小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
村上春樹さんがランナーということを知らなかった。ふと見つけたので手に取った。
著者がランニングを通して考えたこと、感じたこと、そしてランニングに対してどのように向かい合っているかが記されている。
著者にとって、世界や自分を捉えるためには、本業である「書く」ことに加えて、ランニングが眼鏡のような役割をしているなぁと感じた。
眼鏡をかけることで世界が良く見えるようになるように。
ランナーの自分も共感できることが非常に多く、楽しみながら読むことができた。
思っていることをここまできれいな日本語にできたら、生きるのは楽しいだろうなぁ。
自分も、思っていることを文字にする、というか文字にすることを -
Posted by ブクログ
ネタバレジブリのような世界観。
ほっとするような、ほっこりしながら読みました。
風景の描写がとても綺麗で、目に浮かぶようでした。
西の魔女であるおばあちゃんが亡くなって、回想に入り、また現在へ、という構成です。
学校へ行けなくなってしまった孫のまい。
親元を離れ、しばらくおばあちゃんの家で過ごすことになります。
中学生という多感な時期である心情をよく現していて、おばあちゃんの自然体で丁寧な暮らしに触れることで自分らしさを回復していきます。
「おばあちゃん大好き」「アイ、ノウ」
この掛け合いがとても好きです。
ですがちょっとした諍いが起こり、気まずいままおばあちゃんとの生活は終わり、父親と母親、家族3人 -
Posted by ブクログ
長年の間望んでいた子どもも授かれず、夫にも愛想をつかされて以来、人生に波風立てず自分を傷つけないようすべての日常をルーティンの中に収めようと決意した女性。
同じ職場の、こちらは非日常に生きる女性に半ば無理やり連れて行かれたライブをきっかけに、そのルーティンは崩れていく。
最初はそれに抵抗していたが、そのライブの主であった男性がさりげなく見せてくれる非日常の世界に徐々に夢中になっていく。
私たちは、自分の日常生活のルーティンに大した不満はなく、変化は求めていないと自分では思っていても、やはりどこかで他のあり得たかもしれない世界や非日常を求めている部分も無意識のうちにあるのだと思う。
そんな非日 -
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『そして少女は加速する』は、女子陸上部の4×100mリレーを描いた青春小説。
読んでまず強く残ったのは、バトンパスという一瞬の重さでした。
ほんのわずかな判断ミス、タイミングのズレで、勝利が悪夢に変わる。その現実が、これでもかというほどリアルに突きつけられます。4継で勝利を逃し、どん底に落ちたチームが、そこからどう立ち上がるのか。その過程が丁寧で、決して都合よく進まないのが印象的でした。
特に心を打たれたのは、メンバーそれぞれの視点で描かれる感情。走ることへの向き合い方、仲間への思い、プレッシャーや恐怖。そのすべてが、インターハイ出場をかけたレースの「一瞬」に収束していく構成に、自然と感情移入 -
Posted by ブクログ
年末に重たいテーマに臨んだ。誰もがやがて訪れる死。死に至る心の5段階のプロセスは言葉として学んでいたが、この本を読むまでは、200人以上の臨死患者のインタビューが基になっていることや、精神科医である著者がインタビューを行う際に、周りの医師から異端とも捉えられる困難な状況であったことは知らなかった。人が死を迎えるにあたり、決してこの5段階の順序は踏まなかったり、受容まで行き着かない場合もあるだろうとは思っていたが、著者はその点をかなり深堀して、患者に向き合い、死を恐れるのは患者だけでなく医療者側もそうなんだ、その恐れを患者に向かわせてはいけないといった警告も発せられている点はもっともだと思った。