小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白くて一気読みでした!
本編前に掲載されたTwitterのプロフィール欄を見て「あー、苦手だなあ」と思ったやつがあります。理香と隆良のやつです。
「意識高い系」だったり、ポジティブな言葉を並べていたり、なんかキラキラした生活を連想させるSNSの書き込みを見ると、どうも寒いものを感じてしまうのです。
だから、主人公に共感して読み進めました。
名刺はえーっと思ったし、なんで英語で書くんだとも思ったし、合間合間のツイートも強がって綺麗事書いてて痛々しいとも思いました。
そうしたら、ラスト40ページくらい、主人公と理香との対峙の場面で、ひっくり返りました!
見事なカウンターをくらってグサグサ刺さりました!
そうか、私も「観察者」だったんだ……。
「カッコ悪い姿のままあがくんだ」と断言する理香は、カッコよいなとすら思いました。
また、心に強く響いたのはサワ先輩の言葉
「選ばれなかった言葉のほうがきっと、よっぽどその人のことを表してるんだと思う」(p204)
「ほんの少しの言葉の向こうにいる人間そのものを、想像してあげろよ」(P205)
140字の世界に振り回されないようにしないとなあと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わって、小説の世界から出てくるのが名残惜しかった。今年読んだ中で1番好きな作品。余韻がまだ胸に響いている。
大阪のBook’n Boothという書店で開催された著者のトークショー・サイン会で購入した一冊。ご本人のお話を間近で聞いて、サインもしてもらった特別な本になった。
1人で立って生きていくことの心細さと良さの描き方のうまさといったら。心細くも自分の人生を生きていく人たちが、周りにいる人たちと関わり合いながら時に見えない形で互いをちょっとだけ励ましたり、いたわったり、あるいは疎ましがったりしながら生活していくことをただ肯定する話、というか。
主軸となる3人の人物だけ、名前がカタカナ表記なのが、銀河鉄道の夜のようなファンタジーな風味をつけていて、物語全体に優しい雰囲気をもたらしている気がした。
話の中でしょっちゅう出てくる地下トンネル通路は、大阪住みなら思い浮かぶ場所がある。スカイビルに続いてた昔のあの通路。今はグラングリーンが出きて、少し様子が変わってしまったが、おかげで大雨の夜の不思議な渡しのシーンは映像が頭にはっきりと浮かんだ。舞台となる椿ビルディングも、なんとなくスカイビルや大阪第1ビルとか第2ビルとかを混ぜ合わせた感じがする。
進学塾の講師がたびたび「こんなところで働く人間になってはいけない。」と塾生たちに言う。
その「こんなところで働く人たち」とは毎日を生きる私たちで、その1人1人の描写が温かい。
大雨でビルから出られなくなった人たちの関係性が
少し変化する部分の描写は本当に素晴らしくて、あぁ、こういう感じあるよなぁ、と本当に読むのが楽しかった。この本は地の文も大阪のイントネーションで読んだのだけれど、このへんの人間関係のあり方は大阪的なのだろうか、他の地方の人にはリアリティがないと感じられるのだろうか、とも思った。
ともかくとても幸せな読書体験だった。
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Posted by ブクログ
ネタバレこの本に心を支えてもらいました。
何度も読み返しました。
私も山添くんのように、息をしづらくなることがあります。読み進めると山添くんの過呼吸の描写がリアルで、辛くなることがありました。
しかし、山添くんが少しずつですが明るい方へ変わっていく姿を見て私も救われました。
この物語の中で「俺、3回に1度くらいなら藤沢さんのこと助けられる自信があります」というセリフが1番印象に残りました。
自分だけの世界で自ら孤立してしまっていた山添くんが、藤沢さんのことを助けられる自信があると言い切ったことに涙が出ました。
精神安定薬というものは精神的に身体を楽にしてくれますが、それだけでは満たされない不安や、孤独が残ることもあります。そんな心の隙間を温めてくれる優しい光のようなお話でした。
どんなに先の見えない深い暗闇の中で生きていたとしても、どこかに自分のことを願ってくれる人はいる。実は光はそこら中に転がっている。
闇がなければ光は見つけられません。夜がなければ夜明けも来ません。
人生は思い通りに行かないことや、辛いことの方が多いと思います。しかし暗闇の中を生きていたからこそ、藤沢さんと山添くんは光を見つけられるのだと思いました。
藤沢さんと山添くんはこれから先の人生を強く生きていけると感じました。
私もこれから先、見つける光を見失わないように生きていきたいです。
そして、私もそこら辺に転がっているような誰かの光になれたらと思います。
私は、藤沢さんと山添くんのこの先の人生をひそかに願っています。
素敵な物語に出会えたこと、心から感謝いたします。 -
Posted by ブクログ
恐ろしい、理解できない。怖すぎる、そして二人とも愚かで可哀想すぎる。
それをきっと分かっていながら、「自分は上にいる」「自分は見下す立場にいる」「自分は幸せだ」と思い込んで満足せざるを得ない状態なのが、あまりにも可哀想すぎる。
この親元に産まれる赤ちゃんがあまりにも「不幸せ」すぎやしないか??
赤ちゃんを何だと思ってるんだろう…
推しのために仕事をおざなりにし、推しのために借金をし、推しのためにパパ活をする。
そんな狂いに狂った妻を「許せる寛容な自分」に幸せを感じ、他者より優れていると信じる夫。
愚かだと分かりつつも「推しのいる妻を許容しないと幸せでいられない」と認めているのも可哀想で、悲しいなと思った。
というか離婚しなよ。なんでそこ許して「自分だから許せた」みたいに思い込んでやり過ごそうとする?
たぶん自分の無精子症のせいで、そう思わないと心を守りきれなかったんじゃないかなぁ。
倫理観ぶっ壊れてて二人とも人の親になっていい人種では無いと思うし、精神科にかかった方がいいんじゃないか…誰か助けてやってくれ…と思ってしまった。
もはやホラー。
推しのために仕事をして、推しのために自分の人生を生きるのではないのか………
この夫婦は、「推しのため」という言葉をすべて免罪符にしている気がする。
たぶんどっちも狂ってるんだろうな………うーーん、関わりたくない、本当に、こういう人たち。
そもそも「何にも成れないから母親に成りたい」はあまりにも無責任すぎやしないか?
推しキャラと同じ名前をつけたり、推しキャラに似ているとはしゃいだり、
何かもう、この赤ちゃんの予後が悪くて悪くて。
どうにかこの夫婦から逃れて幸せになってほしいとしか……
恐ろしすぎる本だった。
井上さんはアタリハズレが極端な印象だけど、個人的にこの胸糞悪さは大当たり。
やはり一番怖いのは、こういう「普通」っぽいのに狂っている人間。
私も推し活をしている人間なので、正しく生きようと思った。
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