あらすじ
時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子モモのふしぎな物語。人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に〈時間〉の真の意味を問う、エンデの名作。
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「けれど時間とは、生きるということ、そのものなのです。そして人のいのちは心を住みかとしているのです。人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていくのです。」
「時間がない」「忙しい」、口癖になっていませんか?
時短や効率にばかり気をとられ、大切なことをついつい忘れてしまう。本作は、そんな現代人に警鐘を鳴らしています。
児童書なのでとても読みやすくわかりやすいのですが、テーマ・内容共に深い作品となっており、子どもだけでなく、むしろ大人の方におすすめしたい一冊です。
すこし奇妙な格好をした、やせっぽち。
でもどこか不思議な魅力をもつ少女、モモ。
モモと一緒に時間を巡る冒険に出かけてみませんか?
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Posted by ブクログ
「自分らしく、人間らしく、心豊かに生きる」といった行為や思いに付随する「時間」、この「時間」が段々と消失し「自分らしく、人間らしく、心豊かに生きていない」人々が増えているといった現代社会への皮肉を児童文学に込めた一作品。児童文学こそ万人に伝わる表現で、万人が読後に考えをもてるような素晴らしさがある作品が多い中でクリティカルに「時間」とはを考えさせられた。
私たち大人は生きるために働き、生きるために食べ、生きるために学んでいる。その中で自分らしさといったものが少しずつ減っていき、人間としての象徴性を失っているのではと問われると、グサリと心に刺さる。その通りですと、自分の人生、自分の思い通りになるような、自分の思ったことが実現できるような「余白」や「ゆとり」は段々となくなっている現代社会、みんな時間に追われて生きています。そしてそれが辛いことも知っています。
だからこそ、手に入れた時間は無駄に消費するのではなくて自分らしさを得るために、自分の心を豊かにするために使いたい。わたしの場合は読書や運動といったところ。全ての時間を「自分らしく」生きるのはなかなかに難しいからこそ、せめて自分が現代社会の中で必死に得て手に入れたかけがえのない「時間」こそは「自分らしく」のために生かしていきたい。
これを小学生の頃に読んでいたらどんな人生を送っていたのだろう。もっと自分を大切に自分らしくゆとりを持って生きていただろうか。いや、結局のところ人はなかなか現代社会の「時間の鎖」からは逃れられない。どのような体験を重ねてきても人と生きていく故、どこかしらで「消失する時間」も存在すると思う。ただだからこそこの読書体験をもとに「かけがえのない時間」を自分のために生かしていく「ゆとり」を少しでもいい、自分で考えて自分で獲得していく自分らしさのための努力と学びの積み重ねが大切だと思った。
Posted by ブクログ
対象年齢が小学校5、6年生以上とある児童書だけれど、大人が読んでて大きく問われる本だし、働いて働いて働いて働いて働く方に向かうかもしれない今だからこそ、時間と自分の在り方を見つめ直すために示唆の多い本。豊かさについて考えさせられた
Posted by ブクログ
時間に追われたことのある私にとっては、おもしろくも怖い話だった。たくさんお金があって忙しくても、幸せとは限らない。作中には『致死的退屈症』とあったが、うつ病のようなものかなと思った。
大人になってから読んだ方がわかるというか、おもしろい。
Posted by ブクログ
私も灰色のやつに支配されてしまった親みたいになっていないかな?
学校の準備できてるの?習い事の準備できてるの?勉強終わった?早くご飯食べなさい!
