小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
日常の片隅にある“とても小さな世界”をすくい上げた短編集で、6つの物語がゆるく繋がりながら進んでいく構成が印象的でした。読み始めはそれぞれ独立した短編のように感じますが、読み進めるうちに少しずつ人物や出来事の関係性が見えてきます。
特に心に残ったのは、最後まで読んで初めて「スモールワールズ」というタイトルの意味が理解できる点です。ラストで全体がひとつにまとまることで、それまでの物語の見え方が変わり、自然と「もう一度最初から読み直したい」という気持ちになりました。ゆるく繋がっていたからこそ、気づいたときの発見が大きかったように思います。
また、一穂ミチの文章はとても繊細で、「分かり合えなさ」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ凄い本だった。
最後の、ギンピイの台詞と、キニアン先生には、思わず泣いてしまった。チャーリイはエレベーターを上昇し、また下降した。それぞれのすれ違い様、アリスと愛し合った。上昇することで知識は得たが、人間という愚かさも知ってしまい皮肉屋になり人情が薄れてしまった。下降することでそれらたくさんの知識を失ったし、もう、前のようには皆と言葉を交わせなくなったし、身動きもゆっくりになったけれど、以前よりは友達・理解者は増えた。それでも、同情されたくないからウォレンへ行く。そこでまたたくさん友達を作るのだ。もっと後退が進めば、怒りの感情も無くなるかもしれない。
翻訳本は読みにくいものが多いが、この本は -
Posted by ブクログ
イラストも文章も、美しい。
ここに描かれる、動物たちの共存共生の営みもまた、美しい。
そこに、自然界の美しい均衡の姿がある。
さいごに、私たち人間の姿が、他の動物と対比的に描かれる。
これには賛否両論あるようだ。
しかし私が思うに、その語りは別に政治的でも思想的でもないし、当たり前によくないよね、ということを、当たり前に描いているのであって、それは普遍的で重要な価値だ。
美しい自然界の均衡の構図から炙り出される、私たちの異質さ。
ヤマメとイワナの共生を美しいと感じるのなら、必然的に人類は、少なくとも部分的には、美しさを欠くということだ。
動物たちの生きる姿を見て、ひるがえってわたしたちは、と考 -
Posted by ブクログ
全体を流れる空気感が素敵すぎる。
本書の中で、秋鹿医師が主人公のマチ先生に対して、「あなたは私のトランキライザー(精神安定剤)」というシーンがあるが、まさに本書は私のトランキライザーだ。
このトランキライザーの優れている点は、症状を選ばないところと、摂り過ぎによる副作用もないところだろう。
自分が何かにのめり込みすぎてオーバーヒート気味の時も、逆に何にもやる気が出ずに気持ちが落ちてしまっている時も、本書を手に取り、どこでも良いので数ページを再読してみれば、にわかに気持ちは爽やかに晴れ渡り、自身の体の中に、心地よい風が染み入ってくるように感じる。ニュートラルな自分のあるべき場所にきちんと戻