小説・文芸の高評価レビュー
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「多様性とは、都合よく使える美しい言葉ではない。自分の想像力の限界を突きつけられる言葉のはずだ。」
この表現が凄いしっくり来た。
自分とは違う何かに、自分達を認めろと主張された時、多様性という言葉を盾にして本来の自分を隠している人が多く居ると常々感じていた。
何も考えず、差異を認める事で自身もこの世界の進歩に貢献していると考えているのだろうか。
それとも、新しい価値観に対応していかないといけないと躍起になっているのか。
いずれにせよ、多様性という言葉を使う事で、その人達は自分達が正しいのだと信じて疑わない。
多くの人間が自分の信じる正しさを持ち合わせていることで、正しさ同士が反発するのは自然 -
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閉ざされた「進学校」という異界
「東大・京大・国立医学部以外は人にあらず」。 進学校という極めて狭い世界で醸成される「学歴狂」の価値観。本書は、その特殊な環境で洗脳された、個性あふれる登場人物たちの群像劇である。
■「学歴高野山」の狂気
著者が記す「学歴高野山」という表現が秀逸だ。 外界と隔絶されたその宗教都市では、神戸大学ですら高卒と同義に扱われる。社会に出ればそれが幻だと分かるが、渦中にいる当事者たちの苦悩や優越感は、紛れもなく本物。 私立進学男子校の出身者であれば、この歪んだ空気に覚えがあるはず。逆に、それ以外の世界で生きてきた読者の目に、この異様な生態系がどう映るのか興味深いところ。 -
Posted by ブクログ
(上)に続きそれぞれの学校で中学生と高校生がスターキャッチコンテストに向けて話が進んでいきました。
5年位前の出来事ですがコロナ禍では人と接触するのも気が気ではなく、世界中でかなり大きな影響があった事を思い出しました。
自分はその頃から社会人で働いていましたが学生達は部活の大会や修学旅行、文化祭等のイベントも制限されて学生時代の思い出を沢山作りたい時期にパンデミックが起きてしまい楽しみにしていた学生達にとっては悔やまれると思います…
ですがこの物語ではコロナ禍だからこそオンラインでスターキャッチコンテストを行い、各学校でリモートで会話してお互いの事を知る事ができて仲良くなれたのかなと。
星座や -
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これぞSF!な傑作エンターテインメント!! いやー、おもしろかった。
SFってこと以外どんな内容なのか知らずに読んだけど、
それがよかった。いや、そうでなくても文句なく面白いやろこれは。
冒頭からぐいぐい引き込まれていく感覚。
これこれ!待ってました!な、この感覚がもう最高。
人類滅亡の大ピンチに、唯一の突破口を見出すべく発動されたヘイルメアリープロジェクト。
ただし、語り口はそんな悲壮感などどこ吹く風。ひたすらポジティブで、ある意味楽天的な感じで、テンポ良く進んでいく。
小難しい話は抜きにして(小難しい話も多分にあるのだが)、SF作品の良いところがたっぷりと詰め込まれていて、ワクワクしっ -
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まずは自分がいかに幸せに、不自由なく、愛されて育ったのか、そのことに感謝しなければならないと思ったし、自分の子どもにもしっかり愛をつないでいきたいと思った。
地味に印象に残っているのが貴瑚の小学校の先生。私はあの先生のように無駄な正義感と性善説の元、要らぬおせっかいを焼いてしまうタイプだと自覚しているので、それが必ずしも皆同じ環境・状況・感覚ではないことを認識・想像しなければならないと思った(反省に近い)
この話を読み進めるなかで辛い過去を抱えているのは貴瑚と愛だと、なぜか2人だけだと思い込んでいて、アンさんの真実は衝撃だったし、まさしく想像力に欠けていたなと。
他の人も皆それぞれ色んな想 -
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国産SUV車「ブレイクショット」を軸に話が展開されていく現代版の青い壺のような小説。伏線の張り方と回収が見事で、ナインボールのようにブレイクショットが手球となって個々の話を繋げひとつの物語となっていく。
それぞれの話はSNSの炎上やそれによる私刑ともいえる断罪、集団詐欺、グレーなマルチ商法的サロン、過剰なノルマ主義など世相を反映した話題が取り上げられる。そしていずれも天国か地獄かを決めるのは紙一重で、善良さを保つか忘れるかによることが描かれる。匿名性が高いときやグレーゾーンなときは言動や行動が過激になりがちで自分を見失ってしまう。
善良な人たちがすべてハッピーエンドを迎えるエピローグは圧 -
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香織と早苗の高校生活が終わる。
本書には初めて、香織と早苗以外の第3者目線で物語が書かれている。単純なスピンオフとしての話ではなく、物語を紡ぐ重要な話。これを読んで、「セブンティーン」の評価を☆5つとしました。僕にとってはそれくらい重要。
巻末には有川浩さんの解説付き。有川さんの解説も非常に面白かった。なるほどなるほど。
これで二人の高校生活が終わってしまうのかと思うと寂しさしかない。ただ、二人は歩みを止めない。武士道を歩き続けていく。今後、どのように続いていくのか、どのように交わっていくのか。期待を抱き、「ジェネレーション」を読もう。 -
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明治時代、北海道にある樺戸収治監(監獄)を舞台にしたお話。
学生運動に軽い気持ちで参加しただけなのに、13年もの実刑判決を受け 収監された巽(たつみ)。
そして同じ頃に同房に収監され大二郎とペアとなり、次第に友情めいた気持ちを持つ様になる。
その大二郎は 中に水の入った小さな水晶を大切に隠し持っていた。
その石を 彼はいったいなんのために持っていたのか?
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今の時代の刑務所の事も知ってるわけではないけど
明治時代の監獄所生活は 人権なんてあったもんじゃない様な酷さで なんだかズーンとなった。
特に硫黄鉱山での描写は常に死と隣り合わせで過酷だったな〜
そん