小説・文芸の高評価レビュー
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ネタバレ撮影中の事故により三たび映像化が頓挫した“呪われた”小説『夜果つるところ』と、その著者・飯合梓の謎を追う小説家の蕗谷梢は、関係者が一堂に会するクルーズ旅行に夫・雅春とともに参加した。船上では、映画監督の角替、映画プロデューサーの進藤、編集者の島崎、漫画家ユニット・真鍋姉妹など、『夜果つるところ』にひとかたならぬ思いを持つ面々が、梢のインタビューに答えていく。
インタビューを通じて『夜果つるところ』およびその作者飯合梓の人物像に迫っていく
物語を通じて何故『夜果つるところ』が、呪われた映画になったのか、が明らかになるのかと思っていたら、そこはベールに隠されたままであった。
しかし、それを上回るような飯合梓の人物像の推理が面白かった。
また、インタビューや船旅を通じて夫の雅春が死別した妻との整理ができたのも、その過程が美しくとても良かった。 -
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読んでてしんどかった。周りと違うあみ子。「のり君好きじゃ」というあみ子の言葉、のり君にとっては破壊力の持つ暴力。あみ子は真っ直ぐで優しい女の子なんだけど、周りの人たちには絶望感をもたらす。ピクニックは違う角度でまた怖かった。虚言を話す七瀬。それを応援するルミたち。七瀬の虚構を暴くのではなく、その虚構を完成させる方向に加担するルミたちの応援は本当に残酷だった。ルミたちの心情はわからないが、後戻りできないところまで七瀬を追い込んだ。結局、街を出たといった七瀬のアパートにルミ達は行き、玄関の外から聞き耳を立てている。七瀬のことを心配していないし、嘘を確認しに行っている。
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大好きな斜線堂有紀先生の短編集
SFチックな話が多く、かなり読み応えがあった。
個人的には「奈辺」と「回祭」が好み。
「奈辺」
黒人を心底見下す白人のヒューソン、
優秀だが産まれから奴隷として生きるシーザー、
16世紀の差別真っ只中の時代で、
肌の色から交わるはずの無い2人が
ある日“緑色の肌”を持つ宇宙人との出会いから、
親交を育み、とある事件を起こす。
昔からSFはよく読むので、
受け入れやすいストーリー構成だった。
かなりサッパリした終わり方で、
斜線堂先生にしては珍しい(?)読後感。
「回祭」
性格の悪いお嬢様と
親を亡くし貧困に喘ぐ主人公の交流。
主従関係の百合的な属性を持つ話は
「玉野五十鈴の誉れ」「荊の城」などを読んできたが、
単なる恋や愛ではない、複雑な心境の落ちどころをどう描くかが良作足る基準だと考えている。
そこを、SFならではの特殊設定でオチをつける運びから、斜線堂先生得意の耽美で陰があり、
それでもどこか満足に至る登場人物の心理描写を
味わうことができた。 -
Posted by ブクログ
離婚後の楽しい話なのかな?と思って読み始めたら、思った以上に現実的でグサグサくる話だった。
子どもがいなくて、仕事もあって、自分でそれなりに稼いでいる。それなら離婚したって、お金があれば自由に生きられるんじゃないかと思う。
でも、実際はそんなに簡単じゃない。
老後を一人で過ごすこと。
婚活。
年下の恋人との不安定な関係。
誰かと一緒に生きるなら、何かを妥協しなきゃいけない。かといって、一人で生きることにも寂しさや心細さがある。なんで人生って、こんなにうまくいかないんだろう。
現実って難しい。
そして読んでいて思ったのが、マリエさんみたいに生きられる人って、実はそんなに多くないんじゃないかなということ。
マリエさんには自分で生活できる仕事や収入があって、子どももいない。
もし子どもがいたら、離婚したあとも自分の気持ちだけで人生を決めることはできない。
経済的なことや子どもの生活、元夫との関係……考えなきゃいけないことは、もっと増える。
だから「離婚して自由になった!」なんて、そんな単純な話ではないんだと思う。
それでもマリエさんは、何かを選ばなかった。
結婚することも、再婚することも、誰かに人生を預けることも。それはそれで、いいな!と思えた。
読んでいて楽しいのに、現実がどんどん浮き彫りになってくる。
でも最後には、
「あたしもマリエさんみたいに、もう少しゆるく生きてもいいのかも」と思えた。
人生に、これが正解っていう選択肢はないのかもしれない。
だったら、無理に何かを選ばなくてもいい。
自分なりのペースで、ゆるく生きていくのも悪くないのかも。
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