Posted by ブクログ
2021年01月17日
日本最大の合戦を壮大に描くスペクタクル最終章。やはり抜群の読み応えだったな。今まで読んだ歴史小説の中でも傑出して素晴らしいと思えた。政治的な駆け引きが勝敗を決めたこの大合戦。”義”と”利”の対峙が拮抗する中、胸熱で滑稽で儚い人間模様が浮き彫りになり、その幻影はいつまでも心の中で生き続ける。溢れんばか...続きを読むりのロマン性がまたとない余韻を引いた。天下を取るべくして取った徳川家康の圧倒的手腕、明敏過ぎるが故に敗北を喫した日本随一の嫌われ者・石田三成に隠された人間性を中心に掘り下げられる偶像劇は読後に多くを語りたくなる。本田正信、福島正則、黒田長政、小早川秀秋、島左近、大谷吉継、安国寺恵瓊、島津義弘、、、 東軍西軍のそれぞれの重鎮たちに纏わるエピソードの全貌を見届け、武将たちに対する見方が180度変わったようにも思える。印象に残った人物はしかと胸に留めておきたい。3巻総じて最高の読書時間となったことに感謝。最後の結びも完璧だったなぁ。どこまでも義に身を捧げる三成の示した生き様によって日本人の今の原型があるといっても過言ではないだろう。