小説・文芸の高評価レビュー
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コロナ禍ぶりの再読。発売した頃は大学の対面授業は再開していて、小中は黙食してて、緊急事態宣言出たら県外のイベント行けなくて、職場の飲み会はまだなかった頃だ。もちろん海外渡航なんて絶対ダメで、あの頃はまだこの雰囲気がリアルだったな。なのに今読むと隔世の感っカンジがする。
M&Oシーズンをそのうちぜんぶアニメ化するとして、しのぶスーサイドはどうやるのかな……? コロナ禍じゃなければ、どう阿良々木暦の大学生活を閉じるつもりだったんだろう。それも書いてアニメ化とかしてくれないかな。
てかここでも余弦とディストピアの因縁は明かされず、初出は忍物語の副音声? -
Posted by ブクログ
『エピクロスの処方箋』(夏川草介)を読み終えた。前作『スピノザの診察室』も非常に心に残る傑作だったが、今作はその感動を何倍も大きく超えてきた。
何度も目頭が熱くなり、静かに涙を拭う瞬間があった。今年読んだ小説の中で、間違いなくナンバーワンの一冊だ。読み終えた今も、この物語の世界観にずっと浸っていたいという余韻が抜けない。
主人公の「マチ先生」こと雄町哲郎は、かつて大学病院で将来を嘱望された優秀な内科医だ。特に内視鏡の操作技術は「神技」と称されるほどピカイチ。しかし日常生活の身の回りのこととなると途端にとんと疎くなる、愛すべきギャップを持った人物である。彼が輝かしいキャリアを捨て、京都の小さな地域病院「原田病院」へ移った背景には切ない理由がある。亡くなった妹・ナナさんの忘れ形見(甥)である小学4年生の龍之介くんを引き取り、育てるためだ。身寄りのない龍之介くんと真摯に向き合うため、多忙を極める大学病院を離れる決断をした。
そんなマチ先生の根底には、前作のスピノザ、そして今作のエピクロスに通ずる深い人間哲学がある。「医療では、人は救えない。人を救うのは、人だ」——ただ病気や病変を治すための処方箋を出すのではない。冷静沈着で達観しながらも、患者のためにできることを一つひとつ積み重ね、心穏やかに過ごせるための「安心感」まで処方しようとする彼の姿勢に、何度も心を打たれた。
今回の物語の大きな軸は、かつてマチ先生が激怒させ、医局を去るきっかけとなった絶対権力者・飛良泉教授の父親の手術だ。マチ先生の腕に全幅の信頼を寄せる仲間・花垣准教授とともに、この極めて難易度の高い症例に挑むことになる。大学病院特有の政治的思惑や権力闘争が渦巻く中、本来そうした泥臭い事情を嫌うマチ先生だが、物語を貫くのはどこまでもまっすぐな人間ドラマだ。
特に存在感を放つのが、大学病院から研修に来ている南茉莉先生だ。思惑や立場に振り回されがちな大人たちに対し、「患者の意思はどうなんですか?」と、物事の本質を真っ直ぐに問いただす。このブレない姿勢が本当に心地よく、胸を突く。そして憎いのが、マチ先生と南先生の関係性だ。南先生の側には深い尊敬を超えた恋愛感情に似た思いが見え隠れし、無意識かもしれないマチ先生とのやり取りに、読者としてはハラハラ・やきもきさせられっぱなしだった。また、まっすぐに健やかに育つ龍之介くんの存在も、この物語に温かい光を注いでいる。
この小説は単なる医療ドラマにとどまらず、現代の「医師不足」や社会構造の根深い問題にも鋭く切り込んでいる。権利ばかりを主張し、私利私欲や楽な方へと流されてしまう風潮。全体を見渡し、本当に何が必要なのかを自分で考えて選択できる人間が減っているという現実は、決して医療界だけの話ではない。
自分自身が教員として日々現場に立っているからこそ、この問題は痛いほど胸に響いた。「楽な方に流れるな、目先の私利私欲に流されるな」と子どもたちに伝えていくことの大切さ。そして、多様な背景や事情が絡み合う現実の中で、それを貫くことの難しさ。自分自身の生き方や、教育者として何を伝えていくべきかを強く考えさせられた。
感動で涙が溢れる名場面の連続でありながら、深い社会的メッセージと人生哲学が込められた圧巻の傑作。近いうちに必ず再読したい。この素晴らしい世界観と「処方箋」を、ぜひ多くの人に味わってほしい。 -
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おもしろかった!
4人の友情が羨ましかった。
この方々と自分も同世代であるが、知人たちは、若い頃も知ってはいたけど、年をとると、また違う人になっていたりして、頻繁に会うことと疎遠を繰り返して、なお友達同士っていいなと思った。
みんな頑張り屋さん
夏枝さん、本当努力して仕事も繋げて、尊敬しました。
とても辛い時期もあっただろうけど、持ち前の明るさと自分が叶えたいものを掴み取る力がすごいなと思う。
自分のことをよく考えてるんだろうな。
過去があっての今なんだろうな。
過去から学んでるんだろうな。
一緒に歩いてくれる、仲間に入れてくれてる感じの小説で、励まされました。
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Posted by ブクログ
馳星周さんとの出会いは少年と犬でした。
海霧。男、女、老犬、そして愛と死。
帯を見た時にやんわりとぼんやりと話の展開を想像して購入しましたが、物凄い速度で北海道を舞台にした物語に引き込まれました。
ヤクザがらみの割にその辺りの攻めは少し甘かったものの(そこではない)状況、心情、情景はとてもリアルに伝わってきました。動物病院の木幡の所でジリの具合を診てもらい、そこを離れるまでの場面では心拍数が上がって休み休み読んでいました。
ジリの存在は大樹にとって人間が変わるほどの存在であり、霧子もまた生きている間に愛すると言うことを知る。
今回の物語では犬でしたが、動物は人間に愛することを教えてくれる大切な存在なのだと改めて感じました。
ラストは涙を堪えられず心拍数を無視して読み切りました。
「人は死ぬ。必ず死ぬ。時に呆気なく死ぬ。」
誰でも必ず死ぬ、でも決して呆気なくではなかった。
大樹のジリと霧子への愛が心に染み入ってきた素晴らしい作品でした。
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