小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
「わからない」をトコトン捜査し、あらゆる可能性を排除しない男、みたび。
500ページ超えてましたが、まさきさんの読みやすい文章力と、展開力の良さで没頭した読書時間でした。全く関わりそうのない二つの事件が並行して描かれるので、最初はごちゃごちゃしますが、話が進むにつれて、ガチッとからんでいきます。
ただタイトルを忘れていました。
『あなたが殺したのは誰』。
えっ!誰?
「あなたを」ではなく、「あなたが」なんですよね。
ラスト3部の後半の疾走感はすばらしい。
2転3転する後半は、やはりまさきとしかさんですね。油断してたわー!って。
みんな呪いにかかったような辛い人生にみえますが、やはり毒親達 -
Posted by ブクログ
聡明な少女は纏足のため事件を調査できない
→彼女の脚となって回族の少女が動く
という設定を思いついた時点で文学賞モノだと思うんです。面白かったし、このネタでよくここまで読みやすく書けるな、と。
いざ思いついたとしても清王朝のこと、中央アジアにおけるイスラームのこと、確かな知識とフラットな見方を備えていないと、登場人物の名前すら作れない。
「探偵」とあるがべつに本格ミステリではない、とか、そんなことは面白ければどうでもよく。
最後、スケールが大きくなっていくのも連作小説としてたまらない(いやまあ、このネタで長編一本作れたやろ!作ってくれ!とは思ったが)。
続編でも長編でももつと読みたいなぁ -
Posted by ブクログ
『ヨシモトオノ』とは吉本ばなな版遠野物語。
少し不思議なお話が13編。そのうち一つは実話ということ。
この実話が私にはズドンと残りました。
“人が人にできることがあるとしたら、ただなんとなく明るい感じでいる、それだけ。身も蓋もないがそう思う”
私もそうなのだけれど、吉本ばななさんも全てを説明したいタイプのようで、いつかこの世を去る時までにはそんな人に近づけたらいいなと思っているそう。私もそうありたいな、と思いました。
全体を通して、怖いというよりはノスタルジックな雰囲気が漂っていて、いつまでも読み続けていたい、本を閉じたくないという気持ちになる。
それは多分、物語のほとんどが仲の良い家族が背景 -
Posted by ブクログ
読後、深い余韻に満たされる。
上巻の感想で、主人公のプロ意識と云う表現をしたが、そんな生やさしいものかとでは無い!特に二人の登場人物の「芸」(歌舞伎)に向き合う情熱?執念?そんなものでは無い、鬼気迫る魂!を味わう。
物語も青年期からの何処か危なっかしい、ガラスに触れる様な感情や出来事!これは登場人物全てに当てはまる!人生の栄枯盛衰、最悪の状態から好転すれば、また悪い事が起こるのではないか?危なかしくて観ていられない!という感情が湧いてくる、反面先が気になって仕方がない!一気に読んでしまう。
重厚な大河ドラマを観た想い!
深い感動と余韻、多くの言葉や感想を残そうと思ったが、言葉が見つからない -
Posted by ブクログ
ネタバレ事件の犯人が二転三転する物語に、どんでん返しがあると分かっていてもやはり驚いた。全ての疑問、残された謎がしっかりと回収されきる快さを感じた。エピローグも、良い方向に物語が進んでいきそうな明るさがあって爽やかな終わり方となっていた。姉の事故とひかりの事件を重ね、父と自分、母と桂、姉とひかりを重ねて、過去と現在に繋がりを持たせながら登場人物の内面を描いて進んでいく構成が見事だった。
やはり、道尾秀介の書く作品は単なるどんでん返しミステリでは済ませられないと思う。「方舟」や「十角館の殺人」、「葉桜の季節に君を想うということ」など、素晴らしいどんでん返しがあるミステリを読んできたが、本作を読んで改め