ずっとせかせかしてるかも…
灰色のやつに時間を奪われているのかな。
取り戻せるかな…
この現代で。
大切な人を失わないように。
Posted by ブクログ
たとえば、みんながひらめくこと、そのひらめきはすぐに忘れてしまうと思う。
そのひらめきを一つ一つ丁寧に文章にした本。
だから、痒いところに手が届くと言うか、この表現がしたかったんだって、表現豊かになれる
子供心がまだ自分に残っていると再確認する。
Posted by ブクログ
わたしたちは現代社会を生きていく上で遭遇する「時間泥棒」とどう対峙していくべきなのか。
現代はいたるところに灰色の男たちがいて、隙あらば私たちの時間を狙っている。一寸先は致死的退屈症である…と、資本主義への恨みつらみを述べた後に「とかくに人の世は住みにくい。」などと結ぶニヒルな感想が浮かんだがこれではあんまりだ。
別のアプローチを取ろう。それはそれとして、現代社会を生きるために大切なのは生活に彩りを加える姿勢やそれを見逃さない視線といったものなのではないか。
すなわち、どうしようもない現代を嘆き悲しんだり、時間の開放に思考を巡らすよりも、むしろ人生における「時間の花」と言える瞬間を見落とすことなくしっかり抱き上げて大切にすることが我々が灰色の男たちに対抗する手段であると思った。大変な世の中だけどそんなに捨てたもんじゃないと考えながら、灰色に染まらない彩りをつけながら生きていきたいものだ。
Posted by ブクログ
灰色の男たちは現実にいて、知らぬ間に時間を奪われているとか、そんなことを想像した。時間、効率……技術発展の恩恵を受けて有り難く生活しているわけだが、技術の速さと人間の時間は比例せず、人間を機械は走り去っていく。
忙しさは日に増して、ニノのレストランのような人たちで溢れかえる。
そんな社会、都会の歯車の中に入れられている私たちに本当に必要なのは、モモのような存在。
「モモのところに行ってごらん!」
Posted by ブクログ
時間は平等。
なのに大人は時間が無いと言う。
子供目線で今で言う学校や習い事が皮肉混じりで書かれている気がして、とても面白かった。
時間は有限であり、Time is moneyを第1優先にした先に、家族の時間や人と人との繋がりを失ってしまうこともある。
大切なものの為に今どう動くべきか1度立ち止まって考える大切さを教えてもらった気がします。
Posted by ブクログ
35歳にして初めて読み、衝撃を受けてしまった。面白すぎる。
この世界観どうやって思いついたんだろ。
文体は読み聞かせしてもらってるような不思議な感覚
それでいて内容はハッとさせられるようなもので心に深く刺さる部分が多かった。
自分は大人側になってしまっているのだろうかと怖くなった。
この本の発行から50年くらい経ち、灰色の男たちによる世界はますます進んでいそうです。
丁度最近読んだ『暇と退屈の倫理学』にも通じると思った。
「暇な」時間を大切に生きたい。
Posted by ブクログ
当時まだ私が小学生の頃、分厚い単行本をこの本を初めて手に取った。初めは「こんなの読み切れるわけない」と思ったが、気づけば夢中になり、あっという間に読み終えていた。
内容も当時の私が何を感じたかもすっかり忘れてしまったが、友人の勧めでまた読んでみようと思った。
物語の大きなテーマは「時間の使い方」
"時間泥棒"は、人々に時間の節約を迫り、余白をどんどん奪っていく。効率性や意義性に必要以上に囚われると、人は感情を失い、大切にしたかったものすら手放ていく。
情報にあふれる現代は特に「正しそうなこと」が多く、またSNSの普及により「比較する相手」も増えたことにより、不安を駆り立てられ、無理をしている人が多い気がする。かく言う私も常に劣等感と焦りを感じ空回りしていた時がいくつもあった。そして、おそらくこの先もやってくる。
そんな時は、ベッポじいさんの次のセリフを思い出したい。
「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるか?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ-するとたのしくなってくる。たのしければ仕事がうまくはかどる」
成長とか、給料とか、ネームバリューとか様々な言葉が、私を無理に焦らせてくる。けれども私はただ「楽しく生きたい」から今の生き方を選んだ。この意志が時より折れそうになったり、忘れそうになったりする。でも、モモは「それでいいんだよ」と背中を押してくれた。将来のことは何も分からないし、正直不安だけど、「つぎのことをたのしむ」ことはきっと間違えじゃない。
Posted by ブクログ
本を読んだり、音楽を聞いたり、映画を見たり、友だちと話したり、、、速読、倍速視聴、効率が重視される世の中で時間が勿体無い!と思われるようなこと=たのしいと思うこと、むちゅうになること、夢見ることはなにより自分自身を充実させるものなんだね。忘れたくない気持ちがたくさん詰まった本だった。
Posted by ブクログ
傑作。時間とは?というテーマでこれだけの物語が作られたことに感動する。タイパや生産性といった事が重要視されるような現代で、この話のメッセージを理解し実行するには難しいが、それでも時間の持つ性質が人間にもたらす影響は普遍的で、実生活を積み重ねてきた今、改めてその重要性が身に染みて分かる。今の時代にこそモモちゃんが必要。
何回か読んでいます
自身が小学生時代に初めて読み、こどもにも読み聞かせしております。
今回読書感想文を書くにあたり手元に本がなく図書館でも貸出中だったため、初めて電子書籍で読ませて頂きました。電子書籍には苦手意識がありましたが、嵩張らず、文字も見やすく、途中から読み始めるのも手軽に出来、電子書籍の良さを感じました。また繰り返し読みたいと思います。
Posted by ブクログ
不朽という言葉がピッタリの名作 社会人になってから初めて読みました。きっと歴史が何度も転がっても、モモのような世界を羨望せずにはいられないでしょう
時間どろぼうを倒せ!
