あらすじ
2021年4月、私は突然膵臓がんと診断された――。夫とふたりで無人島に流されてしまったかのような日々を、作家は日記として綴った。痛み、吐き気、発熱に悩む毎日。食べもののおいしさや本の面白さに喜びを感じる時。振り返るこれまでの人生。夫への感謝と心配。「書きたい」という尽きせぬ思い。別れの言葉は言っても言っても言い足りない。58歳で急逝した著者からのラストメッセージ。(解説・角田光代)
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
初めて読む山本文緒作品が『無人島のふたり』でした
涙を流し続けながら一気に読み切り、身体中の水分が抜けてしまい、頭痛や吐き気までしてくる始末
最後へむかう日々を綴った文章に
まるでわたしが経験しているかのように
様々な感情が過ぎていき、読み終わった今
親しい人をなくした喪失感のようなものが残ります
インスタの写真や追悼記事も拝見しました
遅ればせながらこれから作品を巡っていこうと思っています
Posted by ブクログ
自分ごとのように読んで、同じことが自分や、自分の大切な人に起こってもおかしくないことに気付き、泣きながら読んだ。
文緒さんも書いているが、自分が亡くなった後に残された旦那さんが可哀想だと、何とかしてあげたいけどできないんだと、自分が居ないところで旦那さんを励まし話を聞いてくれる人がいて良かったと、節々で心配されていた。
旦那さんが、ホワイトソースから手作りしたグラタンをオーブンから出す時にひっくり返して泣いていたという話は、私も中学生の頃ガトーショコラで(焼く前だけど)同じことやって大泣きしたなぁと思いながら、大人が泣いてしまうほど色々きていたんだなと思った。
『自転しながら公転する』で知り、『アカペラ』も好きで、他にも色んな作品を読みたい。日記の中でかかれていた戸籍の女性の話も、読みたかったなあ。
Posted by ブクログ
山本文緒の突然の訃報はショックだった。
彼女が直木賞を受賞し、順風満帆といわれていたさなかに鬱病を発症したと知った時から、彼女の作品及び生き方は、結構私の支えだった。
体調が悪いらしいという噂も、単なる読者である私にまで届いたのだから、相当悪いのだろうとは思っていたけれど、まだまだ時間はあると思っていた。
この本を読むと、がんと診断された時点でもう手の施しようはなかったという事実にうちのめされる。
タバコを吸わず、暴飲暴食もせず、毎年きちんと健康診断を受けていて、なお。
余命4カ月。
どうすることもできない無情。
私が毎日本を読まねばいられないことを「業」と言っているように、彼女にとって書くことは「業」だったんだろう。
5分とソファに座っていられないような日のことも、日記には書かれている。
なぜ『無人島のふたり』なのかといえば、コロナ下で、軽井沢という移住した矢先の土地で、極力在宅で生きようとするふたりは、さながら無人島にふたりきりの心持だったのだろう。
週一の訪問看護の先生のことを、無人島に毎週物資を届けてくれる本島の人と表現している。
だるくて苦しくて辛いとき、読書もSNSもできなくて「頭が暇」という感覚は私もわかる。
テレビなどを見て「手が暇」な時は、編み物などをしたりしていたこともあるけれど、手作業をしていて「頭が暇」な時は本当に困る。
体力が落ちるということは、頭の暇とも戦わなくてはならないのか。
それでも『逃げても逃げても、やがて追いつかれることを知ってはいるけれど、自分から病の中に入っていこうとは決して思わない』と、そう書ける強さを彼女が持っていてよかったと思う。
緩和ケアを選んだところで、病気はやっぱり辛くて苦しい。
突然の発熱、嘔吐、不眠、倦怠感、赤裸々に書かれるそれらは、どれほど精神的にも苦痛をもたらしただろうと思う。
けれど彼女は『未来はなくとも本も漫画も面白い』と書いてくれた。
また彼女から支えをもらった。
Posted by ブクログ
自分にとって大切な本になりました。
出会えて良かった。そして闘病の本なのに読んでいる私が励まされた。日記も書きたくなり書き始めました。今も空で好きな本を読んで美味しいカフェで楽しんでいて欲しい。
Posted by ブクログ
58歳。早いです。
泣きながら読みました。恥ずかしながら山本さんの著作にこれまで触れた事はありませんでしたが、これから読んでいこうと思います。
心身共に辛いであろう闘病生活の中にも関わらず、ユーモアを散りばめた優しい文章。素敵な方だったんだろうな、と。
