小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
「世界が壊れたら、人間は奪い合う」。SFや映画を見ていると、いつの間にかそんな未来を当たり前だと思っていませんか?
『陽の光が消えた町で』は、その思い込みを気持ちよくひっくり返してくれる短篇集です。
表題作では、陽の光や電力が失われた町で、住民たちが自転車発電や物々交換をしながら生活を立て直していきます。最初は「こんなに善意だけで回るの?」と思いました。しかし読み進めるうちに、危機に直面したとき、人は争うだけでなく助け合うこともできるという未来の方が、むしろ新鮮に感じられてきます。
そして、本書は単純な楽観論でもありません。
印象に残ったのが、AIを描いた短篇です。中でも「報酬は猫の写真で」というタイトルから想像する可愛らしさとは裏腹に、
さらに、AIを描いた2つの短篇(「報酬は猫の写真で」「アルゴリズムでよりよい生活を」)も痺れる面白さです。一見すると人間に害のない親切なAIなのに、いつの間にか人間が巧みに操られているような、ぞっとするホラー的な味わいもあり、「人間らしさとは何か」「自主的な幸福とは何か」を深々と考えさせられます。
絶望する未来だけでなく、協力する未来も想像できる。ディストピアSFに少し疲れた人にこそ手渡したい、人間への見方を更新してくれる一冊です。 -
Posted by ブクログ
「トクリュウ」を舞台に繰り広げられる、大阪の街並みと道路を縦横無尽に駆け回り関西弁が飛び交う、著者十八番のクライムエンタメ小説。著者のファンならその期待を100%裏切らない面白さだと思う。匿名・流動型犯罪であるから、ただでさえ多い登場人物が本名・偽名を使い分け、彼らがまたさまざまな接点で繋がって行く筋運びになるのだが、読者が混乱しないように捌いているのが巧いなあと思う。ネット社会がもたらした、顔と意思のない、システム化あるいはビジネス化した犯罪こそトクリュウの本質ではあるが、そういう冷え冷えとした社会を描くほうには行かず、コテコテの男たちの熱い戦いになっちゃう当たりが好き。
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Posted by ブクログ
ネタバレ号泣。目が腫れた。
「汝、星の如く」ほどの派手さ、鮮烈さはない。けれど、その続きの物語として素晴らしかった。2冊セットでひとつの作品だと思った。
「星を編む」は櫂亡き後の物語だけど、その存在感が随所に感じられる。残された人たちの中で確実に生き続けてる。死を不自然に美化せず、葛藤しながら泥臭く乗り越えていく…というか、共生してく感じか。それがとても良かった。
北原先生と暁海の関係性が緩やかに変化していく様も自然ですごく良かったし、編集者の二階堂&植木の覚悟と決意も胸を打つ。正しさではなく、自分の意志で選び、その選択を引き受ける登場人物たちに、とにかく惹かれた。
物語の終盤では、私も彼らと人生を共に歩んできた感覚になってた。なので、ラストの「ああ、櫂。」のところで涙腺大崩壊。ほんとにそうだね、幸せだったよねって、登場人物の一員のような立ち位置で共感した。櫂も暁海も北原先生も、とても近くに感じてる。ここまで世界に没入したかと、自分で驚いた。そして、自分はどう生きるのか、どう生きたいのか…深く深く考えさせられた。
「汝、星の如く」の時もそうだったけど、余韻がすごい。溺れそう。しばらく抜け出せそうにない。 -
Posted by ブクログ
でも腹立つじゃん。男だけで権力のボールをまわしてるんだよ。女がてっぺんをとって、変えなくちゃ。他にやる人がいないなら、私がやる
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女性の苦悩と強さと!どんでん返しも!
『元彼の遺言状』より、ミステリー性だけでなく「物語」の厚みがあって、個人的には好みでした
いやーーー
表に出てる女性(だけじゃなくて私たち一般人もそうだけどさ)ってやっぱ大変なんだろうな、かっこいいな、応援したいな、って、単純脳だけど思いました
女が強い世界になれーーー!!!
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三百六十五日、二十四時間を政治にささげてもいい。内臓でも、血液でも、寿命でも、何でも差し出す。
だからせめて、政治家でいさせてほしい。
少しでもまともに、この国を変えさせてほしい。
本当に、心の底から、そう思っていた。
沽券(こけん)・・・人の品位やプライド -
Posted by ブクログ
★4.5
「ビール」
言ってしまってから、おれは、〝はてな〟と面妖な気になった。
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面白かったー!
学問ぽいところはちょっと読むの大変だったけど、それ以外の部分は軽快に進んでいく感じ!
その一方で、私にもアル中になれる素質が大いにあるのを自覚しているので、彼の内省部分はなんだかとっても沁みました。わかるんだよなぁ。
彼(主人公)がエッセイ出してたら迷わず買ってただろうなー!
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おれは頑なで意固地で自意識過剰の、意地悪爺さんのような酒飲みだった。独りで放っておかれることを望んだが、そうされればされたで世界に対して悪態をつくのだった。
漠然と、ここで一杯飲んだら、と考えてしまうのだ。おれの中には、そういう回路ができあがっているらしい。不安、苦痛が少しでも感じられると、「飲む」という回路にジャックインされる。
内臓は頑丈でも、おれの心には穴がいくつもあいていた。夜ごと飲みくだすウィスキーは、心にあいたその穴からことごとく漏れてこぼれ落ちてしまうのだった。
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