「時間どろぼう」なる怪人の秘密結社と浮浪児モモの戦い。70年代ドイツの児童文学として、なかなかの傑作だと思う。
モモは直接戦うすべを持たないが、超常的な能力を持つ存在が手を貸すことにより逆転への道が開ける。
時間の人生哲学を優しくレクチャーしてくれる内容。
モモがんばれ
童話ではありますが 、いろいろ考えさせられました。作者はドイツ人だということで、同じヨーロッパでもスラブ系からは出て来ない話だと感じます。疲れていっぱいいっぱいになったときに、思い出して心の余裕を取り戻したいと思います。
Posted by ブクログ
時間に追われている現代。そして自分。
なぜ追われているのかを見つめ直す必要があるし、今の働き方が時間の切り売りになっていないかも考えないといけない。
Posted by ブクログ
わたくしも灰色の男たちに時間を奪われています。あくせく時間に追われているな。と痛感。時間という概念を深く考えさせられました。読み応えがあります。無駄な時間とは本当は何なのか?自分の中にある時間を知れるのか?まずは時間を大切に、ゆっくり味わって?生きていきたいと思います。
Posted by ブクログ
時間を効率的に使わないといけない、と思っていたが、この本では、それって良くないよ、というメッセージであるので、どうすればいいのか、途中で打ちのめされる。何事もバランスが大事ということだが、当たり前のことであるはずなのに考えさせられる。
Posted by ブクログ
時間に追われる日々だからこそ読めて良かった一冊。
文中にある、
時間とは生活、生活とは心の中にあるもの、
人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていく、なくなってしまう
心の中の時間について深く考えるきっかけになれた。
Posted by ブクログ
小さな女の子のモモが時間泥棒から時間を取り戻す話。モモは危険な状況でも時間を取り戻すのが勇気があってすごいと思った。現実でも時間を大切にしようにしようと思った。
Posted by ブクログ
児童書なのでシンプルに読みやすかったけど、子どもにしては難しくない?!というくらいには風刺きいてるし考えさせられる本だった
時間は平等に与えられてるとか、タイムイズマネーとか、時間にまつわる金言って結構あるけど、「時間=生きるということ」っていうのがシンプルだけどハッとさせられる一文で、「だからこそ急いでなんかしないと!」ではなく「だからこそ時間を楽しまないと!」というポジティブな変換になるのがとても良い。
1973年に書かれたとは思えないくらい現代への風刺感がすごかった。何事も効率化したり、「未来の自分のために」という理由で切り詰めすぎて今を蔑ろにしたりと、心当たりを感じる部分が多く時間の使い方を考えさせられる本。
モモの他人の話をじっくり聞くという特徴も、時間の豊かさであったり、余裕であったり、他者と時間を共有できる人間ならではの時間の使い方だったりが表されているのかな?
後半から特に話のテンポが良くなるのでサクサク読めた
あとは挿絵も可愛い
Posted by ブクログ
何度も読み返したい本。
子供の頃に読んだ時にはモモの冒険をワクワクして読んだ。
しかし歳を重ねてこの本を再び開くと、いつの間にか灰色の男たちに時間を盗まれた大人になってしまっていたことに気づかされた。
タイパ、コスパを重視するような生活に疑問を投げかけてくれるようなこの本に、この時代で出会えて本当によかったと思う。
Posted by ブクログ
まさに今の時代に大切なことを教えてくれている作品。無駄なく最短距離でゴールに達するのが果たして正しいのか。失敗を避け効率よく生き、嫌なことはしない。そんな生き方を見てると、充実してるというより殺伐とした心地の悪さすら感じる.. 生きる上での大切なことことをモモは思い出させてくれた気がします。
Posted by ブクログ
まだ読んだことがない人は読むんだ。特にビジネス書、自己啓発本疲れの人は全員モモを読むんだ。あとがきまできっちり読むんだ。
幼少期にこの本に出会えた人が羨ましいけど、私は今このタイミングで読めてよかったと思ってる。
Posted by ブクログ
タイトルは知っているけれど、読んだことはなかった作品。戯曲音劇になる、その劇に好きな俳優さんが出演する…。どんな話か読んでみよう、と読みはじめました。
大人になりすぎてから読んだせいか、序盤の子供の遊びの描写には退屈しました。しかし、後半は、時間を忘れるほどの面白さ!どのように舞台化するのか、楽しみです。
さし絵もエンデ自身が描いていて、世界観が素晴らしい。エンデのお父さんはシュールレアリズムの画家、エドガー・エンデ。「時間」「夢」を描くのは、シュールレアリズムの影響か?
