小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
わたしこの作者様の描く人間関係、好きなんだな、としみじみ思った。でも好き嫌いの分かれる関係性でもあるなぁ、と思う。
奇妙な三角関係の明日世界は終わらない、が一番好きかな。どこまでいっても欲望の対象は都合よく変わらないっていう当たり前の事実を突きつけられて、こんなに切ない関係性ってあるかよおぉぉぉ、ってなりました。
不自由な大人たち、はこんなキレイな不倫ならいいのに、って思った。日本語変かな?
家族の事情は、ここで終わるからいいけどこのまま突き進んだら結構地獄な気がする。
砂が落ちきる、は、こんなねー男がいたらねーお目にかかりたいですよ!!!ロストバージンしたい女に気遣いできる人たらし。夢のような、ほろ苦いキスでお別れなんて出来過ぎだわ、と思うのにその苦さが堪らんのです
あー余韻に浸ろう
2026.10.4
154 -
Posted by ブクログ
「ねえ、七瀬。わたし、どこで間違えたんだろうね」
自問として、自分の胸にも刺さる問い。
「知らないよ。一つ一つ、遡って振り返って見れば?」
深いため息をひとつこぼす。
吐いた量の分、吸い直す。
静まった場に、言い捨てる。
「正論きらーい」
「生野菜サラダにオニオンドレッシングかけてるときさ、野菜に野菜かけて食べるのって何らかの倫理に違反してないかな、って不安になるよね」
「身体もばきばきだし。もういますぐマッサージ行って"お客さん相当凝ってますねぇ”って言われたい。あれさ、”凝ってますねぇ”って言う方も言われる方も、なんであんなに嬉しそうなんだろうね」
「まあ、もし何か書くとしたら、叙述トリックは絶対入れるかな。王道の誤認系のやつをしっかり押さえて、読み手を騙してやりたい」
「性格の歪みが窺えますね」
「今、叙述トリック書いてる作家を全員敵に回したけど大丈夫?」
「だからさ、もしこの先わたしが誰かにはめられて、誰かを殺したって疑いがかけられても、わたしを疑ったりしないでね。わたしは殺人どころか、その言葉を冗談で言うことすらしないんだから」
「別に、怒ってはないよ。まあただ、今澪自身が言ったとおり、わたしのことは、わたしに決定権があるから」
「そうですよね。ほんと、失礼しました」
「澪も一緒だよ。自分で決めたいことがあるなら、決められるように努力するべき」
「やば、含蓄感じる」
小石の顔が目の前にくる。吸い込まれそうな瞳と、シャーペンの芯が数本置けそうなくらい上向きで長いまつげ。
「かもしれない運転すぎ」
頬から手が離れ、こつん、と額に挙が当てられる。
「もしもを重ねて、全部自分の責任だって思おうとするのはやめなよ。自責ってそういうことじゃないよ。仮に竜児さんが犯人だったとしても、蓮杖くんの失敗は一切関係ない」
「そもそも他者なんて、一緒に過ごしてない時間の方が長いし、一緒にいたとしても、相手の心の中までは分からない。だから言葉を使って少しでも埋めようとするんだけど…それでも、言葉にしたことが全てだって思わないでほしい。全部は、知り得ない」
「ミステリと違って、現実ではさ、過不足なく情報を提示することなんてできないじゃん。感情だって記憶だってなんだって、そのものの体積のほうが圧倒的に、もう比較にならないくらいでっかくて、言葉で表現できるのはそのほんの一部、氷山の一角のひとかけらだけ。七瀬視点だと、後出し情報多すぎる、聞いてねーよそんなの、って思ったことがたくさんあっただろうけどさ、それと同じで…わたしが言葉にしてない感情は、めちゃくちゃでかいよ、ってことを、こう、そよ風を感じるみたいに、受け取ってもらえたらいいな、って思って。叙述トリックってさ、何が叙述されてないかを考えるのが面白いじゃん」
「だから、さっき言ったばっかじゃん!言葉にしてることが全てじゃないって。叙述されてないことを、読み取ってよ」
「昔だったら絶対、こんなことは言わなかったと思う。けど、昔のわたしの言葉に、今のわたしを縛られたくない。認知的不協和は、発生した側から却下する。昔のわたしと今のわたしは連続してるけど、人は変わりながら前に進む存在だから。過去を振り返ることはあっても、大事なのは常にいまのわたし。他人の視界の中にいる小石像も、これまでのわたしの発言録も無視して ー 今ここにいるわたしが、最新最良なわけ」
「そういうわけで、前置きが長くなったんだけど ー 敢えて、ちゃんと言葉にして、言うね。ここ十日間くらいで蓮杖くんに起きた、恋愛感情絡みの嫌なこと、怖いこと、傷ついたこと…今から言う言葉で、全部上書きしてほしいんだけども」
小石が、くるりと蓮材に背を向けた。
「わたしね、蓮杖くんのことが好きみたい」 -
Posted by ブクログ
青春の短編集!3つの話から構成されている!
個人的に心に残った話は『サクラ咲く』!自分もマチと同じく本が好きで内気な性格なのは共通してるから感情移入しやすかったのかも。あんなふうに図書室の本を通して文通なんてしてみたかったな〜って。マチや紙音が少しずつ変化していくだけでなく、周りにいた琴穂や恒河もかなり変化しているのが読み取れた。彼らが文通を通して紙音を温かい気持ちにさせたように、紙音も同時に彼らを大きく変化させた張本人だと感じた。名前を書かない文通だからこそ本音を打ち明けられて楽になれるのってよく考えたなって。素敵だし憧れる!
