楽しみになった。 -
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ネタバレプロット、登場人物の行動原理の辻褄、キャラクター性、すべてが美しい
倒叙スタートから連続殺人が起こり、主人公は犯人→助手→探偵へと。名探偵は名犯人へとジョブチェンジをし、物語の前提も1段階ずつ深い階層に降りていく。
そんな目まぐるしい動きをするのに、登場人物の行動原理は崩れていない。
むしろキャラクター性が突出していき、没入した。
執事やメイドがこんな異常行動するかななど細かな点の不自然さはあった。真実を知れば、その不自然さこそが自然。この回収も美しい。
最後のダークハッピーエンドもシニカルで良かった。
ガラスの塔の美しさに負けないほどに、この物語は美しかった。 -
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騎士道物語にハマったアラフィフの郷士キハーダが“遍歴の騎士”となり
近所の農夫サンチョを従士として冒険の旅に出る話……かな?
予想を上回る読みやすさ。そして面白さ。400年も読み継がれているだけある
笑えないレベルでドン・キホーテとサンチョがボコボコにされるんだけど(笑)いやもう、「そりゃそうだよな……」って流れだし、むしろ二人に遭遇した人たちに同情しがち(笑)
でもたまにめちゃくちゃいいこと言い出すから気が抜けない(元々郷士でたくさん本読んでたからか知識人なんだろうな)
サンチョがまたいい味出してるんだよなぁ……昔の漫画に絶対いるキャラ(笑)前歯出てそう(失礼)
一巻ではまだ二人は無名(むしろサンチョが合流するのが135ページ目と意外と遅め)なので、完全に頓珍漢なヤベェ奴らなんだけど、これからどう変わるのかが楽しみ!全六巻、のんびり読んでいく〜。 -
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川上未映子さんの、妊娠〜お子さんが一歳になるまでを描いたエッセイ。
妊娠中に購入して、妊娠週数や月齢に合わせて
読んで行った。そうする事で、「あぁ、苦しんでるの
私だけじゃないんだなぁ…」と思える精神安定にもなったし、なかなか人に会えないから川上さんとお話してるような気分にもなれた。
最後の章、一歳を迎えたお子さんとの日々を振り返っている文章で涙腺が決壊した。
本当に妊娠・出産って『大変』で、しんどくて、
でも嬉しい事もある、かけがえのない出来事だなと思えた作品でした。初めての妊娠・出産だったのでたくさん支えられました。
明日から仕事復帰。頑張るぞ〜! -
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僕は「ドルチェ」に登場する魚住は「嫌い」で、「ドンナビアンカ」に登場する魚住は毒気の無い、物足りない人物に見えていた。
今作「マリスアングル」については、姫川と魚住の邂逅と謳われているが、実際、魚住のキャラクターが姫川に及ばない、せめて菊田や日下、井岡に次ぐ程度の登場人物、合流になるだろうと捉えていた。
しかし、まさか魚住を用いる事によってこんなに劇的に作品の雰囲気が変わるなんて。今作に登場する「魚住」は正しく僕の期待した通りの役回りであり、だからこそ彼女が主人公の二つの作品はとても残念だし、三作目を是非とも現在の時間軸で発表して欲しいと思う。
事件は男性の監禁、殺人事件であり、とある家から発見された身元不明の死体と同時期に病院に運び込まれた交通事故にあった重体患者について姫川班が捜査する事になっている。
姫川が武見といつのまにか深い仲になっている事に驚いたが、武見は相変わらず飄々としており、いまだにつかみどころがない様に見える。
今作は登場人物の読ませ方がとても上手で、姫川、魚住それぞれの役回りがとてもわかりやすく割り振られている。また、脇役の使い方も上手で、菊田、日下や小幡、井岡は勿論の事、若い初登場の警察官達も姫川魚住との関わりが読み取り安くなっている。今作の犯人に比べれば可愛いものだが、ガンテツがわざわざ魚住に忠告する為に現れたのも印象的だ。井岡とガンテツはある種のスパイスになっていて、特に井岡は毎回どこで登場するのかが楽しみになってしまっている(笑)今回も活躍はしており、もう少し評価されてもいいのになぁと思う(笑)
魚住が姫川班に入った事で殺伐とした今までの作品よりも少しマイルドになった印象。姫川が魚住の言葉を受けて自分を許し、幸せになるストーリーもあるかと思うし、更なる逆境に向かう可能性もある。
魚住が犯人に向き合う場面は実物だが、一方で今回の黒幕的な嫌な人物と相対したらどの様にするのか見てみたい。
完全に玲子と久江は対になる形で描かれていて、それぞれの長所、短所の組み合わせが見事に調和している。今後もシリーズが楽しみである。 -
Posted by ブクログ
すごい壮大な話だった。
コンクールだからもちろん順位も気になったが、それぞれ楽しく弾いているような気がして、誰が1番になってもおかしくない中で、すごい心を揺さぶられた。
特に「ギフト」という表現が素敵だと思った。
誰に対してのギフトなのか、起爆剤になってよりよくしてくれるなら、すごいいい効果だと思う。
塵の演奏は、心を躍らせてくれる、素敵な音色なんだろうなと思った。
私は音楽に造形が深くないが、国語のテストの「作者の気持ちになって考えよ」みたいなものだなと思った。
もちろん模範的な考えは〇を貰えるが、よりその物語について考えるきっかけになるのが塵の演奏なんだろうなと感じた。
そしてよりその物語を好きになるのも塵の影響なんだと思った。
明石のことを応援していたが、結果的に「最後」となってしまっても、作った人に褒められるというのはとても嬉しいだろうなと感じて、私も嬉しくなった。
この後どう「ギフト」が作用するのかも見たかった。
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