自分がいつ生涯を終えるか分かりませんが、なんとか両親よりは長く生きたい。子供よりは早いのは仕方ないな。妻よりは、、、
誠に勝手ながら妻よりは先に逝きたい。逆は耐えられる自信がない。
Posted by ブクログ
2021年4月に膵臓がん4bと診断され、10月に他界する直前までの日記。病気の進行もリアルにわかるので、心が丈夫で、体が元気な時に読んだほうがいい。
別れの覚悟はできているし、いろんなことに整理や始末をつける手続きは進めているものの、心の持ちように思案する、居場所が見つからない筆者の気持ちが伝わってきた。ずっと「死ぬのは怖くないけれど、どうしていいのかわからない」といっていた母の気持ちがようやく、なんとなくわかった気がする。旅立つ前の所在ない気持ちをしっかり書き留めてくれてありがとう、と感謝したい。
Posted by ブクログ
自分の方が当然長生きすると思っていた、という傲慢さ。書きたいという強烈な願い。直接的ではなくても、ふとしたことをきっかけに感情が溢れてしまうこと。もっと作品を読みたかった。
Posted by ブクログ
120日以上生きなくちゃ日記。正真正銘山本文緒さんの日記です。余命宣告を受けてからの日々。楽しい日、辛い日、リアルな毎日が山本文緒さんの言葉で書き連ねられています。
生と死を自分事のように感じ、山本文緒さんの夫と別れたくないという記述とその頃にはもう私はこの世に居ないという記述のギャップに涙腺を揺さぶられ、この作品を手放すことができず、一気読み。正直キツかったです。
タイトルの意味を知ったときなんてもう危ない。しかも日記であるため、日付を重ねるごとに辛く…。辛いのは本人なのに。
きっとこの先何度も何度も読み直すであろうこの作品を今は大切に保管したい。
Posted by ブクログ
大好きな作家さん。まだまだ書き続けて欲しかった。これから、おばぁちゃんになった文緒さんの描く世界を知りたかった。
お別れ会に行けなかったけど、お別れさせてもらえた気分。これからもずっと大好きです!
山本文緒さん、中学生のころに読んで以来大好きな作家さんです。
小説が素晴らしいのはもちろん、「そして私は一人になった」「再婚生活」などのエッセイも大好きで何回も読みました(再婚生活はメンタルの影響もあるので、気軽には読めませんが)
どの作品も自分の心の奥の気持ちを代弁してくれているような気持ちになる唯一の作家さんです。
まだまだたくさんの作品を読みたかった。
そんな方が最後に遺されたエッセイ。ずっと、死ぬ時ってどんな気持ちなんだろうって小さい頃から疑問でした。その答えの1パターンを、まだ生きている私たちに教えてくれたのがこの本です。
もしかしたら自分もそうなるかもしれない、未来の恐怖にたくさんの希望をくれました。
後半を読んでいただければ分かると思いますが、なかなか出来ることではないです。
できたらたくさんの方に読んでいただきたいと1ファンながら思います。
Posted by ブクログ
余命4ヶ月から半年と告げられた山本文緒さんの最期の日々
夫と二人過ごすこと=無人島
訪問診療やお見舞いに来る友人は本土から無人島を訪れる人たち
そしていつか夫も本土へ帰る日が来る
壮絶な、とか闘病、という言葉は似合わない
山本さんは逃病と表現したけど、辛いこと苦しいことから逃げることの何が悪いのか
淡々とした日記から溢れる山本さんのまわりへの眼差しに涙が止まらない
この本に出会えて読めて良かった
Posted by ブクログ
山本文緒さん。
大学時代の大事な友人に勧められて読み始めた、思い出深い作家さんです。
友人とは、作品の感想を言い合ったり、解釈の違いで軽い言い合いをしたり、おすすめ作品を紹介したり、金欠時には交代で購入して貸し借りしたものです。
なので、山本文緒さんの作品を手に取るたびに友人を思い浮かべ、連絡してみようかなという気になりました。
訃報に触れたときも、真っ先に友人の顔が浮かびました。
もう新しい作品が読めないのは辛いですが、友人との楽しい時間が文緒さんの作品とともにあったこと感謝します。
「うまく死ねますように」(5月21日(火))
この言葉が私の中に残っています。
読んでいて涙が出るけど、ユーモアも散りばめられていて、さすが文緒さんだなと思います。
解説の角田光代さんも書かれているように、「読み手を気遣」っているのでしょうね。
フィクションだったらどんなによいか、でも悲しさや辛さ、痛みだけではない、文緒さんが見られました(読めました)。