『約束の場所、約束の時間』もSF要素があったけれど、誰かの存在や誰かの行動がきっかけとなって、自分の行動を見直したり変化させたりすることは誰にでもあると思う。
最後の『世界で一番美しい宝石』は、人の傲慢さと個人の価値観を描いていると思う。自分にとっての当たり前が他人にとってもそうだとは限らない。三根先輩がそれに早いうちに理解してくれると良いなと思う。3人で本を作ったのも素敵で心温まった!
どれも心温まる青春短編で大好きな一冊になった! -
Posted by ブクログ
ワシントン・ポーのシリーズ、第5作、後半。
ボタニストを名乗る連続殺人犯は、脅迫状を送って予告し、警察の厳戒体制をかいくぐって、犯行を重ねる。
なぜ、そんなことが出来るのか…?
狙われる相手が、相当な嫌われ者ばかりで、その辺の展開もすごいセンス!
皮肉とユーモア含み、読み応えあります。
そして、ボタニストの、ボタニストたる理由も。
送られてきた植物の意味とは。
国家犯罪対策庁の重大犯罪分析課の巡査部長、ワシントン・ポーは、頑固で喧嘩早い武骨な中年男。カンブリアの荒涼とした土地の古い家を手入れしながら、愛犬と暮らす。捜査にかけては粘り強く、勘がいい。
警部のステファニー・フリンは、かってポーの部下だったが、ポーがやらかして休職中に上司に。出産で休んでいたのが復帰したところ。ポーの扱いに長けている。
他のメンバーに比べたら常識的だけど、柔軟さはかなりありますね。
若き分析官のティリー・ブラッドショーは、天才だが大学の研究室で育ったため世間知らずで、空気が読めない。いじめに遭っていることにも気づかない程だった。
そういうことを放っておかないポーを信頼するようになり、その無邪気さにポーも抵抗できず、互いの能力に敬意を抱きつつ、強い絆が生まれてゆく。
妖艶な美女にして超優秀な病理学者のエステル・ドイルも、このチームの仕事を最優先してくれる大事な仲間。
ポーは、生い立ちから人間不信の面があるけれど、正義漢で、新しいことに疎い中年男にしては、偏見が少ない。
そのあたりが女性達に信頼されるポイントでしょうね~!
なのに、恋人は全然出来ないのか?何歳なんだ…とチラッと思ってたけど(笑)
ティリーとの家族のようなバディは、恋愛にはならなそうだから、見過ごしてました。そう言えば、ティリーはエステルのことに言及してたこと、あったのにねえ(笑)
ティリーと知り合ってからの年月、ポーがだんだん心を解されてきたのも、ここで恋愛になるタイミングだったのでしょう。
仲間達との掛け合いはユーモアに溢れ、こっちも吹いてしまうぐらい。
事件解決に向かう盛り上がりも申し分無し☆ -
Posted by ブクログ
ネタバレ4.5くらい。
面白かった。
余命が一週間しかないので、多少強引に捜査が進んで面白い。
頭に動脈瘤という爆弾を抱えているので、頭をぶつけたり危ないことをするとヒヤヒヤしてホラーだった。
徐々に身体機能が落ちていくのもホラーだった。
主人公の最期の一週間。最期の“生”って感じで良かった。
ソフィアと言い合いになって、どっちが連絡を取らなくなったのかうやむやになってたけど、これは主人公のジェットのほうがおろそかになっていた、というのが真相かなと思った。ビリーのことも放置してしまう性分なので。
ソフィアが薬を塩に変えていたのぞっとする。虐待しそう。こういう、自分は正しいことをしている、自分にはこの行動をとる許される理由があると思い込んでいる人間はきつい。
面白いが。
なんだかんだジェットは生き延びないかな~と思ったが、さすがホリー・ジャクソン。真相を知らずに逝ってしまうとは。そしてラストもすごい。
父親スコットはジェットの腎臓が移植されて生き延びられるのだろうか?
ダイアンの不貞は結局バレたのか。
ビリーの父親ジャックは本当に死んだのか?
ルークは罪を免れるのか?メイソン建設はどうなるのか?
ソフィアとの結婚生活は続くのか?
色々どうなるんだってところで終わる。人生みたいに。
でもビリーはジェットに愛された、自分は愛されても良い人間なんだと実感できるようになったので、未来はまあまあ明るそう。
面白かったな~。 -
Posted by ブクログ
結婚や変わってしまった関係の人とのエピソード。自分が有名になるにつれて周囲の人との関わりも変わってくるのだと。自分が軌道に乗って、周りの人ともうまくやっていくというのは難しいのではないかと思う。何の才能もないと周りの人と比べて焦って外に出ることで気を紛らわしているのなんだかよく分かる。そうして余裕も気力もなくなって。こうでいなくちゃ、と思いながら自分の好きなことをやり続けるって相当しんどいんじゃないかと思う。「私たちバニーガール」も好きだし、亜和さんのお友達のリアナや妹尾ユウカも好き。ハーフの見た目を気にしていた過去や、喧嘩別れした父との関係。バニーガールのお仕事。側から見たら自分だったら嫌だなぁと思うようなことを面白おかしくそして、ハッとさせられるような表現で書く亜和さんの言葉が好き。黒い服を纏い、高貴な笑みを浮かべる亜和さん。想像できる。彼女に伝えたい。「あなたは魔女のようだ」と。
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