小説・文芸の高評価レビュー
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百瀬の言ういじめ論なかで説明される「欺瞞と嘘で塗り固めた暴力性」に違和感があった。たしかに、彼の主張には誤りが多く含まれる。それを一つ一つ反論し説き伏せることもできる。しかし、それを乗り越えても、納得させられそうな気持ち悪さを拭うことはできない。なぜか。
川上未映子曰く、
"創作の動機として、常に倫理全般への欲望があります。信仰や善悪や生命倫理……その中でも生殖は発端という感触があります。妊娠して出産をするというのは、いったい何が何をしていることなのか。それはいいことなのか、そうでないのか、あるいはそういった評価と関係ないことなのか。書くことで理解したいとかではなく、自分が問題だ -
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ネタバレ『カフネ』というタイトルのやわらかさとは裏腹に、喪失や孤独、人との距離感が丁寧に描かれた作品だった。第8回未来屋小説大賞受賞作ということで手に取ったが、「食べることは生きること」というテーマが強く心に残った。
主人公の野宮薫子は、急死した弟の遺言によって、弟の元恋人・小野寺せつなと出会う。遺産の受け取りをせつなはあっさり断り、最初はどこか他人を寄せつけない雰囲気を感じさせる。しかし、家事代行の仕事を共にする中で、薫子は少しずつせつなの優しさや不器用さに触れ、二人の距離もゆっくりと変化していく。特に、食事を通して相手を支える場面が印象的で、温かな料理が人の心を回復させていく様子が丁寧に描かれて -
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記憶として残らなくても、愛は確かに心に残っていく。
記憶に裏付けされていない愛でも、それは間違いなく愛であり、人はちゃんと愛を交わし合えるのだと感じられる作品だった。
˖ ⊹ ࣪ ˖ ☽ ⊹ ࣪
博士とルートの間には2人の間だけの確かな絆があって、主人公と博士の間のそれとは違うものを感じた。
共通する思い出がなくとも、即座に通じ合える、子供時代の友達のような特別な絆。
だからこそ、記憶が積み重ならなくても、信頼や友情、愛情は育んでいけると信じられた。
ルートの何気ない言葉からも、博士を大切に思っている気持ちが伝わってきて胸を打たれた。
野球場の場面も良かった。
相手の立場に立って考えら -
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はじめは、頭の中の一人語りを全て言語化しているような文章がちょっと疲れる感じがして、最後まで読むのに時間かかりそうだなと思ったのですが、みなさんの感想がいいのだしと頑張って読み進めたところ、あと半分になったところくらいからは一気読みでした。
ご近所さんたちとの出会いと別れ。何も起きたり進んだりしてないようで、気づかないくらいにちょっとずつ進んでいる感じかな。それが途中からなんだかとても心地よかったです。
現実にこんなにご近所がみんな気さくに話しかける人ばっかりってことはなかなかないと思うのですが、そこは幹太くんの人柄ということでしょうか。戸田さんに最初に言いたくてモヤモヤしていたことを、最後つ -
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田村と光司は架空の人物でしょうが、被災地のエピソードは全て取材に基づいた事実。
田村が筆者、光司が読者の分身なのだと思います。
作品内でも触れらているが、東日本大地震において絶望のまま時が止まっている部分には触れず、絶望の中でも希望を持ち、少しでも進もうともがく人に焦点をあてた本になっている。
あれから15年。直接の被害のなかった人にとっては、東日本大震災は過去の歴史となりつつある。しかしそうではない。あの震災を歴史の1ページとして刻むにはあまりにも早すぎる。被害、教訓、恐怖、悲しさ、苦しさ。そのさまざまをいつまでも忘れずに、伝え、考えていかないといけないのだという生の被災地をみて、生の声