旦那さんとのツーショット写真、ふたりの雰囲気が似ていて、幸せそうで素敵です。
Posted by ブクログ
読む勇気がなくしばらく置いていたが、気持ちが落ち着いた時にページを開き一気読み。
ガンを告知されてから最期の瞬間まで、自分が著者のそばで見守り共に生きてきたよう。身内のような大切な人を亡くしてしまった喪失感でいっぱいになり、とても悲しい。彼女のいなくなった無人島の周りを、流木につかまり漂流しているかのよう…。
線香花火のように、火花が大きく小さくなりながらも美しく燃え続け、最期まで作家として生きた彼女の生涯。普通の闘病記とは違い、人間の最期に至るまでの心のありようがありのままに綴られていた。書くことは物凄く力量がいり大変なことだが、著者の書いていたい、書かずにはいられない気持ちが伝わってきた。
自分は最期をどのように迎えるのだろうかと想像せずにいられなかった。いつか迎えるその時のために、後悔なく生きたいと切に思う。それを山本さんは身を以て伝えてくれたのかなと胸が締め付けられるような思いがした。沢山のことを伝えてくれてありがとうと感謝の気持ちを伝えたい。ご冥福をお祈りします。
Posted by ブクログ
「できればもう一度、自分の本が出版されるのが見たい」
山本さんほど多くの作品を発表している方がそう思われるのか、と思った。想像でしかないけれど、やはり作家さんにとって自分の本が出版されるのは特別なことでありその一冊一冊の経験が宝物なのだろうな。
それは矜持というより、性(さが)なのかもしれない。
読み始めてすぐ、旦那様がとても素敵な方で山本さんと仲が良いことが伝わる。だからなんでこの二人を引き離すのか、とつらくなった。
お二人が笑い合う写真が泣ける。
命の期限が見えてきた時、人はどういう精神状態になるのか。
たまに、自らの時間が残り少ないことをまるっと受け容れて達観する登場人物が小説などのフィクションで見られる。
それを否定する訳じゃないし現実にもそういう人はいると思う。ただ、この本には山本さんの苦痛や弱い部分、葛藤、ネガティブな思考に沈む姿が正直に記されていて、心を抉られる痛みを強く感じた。
(もともとが山本さんの日記だから、正直な気持ちが綴られているのは当たり前だけど)
Posted by ブクログ
買ったままなかなか手を付けられず、後回しにしていた本書。
ようやく手に取ったが、最初のページをめくった時から涙があふれ、鼻をすすりながら読み進めた。
あさイチで久しぶりにお姿を拝見し、軽井沢のお住まいはとても素敵で、お幸せそうだったのが印象に残っている。
癌が発覚したのがその4ヶ月後。半年後、逝去。
短い。あっという間ではないか。
だが、このあっという間の出来事を日々綴り、本にしたことに驚き、改めて、根っからの作家なんだと感服。
何度か綴られていた「うまく死ねますように」という言葉が辛い。
「死にたくない」という気持ちと現実との葛藤があったことは想像に難くない。
月単位で考えていたことが、週単位に、明日、になっていく。
命には限りがあることを突き付けられた思いがした。
解説でも触れられていた、最後に記された日に綴られていたこと。
私の父も癌で、緩和ケアを受けていたが、ああいう状態だったのだろうかとまた涙。
こんなものを読みたいと思ってくれる人がいるのだろうかと序盤で綴られていたが、とんでもない。
とても良いものを読ませて頂きました。
ありがとうございました。黙祷。
Posted by ブクログ
最近読んだ中では、かなり衝撃的に感情を動かされた1冊となった。恐らく昨年何かのネットニュースで山本文緒さんのことを扱った記事を読んでいたから、書店で手に取った時にはピンときていた。読み始めて、ところどころ涙がぽたぽたとこぼれてしまう部分もあった。だけれど、解説に角田光代さんが書かれているように、私たちはこの本を読むことで人生が終わりに向かっていく感情を追体験することになるのだ。私自身は、6年ほど前にサイレント癌で50代でなくなった叔母のことを思い返しながら読んでいた。山本文緒さんご自身も、亡くなられる数年前から、身近な編集者やお父様を失くしていて、死というものはそれなりに近くに感じていたはずだ。でも、まだ自分には命がある、そう思って疑わないときにブラックホールのように死は迫ってくる。
口先だけでいつ死んでも良いように悔いなく生きるとか言っていても、本当に直面した人の気持ちは分からない。この本は、それを追体験させてくれ、まだ命のある私たちに励ましさえ与えてくれる。
