小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
前作『殺し屋の営業術』に続いての傑作っぷり。まさに痛快。
鳥井が出世?下に部下がいなかった営業マンが出世とは…。
相手はどんな手段も選ばない、そしてたくさんのつながりをもつ鷹見。
いい『駒』を使いながら稼ぐ男との対決、軍配は…。
鳥井のずば抜けた頭の回転の良さだけで勝てるのかなと想像をふくらませるが
鷹見に勝てるとは到底思えなかった私を許して欲しい。
鳥井の分析・調査、そして人集め…何もかもがパーフェクトな人材と改めて思った。
鳥井は部下がいないのは自分に部下を持つなんてというのが想像できなかったのではないかと思う。
部下が集まってくるのは、上司の考え方や行動力がそうさせていることであり、
鳥井もようやく自分の価値が分かったんじゃないかなと考えた。
あと、人を見る目があるところが鳥井の優秀さを醸し出す。相手の特性や行動を分析、そして見抜く。
部下たちにさり気なくいう「自信を持て」と。
(裏社会)の仕事は血生臭さもあって、恐怖でもあるし怯むこともあるが
それでも部下を引っ張っていく強さを持つ鳥井は、神なの?って思ってしまった。
いったん死を彷彿させてからのドンデン返しは、この物語の面白さを改めて実感させる。
シリーズはまだまだ続くか?前作出てきた殺し屋が復讐するのか?
楽しみすぎて、早く次作出して欲しい(笑) -
タリバン台頭 混迷のアフガニスタン現代史
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
目から鱗が落ちた!
コンパクトにタリバン政権の台頭について理解できるようになっており、読む前と後ではアフガニスタンに限らず国際政治全体への解像度が上がった。「帝国の墓場」に一帯一路で進出する中国はどうなるんだ。
特にアフガニスタンに伝統的な部族法、パシュトゥーン・ワリーからタリバンの行動原理が理解できた点が収穫だった。家族外の女子について考えることも相手の恥になるからできないっていう侍みたいな価値観では、女子教育の議論が空転するのは当然だね。男女で教育の機会を分けるべきとはクルアーンには書かれていないということで、イスラーム全般とは区別したアフガニスタン特有の文脈からタリバンは理解されるべき。
タリバンとAQ、ISとの違いはアフガニスタン土着の世直し運動か、インターナショナルなテロ組織かの違いってことで両者はかなり性格が違うということも整理できた。
パキスタンの影響もでかすぎる。パキスタンの支援もあって政権取ったタリバンとパキスタンはなんで今紛争してるんだ?
タリバンが武装してスワンボートで遊んでるのはビジュアル的に面白いけど、、、
タリバンは戦争のなかで育ち、楽しみを知らない「戦争の子供たち」だった。
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今年読んだ本の中で1番良かった。
甲子園出場を目指す息子の姿を「母」の視点から描かれた作品。
母の菜々子は、1人息子の航太郎を育てるシングルマザー。夫の健夫とは、航太郎が9歳の時に事故で死別。
航太郎は、中学のリトルリーグ時代から野球の才能を発揮し、高校では名門の希望学園・大阪の野球部へ進学。母の菜々子と離れての寮生活となった。一方、母の菜々子自身も航太郎の後を追う形で大阪に移り住んだ。慣れない土地で、強豪校特有のの保護者間での上下関係、古くから続く理不尽なしきたり、などに苦悩しながらも懸命に日々を生き抜いていく、
母 菜々子の視点では、年2回の帰省や試合の応援、親同士の会話からしか、航太郎の様子を知るすべはない。しかし、補欠の時でも、練習や試合の応援でチームを盛り上げたり、試合の伝令係としてマウンドに出ればベンチメンバーやマウンドの応援席が盛り上がっていたり、チームメンバーの誰からも愛される「航太郎」に変わっている様子が伝わってくる。親の知らないところで一回りも二回りも成長していることを実感することができる。
また、最後の夏の大会のシーンでは、脳内で情景を鮮明に思い浮べることができるくらいリアルな描写で描かれており、野球に全く興味がなくとも、思わず心が熱くなる、そんな本。 -
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川上未映子さんの本、初めて読みました。
妊娠中からお子さんが1歳になるまでの経験を、笑あり涙ありで綴られたエッセイです。
特に産後編がとても参考になりました。メンタルが不安定になるってどんな感じなのか臨場感を持って理解できた気がします。夫にも予習がてら読んでおいてもらいたい。笑
