小説・文芸の高評価レビュー
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ネタバレエンタメホラーがお得意な貴志先生の作品の中でもトップクラスに面白かった。
序盤の呪物バトルロイヤル説明と「お前あの◯◯を壊したんか!?」みたいな因習ホラーの定番をひたすら畳み掛けてくるのも、中盤の急な人狼的な疑心暗鬼も、終盤に主人公だけが呪物パズルタワーディフェンスホラーバトルを始めるのも全てが最高。こんなに要素が多い幕の内弁当みたいなホラー小説、許されていいんですか?
凝縮されたカオスな状況下で主人公が多少トンチキな行動(実況)を始めても、呆れるよりも絵面の面白さと必死さで乗り切って許してしまった。あまりにもエンタメパワーの強度が高い。
惜しむべきは梅雨物語や秋雨物語を先に読んでしまったため -
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第67回江戸川乱歩賞受賞作。
三十路の女性があれこれ将来のこととかを悩みながら、前向きに頑張っている姿がいい。
沢村は大学院を出ていて、博士号を持っている異色の警察官。ある日女児の遺体遺棄事件の取調べに立ち会うことになった。女児は5年前に誘拐された子供だった。身代金引渡しの時に誘拐犯が電車にはねられてそのまま行方がわからなくなっていた。
女児はどうやら窒息死させられたようだった。もともとの誘拐事件が不手際に終わったこともあり、北海道県警は色めき立つ。だがしかし手がかりがなく、またもや未解決事件として放置されることになる。
数年後沢村は生活安全課にいた。刑事事件は扱わない防犯科である。現在 -
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ネタバレ
元の事件のことは知らずに読み終えたので、最後の作者コメントを見て驚き。自分が産まれるかなり前の事件なので全然知りませんでした。
とても読み応えがあって、1日あくと細かい日付や登場人物がすぐに分からなくなる。戻りながら読んだので時間がかかったけど、本当に読んでよかった!
事件との関与が明らかになっていく中、真実が気になって、どんどん読み進められた。
2人の姉弟と1人の子供、同じようにあの事件の被害者であり関係者なのに、生きてきた道があまりにも違いすぎて切なかった。
報道の正義には正直あまり共感できなかったけど、
結果あの親子が再会できたのはよかったのかな。
犯行の動機がくだらなくて、なの -
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シリーズ8巻目。
明暦の大火の下手人・秀助(倣った人物)のその後も並行して物語が進んでいた。
今と違って本当に火消は命懸け。『ぼろ鳶』シリーズを読んでいると命の重さがひしひしと伝わってくる。
「人の命に重いも軽いもない」
誰かが助けを求めていれば、命を懸けても助ける。
強く諦めない心。命はそうそうに途切れるものではないのを分かっている。そんな源吾や源吾の部下たちの熱い思いが今回も心を打たれた。
特に印象深い、下手人・秀助が明暦の大火で出会った少年との話。秀助は罪を背負いながら自分が仕出かしたことへ向き合っている印象を受けた。
(秀助は花火が作れなくなったので)花火技術の知識を引き継ぐた -
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ネタバレ「汝、星のごとく」の続編であり、植木さん・二階堂さん・北原先生・暁海それぞれの視点で描かれていて、本編では見えなかった人物の内面や関係性がより深く理解できる構成になっていた。本編では描かれなかった“その後”や裏側が丁寧に補完されていて、物語としての満足感がかなり高かったのも印象的だった。また、複数視点で描かれることで、それぞれの人物の抱えていた思いや葛藤に新たに気づかされ、同じ出来事でも見え方がこんなに違うのかと感じさせられた。もともと「汝、星のごとく」はかなり好きな作品だったが、こうして別の角度から物語をもう一度味わえたことで、登場人物たちへの理解と愛着がさらに深まり、作品世界に再び入り込め
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早くも、2026年の小説のベスト候補となる小説に出会ってしまった。
日本語に不自然なところが多く、英語版と並行して読んだが、伝統的なアイルランド小説の流れを汲むと思しい散文的というか、1人称に限りなく近い3人称で思索の流れを中心に読者が主人公の思考に没入して類推していくことを強いるような文体で、翻訳が難しいところもあったのかと思った。
内容は、強い衝撃を受けた『ドイツ亭』を思い出さずにはいられない。社会的な事象を、一人の人間のあり方として具体化して示すことで胸がしめつけられるような思いを抱かせる。ラストも救うでもなく絶望させるでもなく、読者をただ複雑な現実に放り出す。ウイスキーをぐいっと飲 -
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「宣戦布告」のタイトルと共に、強烈な言葉が読み手を惹きつける。「よく聞け、匿名性で武装した卑怯者ども。」
不倫したことを火切にSNSで誹謗中傷され、自殺した売れっ子芸人の天童ジョージ。週刊誌につきまとわれ、有る事無い事書かれて、テレビから消された歌手、奥田美月。この2人の仇を取ると「宣戦布告」に書いてあり、同時にこの2人を誹謗中傷して追い詰めた83名の個人情報がばら撒かれた。逮捕されたのは有名音楽プロデューサー瀬尾。その弁護を引き受けることとなった久代。天童、奥田、瀬尾の人生を辿っていくこととなる…
前半から、本当に面白くめちゃくちゃ惹きつけられる!本を読むとどうしても展開が気になり、早く読 -
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ネタバレこの本は筆者の丁寧な取材を元に構成されている。娘が母親を殺害して遺体を切断し、河川敷に遺棄した経緯が時系列に沿って分かりやすく述べられている。
母親の教育虐待が生んだ9年間にも及ぶ医学部浪人生活、その影響下で普通の人生を掴もうとする娘、看護学科という進路を歩み一時の平安が訪れ、病院への内定も決まって社会人生活を始めようとした時に生じた亀裂、その後の殺害事件。
読者の目の前で再現される場面の一つ一つにとても心が傷んだ。
「中高一貫校」「医学部」などの属性に固執する母親に異常性が見られるのは確かだが、自分も人生の節目に立たされたときに「偏差値」「大手企業」などの言葉に踊らされた経験があるので -
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ネタバレ私がこよなく愛する「戦友の恋」のスピンオフ作品
大和湯の美和ちゃん目線の物語
美和ちゃんは玖美子を知らないので、玖美子が死につづけている世界に生きつづけている佐紀のことは分かっていない
美和ちゃんの目から見る佐紀は、当初豪快なおばちゃんとして描かれる
でも、達貴を追いかけていた時に佐紀から声をかけられて(ここは戦友の恋でも出てきたシーン、でもここだけ、そして佐紀は美和ちゃんが達貴に恋してることに実は気づいてる)、その後を描いてる
佐紀の部屋で一緒に飲んで、親しくなってる
そして君津とのこと
色々あったんだね
大和湯で人生を見つけた美和ちゃんのこれから
周辺のおじさんおばさんを馬鹿にする -
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ネタバレ下巻を読んで、最後にかけての展開と伏線回収がすごいなと思った。物語の中で感じていた違和感が終盤で一気につながり、「時代が違う」ということは予想できたが、それ以上に思いもよらない展開もあった。
それぞれの「つらさ」や「弱さ」が否定されるのではなく、受け入れられたうえで前に進んでいく形になっていたことにも感動した。「逃げてもいい」「居場所は一つではない」というメッセージは個人に向けてではなく、一人一人を救おうとかけた言葉だった。
鏡の中の城という非日常と、学校や家庭といった現実が、最初は分断されていたが、最後には一つにつながっていく構成で印象的だった。ファンタジーの世界が現実から目を背けるた
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