Posted by ブクログ
泣けた
ガンの残酷さを知った。
上手く死ねますようにが悲しい、サヨナラをするけど心の中ではサヨナラしたくないそんな気持ちが伝わってきた。
Posted by ブクログ
〈不健康〉になったときに、最も《健康》の有り難みを痛感する。。。私も40年弱生きてきて、何度かそんな経験をしているはずなのに。なぜか健康でいるうちはそれを疎かにしたり、そばに居てくれる人に不満を抱いたりする。。。そんな馬鹿な「人間」をも、"無人島"にいらした山本文緒さんは、ユーモアとともに自らの最期まで、「生と死」についての考察に優しく導いてくださった気がします。ありがとうございました。どうせなら愉しく生きねば。
Posted by ブクログ
生活の中にゴールが見えていて、終わりの方はどんなに読むのが苦しいかなとちょっと怯んでいました。でも、途切れ途切れながらも、生きていて、歩んだ跡があって、素敵だなと思いました。
山本さんの本はこれが一冊目です。
もっと読みたくなりました。
Posted by ブクログ
なんだかべしょべしょに泣いてしまった 大変なのはご本人なのに
ドラマの中の世界のように遠く感じていたものが、日記によって自分にも起こるかもしれないのだとハッとした
「負け惜しみではなく、とても幸せだ」というフレーズが好き いつになるか分からないけれど、自分の最期の日々も幸せを感じられたらいい
Posted by ブクログ
本当に亡くなる直前まで、こんなにもしっかりと日記を書き続けられていたことにまず圧倒される。角田光代さんの解説にもあるように、色々な場面で「自分だったら..」と想像した。特に一緒に暮らす夫について。夫の悲しむ顔を見たくないと書いていたり、医療関係者の方々にも申し訳ない気持ちが書いてあったり、すごく気遣いの人だったのだなぁとも思った。ご夫婦での写真が素敵すぎてグッとくるものがあった。他にもエッセイなど読んでみたいし、改めて、亡くなったあとでも作品が多くの人に読まれ続ける作家という仕事は偉大だなぁ。
Posted by ブクログ
著者が亡くなる直前まで書き続けた闘病記。ご本人の苦悩はもちろん、ところどころ記される旦那様の思いに心揺さぶられた。自分が死ぬ時、妻に何かあった時、自分はこんな風に相手を思いやれるのかな、そうありたいな。。。
Posted by ブクログ
「思い出は売るほどあり悔いはない。悔いはないのにもう十分だといえないのが、人間は矛盾していると思う」
この文にぎゅっとなった。
生きる、生きたいって、ほとばしってる。
満たされないものを抱えているような日々は、明日に。その先に。
私たちを突き動かしているんだな。
山本さんの「自転しながら公転する」が好きだったから、また読みたくなった。
Posted by ブクログ
目に見えない病に毎日できることや気持ちを大きく揺さぶられて、次の桜を見ることはないだろうとか、大切な人を遺して逝かなければと思いながら生きることは、どれだけ大変だったろうと思う。けれど、辛いだけの本ではなかった。
美味しかったものや綺麗だったもの、これから出版される本のことなど、「逃病」して残された時間を生きることに目を向けるのは勇気ある素敵な生き方に見えた。
読みながら感じたのは、外野から見れば無人島じゃなかった、ということ。
編集部の方達や友人、近所のお店の人などたくさんの人が出てきて、それはきっと山本さんの人柄というか、書きたいものが「人」だったのかなと感じて、優しい気持ちをもらったような気がした。
けれど同時に、そういう日々だったとしても、ご本人にとっては無人島にいるような寄る辺ない気持ちが大きかったのかな、とも感じる。
そういう部分を飾らずに見せてもらって、感じた色々な感情をこれから少しづつ消化していきたいと思う。
素敵な本を遺してくださってありがとうございました。
ご冥福をお祈りします。
Posted by ブクログ
自分自身も同様の病を得ていることもあり、人ごととはとても思えない。こうやって人は死んでいくのだというお手本になったし、山本さんと同じようにこれまでお世話になった人たちにお別れを言ってから逝きたいと思わせられた。
Posted by ブクログ
カウントダウンより山本文緒さんの事を知り(遅すぎ)最新版を読もうとしたら闘病記であるこちらを見つけました。
タバコも吸わず暴飲暴食もせず人間ドックにも毎年いき、健康には大変気遣っていたのに何故?