出産って幸せであることは間違い無いけれど、漠然とした不安、辛さ、孤独感、自分が自分じゃなくなる喪失感があるのも事実で。それでも夫婦2人が家族3人になったときの日常の幸せは計り知れないものなんだと学びました。最後の方は幸せの涙を堪えるのに必死でした。川上未映子さんの作品これから読んでみようと思います! -
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ネタバレ遂に館シリーズも7作目の超大作へ。
通勤時間の合間にゆっくり読み進めて、ようやく一冊目を一月で読破。味わうように読み進めるこの感じは、一冊目と良く合っていたように思う。
江南から始まる第一部。すでに妖しく不穏な空気が漂う。
そして江南退場からの中也登場。時計館での江南の進行役として面白さを感じていた自分としては、中也でどのように物語が進むのか些か不安があった。が、なかなかどうして中也という男も面白いではないか。
初めて暗黒館を訪れた中也の視点と自分がリンクし、暗黒館の情景、そこに住む人々の様子の不気味さが自分事のように捉えられる、この感じ。特に、浦登家の人々が皆一様に狂気を孕んでいて、人間らしき薄皮一枚からその狂気を滲ませている様が、堪らなく不気味で気持ち悪くて心地よい。そして、宴が始まり、いよいよ抑え込まれていた狂気がいつ溢れ出すのか。一冊目から、暗黒館の世界に取り込まれて魅入られてしまっている。
記憶喪失と過去からの呼びかけ、(フォント違い)が意味するもの、間奏曲で転々とする視点、過去の館シリーズから引き継がれる幻視画・絡繰時計、ダリアの願い・浦登家の悲願、謎の肉…
一冊目だけでこんなにも壮大に広げられた大風呂敷がどのように畳まれていくのか。すでに宴は始まった。この宴の始末を最後まで見届けるのが待ち遠しい。
早く二冊目を読み始めることにしよう。
関係ないかもしれないが、浦登(うらど)のモチーフはヴァンパイアのヴラド3世から来ているのか?陽の光を嫌うところからも吸血鬼っぽい感じが。当たっていたら嬉しいな。 -
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少年が歌舞伎役者となり、芸の精にまで到達する過程を青春小説のスタイルで描き貫いた小説だ。主人公の喜久雄は「世間」や「現実社会」である大人の世界を脇に置いたまま、成長、成熟し、人間界を脱する境地に行く。
それが、この小説の語り口とも符合している。冒頭の長崎の場面では、地元方言がふんだんに出てくるが、一貫しての「ございます」調で同化せず距離感を醸す。舞台が大阪に移ると、今度は語りが生き生きとしだす。登場人物とも語調が合い、喜久雄の息遣いまでが感じられる描写を続ける。さらに舞台が東京に移ると、俯瞰的で世間の眼差しを含みだす。
この小説の語り手は一体誰なのだろう。作品の最後に次のような記述がある。
「しかしそれでも、この歌舞伎座の大屋根から見下ろしておりますと、その不器用な役者の姿が、父親の仇を討とうと、朝礼の最中に駆け出した、あの一途な少年の姿に重なってくるのでございます」
語り手は、歌舞伎座の大屋根から喜久雄の姿を見つめるのだ。それは芸の神様か。いや神ならば、喜久雄が自分たちに近づいてくるように描き、遠くに離れていくようには語らないはずだ。では生きている者の視点か。喜久雄の長い人生を同伴する登場人物は春江や徳次がいるが、彼らの芸の理解は役者とは別次元にあるだろう。
俊介の父であり喜久雄の師である二代目半二郎が、長崎での喜久雄との出会いから語り始め、死してなお語り続けたか。
芸の神様は、喜久雄に人間を超えさせようとする一方で、俊介には人間の「業」を与えた。俊介は長男を失い、父からの遺伝による糖尿病で両足を失い、命を落とした。人間の業もまた芸の重要なテーマだ。
喜久雄と俊介。天才二人が芸の真髄を追求する姿は実に美しい。半二郎は二人を育てたが、俊介に血を残す人間的な役者だったのではないか。 -
Posted by ブクログ
幾つになっても「好きなこと」に夢中になれるのは、本当に素晴らしいことだと感じました。
年齢やこれまでの経験、置かれている環境に関係なく、知りたいと思ったことを学び、仲間と一緒に挑戦していく姿がとても印象的でした。
何かを始めるのに「もう遅い」ということはない。好奇心を持ち続けることや、夢中になれるものを持つことが、人生を豊かにしてくれるのだと思います。
それぞれに事情や悩みを抱えながらも、自分の「やってみたい」という気持ちを大切にする登場人物たちに、自然と勇気をもらいました。
読み終えたあと、少しだけ新しいことを始めてみたくなるような、温かく前向きな余韻の残る作品でした。
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