絵が好きなので、表紙を部屋に飾っています。
実は、古書店でバーコードのない古いハードカバーの本を買いました。ブックケース入り。とにかく絵がいいので、大きい本を買ってよかった。絵は、大きさも大事。
文庫版は未読。文庫版には、ハードカバー版とは別の解説が付いているかもしれないので、解説だけ読みたい。
Posted by ブクログ
物語全体が「時間とは何か」という問いに向き合っている。SNSやAIに触れることが当たり前になった今、つい"効率性"や"他者との比較"に振り回されてしまうが、この作品は立ち止まって自分の時間を取り戻すという、いまの時代ほど必要な姿勢を思い出させてくれる。忙しさを言い訳にしがちな人ほど、読んだあと心にくるものがある一冊である。
一方で、ティーンズ向けなので、ひらがなが多く、普段から本を読む人からすると読みにくいと感じるかもしれない。
Posted by ブクログ
ある少女の物語。
相手の話を聞くこと。お気に入りのものを大事にすること。誰かの評価ではなく自分の物差しで生きること。1日1日を大切にすること。
こどもだから、ではない。
誰にでもできること。
普通とか、当たり前とか、日常を、どれだけ大切だと思えるか。
Posted by ブクログ
久方ぶりに読書らしい読書を行い、小学生時代、そして高校生時代頃に冒頭で読む事を挫折した「モモ」に手を出した。
しかしながらやはり、最初の100ページまで読むのがかなり苦慮するような気持になったのは果たしてまだ私の中で読みたいと言う気持ちが湧き起らなかったからか、もしくは私には既にその時から灰色の時間泥棒たちが気付いたらやってきており、楽しいという気持ちを無くさせてしまっているからだろうか。
果たしてモモはいったい何者なのか、それは最後まで分からないし、何処から来たかも最後まで分からない。
ただ分かるのモモはただそこにいて、相手の話をじっと聞いてくれる心の豊かさを持った、時間に「余裕がある小さな女の子」であることだけ。
なぜ彼女にそういった特別な才能があったのかは分からないし、彼女が眠っていた1年間という時間は取り戻す事はできないまま、彼女がある日やってきた時の様な日常が当たり前のように再び街に訪れて日常が「元通りに」なっていく。
それはまるで息をするかのようにやってきて、そうして知らぬ間に消えて行ってしまった、幻想的ともいえる灰色の生き物は、5歳までしか自由に遊べず6歳の年には強制的に小学校へ通うようになり、決められた世の中のルールを学び決められた仕事を永遠ともいえる長い時間を行う、現実世界の我々のことをあざ笑うかのように描かれている。
日常の中で誰かに腹が立つことがあるだろう、理不尽な事に直面することがあるだろう。
そうした時にきっと私は何度となく、この物語を思い出し、私は灰色の男たちから葉巻を譲り受けたいとその度にきっと望むだろう。
きっと灰色の男たちの正体は私たちのそうした日常のちょっとした不満や不安が生み出した、自由だった子供時代への葛藤や熱望の幻影だったのだろう。
Posted by ブクログ
文学小説は読むのが苦手なので時間かかった。
時間泥棒は現代の私たち?
時間をいかにショートカットしていろんなことをたくさんやれるか?効率的に考えることは大事だけど
一つ一つの出来事を味わい心を豊かにしていく。時間の質も大切。
モモと時間泥棒の戦い?シーンは少しアドベンチャーに感じてジブリアニメを想像しながら読んだ。
名作だけどアニメや映画化はされてないのかな?
ついつい自分の話をしてしまう相手っている。
それがモモ。会いたい。