ステージ4aになる前にわからなかったのか…と思ってしまいました 人間は必ず死はやってきますが、余命宣告され死と直面したらどうなってしまうのか…
体調が浮き沈みする中、日記として綴るなんてホント強い方ですね 気持ちが落ちてる時だったのでちょっとネガティブになってしまった。
しかしご夫婦の中がとてもよく旦那さんがずっと寄り添ってくれてホッコリさせられました。
Posted by ブクログ
タイトルを見たとき、私はてっきり、のんびりとした無人島生活を描いた、癒し系の物語だと想像していました。
ですが読み始めてすぐに、その予想は完全に裏切られます。
いきなり主人公が余命宣告を受けるところから物語は始まり、抗がん剤治療の辛さから緩和ケアを選ぶというところから始まります。
この時点で、生半可な気持ちでは読めない本だと強く感じました。
本作は事実をもとにしたエッセイです。
そのため、一見すると何気ない言葉にも、生きてきた時間の重みや死と向き合う切実さがにじみ出ていて、読むたびに胸にズシリと響いてきます。
物語を楽しむというよりも、作者の想いや日々の感情を一つも取りこぼさないように、丁寧に受け止めながら読み進めました。
体調の良い日と悪い日が交互に訪れる中で、良い日にはカフェへ行ったり、お世話になった人へお別れの挨拶と感謝を伝えたりする姿が描かれており、どの場面にも誠実な生き方が表れていました。
私自身も、もし同じ状況に置かれたら、こんなふうに人との時間を大切にし、静かに別れを伝えることができるだろうかと自問させられました。
「最後の日まで日記を書き、それを本にする」という明確な目標を持ち、それに向かって毎日を過ごしていく姿勢には、本当に心を打たれました。
死を前にしてもなお「伝えること」を諦めない強さに、深い尊敬の念を抱きました。そしてこの作品は、私自身がいつか「自分がいなくなる日」を迎えるとき、どう生き、どう準備するのかのヒントにもなりました。
この作者の作品は初めて読みましたが、「自転しながら公転する」を録画したままだったので、さっそく見てみたいし、他の作品も読んでみたいと思いました。
この作品は、死を扱っていながらも、決して絶望的ではなく、むしろ人がどう生き、どう人と関わっていくのかというテーマをに問いかけてくれます。
最後まで生きること、そして感謝の気持ちを忘れないことの尊さを教えてくれた、忘れられない一冊になりました。
Posted by ブクログ
膵臓癌、突然の余命宣告を受けてからの闘病日記…日常生活の記録…と言った方がいいのか、コロナ禍で無人島に居るみたいだと感じる筆者。
思い遣りの詰まった文章を読ませてもらった。
するすると読み進められたのは筆者から読者への心配りが有ったのだと角田光代さんの解説を読んで納得。
Posted by ブクログ
ずっと読みたかった山本さんの最期の日々。
がん宣告をされてから亡くなるまでの半年余りの日記。
少しずつ体調が悪くなるけど、きちんとお別れが出来たり、最後に自分でやりたいことをやれるというのは、がんだからこそできることなのかと思う。
彼女のように治療を積極的にせず、在宅で穏やかに過ごすというのは羨ましいなとも思うが、一方でこの日記にも書けない心の中はどうだったのかとも思う。
最期が近付いてもすごくきちんと自分の言葉で表現されていることが素晴らしいと思う反面、彼女の心の内をもっと知りたかった。
もう20年ぐらい前に読んだプラナリアをまた読みたいな。